IS/勇者王ガオガイガー─白き翼の戦士と勇気ある者―   作:オウガ・Ω

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ーここはどこ?ー

深い緑色の光の海に浮かびながら思い出すのは、GGG特別隊員シャルロット・リオンレーヌ…瀕死の重傷を負った燐のGストーンのアジャストを続けていたはずなのになんでここにいるのかと考える

ーなんだろ、すごく暖かい。それにすごく懐かしいな…ー

ーガオオオオン!ー


暖かな光に身を任せようとしたシャルロットの耳に雄叫びが聞こえる…びくりと身体を震わし恐る恐る振り返ると、金色に白の体躯を持つライオンがジッと見ている。

ーあ、あのライオンさん。僕に何か用があるの?ー

ーがおっ!ガオガオ!!ー

ーえ、燐に会いに来たの?………ってなんで僕ライオンさん?と話せるんだろ……ごめんねライオンさん、燐は今…今は……ー


ーガオッガオガオ!!ー

ー元気出せって?女の子に涙は似合わない?……くす、ありがと…そうだね。燐だったらそう言うかも……もしかして元気付けに来てくれたの?ー

ーガオッ!!ー

力強くうなづく姿に笑みを浮かべながらそっと頭をなでると気持ちよさそうに喉を鳴らすライオン?


ーそうだライオンさんに名前を付けてあげようか?ー

ーガウ?ガッオオオン!!ー

ー……ガッオオオンって名前なんだ……少し呼びつらいかな……う~ん。そうだ!ギャレオンってダメかな?ー

 
ー…………ガウ…ガガオガガン?………ガウ!!ー


ー気に入ってくれてありがとうライオンさ…ギャレオンー


ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーー


「ん?夢………燐!」


「シャルロットちゃん、静かに」


「ご、ごめん束さん………燐は」


「やっと安定したよ……シャルロットちゃんのおかげかな。私だけだったらリッ君の命は…」

嗚咽混じりで、辛うじて聞き取れるぐらいの言葉を言い切る前に、そっと肩に手をおいたシャルロットに驚く束


「ううん。束さんが居なかったらダメだったよ…コレからは僕…ううん僕と束さんが一緒に燐を支えよう」


「うん…ありがとシャルロットちゃん…」


いまだに眠り続ける燐をみる二人…ある意味最強タッグによるサポート体制が確立した………かに見えた


(……シャルロットちゃん。一緒のお風呂はとられたけど負けたつもりはないからね)


(………僕も負ける気はないからね…束さん。僕と燐は学生だからこっちの方が有利だからね)


……水面下でパチパチと火花を散らす二人だった









第十八話 異世界より訪れし者、奪われし者との邂逅

『ダメだ、通信が繋がらな……異世界?いや平行世界だから周波数が違うのか?』

 

 

ー………少しいいでしようか?ー

 

 

全領域通信で呼びかけるも応答がない。とりあえず移動しようとした青に黒の全身装甲のIS《ファイバード》…不動統夜に耳に声が響く、真下をに目を向けると海に浮かぶ紫色の潜水艦。その独特なフォルムに見覚えがあった

 

 

(あれはGGGの多次元諜報用潜水艦?まさか勇者王の世界か?それにしても何か小さいな………多次元諜報用潜水艦にはボルフォックがいるはず。話のわかる奴だったな)

 

 

ー…聞こえてますよね…ー

 

 

『ああ聞こえてるけど……』

 

 

ー……ひとつお尋ねます。あなたの纏っているのははファイバードですね?ー

 

 

『そうだけど……それを聞いてどうす……』

 

通信の先にいる相手にそう答える統夜に怒気にも似た殺気が襲いかかり身震いした時、紫の影が躍り出るといきなり切りつけてきた。が寸前でフレイムソードで防ぎ火花が舞い散る

 

『お、おい!いきなりナニしゃがる!!』

 

 

「………其の刃、其の姿、其の声、間違いありません………七年ぶりですねファイバアアアアドッ!!」

 

シルバームーンでギリギリッ!と音を鳴らしフレイムソードの刃を擦らせ、ISボルフォックを纏った霧也の怒りに満ちた叫びが海面に響き渡った…

 

第十八話  異世界より訪れし者、奪われし者との邂逅

 

 

『く、まて!人の話を聞け!聞けったら!!』

 

 

「………よくもヌケヌケとそんな事がよく言えますね…ジェットワッパー!!」

 

ジェットワッパーが右腕装甲から射出、それをフレイムソードで切り払うファイバード…突然の攻撃に困惑しながらも通信で呼びかける…しかし

 

「……その程度の攻撃は俺様には通用しない?…私をなめているのですか!」

 

激昂し、両手に構えたシルバームーンが銀色に輝き、勢いよく投げつけてくるのを回避する…がハイパーセンサーに新たな機影反応、最大望遠で映されたのは三段飛行甲板空母、海面からは水陸両用整備装甲車が浮上している

 

「止まれファイバード!こちらはGGG機動IS部隊所属IS氷竜だ、君には撃破もしくは捕縛する事になっている。私たちは君とは無駄な争いはしたくない…投降していただけませんか?…セシリアさんは後方で待機をお願いします」

 

「わかりました。もしもの時は私が凍也さんの援護します…欧州連合、いえイギリスGGG所属として完璧に」

 

『……おい、僕の援護は?』

 

 

『(氷竜?隣にいるのはセシリア、あの赤いのは炎竜?どうみたってISサイズだよな?勇者王の世界じゃないのか?)……わかったっていいたいけど!…その前に、コイツを止めてくれ!じゃないと武装解除も出来ないだろうが!!』

 

ようやく話が通じる相手が来たと安堵する統夜…殺気をあふれ出させる霧也ことISボルフォックを止めるよう頼む、しかし予想もしない答えが帰ってきた

 

 

『………《誰がおまえ等みたいな出来損ないなんざの言葉に従うかよ、失敗作のスクラップ共が何人来ようが俺様に勝てる訳ないんだよ?わかったかスクラップ!!》だ?………もういっぺん言ってみろやゴラア!!』

 

 

「………落ち着け炎竜、捕獲用ペンシルランチャー用意。セシリアさんはファイバードの牽制と霧也の援護をお願いします!」

 

 

「はい!」

 

炎竜、氷竜をツートップ、セシリアのブルーティアーズ三機が分散。ファイバードと斬り合う霧也ことISボルフォックを囲むように三角形みたいに配置、飛翔しながらペンシルランチャーをファイバードの間接部へ狙いを定め撃ってくる

 

『こっちの言葉が通じないのかよ!』

 

舌打ちしながら回避していくファイバード…なぜGGG機動IS部隊が自身に攻撃?(主に霧也)してくるのか理由すらわからない…その戦いをみる二つの影が在ることに気づけないでいた

 

 

「おうおう、やってるな~クヒッ!フリール、通信阻害は継続しろよ。せめて俺の身代わりになってくれよよファイバードいや、不動統夜。そうしたら俺様が色々動きやすくなるからな……それに堕淫の書か、面白い能力だな……《強奪》してみっかなアヒッ!」

 

 

「牙儖様…不動統夜の声も最高に興奮しますう…焦る声は堪らなくテンションフォルテッシモ!捕まえて解剖がしたいな~麻酔なしで皮膚を、筋肉を、神経を…内蔵を切り刻んで私のモノを入れて暖かい血と香り、血管と筋肉の纏わりつく温もりに入れたと思うと…ハアッ! ハアッ!ハアハアハアハアッ………ンンッ!ふふ、凄く絶頂しましたあああ…」

 

「おいおい、そんな興奮するなって…ち、俺様のパチモンのクセに粘るな…」

 

 

ー牙儖様、システムXNの調整および座標固定終わりましたー

 

 

「わかった。フリールここはおまえ達に任せる。フランスでの計画発動まで時間を稼げ…俺はラ・ギアスに必要なモノを取りに行く……ゾンダーISは五つまで使用を許可する……あとエルザの《Z・L》処置も終わらせておけ」

 

 

「了解しました牙儖様!このフリールめにおまかせを!!」

 

 

仰々しく頭を下げるフリールを残し、《システムXN》を使い転移する牙儖…その場には青い装甲に背中にマウントされた巨大砲が目立つ全身装甲のIS《サーベラス・イクナイト》を纏うフリール・ルコック。その背後には無数のアンテナが浮かんでいる

 

どうやらコレが統夜の通信を傍受、内容を全く違うモノへ変えGGG機動IS部隊へ送っているようだ

 

 

「牙儖様特製…《指向性通信阻害言語変更》システムは万全であります!さあ、聞かせておくれ我がバイオネット総帥のイミテーション《不動統夜》。君の悲鳴を……む、起ってしまったか」

 

 

装甲越しには見えないが、いきり立つ自身のを想像し不動統夜の声に快楽を見いだすバイオネット上級幹部《アルケミスタ第一位》フリール・ルコックの眼前では…

 

『く、振り切れない!』

 

『逃げんなよ、逃げてんじゃぬぇよ!セシリア!!』

 

「もう、人使いがあらいですわ!行きなさいブルーティアーズ!」

 

 

 距離を取ろうとするとブルーティアーズの精密射撃による光弾が雨のように降り注ぐ、間隙を縫いながらペンシルランチャーを構えたIS氷竜、炎竜?…三機とも一定の距離を保ちながら統夜を包囲、飛翔する

 

三角形の陣形…通称《トライアングル》は1980年頃、アメリカ陸軍《エイランド・ラーク大佐》率いる特殊チームがあみだした戦技。一定感覚の距離を保ちながら相手を包囲、集中砲火を浴び無力化する。この戦法は大規模部隊に対し三方向からの攻撃を大部隊が包囲していると誤認、混乱させる効果もある事から軍の必須高度習得戦技能として上げられていた

 

本来は地上戦のみの戦技なのだが、GGG日本本部所属、火麻参謀の対ゾンダーIS戦におよびバイオネットAT兵器への有効な戦技と提言され改善と昇華により再び脚光を浴びたのだった

 

 

海の満ち引きのように距離を取る三機の捕縛用特殊弾が装甲をかすめ、更に霧也のシルバームーンの斬撃を捌く統夜から疲労が見え始めた

 

『(…外部オープン回線も通じないのか!く、ここは一旦逃げるしかないか)……ファルコンウィング!!』

 

 

まばゆい光がファイバードから発せられ間近でシルバームーンで切り結んでいた霧也の視界が奪われる。一気にスラスター全開で離脱を試みるも違和感を感じみるとファルコンウィングへと形態移行していない。それどころかエラー表示が各種ウィンドウに赤く点滅している、いったいナニがと思った瞬間鈍い衝撃が背中から響く機体表示には間接部への異常、肉眼でみるとトリモチにも似た液体が染み込み瞬く間に全身駆動部を固めていく中、自身の首に冷たい何かが当てられる

 

「……動かない方がいいですよ。ファイバード………アナタに降りていた命令は捕縛もしくは撃破です。このまま大人しくしていただきますが…」

 

『グアッ!』

 

「……ファイバードは解除させていただきます。本部に着くまで少し眠っていてください」

 

ファイバード解除と同時にみぞへの重い拳が突き刺さり、統夜は意識を手放す寸前みたのは憎悪が込められた霧也の血のように赤い瞳だった

 

 

ーーーーーーー

ーーーーーー

 

 

《GGG日本》本部、同メインオーダールーム

 

 

「では、不動君はこの世界とは違う平行世界から来たと言うのだね?」

 

「そうなるな。でもいいのか大河長官?ここはGGGにとって心臓部になるメインオーダールームなんだろ、怪しさ満載な自称平行世界から来た得体のしれない奴を連れてきていいのか?しかも手錠も無しで?」

 

 

「君の言うことはまちがいないじゃろうて」

 

 

あれから一時間後、医務室で意識を取り戻した統夜。簡単な検査を終え招かれたのはメインオーダールーム。実際にみると広いなと感じるよりもさらに驚いたのが本物の大河幸太郎と火麻激の姿。しかし獅子王麗雄博士がいなく《リリカルなのは》のユーノが定位置に座っていた事で平行世界、正確に言えば勇者王とISが別作品が融合した世界だと確信した統夜。本物の大河幸太郎に会えた事に少しうれしかったりするのを胸に秘めながら、ようやく話が出来る人間に出逢えたことで安心し自らの事を話していくと、背後から声が響いた

 

「実際に君が現れる寸前に未知のエネルギー、そして通常じゃ考えられんほどの空間干渉ベクトライズを確認したからの…………君があのファイバードの操縦者かの?あ、自己紹介がまだじゃったのワシは獅童レイジじゃ」

 

 

「(獅童?獅子王麗雄じゃないのか?じゃあ獅子王凱は居ないのか?)…ああ、俺は不動統夜だ…」

 

「こちらこそよろしくじゃ。長官、ようやく燐が峠をこしたぞい」

 

「本当か!博士!!」

 

「あとは細胞抑制システムおよび生体パーツの中和に半日といったとこじゃ。程なく意識はめざめるじゃろうて…だが問題が二つじゃ」

 

正面スクリーンに映されたのは装着前のガオファー。至る所が砕けちりGリキッドが絶えることなく床を濡らさしている

 

「ファイバードの攻撃を受けたガオファーのダメージレベルは大破認定ギリギリで辛うじて保っとる、現段階での早期自己修復は望めん…そして」

 

 

「バイオネットに奪われたガオーマシン…ステスルガオーⅢ、ライナーガオーⅡ、ドリルガオーⅡか…だが燐にしかコール出来ないはずだったよな?なのにコントロールを奪ったアレはモーディワープで開発、しかしモーディワープはメタンハイドレードが気化、爆発により消滅したことで中断したガイゴー…ソイツが何故?」

 

 

(ガオーマシンが強奪?燐?ガオファー?…ギャレオンは居ないのか?それにバイオネット…ゾンダリアンおろか原種もいないのはわかった。会話から判断するとこの世界にいるファイバードのせいで俺はこんな目に!どこの何奴だ!!)

 

「博士、恐らくなんですけど燐の生体認証を誤認してガイゴーにコントロールを奪われたんじゃ」

 

 

「……ユーノ君の予想通りじゃ…あのガイゴーには、ガイゴーには………………」

 

 

スクリーンの映像が切り替わり、見えたモノを目にした大河、火麻、ユーノ…そして統夜の息も止まる

 

 

「ガイゴーにはワシの息子、モジュール01で奴らに殺された獅童ライを生体ユニットに組み込んどるんじゃあああ!!」

 

 

無数のケーブルにつながれた人の頭部…虚ろな瞳を向ける獅童ライを前に叫ぶ。その拳から血がにじみ出していた

 

ーーーーーーー

ーーーーー

 

「…………バイオネット、今から八十年前に創設された国際規模の犯罪組織。主に各分野において優秀な頭脳を持ちながらその危険思想から学会から追放された科学者達で結成されている…第三国、紛争地域に獣化兵器《ゾアティックウェポン》気象兵器開発…アドヴァンスドチルドレン、それらをベースにしたツインデュアルカインド……どんだけイかれてるんだよバイオネットは」

 

深夜、部屋で統夜はGGG、その前身に当たるID5のライブラリを閲覧している…元の世界に戻る手段が無い今、大河の言葉もありGGG日本本部にある職員寮を与えられ情報端末および施設の散策も認められていた、あまりの待遇の良さに驚き戸惑うのを察したのか

 

ーん?拘束でもされると思ったかい。本当ならば私の家へ泊めたいのだが、部屋が空いてなくね…しばらく不便はするが情報端末および施設は自由に使ってくれー

 

 

施設内の端末使用IDを手渡してくれた大河の好意に甘え、現在バイオネットの成り立ち、目的を自分なり調べていた…がある項目で手が止まる

 

「オーボス……ダ・ガーンがこの世界にいるのか?」

 

ーテレビをごらんの皆さん……この危機を救えるのは皆さんの……………です! 私たちの星・地球を救えるのは、私たちの………なのです! 国境を越えて、地球を信じてください。《伝説の力》を信じるのです……私たちはこれまで、自分たちの利害だけを追い求め、あまりにも母なる地球をないがしろにしてきました……今、私たちには、心を1つにする必要があります。今こそ、想い、願いを共にする必要があるのです……もう一度言います。『星の運命を共にする者たちよ……星と想いを共にせよ。星と願いを共にせよ……黄金の光に集いきて、新たなる道を照らすであろう……』これが、伝説の言葉ですー

 

ノイズ混じりの映像にニュースキャスターの女性が呼びかける姿、大地が裂けていく中へ勇者が飛び込みつなぎ止める中、白い服?を着た少年の姿

 

ー………ダ・ガーン!……ー

 

 

小さい光がボロボロの勇者にあつまり、形容しがたい黒い何かを倒し、光が世界にあふれた所で終わる。今から三十数年前に起きた事件…その時期にバイオネットは活動を休止、有名な科学者が失踪していた事に引っかかりを覚えた時、気配を感じ振り返った

 

 

「…………」

 

 

肩あたりまで切りそろえられた白髪、整った顔に血の色よりも赤い瞳、紺色の学生服に身を包んだ霧也が音もなく立つ姿…静かに椅子を立つ統夜をジイッと見ている

 

「俺に何のようだ?」

 

「…七年前、あなたは私の生まれた里を滅ぼした」

 

「な、なに言ってるんだ?七年前っていうか、俺はこの世界にたまたま来ただけって……」

 

 

「……今こうして、対峙しているのは我が師アスミタ、里の皆の導きに違いありません………必滅しなさいファイバード…不動統夜!!」

 

ゆらりとと手のひらに指を当てる…いやスルリと入っていき引き抜くと大小様々な数珠が現れ、音を響かせながら数珠をふるう姿から黄金の輝きをみた

 

 

「……六道輪廻(りくどうりんね)…」

 

 

「うわああ!!」

 

 

暗く深い闇へ落ちていく統夜…その瞳に映されたのは地獄絵図に身をこばわらせるも耳に静かな声が響く

 

 

ー今からあなたに、もっとも相応しい世界に落とします!!ー

 

 

「う、うわああ!」

 

ー修羅界!常に争いの絶えない世界!休むまもなく争い戦う世界!!ー

 

血煙まう世界で戦い続ける統夜、その足下には死体の山、しかし周囲にはそれを上回る敵が襲いかかる。が再び浮遊感におそわれ辺りが様変わりする

 

ー畜生界!本能のまま生きた者が獣と生まれ変わる苦難の世界!ー

 

 

ー餓鬼界!貪欲な性質を持った報いとして落ちる場所、口にするのは血膿、やがて醜き餓鬼とかす!ー

 

 

地獄界!現世で悪行を成した者が落ち身を焼かれ鬼共に喰われ続ける!

 

 

ー人界!人としてのカルマに縛られる世界!善悪定まらぬ世界!!ー

 

 

様々な地獄界を見せられ精神が擦り切れ、肉体も蝕んでいく…統夜の前に光が広がる

 

 

 

 

ー天界!極楽!人界より優れるといわれます。しかしいつでも他界へとおとされる輪廻免れぬ神々の領域!!ー

 

 

神々しい世界…だが瞬く目に地獄へ落ちる最中、統夜は信じられないモノを目にする

 

 

《ーーーーーーーーーーーー!》

 

肉が焦げ、声にもならない声をあげ身を地獄の炎に焼かれ続ける女性…あの日、白騎士事件で自らをかばい亡くなった母親の姿に消え失せそうな意識が覚醒、剣山のような岩肌を掴みさけんだ

 

 

「か、母さん!今助けるから!!」

 

 

岩肌を駆け上がるよう登り、手を伸ばし助けようとするも空を掴むようにすり抜けていく

 

ー無駄です……ここは地獄界、霊体のあなたが叫ぼうが呼ぼうが彼女の耳には届きませんー

 

「なんで、なんで母さんがこんな事に!」

 

ー………すべては、あなたが過去に犯した罪によるもの……一人の女性の心を操り、身体も心もボロボロにした罪、そしてある女性の弱みを握り恫喝し、命を弄ぶ邪悪な力を持った罪を持つあなたを産み落とした罪で、来世に生まれ変わる筈だった彼女に罪を償わせたのですー

 

「そ、それは…確かに俺は束とセシリアの時は仕方なかった……今はもうやっていな…」

 

 

ー…………オーム!ー

 

数珠がふるわれた瞬間、統夜の身体が近くの岩肌へ叩きつけられた

 

 

ー口ではなんとでも言えます。その内にある命を弄び、心と体を壊す《堕淫の書》の契約の力を行使すればするほど、彼女の罪は重くなり来世に生まれ変わることは先になります…ー

 

 

「…お、俺のせい…母さんが来世に転生出来ないのは…」

 

 

ー罪の重さがわかりましたか…私や、燐達に、あなた方バイオネットが行った罪が鼠算式に増やしていく…もはや語るのはやめにします………ここでアナタを葬ります!!ー

 

瞬く間に世界が書き換わる…太蔵曼荼羅図が覆う様に、本能的に身体が強張る統夜の目に数珠を奮う霧也の背後に影をみる…あらゆる邪を滅する不動明王、邪を喰らい己が身で浄化する孔雀明王、そして大日如来の姿…

 

「お、おまえは神、いや仏の生まれ変わりなのか!」

 

 

ー……さあ…受けなさい。我が師アスミタより受け継いだ乙女座バルゴ最大の奥義《天舞宝輪》!ー

 

 

第十八話 異世界より訪れし者、奪われし者との邂逅

 

 




君に最新情報を公開しよう

乙女座バルゴ最大奥義《天舞宝輪》の前に五感をたたれる統夜…復讐の念にとらわれる戦いの行方は?

中国に現れたゾンダーISの脅威を前に竜崎疾風、撃龍神はある決断をする





IS《インフィニット・ストラトス》ー白き翼と勇気ある者ー


第十八・五話 不協和音ー双龍の決断ー

次回の更新にファイナルフュージョン承認!


ー女神アテナー


コレが勝利の鍵だ!!
 

……………………おまけ!


『マジカル♪ミラクル♪切り裂きウィンター参上♪』




大河家の子供たちの朝は早い。ルネ、ユキはソファーに座り目を輝かせみるのは《魔剣少女♪切り裂きウィンター♪♪》というアニメ。不思議な日本刀を手にした少女《識斑真冬》が魔剣少女切り裂きウィンターとなって世界征服を狙う《ナマモノ団》に、様々な刀を使って戦う異色の魔法少女番組

『ギョギョッ!魚嫌いの子供を魚好きに洗脳する計画に気づくとは、さすがは魔剣少女切り裂きウィン……『必殺!何でも真っ二つ!ザンザンザン!!』……最後まで言わせるギョギョッ!?』


『今日も綺麗に真っ二つで解決!』


「わああ、かっこいい切り裂きウィンター…」

「…うん、でもマドカおねえちゃんに似てないかな?」

「え、わたし切り裂きウィンターに似てないよ?あんなにかわいくないし」

「ええ~絶対似てるよ~切り裂きウィンターに」

「マドカおねえちゃん、もう少し自信もって………」

「そ、そうかな?」


二人の言葉に頷くマドカ…しかしマドカは知らない。この《魔剣少女♪切り裂きウィンター♪♪》主人公《識斑真冬》のモデルが姉にあたる《織斑千冬》…正確にいうとID5時代、バイオネットから《切り裂き狼》と畏れられた《ブラックウォルフ》だということを……


「ち~ちゃん、ち~ちゃん、今日の切り裂きウィンターみた♪みたよね♪」


『……束、あとでじっくり話し合おうか?私の必殺技を連呼させるなと言ってるだろ!一夏に知られたら』


「ええ~かっこいいじゃない♪《必殺!真っ二つ!ふ、つまらないモノを斬ってしまった》とか《秘剣!真っ二つ!!》より可愛くアレンジしてるのに~」


『………とにかく、そこに逝くから待ってろ』


「逝くと行くって漢字違うよね?」


………かたや穏やかな始まりを迎え、かたや黒歴史を晒され静かに怒りにふるえるモデルにされた本人がいたとか、居なかったとか…



『次回もみてくれないと、切り裂きウィンターが真っ二つにし•ち•ゃ•う•よ♡』

おまけ終わり!








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