前に読んでくれていた方はお久しぶりです
また頑張って投稿したいと思いますのでよろしくお願いします
ギアナ高地
「ふっ!はっ!」
ドモンは更なる高みを目指して修行に明け暮れていた。
デビルガンダムとの死闘から早一年。シャッフル同盟のキング・オブ・ハートとしてガンダムファイトを戦い抜き、師匠であった東方不敗を倒し、宿敵デビルガンダムを倒して尚、ドモンは強さを求め続けていた。
(まだだ、この程度ではまだ師匠を超えたとは言えない…!)
確かにドモンは東方不敗を倒した。しかし、そのとき東方不敗の体は不治の病に侵され、全力で戦うことはできなかった。
「くっ、こんな迷いのある拳では修行など意味が無い…」
ドモンがキャンプに戻ろうとすると、急に辺りに霧が出始めた。
(何故急に霧が・・・)
(森の中にいたはずなのになぜ海に俺はいる?)
「そこにいるのは誰だ。」
「!」
振り向くとそこには黒髪の女性が立っていた。
「貴様は誰だ?名を名乗れ。」
「こういう時はそちらから名乗る物じゃないのか?」
「生憎不審者に名乗る名前は無いな。」
「…」
ドモンは隙を見て逃げる算段をしていたが、どうもこの女性には隙が見られない。
仕方がないので抵抗をあきらめ、情報を得る方向に転換することにした。
「…俺はドモン・カッシュだ。教えてくれ、ここはどこだ。」
「…ここはIS学園。インフィニット・ストラトスの操縦者の養成学校だ。貴様はそんなことも知らずにここに侵入したのか?」
「インフィニット・ストラトス?何だそれは。」
「…貴様、それは本気で…」
女性はドモンの顔をまじまじと見た。
「…どうやら冗談を言っているわけではなさそうだ。貴様、どこから来た?」
「出身はネオジャパン、直前までいたのはギアナ高地だ。」
「…」
「織斑先生!」
「山田先生か。」
「不審者は確保しましたか?」
「いや、そこにいる。」
「…」
「どうして拘束していないんですか?」
「どうやら訳ありのようだ。ISのことを知らなかった上に出身もよく分からん。」
「どうしてここにいるのでしょうか?」
「さあな、私にも分からんが…。おい、ドモン・カッシュ。」
「なんだ?」
「私について来い。ISを見せてやる。」
「織斑先生!?」
「山田先生、今までに現れた男性IS操縦者の特徴を覚えているか?」
「確か、出身が曖昧で、格闘が異常に強いということでしたが…。まさか、この人も?」
「それはまだ分からん。だが、この筋肉の感じから何かの格闘技の達人だということ分かる。違うか、ドモン・カッシュ?」
「…達人かは分からんが、一応腕には覚えがあるが?」
「ならば十分だ。ついて来い。妙なことを考えたらすぐに拘束してやる。」
「…分かった。」
道すがらドモンは一通りISとこの世界について説明を受けた。本来女性しか操縦できないこと、片手程しか男性操縦者がいないこと、その結果極端な女尊男卑がはびこっていること…。
ドモンも自分のいた世界のことを説明した。コロニーのこと、モビルファイターのこと、4年に一度行われるガンダムファイトのこと…。
「…にわかには信じがたい話だな。」
「こちらも信じられん。モビルファイターと同等の性能を持つパワードスーツがあるとは…。」
(何よりも信じられんのはこの人が俺より年上だということだがな。)
山田先生と呼ばれた女性の方をまじまじと見ながらドモンは思った。
「どうかしましたか?」
「…いや、何でもない。」
「カッシュ、ここがISの格納庫だ。」
鉄の扉が開かれ、明かりがつくとそこには数十体のIS が置かれていた。
「これがIS…。」
「カッシュ、触ってみろ。」
ドモンがISに触れると頭に大量のイメージが流れ込んできた。
「何なんだこれは…。」
「どうやら適合したようしたようだな。」
「何…?」
「お前にもISが操縦できるということだ。」
「おめでとうございます。さっき説明した通り男性のIS操縦者は世界的にかなり珍しいんですよ。」
「貴様にはこの4月からIS学園の生徒となってもらう。手続きはこちらで済ませておく。言っておくが拒否権はない。分かったな。」
「どうせ行くあては無い…、拒否するつもりはない。」
「よろしい、貴様は私と山田先生のクラスに入ることになる。」
「寮に部屋を用意しておきますから今日からそこで生活してくださいね。」
「ああ、分かった。」
するとドモンにも見切りがたいスピードで拳が飛んできた。
「敬語を使わんか馬鹿者。」
「ぐっ、分かりました…。」
こうしてドモンはIS学園の一年生となったのだった。
「じゃあ自己紹介をして下さいね。出席番号順で。」
ドモンは窓際の席で辟易としていた。
このクラスには自分と対等に試合ができそうな気を発しているものが一人もいない。
この世界におけるISの役割は現在のところは競技用なのだから仕方がないのだろう。
しかも男子は自分を除けば一人しかいない。
人付き合いが得意ではないドモンにとっては、居心地のいい環境とは言えない。
ドモンは教壇のすぐ前の席に座るもう一人の男子生徒の方を見る。
(織斑先生の弟だと聞いたが、どれほどのものか手合せしたいものだ。)
ちょうど本人が自己紹介をするように真耶から言われているところだった。
「織斑一夏です。よろしくお願いします。」
その瞬間、女子生徒全員の目が獲物を狩ろうとする獣のような目へと変わる。
ドモンも一応は集中して聴いている。
(そこまで男性が珍しいのか?)
自分のこれからの生活が少々不安となってくるドモンであった。
一夏は相当追いつめられた様子だったが、意を決して発言した。
「以上です!」
その瞬間ドモンを除く全員がずっこけた。
そして、一夏の頭に鉄拳が落とされた。
そこにはいつの間に入ってきたのだろうか、千冬が立っていた。
「げっ、千冬姉!?」
一夏の頭にもう一撃鉄拳が落とされた。
「学校では織斑先生だ。」
その様子を見てドモンは感心する。
(あの一撃、こちらの世界にいて、武術の稽古を積めばかなり上位の、あるいはシャッフル同盟に匹敵するガンダムファイターになれたかも知れんな。)
ドモンは千冬がこちらにおける最高クラスのIS操縦者であることをまだ知らない。
その後は淡々と自己紹介が進んでいく。一人やたら偉そうなのがいた気がするが気にしないことにする。
(ここには師匠のような武術の達人はいるのだろうか?いるとすればぜひ手合せ願いたいところだが…)
「…シュ君。」
(だが、この中で期待できるものはいるまい…。そうなると上級生の中から探すべきか?)
「カッシュ君!」
「ん?」
「自己紹介カッシュ君の番なんだけど…。」
「ああ、はい。」
どうやら考え事をしている間に自分の番が回ってきたようだ。
「俺はドモン・カッシュだ…」
周りからは一夏の時のように好奇の視線が飛んでくる。そこでドモンは先人の戦法を借りることにする。
「以上だ!!」
再びほぼ全員がこけた。千冬からは鋭い殺気が飛んできたので、負けじと殺気を送り返すと、周りの女生徒数名が身震いをした。
なんやかんやで自己紹介が終わると、千冬が教壇に立った。
「諸君、私が担任の織斑千冬だ。君たち新人を1年で使い物にするのが仕事だ。」
その瞬間教室全体から悲鳴が上がった。
(どうやらかなりの有名人のようだな。逆に言えばこの人に会うために来ている奴らもいるのだろう…。そうなると、この学年だけではなく、上級生もあまり期待できないかもしれんな…)
早速授業が始まった。内容はISの基礎だったが、ドモンは全くチンプンカンプンだった。
(拙い、全くわからん。どうすればいいんだ。)
一夏の方も全くわからないようで、全部わからないと発言してまた鉄拳制裁を食らっていた。
この後授業は何とか進んでいき、休み時間になった。
ドモンが教室のドアから覗いている女子たちに辟易としていると、
「なあ、ちょっといいか?」
「む?ああ、織斑か。」
一夏から話しかけてきた。
「俺は、織斑一夏だ。一夏でいいぜ。よろしくな。」
「こちらこそよろしく頼む。俺もドモンで構わない。」
「よろしくな、ドモン。しっかし、ここまで注目されるとは思ってなかったぜ。」
「しょうがないだろう。世界的にも珍しいISを動かせる男子生徒だ。注目しない方が無理だろう。」
「ドモンがいて助かったぜ。1人だと思ったらそれだけでゾッとするよ。」
「ああ、全くだな。」
二人とも自分1人で女子生徒たちの中で生活する様子を想像して苦笑する。
そのとき、1人の女生徒が近づいてきた。自己紹介の時にやたら偉そうだった奴だと思いだす。
「あなた達、ちょっとよろしいですこと?」
「ん?」
「誰だ?」
「まあ、私のことをご存じありませんの!?この私、イギリスの代表候補生にして、入試主席のセシリア・オルコットを!?」
「「すまん…」」
その強い語気に2人は反射的に謝罪してしまう。
「なあ、一つだけ質問していいか?」
一夏が軽く手を挙げて発言する。
「ふん、下々の者達の要求に応えるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ。」
「…代表候補生ってなんだ?」
生徒たちがまたしてもずっこけた。なぜそんなことになるのか分からないのはドモンと一夏だけである。
「そんなことも知りませんの!?代表候補生というのは各国のIS操縦者の中から選ばれたいわばエリートですのよ!?」
(ガンダムファイターの一歩手前の奴らみたいなものか。)
「で、その代表候補生が俺達に何の用だ?」
「私の本国でも男性のIS操縦者は私の先生位しかいませんの。それが、この学園には1人もいるのであれば、少しは仲良くしておいた方が得というもの・・・。私は優しくて優秀ですから、泣いて頼めば少しは操縦などを教えて差し上げてもよくってよ。」
「ああ、ならそのうち頼むよ。」
「そうか、ならよろしく頼む。」
「…馬鹿にしていますの?」
そこでチャイムが鳴り、セシリアは自分の席に戻っていった。
その日の授業が終わり、ドモンは自分の部屋に戻ってきた。新学期前にここを使うようにといわれた部屋で、現状2人部屋を1人で使っているところだ。
「おう、ドモン。」
声のする方を見ると、そこには一夏が立っている。
「一夏か。お前の部屋はそこなのか?」
「ああ。部屋が隣なら毎朝飯を一緒に食えるな。」
「そうだな。それより、お前は部屋の準備があるだろう。やるなら早く済ませた方がいいぞ。」
「ああ、じゃあな。」
2人は軽く話してそれぞれの部屋に入った。
一夏がシャワーを浴びていた篠ノ之箒に出くわして死にかけたのはその直後のことである。
翌日、HRの時間である。
「これからクラス代表を決める。クラス代表は主に学級委員のような仕事をしてもらうことになるが来月に行われるクラス対抗戦の代表も兼ねている。自薦他薦は問わん。誰か意見のある者はいるか?」
千冬が話し終えた直後、女生徒の一人が手を挙げる。
「はい、私は織斑君がいいと思います。」
「えっ、ちょっと!?」
「私はカッシュ君がいいと思います。」
「おい、待て。俺は」
「納得がいきませんわ!」
クラス代表に推薦されて2人がうろたえていると、不満を露にセシリアが立ち上がる。
「どうして私ではなく、この男達を代表に選びますの!?私のような実力のあるものならまだしもまだISの基礎も分かっていないような者達がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!」
「なっ…!?」
「…」
「セシリアさん、ちょっと言い過ぎなんじゃ…。」
セシリアの言葉に一夏はムッとし、ドモンも静かにはしていたが漂わす雰囲気に少し怒りが混じった。
女生徒の一人が制止するものの怒りに燃えるセシリアの罵倒は止まらない。
「大体、文化的に後進的な国で暮らさなければならないこと自体私には耐え難い苦痛で…」
「そういうイギリスだって大したお国自慢無いだろ?世界一まずい料理で何年連続覇者だよ。」
「あなた、私の祖国を侮辱しますの!?日本にだって大したお国自慢はないでしょう!?」
2人がお互いの祖国を侮辱し合っていると、ドモンが静かに立ち上がった。
「…そこまでいうなら、1対1で決着をつけたらどうだ?」
「そうですわね。ここまで祖国を馬鹿にされては腹の虫がおさまりませんわ。」
「ああ、俺も構わないぜ。さすがにここで引き下がるわけにはいかないからな。」
2人がその言葉に同意する。
「俺も参戦する。自分の国を馬鹿にされているのは俺も同じだからな。」
ドモンがガンダムファイトに参加していたのは愛国心のためではなく、あるものを探すためで仕方なくだったとはいえ、自分の祖国に対する思いが弱い訳では無い。
「話はまとまったな。」
その様子を見て千冬が提案を始めた。
「試合は来週の月曜、第3アリーナで行う。各自準備をしておけ。分かったな?」
「はい!」「ああ!」「おう!」
こうしてどちらかというとクラス代表のためではなく、自分たちの祖国の誇りをかけた戦いの火ぶたが切って落とされようとしていた。
プロローグと1話分をくっつけてみました
タグにつけた方がいい物を募集します
自分ではちょうどいいものが思いつかなかったので教えていただけると幸いです
5/23 追記
感想からアドバイスを受けて少々修正。ついでに誤字も直しました
それと今後の展開と齟齬が生じるためセシリアのセリフも修正