IS/勇者王ガオガイガー─白き翼の戦士と勇気ある者―   作:オウガ・Ω

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二年前?

第二回モンドグロッソ決戦会場より離れた廃倉庫エリア、その遥か上空に浮かぶ飛行船《三式空中研究所》のメディカルルームでは誘拐された一夏の身体検査が行われていた


「レイジさん、一夏は、一夏は大丈夫なんですか!?」

「慌てるでない、ふむ……これといった異常は見当たらんの…全くの健康体そのものじゃい」


レイジの言葉にホッとする千冬。だが数十分まえに見た光景が脳裏によぎる


―い、一夏?どうしたんだ…―


―……機界生命体ではないな。女、アルマはどこだ…ここはドコだ?―


―な、何をいってる一夏!?アルマとはなんだ―


―……トモロ《112》状況を説明しろ。トモロ?反応がな…い…く、アルマを探さ…なけれ…ば…機界生…命…体が生ま…れ…う…―


―い、一夏!?しっかりしろ一夏あああああ!?―


光剣と赤い宝石が消え糸が切れたように倒れる一夏。倒れる寸前、千冬が抱き抱え日本にいるレイジに連絡を取る直前の出来事だった…


「レイジさん、あの…」


「千冬くんが聞きたいのは一夏君の《あの姿》じゃろ…暮桜のライブラリを見ただけではわからん。ただの」


カタカタとキーを叩くと映されたのは一夏の体から検出されたエネルギー波形、その隣に見慣れたエネルギー波形、それがピタリと合わさりやがて結果が出た

「暮桜のライブラリに記録された一夏君の体から感知されたエネルギー波形はGストーンが放つモノと99.9%同じじゃが色が違う、それに脳へ負担がかかったようじゃ」


「え?じ、じゃあ一夏は、一夏はどうなるんですか!!」


「落ち着くんじゃ千冬くん。おそらく一夏くんは君が助けに来るまでの記憶はないじゃろう。一種のトランス状態に近い脳波を暮桜は感知しておる。目を覚ませば忘れておるじゃろう」


「そうですか…一夏」


様々な検査機器に繋がれ眠る一夏の横顔をそっと撫でるのを見てレイジは少し用事があるといいメディカルルームからでる。その足で三式空中研究所、中央研究エリア内にある自室へ入り深く椅子に座るとモニターを起動、ある世界へとつなぐ


「…久しぶりじゃの束くん」


『久しぶりだねレイジさん。今日は何のようかな?』

「ああ、この前話したアレスティングフィールド理論とレプリケーションフィールド理論を応用したツールの話じゃ」


『ディバィデイングドライバーのことだよね?それがどうかしたのレイジさん』


「いやの、先月シュミレートを行ったら嫌な結果が出ての、開発と同時平行で進めようと考えたんじゃが上手くいかなくての」


『じゃあ、それ見せてくれる…あ、イイやそちらにハッキングして……なるほど戦闘フィールド内で異物が高速移動すると超次元ポッドができる可能性か~レイジさん、私が作ってあげようか?』


「いいのか?」


『うん、ちょうど研究も一段落ついたし、あと設計図とGSライド三基も送って♪』


「すまんの束くん、このお礼はいつかさせてもらうぞい」


『じゃあ~近いうち…っていうか二年後の夏にある人が来るから助けてくれると嬉しいな♪』


「二年後の夏?なんじゃある人とは」


深く聞こうとするもはぐらかされるもレイジは《二年後の夏》という言葉を頭の片隅におき巨大なラジオペンチが描かれた設計図、GSライド三基を量子化し別世界へと送り通信を切った


「これでひと安心じゃ……だが一夏君の《あの姿》と似たのを束くんの実家で見た気があるの……こんど聞いてみるかの」


そう呟いたレイジは一夏と千冬がいるメディカルルームへ再び向かうのだった



第九・五話 三身一体

燐が海上にてゾンダーISとの防衛行動に移った頃…IS学園より少し離れた山奥。鬱蒼と繁る木々の間を紫色の影が幹を蹴り跳ぶ

 

(……どこですか簪嬢!)

 

忍者が纏う衣装にパトカーの意匠をもつ紫色のIS《ボルフォッグ》を纏う霧也が探すのは日・露両政府より護衛を依頼された《更識簪》と言う少女

 

(……私があの時に目を離さなければ……無事でいてください!)

 

 

ギリッと拳を握り木々を蹴る霧也の瞳からは焦りの色が見えた

 

 

第九・五話 三身一体

 

 

「ん…」

 

 

最初に感じたのは湿った木の匂い、目を開けると薄暗い。目を凝らして見ると木材を組んだ壁が目に入る 体を動かそうとするけど両手と両足首が何かで縛られてて身動きができない

 

「ん?目さましたみたいだな」

 

「だ、だれ?」

 

ナイフを研ぎながら男の人がこっちへ近づいてくる

 

「おれか?まあ更識に恨みがあるっていやあわかるか…裏切り者の更識の嬢ちゃんよぉ」

 

 

ナイフを制服に触れるか触れないか位置で滑らせピタッて止め頬に当てる

 

「や、やめて」

 

 

「しっかし、まあみれば見るほど似てるなあ…髪も目も裏切り者に…な♪」

 

 

「わたしはあの人とは…」

「まあいいさ、俺にとっちゃんなこと関係ないさ……さて問題です」

 

 

ツツツとナイフを滑らせながら喋る男に体をこわばる…いつもそうだ

 

物心ついた頃からいつも、お姉ちゃんと比べられて…

 

「俺が今からやるのはなんでしょうか♪1、裏切り者似のきれいな顔に傷をつける。2、指を切り落として送りつける。3、このまま喉を切り刻む……さあどっちかな♪制限時間は三分♪♪レッツスタート♪♪」

 

無邪気に笑いながらナイフを構え踊る男。簪は大きく声をあげようとするがわずかに見えた外をみて、今いる場所に気付く

 

鬱蒼と広がる森、声をあげても助けは来ない…こんな時、アニメのヒーローだったら風のように現れて助けてくれるはず

 

「さて、残り時間は二分だよ」

 

でもそんなヒーローは現実にはいない…と考えたとき《白く長いマフラー》を風になびかせ私を守ってくれた少年の姿が思い浮かぶ

 

 

「あと一分♪……あれ?諦めちまったか?面白くねぇなあ……しゃあない面白くしてやるよ!!」

 

 

ナイフをパシッと逆手に握りスッと横へ凪ぐ…制服の胸元が切れてる

 

 

「き、きゃああああああ!」

 

「ははは、声出せるじゃねぇか!よし決めたバラバラに刻んでやるよ裏切り者の妹さんよぉ!!」

 

 

目を爛々と輝かせながら歩いてくる…いや、来ないで…誰か…

「…助けて」

 

 

「あはっバ~カ、こんなとこに助けに来るやつなんかいるわぐぇ!!」

 

 

「え!?」

 

 

勢いよくなにかが吹き飛ぶ…違うさっきまでナイフを持ってた男の人が暖炉の中へ突っ込んで灰が舞う

 

「大丈夫ですか!簪嬢!!」

 

白いマフラーに紺色の学生服姿、白髪にやや赤い目が目立つ私と同じぐらいの男の子が半月状クナイみたいなのでロープを切り立たせながら聞いていきた

 

「だ、だいじょうぶ…あ、あの…この前も私を」

 

「……今はここから出ますあなたの安全を確保しなけれ…くっ!?」

 

 

「え!」

 

 

…振り返り様に金色の半月状の剣でなにかを切り払う名前も知らない彼、その視線の先にはさっきの人がナイフを無数に構えたっている

 

 

「お前かああ《紫の守護者》いやボルフォッグ!!」

 

「…私を知ってるとは…ですが今はあなたの相手をする暇はありません……フォッグガス!!」

 

 

 

彼の手が光った瞬間、紫色のガスが噴出、狭い室内に満ち視界を遮った

 

「…簪嬢、少しご無礼を」

 

「え?」

 

 

フワリと身体が浮く…正確にいうと彼に抱き抱えられてる

「…少しだけ揺れますが、ご辛抱を」

 

 

静かな声…でもなぜかはわからないけどスゴく安心する。それに私を抱えながら木を蹴りながら移動してるのにか変わらず汗ひとつかいてないし、まるで私が最近見たアニメ《忍者戦士飛影》の飛影と似てる気がする、それにこの白いマフラーずっと昔に見た気がした

 

 

「…あと少しで森を抜けます。簪嬢は外に待機させてあるガンドーベルでIS学園へおも…」

 

 

『逃がすかごらあああ!!』

 

声と一緒になにかが降り土くれや木々が吹き飛んできた

 

 

「ミラーコーティング!」

 

銀色の粒子が彼の周囲に浮かんだ瞬間、その身体が銀色に輝いて飛んできた土や木々を弾いている…なんなんのこの光は?

 

「…アレは数年前に製造中止になったはずのニューロノイド?」

 

 

『アハッ、こいつニューロノイドって言うのか』

 

 

「ソレをどこで手にいれたのです!!」

 

 

『フリール…何たらっておっさんに貰ったんだよ…面倒だから一緒に潰れちまいな!!』

 

脚部クローラーを機動と同時に殴りかかるニューロノイドから簪を守るように逃げる霧也は背部にメルティングサイレンを部分展開するとを鳴らし始めた

 

 

「ガンドーベル!」

 

 

茂みから音もなく静かに一台の白いバイクが現れニューロノイドへ体当たりする

「ガングルー!」

 

 

空からローターを回しながら一機の白いヘリが姿を現す

 

 

「各機、システムチェンジ!!」

 

霧也の声と共に二機のガンマシンがビーグル形態からビークルロボへ変形、ニューロノイドを囲みように立つ

 

「各機一斉攻撃!」

 

 

頷くとガンドーベル、ガングルーはニューロノイドを翻弄しながらガングルーは胸部マシンキャノンから射撃、ガンドーベルは首輪状のメリケンサックを両手に殴りかかる光景に簪は目を奪われる

 

「……す、すごい……」

 

 

「簪嬢、暫しここでお待ちください…」

 

 

右手を上に掲げる霧也の背後にパトカーのホログラフが展開、バラバラに分解更に銀色の粒子がコーティングしながら纏われていきやがて弾けた

 

 

「ボルフォッグ!!」

 

腕を組叫ぶと共にニューロノイドとガンマシンが戦う場へ駆け、両手に半月状の剣《シルバームーン》を持ち大きく構え投げつけた

 

 

『んなもん効くか!』

 

 

弧を描きターンするシルバームーンに対し胸のスリットがナニかを生成し始め拳がガキャンと展開光が集まる

 

 

『シナプス弾撃!!』

 

 

飛来したシルバームーン目掛けナニかを放出、ソレを浴びドロリと溶解し地面へ落ちた

 

 

「やりますね、さすがはニューロノイドといったところですね」

 

 

『どうする降参する…』

 

 

「ですがあなたは私には勝てません!!ガンドーベル、ガングルー!三身一体!!」

 

 

大きくジャンプするとボルフォッグ、ガングルー、ガンドーベルの身体にミラー粒子がコーティングされガンドーベルが右腕、ガングルーが左腕に変形しボルフォッグのアーマーもより大きく強固なものへ変わり変形したガンマシンが左腕、右腕へ合体しミラーコーティングが弾けた腕を組んだ紫色のISがその勇姿を現す

 

 

「ビッグ!ボルフォオオッグ!!」

 

 

『な、ナニ!』

 

 

「4000マグナム!!」

 

ニューロノイドへ向け大きく構えたガンドーベルが変形した右腕に装備された4000マグナムを撃つ、ニューロノイドの外装が火花と共に弾け、体勢が崩れる。間髪いれずイグニッションブーストで間合いを積め左腕に装備されたローターを回すと銀色に輝き始める

 

 

「ムラサメ・ソード!」

 

『て、てめえ!なめんじゃねえ!シナプス弾撃!!』

 

既にチャージを終えたニューロノイドの右腕が展開、同時にビッグボルフォッグの身体へ突き刺さり光が走る…がその姿は三つの光へ変わりボルフォッグ、ガンドーベル、ガングルーが無傷で降り立つ

 

 

「超・分身刹法!!」

 

 

再び光に包まれニューロノイドへ確実にダメージを与えていきその強固な装甲が砕けリンカージェルが漏れだした

 

 

『く、くそリンカージェルが……』

 

 

「これで終わりです!ワンオフアビリティー発動!大回転魔弾!!」

 

 

『く、くそおおお!!』

 

 

再びビッグボルフォッグへ合体し独楽のように回転、やがて銀色に輝き始めると同時に無数の銀色の弾丸《ミラー粒子》が降り注ぎニューロノイドの手足を砕き行動不能へと陥らせその機能を完全に停止し動きが止まるとビッグボルフォッグがフワリと降り立った

 

『く、くそ動かない、ハッチも開かねえ!!』

 

 

「あなたの敗因は私の能力を見誤ったこととニューロノイドを使いこなせなかったことです…これよりGGG本部へ連行させていただき…」

 

 

「ま、待って!」

 

 

「簪嬢!?どうしたのですか?」

 

 

「あ、あの……この前助けてくれてありがとう……えと」

 

 

「私の名はボルフォッグ。今の姿はビッグボルフォッグです…お礼などいりません。あなたを守るのが私の役目ですから。あと数分したら布仏虚様がお迎えに来ます」

 

「あとひとつ聞いていい?」

「なんでしょうか?」

 

 

「…私とドコかであったことある?」

 

 

「…………いえ。あなたと会うのはこれで二回目です……」

 

「簪お嬢様~!!」

 

 

質問に答えるボルフォッグと同時に声が響く、振り返った簪の目に息を切らし走ってくる布仏虚の姿を目にする

 

 

「……お迎えが着たようですね…では失礼します」

 

 

「待って!……い、いない」

 

 

ニューロノイドの胴体以外の残骸を残し、ボルフォッグの姿はその場から完全に姿と気配すら消え去っていた

 

「…でも、まあ会えるかな…」

 

「簪お嬢様!無事でよかったです!!さあ早くIS学園に戻りましょう」

 

 

「…うん…ありがとう虚」

 

 

少し黙るも頷き答えた簪は虚と共に近くに待たせてあるリムジンに乗りIS学園へ戻っていった

 

 

(……あの人。ボルフォッグのマフラーって、私があの子にあげたのと同じ…まさか…ね)

 

 

ボルフォッグの白いマフラーが気になるも、濃密な一日を過ごし助けられたせいか緊張がほぐれ、うつらうつらと睡魔に襲われそのまま深い眠りについた

 

 

――――――――

――――――

 

 

「……簪嬢……」

 

 

「霧也」

 

ガングルーにニューロノイドの胴体を固定しながら遠く離れたリムジンを見送る霧也に声がかけられる、振り替えると黒い狼をもしたIDアーマーをまとった女性、コードネーム《ブラックウォルフ》織斑千冬が黒く長い髪を風に揺らしたっている

 

「…千冬さんですか…そちらの方はどうでしたか?」

 

「…火麻さんの予想通り学園正面ゲート付近に光学迷彩装備のAT兵器が数機現れた…燐がいない時を狙ってきたのに間違いない」

 

 

「……バイオネットの狙いはおそらくIS学園の生徒、そして貴方の弟、一夏でしょう」

 

 

「……ああ、だが守って見せる、私の命にかけてな。霧也」

 

「なんでしょうか?」

 

 

「……久しぶりにあってどうだったか?」

 

 

少し意地悪そうに笑みを浮かべる千冬の言葉に黙るもやがて口を開いた

 

 

「……昔みたいに笑顔を見せなくなりました……やはり刀奈…刀奈嬢との関係が悪くなってるみたいです」

 

「なら、お前が間に立てばどうだ?…お前たちは幼なじ…」

 

「…私はもうすでに死んだ身です…今さら二人の前に出られるわけありません。では失礼します」

 

軽く印を結ぶと風が巻き起こりボルフォッグ、いや霧也の姿を消したのを見た千冬は

 

「……霧也、多分楯無はお前が生きてる事を知っているぞ」

 

誰に言うでもなく小さく呟くと待機させていた専用ガンマシン《ガンウォルフ》に乗りそのままIS学園へ走らせた

 

 

 

第九・五話 三身一体

 

 

 




君達に最新情報を公開しよう。


再び燐、ガオファイガーの前に現れた緑の髪の少女。しかし度重なる戦いのダメージが蓄積し燐は意識を失い倒れる


ゾンダーISコアから取り込まれた人間とISコアを分離する力を持つ緑の髪の少女は燐に何をもたらすのか


IS《インフィニット・ストラトス》―白き翼の戦士と勇気ある者―


第十話 緑の髪の少女


次回もファイナルフュージョン承認!


―シャルロット・デュノア―


これが勝利の鍵だ!!

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