実況パワフルプロ野球〜あの夏を目指して〜   作:北条恋

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第18話

晴れて正式な野球部が設立された日の坂高校のグラウンドでは、部員総勢九名による体力テストが行われている。

まず初めに行われたのは走力テスト。より実践的な走力を見る為、課題はベースランニングだ。

これは14.7秒のタイムををマークした矢部に軍配が上がった。

次いで友沢の14.9秒。トップスピードだけで見れば友沢の方が早いと思われるが、すぐ様前屈姿勢になりスタートダッシュを決める加速力、スピードを落とさずベースを回るテクニック、こと走塁技術と呼ばれるものに対して矢部のそれは素晴らしいの一言。

 

(この後の打撃テストにもよるけど、友沢にはクリーンナップを打ってもらいたいし一番バッターはやっぱり矢部くんかなぁ。もしくは……)

 

テストの結果を元に打順、ポジションを考察していく優吾。

そんな優吾の成績は15.5秒でチーム内5位。

三位は15秒ジャストの巻風、四位はなんと15.2秒で女性であるはずの雪歩だった。

 

(……速水は意外な掘り出し物だったな。スタミナがないのか後半失速しちまったけど一塁到達までは矢部くんより速かったぞ)

 

二塁を回った辺りから息切れにより失速してしまったが、トップスピードに乗るまでの加速力とトップスピードの速さにおいては矢部のそれを上回る。

一塁バッターに必要な『出塁する為の足』という点では矢部よりも雪歩に軍配が上がるだろう。

 

(ま、この後のテスト次第かな)

 

その後は守備テスト、遠投、投球テストと着々と能力テストは進んで行く。

友沢は流石と言うべきかここまですべてのテストで好成績をキープ。遠投では捕手である優吾を抑えてのトップをキープし、一応控え投手候補を探す為と行われた投球テストではストライクゾーンに138㎞の速球を投げ込んだ。

 

(ほんと才能の塊だな友沢は……肘の故障で変化球投げられないとはいえコントロールはいいしこんだけの直球投げれんなら本人さえ良ければリリーフで使うのもアリだな)

 

優吾も130㎞台の急速をマークしたものの代わりの捕手がいないので投手起用は難しいだろう。

その他は巻風が持ち前の起用さで多種多様な変化球を投げこんでいたものの投手経験はなく身体作りも出来ていない為夏の大会には間に合いそうもない。

 

(あまり友沢に無理はさせたくないんだけど大会を勝ち抜くには最低でももう一人投手が必要だし、どうしたもんかなぁ……)

 

考えても良い答えは浮かばなかったので、切り替えてテストを再開する。

ちなみに守備テストでは友沢、巻風を筆頭にみんな中々の好成績。セカンドを希望していた雪歩も走塁の時に見せたスタートの速さは守備でも健在のようで、守備範囲は中々のもの、フィールディングも悪くない。

外野守備は大きめの当たりを坂本が後逸するなど多少の不安はあるもののセンターを希望している矢部の守備範囲は流石の一言なので問題はなさそうだ。

 

「よし、それじゃあ最後にみんなお待ちかねの打撃テストやるぞー!」

「ふっ、漸くか。待ちくたびれたぞ」

「あ、友沢はもう実力わかってるからテストはなしな」

「なんだと!?」

「もう時間もあまりないし、打ちたそうにしてるとこ悪いんだけどここは我慢してくれ」

「くっ……まぁキャプテンの指示なら仕方ないな」

「理解してくれて助かるよ。代わりにって言ったらあれなんだけど八割くらいの力でいいからバッティングピッチャーやってくれるか?」

「ストレートしか投げられないが、いいのか?」

「とりあえずは単純な打撃能力が見たいだけだからそれで構わないよ。ストレートだけって言っても130㎞の生きた球はそう簡単には打てないだろうしな」

「なるほどな、了解した」

 

そうと決まると友沢にはマウンドに上がってもらい、優吾はキャッチャーの防具を装着してホームベース後ろに腰を下ろした。

まずは肩慣らしからと投球練習を開始する。

友沢の球をこの位置でしっかり見るのは初めてだなぁと優吾は内心少しワクワクしていた。

 

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