悪と正義の波紋&幽波紋(スタンド)使い、変化する者の幻想入り   作:(´鋼`)

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第8話 蟲

『第3階層』

 

「ほら、着いたぜ。これでもまだ3階だと言うのだから驚きだな」

 

 

そう言って勇人を見る。やはり疲れているな、無理もない。

 

カサカサ…………

 

んぁ?この音は………

 

 

「…………ギャアアアアアア!!」

 

「どうした!?妖夢……って、ウワッ!!」

 

 

妖夢の足元に黒光りの“G”が居た。オレ、G、嫌ぁぁ!!何だけど、ここは余裕ぶって。

 

 

「ハハ!ゴキブリ如きでビビってんじゃねぇぞ」

 

「……なら、京谷。こいつを掴んでその辺に投げてくれよ」

 

「え、つ、掴む必要は無いだろ?」

 

 

無駄でした。だってG掴むなんて北海道民ぐらいでしょ、するの。昔のだけど。つーかGをどうすんのこれ?

 

と、んなことを考えてたら………もっと大きくて多くのGが接近してて………嫌ぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 

「な、なんだありゃ!?ば、馬鹿みたいにでかいぞ!!」

 

「ゆ、勇人!!お前がやれ!!」

 

「は、はぁ!?お前のスタンドでやれ!!」

 

 

スタンドでも触れると感覚伝わんの!!嫌なの!!って言ってる間にGの頭にナイフが刺さって死んでた。

 

 

「これでいいかしら?」

 

「「は、はい……」」

 

 

う~む、咲夜が頼もしい。それよか………この大きさは一体?

 

 

「ふむ……これは魔術によるものじゃな」

 

「勘弁してくれよ…………ただでさえキモいのが巨大化って…………」

 

「そんなお主に悲報じゃ」

 

 

えっ?カサカサ、カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ……

 

 

「このフロア中にいるぞ」

 

「oh…………shit…………!!」

 

「英語で言っても変わらんぞ」

 

 

クソッタレがあぁぁぁぁぁぁぁ!!!気持ち悪いわぁぁぁ!!お食事中の方ごめんなさぁぁぁい!!汚食事にならない様に気をつけてぇぇぇ!!

 

 

「どうやら、ゴキブリだけじゃないみたいね。コオロギに蜘蛛…………選り取り見取りよ」

 

「勇人……」

 

「分かってる……でも、進むしかないんだ……」

 

 

さてっと、シリアスに戻してっと。

 

 

「『変化者 魔術師の赤《チェンジャー マジシャンズレッド》』」

 

 

俺は炎を使い、デカブツの虫を焼く。何とか炎から逃れた虫も居るが、やはり生物の本能で火は恐怖の対象らしいな。

 

俺は近くにあった長めの木片を持ち、炎を先端に着けて松明代わりにした。それを勇人に持たせる。

 

 

「こ、これでもう虫は寄り付かないんですね?」

 

「ああ、これで大丈夫だ」

 

 

しっかし………参ったな。虫は結構苦手なんだよなぁ。見るのも嫌だし。兎も角、先に進んでいく。虫たちは炎が移動するにつれ退行したり前進してたりしていた。

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

暫く進んでいると、勇人が足を止めた。

 

 

「…………!!」

 

「どうした?勇人、急に止まって…………ってこれは…………」

 

「酷いわね……」

 

 

無惨に食い散らかされた痕が残った死体だった。見れば右半身は殆ど食われ、左半身はまだ肉の骨が露になっていた。

着ている衣服から、あの山賊と同じ奴等と思える。

 

 

「あのゴキブリが食ったとは思えないわね…………」

 

「そうだな…………ゴキブリなら残さずに食いそうだからな…………」

 

「俺達もこうならないようにしないと…………」

 

 

そう思っていると、今度は羽音が聞こえてくる。虫の羽音のようだ。

 

 

「なんだあれ?」

 

「ちっさい虫の大群じゃねぇか」

 

 

ってか、何か音が近付いてるような………

 

 

「!!!?」

 

「こ、こいつら火を恐れないぞ!!」

 

 

マジかよ………しかも。

 

 

「た、松明に突っ込んできた!?」

 

 

松明に突っ込んだ事で虫たちは焼死したが、灯りが失われたのは最悪だ。オマケに隠れてた虫たちがワラワラと!!

 

 

「こ、こいつら、自らを犠牲に火を消しやがった!!」

 

「きょ、京谷!!走るぞッ!!」

 

 

俺は右腕を『赤の魔術師《マジシャンズレッド》』に変化させ、向かってくる虫を燃やし、咲夜のスタンドで殺し、勇人のじいさんは……普通に素手で捌いてた。

 

 

「キャッ!」

 

 

その声でふと後ろを見る。どうやら妖夢が転けてしまったらしい。勇人は妖夢に駆け寄った。

 

 

「…………ッ!!」

 

「勇人!!」

 

「先に行け!俺は妖夢を運ぶ!!」

 

 

置いていける事は出来ない。だが、この場合は勇人に任せようと思う。Uターンをし妖夢を抱えた途端、虫どもが勇人に襲い掛かる。

 

 

「勇人ッ!!後ろッ!!」

 

「………なッ!!?」

 

 

勇人はその光景には驚いていたが、直ぐ様考えを改め……

 

 

「はぁッ!!!」

 

 

勇人を中心に衝撃波が発生する。便利だな。しかし、まだ虫は追ってくる。

 

俺たちはいち早く部屋を見つけ待機し、勇人たちを誘導する。

 

しかし、後残り僅かの所で部屋の入り口に柵が降りてしまった。俺は右腕を『星の白金・世界《スタープラチナ・ザ・ワールド》』に変化、チェンジャーをスタープラチナに変化させ、柵を壊そうと試みたが………無理だった。

 

 

「じいちゃん!!俺に神力を!!」

 

「わ、分かったぞ!!」

 

 

勇人はどうやら他の部屋を探すらしい。俺たちは俺たちで行動するしか無い様だ。

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

部屋を見渡せば、1本の通路を発見した。

 

俺たちは走る。早く追い付かなければならないから……

 

 

「ッ!!?ごほっ!!」

 

 

不意に喉を逆流してくる感覚を覚え、慌てて口を抑える。

 

手のひらを見れば………真っ赤な血が出ていた。

 

 

「!?京谷!!」

 

「どうした!?………これは……!!」

 

「はぁ……はぁ……す、すんません……」

 

「少し待っとれ」

 

 

勇人のじいさんは俺の心臓辺りに手を当て、神力を流し込んでくれた。ある程度はマシになった方だ。

 

しかし………どうやら、迎えが近そうだ。

 

 

「京谷!!ねぇ京谷!!」

 

「落ち着け。京谷よ、何時から異変を?」

 

「………結構前さ。咲夜が分かる範囲と言えば、あん時オーバーヘブンを使い過ぎた時だな」

 

「それじゃあ……やっぱり……」

 

「………こんな時にアレじゃが、聞いても良いかの?そのオーバーヘブンとやらを」

 

「構いませんよ」

 

 

俺は話した。オーバーヘブンの能力、性能、代償を。

 

その代償とは『魂の消費』。事足りていた魂の量が、尽きかけていたのだ。それを知って尚、俺は戦うことを求めた。

 

 

「それが……か。成る程、勇人の【不変化する能力】との相殺が起きたのは、【真実を上書きする能力】によるものじゃったと。そして、本来それは魂を補充しなければ使えぬ諸刃の剣じゃったか」

 

「えぇ………しっかし、参りましたね。気分は普通だけど、何時まで持つのか?」

 

 

そんな自虐的な事を言っていると、不意に抱き締められる感覚を覚えた。咲夜だった。

 

咲夜は涙を流しながら、俺に向かって言った。

 

 

「…………バカ………バカ………何で言わないのよ………何で………」

 

 

俺は答えることが出来ず、咲夜の頭を優しく撫でる。これぐらいしか、俺に出来る事は無い。

 

しかし、ここで待っているのも時間の無駄だ。

 

 

「咲夜、行こう。今は行こう。後から考えれば良いさ」

 

 

こうとしか言えなかった。少しでも安心させるには、こうしなければなかった。

 

咲夜は俺を支える。しかし俺は咲夜の腕をゆっくりと降ろし、チェンジャーを『ハウリング・ウルフ』に変化させ乗る。つまりは移動手段。

 

それで移動すること5分。別の部屋に到着。そこには無惨に食われた者たちの跡と、勇人に妖夢………赤毛寄りの茶髪ポニテの奴が居た。

 

 

「『変化者 ザ・ハンド《チェンジャー ザ・ハンド》』!!」

 

 

勇人と妖夢と俺たちの空間を削り、勇人と妖夢を救出する。

 

 

「危なかったな、間一髪ってとこか?」

 

「勇人、無事じゃったか…………」

 

 

俺は山賊の死骸を見て、次に“奴”と向き合う。

 

 

「テメエ……今まで何人食ってきた?」

 

「なら、貴様は今まで食べたパンの枚数でも覚えてるのかしら?」

 

「…………!!テメエ…………!!」

 

 

確かにそうだが………それは俺の台詞。つまりパクんな。

 

 

「名を教えてやろう。私はシアンだ」

 

 

何か勝手に名乗ってるけど。だが、本にする手間が省けた。

 

 

「それはご丁寧に、なら私が殺してあげるわ」

 

 

咲夜はスタンドを出してナイフを構える。

 

 

「貴様のような人間には興味が無い。それではまた会おう、"勇人"」

 

 

何故か、勇人にのみ言い姿を消した。

 

 

「勇人、大丈夫か?」

 

 

俺は勇人に話しかける。しかし、何も返事をしなかった。まるで、何かに上の空の様な気分で。

 

 

「おい!!勇人!!」

 

「はっ!!?あ、ああ、大丈夫だ。少し疲れただけだ…………」

 

「そうか……無事で何よりだ」

 

「お主が死んだらわしはもう…………」

 

「大丈夫だってじいちゃん」

 

 

そう言って勇人は立ち上がり、また俺たちはまた上の階層を目指す。だが、その前に………俺の事を話した方が良さそうだな。

 

 

 

 

 

 

 




どうも。うぷ主の鬼の半妖です。

……もしかしたら主人公死ぬかもしれない。命の危機です。
魂のストック切れ、ここで発動しました。

そして……全ての真実を言うことになりそうです。

では、次回もお楽しみに。

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