Monster Load ~Over Hunter~   作:萃夢想天

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どうも皆様、大嫌いな冬を目前に控え憂鬱な萃夢想天です。

暑いのは我慢できても寒いのは我慢が出来ないと思うんですよ。
ただの風が寒さの相乗効果で殺意の刃にしか感じられなくなるから、
やっぱり冬は嫌いです。大嫌いです。冬の食べ物は好きです。

さて、今回は初の前後編ということではありますが、内容の雰囲気は
変わることなどございません。むしろ、今までよりグロ成分増しかも?
苦手な方は気を付けて閲覧ください。好きな方は王国軍七万の兵を虐殺して
から閲覧ください。あ^~仔ヤギたちと戯れるんじゃ^~(大虐殺)


それでは、どうぞ!





カッツェ平野・我が呼声に汝は轟く 【後編】

 

 

 

 

 

"異変"というものは、本来であれば中々気付きにくいものだ。

 

 

 

 

 

 

 

何かが変わっている場合もあれば、何もかもが変わっている場合もありうるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

そしてそれは、誰の身にも起こりうるからこそ、無自覚に受け入れざるを得なくなってしまう。

 

 

 

 

 

  

 

これは、魔王が世界に君臨させられようとする裏側で起きた、知られざる"異変"を紡ぐ物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バハルス帝国の城下街の一角で、数多く存在する冒険者崩れことワーカーの一つである

「フォーサイト」のメンバー四人は、帝国貴族フェメール伯爵からの依頼を受けていた。

 

その依頼とは、アンデッドが自然発生する霧深い呪われた土地、カッツェ平野にて

『色鮮やかなる大鳥』を捕獲するというもの。字面だけみれば、至極簡単な捕獲任務だ。

実際組合に登録している正規の冒険者も、組合の規則を破り自由に動くワーカーたちも、

単なる捕獲任務であれば問題なくこなせる。今回の任務も同様のものと判断したために、

フォーサイトを率いるリーダーを務めるヘッケランは三人の仲間たちに任務の可否を問い、

多数決で可決を獲得したことで任務を受諾した。

 

本来の捕獲任務であれば、捕獲対象を詳しく調査したり捕獲する為の罠などの準備期間が

設けられるはずなのだが、今回の依頼においては、たった二日しか与えられていない。

この事を訝しんだヘッケランたちだったが、仲間の一人にして優秀な魔法詠唱者である

アルシェの推測を聞き、コレが単なる捕獲任務でないと承知した上で受ける事を決めた。

 

帝国上層部の思惑が絡んでいようが、目の前に命張るだけの金を積まれりゃ仕方ない。

 

少なくともヘッケランを含め、残る二人の仲間のイミーナとロバーデイクの三人は、

今回初めてアルシェの家庭事情を聞き、彼女を助ける為に金が必要であると判断した。

フォーサイト結成以来、汚い世界を生きてきた三人が初めて他者を助ける為にまとまった

金を得ようと依頼を受けたのだ。アルシェは三人に深い感謝を泣きながら告げた。

 

何が待ち受けているのかと期待半分畏怖半分に二日を過ごし、依頼当日がやってくる。

 

ほんの手前数メートルより先の視界が確保できない程の濃霧が、毎年多くの戦死者を

生み出し続ける呪われた大地を覆い隠す。フォーサイトは、先日の依頼でアンデッドを

退治し続けて見飽きたはずの場所に、カッツェ平野に三日ぶりの帰還を果たしていた。

 

 

「今日くらいは、晴れててほしかったもんだぜ」

 

「ホントにジメジメしてて、嫌な感じ」

 

「ロバー、付近にアンデッドの反応は?」

 

「いえ、今のところは問題ありません」

 

 

大した調査が出来ない代わりに、久々に羽振りの良い依頼を警戒して装備を充実させて

きたフォーサイトの面々は、普段と変わらない景色に辟易の表情を隠そうともしない。

弓を扱うイミーナと信仰系の魔法を扱うロバーデイクの二人が油断なく周囲の様子と

アンデッドへの警戒を行うが、ひとまずの安全は確保できたようで安堵の息を漏らす。

 

今回の依頼は前金で金貨百枚、依頼の成功で上乗せの三百枚、計四百枚の報酬という話

だったので、ワーカーとして前金だけ戴いてトンズラもアリなのだが、それはできない。

単純に依頼を放棄して金を持ち逃げした話が広まれば、ワーカーとしての信用は損なわれ、

次からは依頼そのものを回してもらえなくなるという、コネクション面での問題が一つ。

 

そしてもう一つは、アルシェの抱える実家の借金問題が、アルシェ一人分の報酬金では

不足してしまうということだ。その為、何が何でもフォーサイトが依頼を成功させる。

前もっての話し合いで、大人三人は今回の報酬金の全額をアルシェに渡すと決めており、

総額金貨千六百枚を以て、彼女は晴れて実家との離縁と妹二人の身受けが可能となる。

 

フォーサイトの四人が改めて依頼の成功に息巻いていると、彼らの背後からぞろぞろと

金属や布などの様々な音が連なって聞こえてきた。だが、四人は警戒を向けはしない。

背後から近づく存在がアンデッドではなく、今回の依頼を受けた同業者たちの一団である

ということを事前に知っていたからだ。

 

 

「ヘッケラン、汝らを待たせた事、陳謝する」

 

「いよぉグリンガム! やっぱりアンタたちの所にもお声が掛かってたか」

 

「うむ。他とは一線を画す報酬に誘われてな、今回は総員で馳せ参じた」

 

「へぇ、そいつは。かの『ヘビーマッシャー』が勢揃いとは、気が楽だな」

 

 

音を立てて近づく一団の戦闘を歩いていた男が、ヘッケランへと声をかける。

ヘッケランは声の主であるグリンガムに軽く手を振り、簡単な情報交換を行う。

 

 

「予見していたとはいえ、汝が斯様な怪しい誘いに乗るとは」

 

「あぁ、依頼の事か? 悪いがこっちも色々あってな、至急大金が入用になった」

 

「ほほぅ。邪推するに、賭博か? 遊興か? いや、そうさな…………貢物か?」

 

「自分の年を考えろエロオヤジ。今度はそんなダサい金じゃないんだよ」

 

「これは失敬! はは、しかし年を考えろ、とは。かの老公に聞かせるべきか?」

 

「よせやい。御年八十を召した爺さんの説教なんざ御免被る」

 

 

歓談も交える間柄の二人は、和気藹々とした話し合いをしながら後方へ視線を送る。

グリンガム率いる総勢十四名の大所帯、ヘビーマッシャーのみならず、その後ろからも

続々とワーカーチームが現れ、その片隅に陣を敷いたとある一団の長を横目で見た。

 

 

「おいおい、マジか。あの爺さん、こっち睨んでんぞ」

 

「この距離での会話を聞かれたと? むぅ、かの老公であれば不可能でもあるまい」

 

「冗談キツイぜまったく。普通なら老衰でくたばる歳で、現役の槍使いときた」

 

「真に頼り甲斐があるのは、年の功を重ね続けた老公であろうな」

 

「んじゃ今からでも遅くねぇ、弟子入りして来いよ」

 

「御免被る。『腕を見てやる、死ぬてないそ』と槍の雨に打たれ半殺しにされよう」

 

 

ヘッケランもグリンガムも、探求した強さのベクトルはいささか異なるが、だとしても

強者の存在を知覚する眼と感覚は鋭敏である。互いに、よぼよぼの老体から放たれる剣呑な

雰囲気から抉るような槍の冴えが放たれることを知っている為、軽く頭を下げ話を切った。

 

続けて二人が視線を移したのは、老公パルパトラの一団とは正反対の方向に陣を構える

たった四人の少数グループ。だが今回二人が向ける視線には、強者への敬意は含まれない。

 

 

「げ。あの野郎も受けたのか。最悪だ…………イミーナが知ったら機嫌がどん底だな」

 

「かの者、確か『天武』のエルヤー・ウズルスという闘技場不敗の天才剣士だったか」

 

「らしいな。何から何まで鼻に衝く傲慢な美男子だよ、クソッタレ」

 

 

身長差がある二人の視線が同時に射抜いたのは、薄い金髪を肩まで伸ばした凛とした佇まいの男。

彼の名は、エルヤー・ウズルス。そして彼と彼の所有物(なかま)の一団の名は、『天武』という。

鋭い切れ目の男を目視した途端に、ヘッケランの表情からは燻るような怒りの念が溢れ出る。

隣にいるグリンガムは戦友の変化に目敏く気付き、無用な敵意を向けさせまいと言葉を紡いだ。

 

 

「今回は依頼を共にする協力者、であるとよいのだがな。しかしかの者、その引き連れた

仲間の三人の装束は、あまりにみすぼらしい。それに半ばで切られた耳は森妖精(エルフ)の隷奴の証」

 

「大方、闘技場で儲けた金で買ったんだろ。森妖精の奴隷をな…………クソ野郎が」

 

「ああ、汝のチームには半森妖精(ハーフエルフ)の女がいたな。であれば、彼奴との談義は我が取り持とう」

 

「助かるぜグリンガム」

 

 

内から湧いた不快感を文字通りに口から「ぺっ!」と唾と共に吐き出すヘッケランの様子を、

グリンガムは青臭さの残る子供のような大人だと見つめ、仕事の時間だと頭の中を切り替える。

大きく深呼吸をして隣を見ると、そこには既に戦士の顔に戻った戦友がいた。

 

 

「ではヘッケラン。件の『色鮮やかなる大鳥』とやら、どちらが捕らえるか勝負とゆこう」

 

「悪いが今回だけは譲ってやらないからな、グリンガム。恨みっこなしだぜ」

 

 

獰猛な戦士の笑みをこぼし、二人は拳を軽く押し当て、互いのチームメンバーの元へ向かう。

 

 

そしてこの数分後、帝国ワーカーチーム一同は目標の捕獲任務を開始すべく動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝国に居を構える多くのワーカーたちが各々の判断で散開し、平野を時計回りに探索していくのが

依頼の捕獲活動を開始する前に集合した、各チームのリーダーによる話し合いで決定していた。

カッツェ平野から北にあるバハルス帝国から来たワーカーたちは、ぐるりと大きな円を描くように

移動する形で霧立ち込める呪われた平野を散策する。その判断自体は、決して間違いではない。

 

 

ただ、そう。彼らに間違いがあったとするのなら、それは__________やってくる日を間違えた。

 

 

散策前の話し合いで先行すると宣言していた男、エルヤーは自らが勝ち取った森妖精の奴隷たちを

肉壁として先に歩かせ、自身は時折襲い掛かるアンデッドや骸骨戦士(スケルトン・ウォリアー)を刀の錆にしていく。

数歩先ですら見通しが悪い場所であっても、卓越した剣の腕と冷静な判断が下せるエルヤーには

然程問題はない。彼にとって目下の問題とは、この依頼は報酬金が旨いだけで、自分自身の力たる

剣を披露する意味を見出せない事にあった。彼の剣は闘技場でこそ輝くが、戦場では血に濡れて

鈍い光を発するだけ。つまるところ、彼は己の力を誇示する相手のいない仕事にやる気が出ない。

 

捕獲依頼の対象である大鳥とやらも、せいぜいが貴族の道楽に丁度いい程度の珍しい生物なのだと

重要視していなかった。そんなエルヤーは、前を歩かせていた奴隷の足が止まっている事に今更に

なって気が付き、苛立ちを隠そうともしない荒れた口調で言葉を投げる。

 

 

「おい、誰が止まれと言った。さっさと歩け、この愚図が」

 

「あ、あの、申し訳ありません。ですが、先程から、妙な音が聞こえてきまして……」

 

「妙な音? 耳が切れても森妖精、か。どこから、どんな音が聞こえる?」

 

「ぜ、前方から。何かの、鳴き声のような」

 

 

キレたら何をするか分からない乱暴な主人の苛立ちに怯えながら、奴隷森妖精の一人が答えた。

エルヤー自身もまた、才能を磨き鍛え上げた武人の一人である。並外れた五感を有している彼の

耳にも、うっすらではあるが何かの音のようなものが響いてきていた。

 

 

「フン、偽りではないようですが………さて、捕獲対象なら手早く済むんですがね」

 

 

彼よりも彼女らが先んじて音を感知できたのは、単純に種族的な差であり、これを埋める事は

およそ不可能に近い。なので、この場合に置いてエルヤーが奴隷森妖精に後れを取ったという

場違いな劣等感は意味が無く、彼の勘違いによって暴力に晒される側としては酷い話である。

 

周囲に見せる沈着冷静の皮を捨てた、彼本来の粗暴にして悪辣な表情を浮かべ、腰にぶら下げた

南方より伝来した宝刀を抜き放つ。そのままほんの少しの警戒をしつつ、悠然と近づいていく。

そうして距離を詰めていき、やがて人間種である彼の肉眼でもソレを捉えられるまでに至る。

 

 

「成る程。確かに伯爵の言う通り、色彩鮮やかな出で立ちだな」

 

 

エルヤーの眼が捉えたのは、彼の二倍ほどの高さからこちらを見下ろす、色鮮やかな大鳥だった。

 

その全身は、まさしくこの世の色という色を敷き詰めたように鮮やかであり、確かにこのような

生物であれば大貴族が大枚を叩いても欲しがるだけの価値はありそうだと、見る者を頷かせる。

全体的に黄色と緑の中間色が多く見られ、翼を広げる腕の先は覚めるような蒼に染まる一方で、

胴体部分から突出した胸筋と思しき部位は酔いしれそうな橙が存在感を放つ。

一見すればちぐはぐな色の集まりは、しかし大鳥の各部位を飾るにこれ以上ないほど相応しく

似合う絶妙な構成になっており、審美眼のある者が見たのなら、神秘的な造形美に涙しただろう。

 

芸術に一通りの理解のあるエルヤーだが、一人の剣士として着目すべきは目標の武装であった。

 

 

「嘴から覗く小ぶりの牙、翼膜を開く腕の先にあるのは、肥大したコブ? いや、爪か?」

 

 

己の見出した剣の才覚。しかしエルヤーはそれを誇り驕る事はあれど、腐らせはしなかった。

自分には剣術の才能があり、剣の勝負では敗北知らず。それでもそこで止まらず鍛錬を繰り返し、

ついに彼は周辺国家最強の名を掲げる、王国戦士長ことガゼフ・ストロノーフに匹敵する存在と

目されるほどに至る。だがまだ足りない。彼が求めるは、匹敵でも比肩でもない、唯一故に。

 

数回の瞬きの間に外見から判断できる相手の武器に成り得る部位を確認し終え、エルヤーは手に

持った宝刀の切っ先をゆっくりと向け、言葉など理解できないだろうとの侮蔑を込めて語り出す。

 

 

「私は、帝国のワーカー随一の剣士である、エルヤー・ウズルス。依頼内容は対象の捕獲という

事ですので、今回は命を取るような深手は負わせません。しかし、それだけでは面白くない」

 

 

一人で口上を述べていくエルヤーを前に、大鳥は異様に長く伸びた円柱状の嘴を数度振るうのみ。

その反応は己の言葉の続きを待つでも、遮るでもない。ただ知性無き獣の所作であるという証明と

勝手に受け取り、エルヤーはますます警戒のレベルを引き下げていき、舌の滑りを快調にする。

 

 

「貴族受けするあなたのその羽根を、今回の依頼の手土産としましょう。その不格好な爪も、

まぁこの刀の砥石程度には役立つかもしれません。削ぎ落としても、生け捕りなら問題ない」

 

 

ついには敵対する存在という認識すらも捨て、剣の構えまでも解いてしまうエルヤーに、彼の

背後で主人の癇癪と未知のモンスターの双方に対する恐怖に震える森妖精たちは驚愕に目を剥く。

いくら剣の天才であっても、モンスターを目前にして戦う姿勢すら止めるなど錯乱したのかと

疑うような愚行であるのは、奴隷である彼女らも知るところである。だが、男は言葉を止めない。

 

 

「生け捕りにする為であれば、ああ、多少の傷を負っても仕方のない事と分かってもらえるさ」

 

 

エルヤーは剣の才に恵まれ、それにかまけず腕を磨き続けた努力家である。

しかし、それは彼の負の部分を助長させていく悪循環でもあった。

基本的に彼は自分以外の他を見下し、自分が勝っているのだと自己陶酔する傾向にある。

端的に言えば、エルヤーは他者を舐めてかかるのだ。相手が人間であれ、モンスターであれ。

 

 

そう、だからこそ。

 

だからこそ、こうなってしまうことは、必然であったのだ。

 

 

ほんの一瞬、空気が揺らいだ。戦う姿勢すらも解くほどに警戒を薄めていた彼に知覚できたのは、

せいぜいがその程度の感覚だった。そんな彼の背後に佇む三人の奴隷森妖精は、言葉を失う。

傲岸不遜であれどその強さだけは本物であった彼女らの主人を包み込んだ、瞬き一回分の閃光。

予想だにしなかった光が視覚を覆い隠し、それが晴れたことで、ようやく彼らは現実に直面する。

 

 

「_________________は? あ、え?」

 

 

一番最初に異常に気付いたのは、その身に異常が起きている当人、エルヤー自身であった。

大鳥を前に意味も無く言葉を並べたのは、油断ではなく慢心であり、剣をいつでも振り抜く用意は

出来ていたのだ。かの大鳥がこちらを攻撃しようものなら即座に、爪を切り捨ててやろうと。

 

だが、常人には捉え切れない速度で振るわれた剣から感じたのは、『弾かれた』感触だった。

 

そして今、その感触を自身に伝えていたはずの剣を握る腕は、大鳥の足元に転がっている。

 

つまり、つまり、つまり、不敗を誇った剣とその才覚を発揮する腕は、今____________。

 

 

「お、おれのっ、おれのうで。うで、うでがあああああああぁぁぁああぁぁッッ‼⁉」

 

 

両肘の先から噴き出す血流から目を逸らすように、エルヤーは普段の冷徹ぶった仮面をあっさり

かなぐり捨てて獣のように泣き叫んだ。天性の才能を持つ自分が、その腕が、あるべき場所にない

事実は積み上げてきた自信を瓦解させ、ただ一心不乱に喚き散らす有象無象の一つに貶める。

 

 

「ち、ちゆ! ちゆをよこせちゆ! 早くしろ、治癒だ治癒! うで、ちゆ、早く‼」

 

 

千切れそうになる理性をどうにか保ち切ったエルヤーは、こういう時の為の保険であり己の武勇を

引き立てる道具たる森精霊の奴隷の存在を思い出して、治癒の魔法を使えと必死にがなり立てた。

彼女ら三人は所詮金で買われ、躾という名の暴力に屈服する弱者でしかなく、支配者である自分の

言葉に従うのは当然の事である。彼はそう信じて疑わなかった。しかし、痛みと喪失感は続く。

 

ここでようやく彼は後ろを振り返る行為を行った。そういう意味合いで言えば、信じていたのだ。

森精霊の奴隷は奴隷らしく主人の言葉に唯々諾々と従うものだ、と。いわば、常識なのだと。

その価値観を絶対と捉えるエルヤーが最後に目にしたのは、己に向けられる、暗く淀んだ嘲笑。

 

 

「なに、してる? 命令だ早くしろ‼ 治癒魔法をよこせと言ってるだろ愚図共が‼」

 

 

そしてそれが、帝国ワーカー天才剣士エルヤー・ウズルスの、最期の言葉であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソレはふと、目を見開いた。

 

そして目前で黒焦げになりながら音を立てて倒れたモノを見つめ、考えた。

 

 

__________________弱過ぎる

 

 

ソレが目覚めたのは少し前、何やら色々な音がぞろぞろと接近してくるのを察知した時だ。

円柱型と言える丸く長い形状の嘴に押し上げられた小粒のような瞳は、視界を遮るほどに深い

濃霧を見て、違和感を覚え形を変える。これほど周囲を把握できなくなるほどの霧の中になど、

自分は決して近づこうとしない。己の気質が臆病だという事は、何より自身が理解している。

 

故に、見覚えがあるかどうかも分からない現状で音を立ててこちらに近づく存在に対して、

ソレは警戒心を最大にまで引き上げ、急いで逃げ出すか、あるいは交戦するかを思考した。

 

己の武器となるようなものは、両翼の先にある『火打石』に似た構造の爪に、浴びせかけた

対象の抵抗力と耐性を大幅に引き下げる効果を持つ溶解液(ゲロ)と、そしてもう一つ。

何より己の象徴とも言うべき、『鳴き声』による戦線の攪乱である。

 

ソレ自身は自然界において決して強者というわけではなく、寧ろ弱者のカテゴリーに位置する

存在であったと認識しており、事実として他の竜たちと真っ向から挑み勝てる術などない。

自然界における強者達は、己の強さを磨いてぶつかり合い生き残っている、真の強者なのだ。

だから敢えてソレは、己が非力であり、臆病であると認め、勝ち抜く強さを自ら手放した。

代わりにソレが手にしたのは、至極単純。ただ、ただひたすらに生き延びる力だけだ。

 

そうして逃走か闘争かを悩みあぐねていたソレの前に、四匹の小さな生き物が姿を現した。

力なく近付く三匹は、一目見て問題ないと判断する。その瞳からハッキリと「怯え」という

感情が滲んでいる事を、ソレは野生の勘で正しく理解する。問題なのは、残る一匹だった。

 

 

____________何なんだ、コイツは

 

 

当然ながら、ソレに人間の言葉が理解できるはずも無く、鳴き声らしい音を発し続けている

程度にしか認識が及ばない。普通、自分以外と相対した場合、威嚇か逃走かのどちらかを選ぶ

だろうに、眼下の一匹はまだ何か声を上げている。ソレは、ここである存在を思い出した。

 

幾多の命の残骸を重ね合わせて身にまとい、数多の命を肉体ごと滅ぼしてきた武器を背負う。

己ですら足元にも及ばない強者達を数匹で、あるいは一匹で苦も無く屠る理の埒外にいる生物。

縦長の顔の両側面にある瞳が、目の前に立つ矮小な生物と、恐ろしき怪物と、重ね合わせる。

 

 

_________________ああ、似ている

 

 

そう、似ているのだ。一番上が丸く小さく、その下が広く大きく、真っ直ぐ下に伸びる脚も。

何もかもが同じ構造。だからなのか、ソレはかつて自分を苦しめた怪物を幻視してしまう。

恐怖によって高速化した思考が、自然界で己が生き延びる為の最善の方法を、導き出す。

 

どれだけその身を幾重の鱗で覆ったとしても、体躯の規格がそもそも大幅に異なっているのだ。

飛び掛かれば吹き飛び、爪を打ち鳴らせば火花が弾けた余波でも吹き飛ぶ。吐き掛ける溶解液も

通用しないわけではないし、自慢の『鳴き声』で窮地を脱した事など、数えきれない程にある。

 

即ち、戦っても絶対に負ける相手ではない、ということだ。

そして、それさえ分かったのなら、やるべきこともまた一つ。

 

 

_________________やられる前に、やれ!

 

 

息を吸い込む度に大きく膨らむ紅い喉袋(・・)を揺らしながらソレは、ガツンガツンと

大きな音と火花を弾けさせながら爪を打ち鳴らし、前方へ軽く跳躍しながら三度目を打ち合う。

強い衝撃と摩擦で生じた火花が空気を巻き込み爆発を起こし、ほんの一瞬の閃光と化した。

不意打ちとはいえ、これだけで沈むほどヤワな敵ではないと分かっているソレは、続けざまに

攻撃を畳みかけようとするが、目前の一匹が想像を絶する咆哮と同時に喚き散らし始める。

 

 

 

 

 

そして最初に戻る。

ただの一発で狂ったように吠え出す一匹を見下ろし、ソレは生まれて初めての快感を得た。

これまで強者すらも叩き伏せる超常の存在と認識していた生き物を、一方的に蹂躙する事実に。

 

こうなってしまえば、ソレを止められる存在はこの場にはいない。未だかつて知り得なかった

未知の快感を再び得ようと、何故か後ろの三匹の方を向く弱者に、再び両爪の爆破を繰り出す。

ボンッ、という小気味良い炸裂音が霧の平野に響き渡り、上半分が飛び散った黒焦げの肉塊は

そのままドサリと音を立てて崩れ落ちていった。その様を見届け、ソレは歓喜に喉を震わせる。

 

 

_____________やった! やった!

 

 

あまりの歓喜にソレは思わず、左右へ跳躍しながら爪を打ち鳴らす。己の成した大偉業に。

そうしてしばらく空洞状の嘴から勝ち誇るような音を噴き出していると、残っていた三匹が

先程ソレが倒した黒焦げの肉塊に歩み寄り、足蹴にし出した。しかし、ソレは三匹を見逃した。

最初から脅威ではないと判断していた三匹を、強者を打ち負かした今の己がわざわざ相手に

する必要はないと、芽生えたばかりの傲慢さが唆した為にソレは攻撃を仕掛けなかった。

 

 

「…………ふふ、あは、は。は、え?」

 

「や、やだ、やだやだやだやだ! 嫌ぁ‼」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさ、痛い、やめて! ごめんなさい! 離して!」

 

 

そう、今の自分には弱者の事などどうでもよい事なのだ。

霧の中で先程から無数に蠢いていた動く骨やら腐った肉塊やらが群がり、残った三匹に向けて

一斉に襲い掛かろうが、知った事ではない。足元に転がる強者だったモノがこうなる(・・・・)前にあげて

いたような金切声を聴覚が捉えるが、ソレが一瞥した頃にはもう骨と肉塊の山に消えていた。

 

 

ソレは現在、この世の頂点に君臨したような気分に浸っていた。最上の心地に酔いしれる快感を

味わい、気が大きくなってしまっている。端的に言ってしまえば、調子に乗っているのだ。

 

 

___________今なら、どんな奴にも勝てそうだ

 

 

有頂天にまで上り詰めた(気になっているだけ)のソレはもう止まらない。止められない。

こうなってくると、自分の力を試してみたくて仕方が無くなってくる。今までのソレの気質を

知る存在からすると、到底考えられない程に好戦的な状態に変化してしまっていた。

そう、試してみたくてたまらない。これまで戦うという選択肢すら抱かせない強者を相手に。

 

そしてソレは、ソレだけが唯一、荒唐無稽なその願望を可能にする術を、持っている。

 

 

______________きっと、面白い事になるぞ

 

 

期待に胸を躍らせ、大きく大きく息を吸い込み、まるでラッパのような嘴へ空気を吹き込む。

尖るべき嘴の先端には穴があり、そこから送り込まれた空気量に比例した『音声』が響き渡る。

ただし、その音はソレの鳴き声などとは比べ物にならない程に、強く、強く、轟いた。

色鮮やかなる大鳥は、己が知る『最も猛き竜』の声色を真似て、次元の隔たりを超え呼び寄せた。

 

 

ガアアアアアアアアァアアアアァアアァァアア‼‼

 

 

そして、呪われし濃霧の平野に、強暴なる(アギト)が轟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソレはふと、目を見開いた。

 

眼球の中心に鎮座する瞳孔は、爬虫類系を思わせるような縦に細長い楕円の形をしており、

通常よりも一層細められた事から見て取れるのは、ソレが興奮状態に移行したという事実だ。

しかし興奮といっても、決して野生動物と揶揄されかねない生殖本能が誘発されたからでは

なく、ただ偏にソレが有する闘争本能の一端を刺激する何かが、琴線に触れた影響である。

 

ソレは己が踏みしめている地面と限りなく近い頭部を持ち上げ、辺りを忙しなく見回す。

何かを探す素振りではあるが、「どこかにあるのか」という悠長な感覚ではない。

眼を血走らせ、一目見ただけで強靭と解る程の牙や顎から漏れる吐息が、声もなく伝える。

 

 

____________何処に居る

 

 

ソレが目を覚ましたのは、つい先程の事。ソレ自身も自分が何処に居るのかすら分からず、

視界を覆い尽くさんとばかりに立ち込める濃霧に、早くも苛立ちを覚え始めていたのだった。

一先ず最優先事項を「飢えを満たす」事と定めたソレは、行動を起こそうとしていたのだが、

そんな折に唐突に聞き覚えのある「鳴き声」を耳にしたことで、瞬時に怒りが沸き上がった。

 

己の発する轟音すら意に介さない(・・・・・・・・・・・・・・・)超常的な聴覚が捉えたのは、『ソレが発する鳴き声』そのもの。

 

ソレは、霧深いこの場所に響き渡ったその咆哮に聞き覚えがあった。

生物が鳴き声を発する状況というのは、ほとんど限定されている。この事実はソレにも当て

はまることであり、その数ある状況の中でも今回聞こえた鳴き声は最も許しがたいものだった。

 

 

____________此処は我の縄張りである

 

 

大地すら揺るがすような破壊的な音からは、余りにも傲岸不遜で許し難い意図が伝わった。

確かにソレがいるこの場所は霧が異常に濃く、遠くまで見通すことは困難だと身を以て理解

できたが、だからといってその主張は早計に過ぎる。そう、此処には我が居るというのに。

先程の布告を行った相手は、間違いなくソレと同種であると鳴き声からして気付いてはいた。

けれど、否、だからこそ。戦わずして勝ち誇るなど許せるものか(・・・・・・・・・・・・・・・・・)。その答えは唯一にして無二。

 

 

____________我と戦え‼

 

 

己が領土を侵されたわけでも、ましてや己が他の領土を侵したわけでもない。

だがそれでも認められるわけがない。戦わずして勝ち取るなど、強者に有るまじき醜態だ。

 

ソレは、先の咆哮が己を呼ぶ為の挑発であると、正しく理解していた。

生殖目的で雌が雄を、あるいは雄が雌を求める求愛の声とは別物であり、助けを乞うような

弱々しいものでもなく。間違いなく勝利に酔ったソレが勝鬨のようにあげる咆哮であった。

 

同種であれ、慈悲など与えはしない。霧深い未知の土地であれ何であれ、容赦なく狩る。

己の存在を知らなかったのだろう。ソレ自身も咆哮を聞くまで、己だけがこの場所に居ると

考えていたのだから、相手も同様であると理解は出来る。それでも、この怒りは止まらない。

 

それでは、敵であるとすら認識していない(・・・・・・・・・・・・・・)のと、同義ではないか。

 

 

____________何処に居る‼

 

 

牙と牙の隙間からは荒々しい呼気が噴き出し、黄色がかった鱗に覆われた体躯は猛々しさを

全開に駆動する四肢によって、年を経て分厚く固まった甲殻と擦れてガチガチと音を鳴らす。

およそ外観の強暴さからは想像だにつかない両腕の力のみで這いずる姿は、獲物を探し求めて

徘徊する虎か、あるいは道連れを求めて地獄から這い出てきた恐ろしき怪物の類か。

 

砂塵を巻き上げながら大地を滑走するソレの聴覚は、少し離れた場所から硬い物がぶつかり

合う音を確かに聞きつけ、走行を止めて周囲を見回す。辺りは霧ばかりで何も見当たらないと

見切りをつけようとした瞬間、再び同じ音を聞き取り、さらには飛散する火花も目視した。

 

 

____________嫌な感じがする

 

 

常に弱肉強食の非情な理に満ちた世界を生き抜いてきたソレは、聴覚が拾った音に不快な

懐かしさを覚え眼を細めて鼻を鳴らす。速度をやや緩めながら近付くにつれ大きくなってきた

音の正体を確かめるべく、ソレは低く短い唸り声をあげて霧の中をゆっくりと進んでいった。

 

そして、音の正体とその発生源に辿り着いたソレは、即座に後方へと大きく跳躍し距離を取る。

 

 

____________此処にも、居るのか⁉

 

 

ソレが霧深い平野で目にしたのは、数多くの生命を屠り狩り喰らってきたソレが認識する、

数少ない『強者』のカテゴリーに位置する存在であり、濃厚な死の臭いをまとう怪物の姿。

これまで幾度となく己と死闘を繰り広げ、時には爪も牙も折られ瀕死の重傷を負わされた事も

あるほどの強さを持つ、そんな生命体。小さき存在と侮る事を放棄させた、恐ろしき異形。

 

とある世界で〝狩人(ハンター)〟と呼ばれる存在と瓜二つの姿形をした、生命体の群れが居た。

 

思い返せばぶつかり合う音は、ヤツらの持つ大小さまざまな武器と己の甲殻とが衝突する音と

よく似ていた。であるならば今まさにあの小柄な連中は、何かを狩猟していたのだろうか。

目視すると同時に後方へ跳躍したソレは、元々地面と平行に伏せるような出で立ちをさらに

一段と低く下げ落とし、自分よりも小さい存在を決して見落とさないように濃霧を睨んだ。

 

 

____________そういう事か

 

 

しかしソレは同時に納得していた。先に聞こえた勝利宣言に等しい咆哮があがった理由に。

何の事はない。ただ、本当に勝利したのだろう。ありとあらゆる地に現れ、己やそれ以上に

強大な存在を相手に挑み、物言わぬ骸の山を築き上げていくヤツらに勝利したからだろう。

ソレですら相手取るのに手古摺る、砂漠に縄張りを持つ双角の魔王ですら狩ってしまう程の

強さを有する怪物。そんなヤツらを狩ることが出来たなら、勝鬨を上げても仕方がない。

 

だが生憎と、この地には先んじてヤツらを倒したであろう同種以外にも、我が居るのだ。

強者すらも屠る強者を捻じ伏せ勝ちを誇るのならば、我も同じ方法を以て証明してみせよう。

 

 

____________貴様よりも、我の方が強い‼

 

 

途端に戦意を漲らせたソレは、全身に血液を巡らせ筋繊維を膨張させ体を一回りほど大きく

させるとともに、人間でいう決闘の合図を思わせるような咆哮を鋭く発し、駆け出した。

 

 

ガアアアアアアアアァアアアアァアアァァアア‼‼

 

 

力を証明してみせんとばかりに疾駆するソレは、大地が自分の足跡型にめり込んでいようと

意に介することなく突き進み、霧の中で腐った肉塊に武器を振るっていたヤツを跳ね飛ばす。

肉が凄まじい勢いで押し潰されるような生々しい音を立てて吹っ飛ばしたが、それだけでは

まだ足りないとソレは確信していた。ヤツらはしぶとく、何度でも立ち上がってくるのだと。

 

故にソレは突進の勢いを殺さないように気を配りつつ、左前肢を地面へ突き立てるほど強く

ブレーキ代わりに叩きつけ、そこを軸にして後肢を連続して動かし角度の微調整を行う。

自らの足跡が轍のように大地に刻まれているのを目視できるあたりまで方向転換を終えた

瞬間に、抑えていた左前肢を地面から離して再び前へと伸ばし、突進を再開した。

 

大樹の幹に匹敵するほどの太い前肢が大地に振り下ろされるたび、ソレは前へと進んでいき、

砂塵を巻き上げながら目にも止まらぬ速度で動き回り、そしてふと突進を止めて振り返る。

視線の先にあったのは、何度も大地に刻んだ己が疾った跡と、点々と続く血溜まりのみ。

 

 

____________どういう事だ?

 

 

ソレは困惑のあまりに瞳を細めて首を傾げた。違う、違うのだ。こんなはずではなかった。

ヤツらはその身に骸をまとい命を狩る存在であったというのに、我らを恐れず戦いを挑んで

くるほどの強き存在であったというのに。だがこの有様はなんだ。そう思わずにいられない。

 

 

____________弱過ぎる

 

 

本当にただ何でもなく、ソレは突っ走っただけだった。ソレにとって先程の連続突進など、

攻撃とすら認識していないほどの、言うなれば地慣らし。ほんの準備運動と同義であった。

今まで戦ったことのあるヤツらのほとんどは、この突進を横っ飛びに躱すかあるいは手に

持つ巨大な石と鱗の壁で防いでいたのだが、見渡す限りの血と臓物の海に呆然とする。

 

濃霧のせいで目視は難しかったが此処まで接近すれば嗅覚で探知が可能、スンスンと鼻を

何度も鳴らして確認を行う。突進する前にあった臭いの元がほぼ消えていて、残ったのは

五………いや、四のみ。それらはひと固まりに群れているようで、先程から動いていない。

もう潰して砕いたヤツらはどうしようもないが、この生きている四匹までもが弱いという

こともないだろうと考え、最後の一匹を狩るまで決して手を抜くことはしないと決めた。

 

ただ偏に、ソレの根幹が『闘争』であるが故に退くことはなく、勝利と生存こそが至上。

 

 

____________我と戦え、強き者(ハンター)

 

 

両前肢を大地に突き刺し、上体を仰け反らせながら吸い込んだ息と、意気と共に咆哮する。

もはやそれは声でもなく、まして音でもない、『轟き』となって霧の大地を震わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う__________おっ、ぅおぉええええええぇぇぇッ‼‼」

 

「アルシェ⁉ 見てはいけません!」

 

 

ロバーデイクの忠告も既に遅く、アルシェはたった今目の前に広がった凄惨たる光景を

目にしてしまい、充満する鉄臭さと生臭さが鼻腔を犯し不快感が膨張して溢れかえる。

仕事の前の腹ごしらえにと軽食をつまんでいたのが災いし、胃の中で溶けかかっていた

内容物が食道を逆流して口の端から吹き零れた。愛らしい瞳も苦悶に歪み涙が滴る。

しかし、それは無理もないことである。ほんの十数秒前まで同じ緊張感を共有していた、

というよりも生きていた人間の顔半分が、肉と骨が撹拌し混じり合った肉塊へと変わって

足元に転がってきたのだ。いくら日陰の住人とはいえ数年程度、耐性など意味を成さない。

 

顔をそむけて涙をこぼし続けるアルシェの視界の端では、縦に分割された成人男性の頭が

未だ微細な筋運動を続けていた。血液が残って流れ出る勢いが、周囲の筋繊維を僅かだが

動かしているためにそうなっている。仕組みを知っていたとしても、直視は不可能だ。

桃色と朱色の中間のような色合いの臓物と、鮮血の赤と、臓物を覆う骨の白が破壊的に、

せせこましい肉塊の中で乱雑に混合している様を、いったい誰が直視などできようものか。

 

 

「ぅげ________くっ………ロバー! アルシェを!」

 

「分かっています。貴女はヘッケランと共に警戒をお願いします!」

 

「んん、か、はっ_______ああ、任せろよクソッタレ‼」

 

 

耐え切れずに嘔吐した少女を庇うように密着した残りのメンバーは、必然的に少女の足元を

視界に収めることになり、瞬時にこみ上げてきた逆流の兆候をどうにかして抑え飲んだ。

今は何よりもまずアルシェを守らなくては。その思いだけで生理的な悪寒を塞いだ三人は、

たった一瞬の間に十四名いた『ヘビーマッシャー』全員を血の海に変えた文字通りの怪物に

対する警戒網を敷いた。イミーナが耳に、ヘッケランが目となり辺りを注意深く見回す。

信頼する仲間二人に警戒を任せ、ロバーデイクは錯乱状態に陥りつつある少女の背中に手を

置いて、ショック症状を起こしていると判断した瞬間に装備品から松明を取り出し点火する。

 

 

「ひっ_____________ろ、ばー?」

 

「気付いたようで何より。錯乱か恐慌に陥ってしまわれると、私もそれに対する魔法を詠唱

しないといけなくなるので。小さな灯は心を落ち着かせると言いますが、塊のような炎は

人の奥底にある獣の本能に危機を察知させるとも聞きました。どうです?」

 

「う、うん。ありがとうロバー。もう大丈夫、取り乱してごめん」

 

「人であれば、誰しも心乱れる時はあります。恥ずべきことではありませんよ」

 

 

常に冷静沈着かつ柔和なロバーデイクの対応が功を奏し、アルシェが気をどうにか持ち直す。

務めて足元を見ないように顔を強張らせていた彼女は、再び顔の正面で揺れる松明の炎を

見せられ、それが徐々に低身長の自分の目線と平行になる位置で左右に動くのを確認した。

 

 

「見なさいアルシェ。この松明の先が、先程の謎の巨大モンスターがやってきた方向です。

貴女の魔力の位階が分かるタレントを応用して、反応がある方向を定められませんか?」

 

「…………ごめん、知覚できない。遠くへ行っていないなら、然程魔力は高くないはず」

 

「なるほど。であれば、魔法による攻撃手段がない、と捉えてよいでしょう」

 

 

炎の揺らめきが様々な方向を指し示す度、アルシェ個人が持っている特異な才能、タレント

などと呼称される力を発動するも、空振りに終わる。だがその事実を含めて戦略を構築する

ロバーデイクは、松明をかざしつつ少女の視線と視界から足元の遺体の一部を隠した。

さりげない配慮を済ませつつ、前方で警戒を続ける二人に容態の回復を伝えるべく口を開く。

しかし、彼が言葉を口にするよりなお速く、大地揺るがす『轟き』の豪爪は迫っていた。

 

 

「ロバー後ろ______________」

 

 

半森精霊たるイミーナの優れた聴覚が接近を感知し、声を張り上げながら振り返った時点で

もう手遅れに過ぎていた。大きく重い何かが地面にぶつかる音と重なり聞こえた、破裂音。

水気を含んだものと硬度のあるものが同時に勢いよく潰れたような、形容しがたき不快な音。

けれど彼女の耳がすぐさま拾い上げた音は、微かな嗚咽。年若い少女の、声にならない悲鳴。

 

 

(ロバー、アンタって奴はどこまで…………! 無駄になんてしない、必ずあの子は助ける‼)

 

 

わずかな時間の中で、イミーナは静かに悟った。ロバーデイクが死に際にどう動いたのかを。

何の事はない、ただ突き飛ばしたのだ。狙いが己だと気付いた瞬間、アルシェを力いっぱい

自分の近くから遠くへ押しのけただけの事。人助けに生を捧げた男は、最期までやり遂げた(・・・・・・・・・)

この依頼を受け取ったのは、そもそも自分だった。言い返せば、こうなったのは自分のせい。

高額な報酬金に釣られて全滅なんてワーカーならありがちな最期だ。明日は我が身だろうと

気を配っていた。気を配っていたつもり、だったのか。己の愚かさが招いた現状に不満が

止めどなく押し寄せてくるのを務めて無視し、転がった松明を睨む巨獣に向け矢を番え撃つ。

 

霧の影響で普段より湿り重い空気による弾道の変化も考慮しての矢は、寸分違わずに巨獣の

瞳に吸い込まれるように飛来し______________驚異的な後方への跳躍でもって躱された。

 

 

「何なのよあの動き! デタラメにもほどがあるでしょうが‼」

 

「イミーナよせ! 下手に刺激して厄介なことになったら!」

 

「そんな事言ってる場合⁉ あたしが矢で動きをけん制するから、そのうちにアルシェを!」

 

「馬鹿野郎、それじゃお前が!」

 

「戦士職が接近してどうにかなる相手じゃないって、分からない訳じゃないでしょ⁉

あの『ヘビーマッシャー』が何もできずに全滅よ⁉ アンタ一人じゃどうしようもない‼」

 

「………ああ、ああ! そうだよな、クソが‼」

 

 

イミーナは愚痴を吐き捨てつつも次々に矢を番え放っていく。その行いを止めさせようと

声を上げるヘッケランに、後方支援や遊撃が本職の自分が敵の足止めに最適だと正論を説く。

愛する女性を囮に使うような真似をしたくないとする青年は、今しがた同業者兼戦友であった

グリンガムとその一団が、碌な抵抗すら許されず殺されたのを目撃していたために口を閉じた。

ここで言い争う事で何かが解決するわけじゃない。ならば自分にできる事を最速で完遂させ、

全力で撤退を図り態勢を立て直す事が、現状における最善策じゃないのかと己に言い聞かせる。

結論は出たと無言で頷いたヘッケランは、視界不良の中でアルシェを探す事を諦め声を出す。

 

 

「アルシェ何処だ! 無事なら今すぐ《飛行(フライ)》の魔法使って此処まで来い‼」

この判断は間違いではない。人間の視力では少し先しか視界が保てない程の濃霧立ち込める

場所で、無言に徹して探すよりは遥かに簡単で効率的かつ合理的な判断なのは疑う余地も無い。

しかしこの時の彼は焦燥に駆られるあまり、自分たちが相対している存在への過剰な警戒を

怠っていた。いや、伴侶に近しい相手が危険の渦中にあれば、急くのも仕方がないのだが。

 

 

彼は本当に頭の隅に追いやっていたのだ。

 

〝音〟を探知に利用するのは自分たちだけではないという事を。

 

〝音〟を拾いそれを活かす術に長けているのは、獣の方である事を。

 

 

直後、空気を引き裂くような音と重なるように何かが飛来し、ヘッケランと衝突した。

 

 

「があぁッ⁉ ぐぅぅ………ッ‼」

 

「ヘッケラン? ヘッケラン⁉ 今、何が」

 

「お、おれのことはし、んぱいすんな………さっさと、こっちに」

 

 

幸いと言っていいものか、飛来した物体はヘッケランの胴ではなく腕の先を掠めていった

だけだったが、それでも速度と重量が傷を深くした。咄嗟に庇った左腕は人間の構造として

有り得ない方向に捻じ曲がってしまい、プラプラと力なく垂れ下がり二度とは使えまい。

そんな重傷を負ってもなお、彼は濃霧のどこかに居るアルシェを探そうと掠れ声を絞り出す。

 

 

(直接叩いて潰すだけが取り柄かと思ったら、目で追えない速度で岩を飛ばしてきやがった!

ただ強いだけでも人間にとっちゃ厄介だってのに、ああもう、クソクソクソ! クソが‼)

 

 

使い物にならなくなった左腕から滲む痛みと脳裏に染み出る絶望が、方向性の定まらない

無差別な怒りとなって心の奥底から込み上げてくる。仲間も友も失い、このままでは彼女も。

それだけは、何としてでも阻止せねば。この命に代えても守らねばと、彼は奮い立つ。

 

 

(こんな、力と小賢しさをひけらかすだけの俺を、馬鹿みたいな男を真剣に愛してくれた

最高の女を、俺は巻き込んだ挙句死なせるのか? ハハハハ、笑えねぇよクソッタレ‼)

 

 

歯を食いしばる。左腕の痛み? 迫る死への恐怖? どうってことないわけないだろ本当に。

大の大人だろうが痛けりゃ痛いし怖けりゃ怖い。腕が折れりゃ痛くて泣いてもいいだろう。

死ぬのが怖けりゃ泣いても仕方ないだろう。でも、それよりもっと怖くて痛いのは。

 

 

「俺に惚れてくれて、俺が惚れた最ッ高の女を、幸せにしてやれねぇ事がよぉ‼」

 

 

霧が蠢き、奥から巨大な怪物が憚ることなく足音を鳴らして近付くのを、睨みつける。

 

 

「男にとって一番辛いに決まってんだろクソッタレがああぁぁあああッッ‼」

 

 

___________グシャァ‼

 

 

「……………………あの、ばか」

 

 

この世で唯一人愛し愛され、愛を交わした男の猛りが弓に番えた矢の切っ先を震わせた。

どこまでも単純なくせに狡賢くて、一丁前な事を言うくせに見栄張ってばかりな姿は

滑稽どころかむしろ、微笑みを隠せない程に愛おしくて。共に過ごす時間は温もりに満ちて

ひたすらに心地良く、互いの情欲をぶつけ合った後の暖かさに微睡みを覚えてしまった。

 

でも、そんな彼はもう、恐らく生きてはいないだろう。

 

 

「ほんと、ばかじゃないの」

 

 

惚れた女を守って逝けたなら、男としては本望だろ。などとしたり顔でのたまう様子が

容易に想像できる。確かに守られることは悪い気はしないし、純粋に感謝の念を抱く。

だが男としてはそれで本望だとしても、女としては及第点以下だ。落第だ。失格だ。

 

何が、「俺が惚れた最ッ高の女を幸せにしてやれねぇ」だ。本当に呆れてしまう。

 

 

「…………幸せだったに、決まってんじゃない、バカ!」

 

 

弓に番えた矢が、矢を持つ指先までもが震えてしまっているのは、気のせいではない。

唐突に、何の前触れもなくいきなり目に見える脅威として現れた『理不尽な死』への

恐怖で震えたのか。あるいは、もう今生でまみえること叶わなくなった最愛の人への思いを

馳せたためか。イミーナは目尻から溢れ出続ける涙を拭わず、限界まで引いた矢を放つ。

 

しかし矢の震えは狙いから逸れてしまう事に直結する。彼女の狙いであった怪物の眼球より

わずかばかり下の顎に当たり、金属同士がぶつかったような硬質な音が平野に響いた。

霧の影響で目視は難しくなっていても、敵は人ならざる獣。臭いでの索敵は得意だろう。

眼球以外に矢の通りそうな部位は、口内くらいのものだろう。狙っている間に体を丸ごと

ガブリといかれて、そこで死ぬ。初めから勝って生き延びる事など、不可能な相手だった。

 

 

「あ~あ、これでおしまいか」

 

 

心躍る冒険も、胸糞悪くなるほど不毛な殺し合いも、幾つもの修羅場を潜り抜けてきた。

自分はその日陰の領域に望んで堕ちてきた類の人間であって、いつかどこかで自分自身すら

納得のいかないような理不尽な死を迎えるのだろうと、本気で思っていた。

 

自分も、ヘッケランもそうだ。望んで堕ちた。ロバーデイクは事情が少し異なるけれど、

望んで堕ちたという点については変わらない。ただし彼女は、アルシェだけは全く違う。

 

若くして才知に溢れ、血筋も正統なものを後継する、祝福されて然るべき人間だったのだ。

ほんの些細な運命の悪戯が彼女をこんな底辺へ引き込んだ、掴んで引きずり落とした挙句に

何もかもを取り上げようとした。なおも飽き足らず、その命まで奪い去ろうというのか。

 

 

(させないわ。させるもんですか。あの子は、『幸せになる権利』がある‼)

 

 

およそ死を覚悟した人間が見せるモノとは思えぬほど、輝きに満ちた顔で凶獣へ矢を放つ。

今度は攻撃の通用する一点を狙う狙撃ではなく、注意をこちらへ向ける為だけの牽制射撃。

視界不良、精神状況不安定。過去最悪のコンディションで弓に矢を番えるイミーナは、心底

晴れ晴れとした笑顔のまま、この行いに満足しているかのような明るい口調で言葉を紡ぐ。

 

 

「アルシェ! アンタがいてくれたおかげで本当に助かった! お金もかなり稼げたし!

ロバーは稼いだお金で誰でも受け入れる教会を建てるんですって! 贅沢な使い道よね!」

 

「………イミーナ?」

 

 

唐突に大声で話し始めた彼女に、アルシェは困惑を隠せない。それでも言葉は止まらない。

 

 

「ヘッケランがお金貯めてた理由知ってた? 借金返済とか何とか言ってたけどアレ嘘!

本当はアタシと二人で暮らす家と、結婚指輪を用意する為だったのよ! 驚いたでしょ!」

 

「イミーナ、イミーナ!」

 

 

錯乱したか、恐慌に陥ったか、否。姉のように慕う彼女がこんな時に取り乱すはずがない。

だとしたらこの一連の話にもきっと意味があると、そう結論付けたアルシェは耳を傾けた。

 

 

「それでアタシはね! 綺麗な宝石とか美味しい料理とか、贅沢を尽くす為だったの!」

 

「イミーナ!」

 

「でも結局! アタシたちの中でお金使って夢叶えられた奴なんて、一人もいやしない!

だからアルシェ! 妹の為に命張ってお金稼いできたアンタになら、全部あげてもいい!」

 

「_________え?」

 

 

ここでようやく、アルシェは自分の考えが間違っていたことに気が付くのだった。

 

しかし、今回もまた、気付いた時にはもう、何もかもが手遅れである。

 

 

「もう、ロバーもヘッケランもアタシも……………お金、必要ないからさ!」

 

「や、え。まって、まって! イミーナ! ヤダ、ヤダ! イミーナ‼」

 

 

しきりに声を張り上げて、涙を滝のように流しながら懇願するも、イミーナには届かない。

アルシェは先程から彼女が弓矢で謎の怪物の注意を惹き付けていることに気が付いていた。

いや、気付きたくなかった、が正しい。もしそれが本当なら、アルシェには義務が発生する。

 

仲間を見捨てて逃げなければならない、という義務が。

 

だから彼女は一縷の望みにかけ、喉が枯れるまで叫んだ。喉が潰れるまで名前を呼び続けた。

ロバーデイク。ヘッケラン。イミーナ。

 

父のように穏やかで優しかった神官の名を。

 

兄のように意地悪で頼もしかった戦士の名を。

 

姉のように気丈でいつも守ってくれた射手の名を。

 

 

しかし、返ってきたのは、彼女が最も聞きたくなかった言葉だった。

 

 

「_____________生きて、幸せになって」

 

 

その言葉を聞き終えて即座に、アルシェは《飛行》の魔法を発動し、空高く飛び上がる。

自分を庇って目の前で潰された神官の時にも、自分ともう一人の仲間を助けようと勇ましく

立ち向かって捻り潰された戦士の時にも聞こえたあの音が、彼女の鼓膜に三度響いた。

 

 

 

 

そこからどうやって帝国領へ逃げ帰ったかは、アルシェ自身も何も覚えていない。

ただ事実として、ある貴族の依頼を受けたワーカーチームの悉くが全滅して行方不明となり、

唯一の生き残りとなった少女は、支離滅裂かつ意味不明な言葉を並び立てる事を繰り返した。

けれど彼女の発した言葉の中で幾つか、帝国としても無視できない単語が確認される。

 

その最たるものが『大地を震わせあらゆる生物を肉塊に変える、轟き荒ぶる竜』との事。

 

そしてその存在を帝国が実態を以てして確認することになるのは、もう少し先の話。

 

 

 

 

かつてとある世界で、同じように猛威を振るった恐ろしき獣たちがいた。

 

 

豪咆放ち万物を征する轟王____________【轟竜・ティガレックス】

 

千変万化の声鳴らす道化師____________【彩鳥・クルペッコ】

 

 

そのように呼ばれ、畏れられていたソレらは、どこからともなくカッツェ平野に現れて

一帯を己の縄張りと定め近寄る一切合切を鏖殺してみせた。(主に轟竜の方だが)

以後、四度に渡って帝国軍の精鋭が調査の為派遣されることとなるが、その全てがまたも

帰らぬ人となり犠牲は拡大していく。やがて迂闊に手が出せなくなった平野は負の怨念が

絶えずにアンデッドを生み出し、より強大なアンデッドを量産する最悪の循環を構築する

こととなるが、それにバハルス帝国皇帝が頭を悩ませることとなるのは、さらに先の話。

 

 

 

 







す く い な ん て な い


いかがだったでしょうか?
後半はどうにかして投稿を早めようと焦ってしまい、少々粗雑気味に
なってしまいました。不甲斐ない私めをどうぞお笑いください……。

さて、肝心の内容はいかがだったでしょうか?
グロというべきかゴアというべきか、とにかく読者の皆様に楽しんで
いただけたのなら幸いです!


あまりうまく話せそうにないので、ここまでとしましょう!
もしよろしければ、「このモンスターのこんな話が読みたい!」というような
リクエストも募集しようと思います!(書けるとは言ってない)
リクエストをしてくださる心の広大な方は、是非感想欄ではなく私個人への
メールにてお願いします。何やら規約に引っかかってしまうらしいので。


それでは皆様、また次回をお楽しみに!
ご意見ご感想、並びに質問など募集しております!

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