悪と正義の波紋&幽波紋(スタンド)使い、変化する者の幻想入り   作:(´鋼`)

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最終話 この全てに幸あれ

~1週間後~

 五十嵐京谷の幻想郷・紅魔館にて

 

「そんじゃあ皆さん!!乾ぱーい!!!」

 

『乾ぱーい!!!』

 

 

 グラスとグラスがぶつかり、響く音。その後に各々入れられた飲み物-京谷/日本酒、勇人/赤ワイン-を飲んでいく。後の奴等?知らんな。

 

 勇人たちの幻想郷は未だ『ヘブン・クラウド』崩壊で残害の処理をしている。勇人たちも手伝おうとしたら「気分転換でもしてこい」と勇人たちの幻想郷の慧音さんに言われたらしい。

 

 なので俺たちの幻想郷に来てもらい、家族……というより、俺たちを含んだ紅魔館メンバーで宴会をしている。因みに何処から聞いたのか、此方の世界の萃香や霊夢、妖夢に幽々子、早苗に魔理沙。里の方から利久と安神も来ていた。

 

 んで、勿論父さん、ブロウ、シャーベットも居る。勇人の幻想郷での話をすると父さんは酒を吹き出していたり、シャーベットは抑制しなきゃ止まらないし、ブロウは勇人の早苗、妖夢、鈴仙を罵倒してるし。……って、どんなカオス空間!?

 

 そんな時、何故か背中に悪寒がした。そして扉が開かれた瞬間、俺の背中に重みが……かと思ったが時を止めて避ければ良いのか。そんなことを咲夜の時止めで改めて実感した俺だった。

 

 時が動き、その飛んでいた物体は空を切って地面に衝突していた。

 

 

「きょ……京谷ぁ………」

 

「……成る程、これだと悪寒が走るのは無理ないな」

 

「分かってくれて何よりだ」

 

 

 勇人が此方の世界の永琳と勇人の世界の永琳との差異を比べている。それを見ながら日本酒を少し飲む。

 

 1週間前の事を、ふと思い出してみた。

 

 最初の出会いは最悪と言ったら良いだろう。何せ前回別の幻想郷に行った時は『悪役になる為に来た』だけなのに対し、今回は『ヘブン・クラウドを潰す為に来た』のだから俺に悪意はない。

 

 しかし先に弾幕を仕掛けられ、警戒態勢で戦闘に突入。これでは当初の目的すら忘れて計画が遂行させられていただろうと改めて感じる。

 

 何とか紫さんの説明で事は治まったが、ヘブン・クラウドに行かなければならなかったので空を飛んで行った。

 

 そこでは虫やら、ゾンビやら、山賊やら何やらと。おまけに魔力なんて聞いなかったぞ。

 

 頭を少し掻きながら思い出す。真実の上書きの使いすぎで魂磨り減っていた事や、DIOと再度戦った事や、何か知らんが魂のストックが補充されていたやと。

 

 挙げ句の果てには勇人が魔王になってたり、魔王化した勇人がスタンド見えてたり、元に戻ったと思いきや能力の強化が見られたりと。改めて思うと凄い『何だこれ感』が感じる。

 

 当の勇人は勇人の世界の妖夢、早苗、鈴仙に揉みくちゃにされたり、勇人の祖父さんは父さんと話していたり、此方の世界の早苗が勇人に殴りかかろうとしているのを此方の世界の妖夢に止められたり……お前らハイテンションすぎぃ!!

 

 俺はというと、その喧騒としている場を咲夜と見ながら酒を嗜んでいた。咲夜の腕と俺の腕が組まれているので、俺の肘に咲夜のアレが当たってるんだよなぁ。その咲夜はニコニコしながら俺を見ていた。確信犯ですね分かります。

 

 そんな中、俺と咲夜に浮遊感が訪れる。その浮遊感は紫さんのものだと確信したと同時に地面に足を着ける。

 

 どうやら屋上に移動された様だ。回りを見てみれば視線が高過ぎていたので。

 

 

「イテッ!!」

 

「うひゃあ!!」

 

「ぐえっ!!」

 

 

 右隣から声が聞こえた。その方向に向くと勇人が尻餅を着き、妖夢が勇人の所に座る様に着地し勇人が苦痛の声を挙げていた。

 

 

「おーい、御二人さん平気か?」

 

「な、何とか……ってあれ?これは……」

 

「痛たぁ……あれ?この感じは……」

 

 

 妖夢は瞬時に判断し、首と体を油切れの機械の様に動かす。一方の勇人は声を聞いた時点で判断、その場で固まる。

 

 目と目が合う、瞬間好~きだと気付~いた~♪←違う

 

 っと、こんな冗談は置いといて。妖夢は勇人から跳び跳ねる様に離れ、勇人はゆっくりと立ち上がり赤ワインを飲む。

 

 

「全くよぉ……紫さん、一言言ってくれりゃあ良いのに」

 

「やっぱか……でも、何で俺たちだけ?」

 

「色々と活躍した者たち代表だったりして♪」

 

「それだとお祖父さんェ……んまぁ、紫さんが設けてくれた場所でのんびり話しますか」

 

「それも……そうですね」

 

「あら妖夢、まだ顔赤いわよ?まだ勇人の温もりが忘れられないのかしら?♪」

 

「「んなっ!!?」」

 

 

 おーおー、御二人とも顔が真っ赤。そんなんだったら付きあっちまえバカヤロー。

 

 溜め息を着いたあと、少し夜空に浮かぶ大きな月を見上げながら口を開く。

 

 

「なぁお前ら」

 

「?どうしたよ京谷」

 

「何でしょうか?」

 

「どーしたのっかなぁ~?♪」

 

 

 咲夜が少し甘えた声を出しながらすり寄ってくるが、まぁその時はその時だな。

 

 

「……こんな事言うのも不謹慎だけどさ、楽しかったな」

 

「あぁ……あの時のか。……確かに、何か楽しいって感情しか沸き上がってこないや」

 

「楽しい……ですか。あの出来事があったのに楽しいって思えてるんですね、2人とも」

 

「それは私も同意よ。でもやっぱり京谷と一緒の方がどんな事よりも楽しい♪」

 

「それは俺も同じ気持ちさ。咲夜」

 

「きょーや……」

 

「咲夜……」

 

 

 完全に理性崩壊。その場でキスをしてしまった。

 

 嗚呼、この温もりが心地良い。何度も続けていた。

 

 お互いの唇が離れると、どちらのかが分からない白くなって糸を引いていた。

 

 

「あー……御二人さん?楽しむのは良いけどよ、流石に人の目が入る場所ではしないでくれるか?」

 

「おっと、ここでヘタレ属性が出てきたぞぉ」

 

「誰がヘタレだ!?」

 

「勇人、アンタはヘタレよ。あんなに女の子に囲まれているのに1人に絞れないなんてヘタレ以外の何者でも無いわ」

 

 

 勇人が咲夜の毒舌攻撃で項垂れた。しかし追撃と言わんばかりの事を言ってしまおう。

 

 

「どーせなら妖夢にキスしてみれば?それで吹っ切れる筈だからさ」

 

「京谷!?お、オオオおまっ!!何を言って!?」

 

「わ……私なら……その……構いませんよ?」

 

「What !?」

 

「「そーれキース!!キース!!キース!!キース!!」」

 

「お前らなぁ!!!」

 

 

 そのツッコミで笑う俺と咲夜。勇人と妖夢も互いに顔を見合わせ、俺たちと共に笑う。静かな夜に響く喧騒と笑い声は、俺たちの心を癒していた。

 

 

「ハハハハッ!!!はぁ……さて、お前ら」

 

「「「???」」」

 

「少しあれだがよ」

 

 

 俺は立ち上がり、日本酒の入った杯を月に向けて腕を伸ばす。

 

 

「この1杯に誓おう。俺たちはもう仲間だ。俺たちは互いに支えあって生きていこう。辛く苦しい時も、楽しい日々も全部体験して。そして願おう、お互いの幸せを」

 

 

 俺は杯に入っていた日本酒をイッキ飲みし、夜空に向かって叫んだ。

 

 

「俺たちに幸あれ!!HAIL TO US!!」

 

 

 こうして、この日の宴会は終わりを迎えた。やはり別れは何処か寂しいが、別に会えない訳じゃあない。寧ろ紫さんに頼めば何処にでも行けるしよ。

 

 勿論、この世界でやる事はまだたくさんある。しかしそれを見つけるのは俺たち次第だ。

 

 さぁ、新しい世界に行こう。

 

 そして見に行こう。まだ見ぬ世界へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        ~FIN~




はい、どうも皆様。うぷ主の鬼の半妖です。

……このサブタイトルの通り、今回でSS『悪と正義の波紋&幽波紋(スタンド)使い、変化する者の幻想入り』を終了させて頂く事になります。

お気に入り登録をしてくださった皆様方、評価を付けてくださった皆様に感謝します。

また新作のSSのコンセプトは決まっておりますので、新作も見ていただければ幸いです。

それでは皆様、今までありがとうございました!!

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