機動武闘伝IS   作:kkrus

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前回のあらすじ
特訓の末に何とかISの動かし方をものにしたドモン
一方一夏はISの特訓をできないまま試合へ
一夏は善戦するも敗北
ドモンは必殺のシャイニングフィンガーでセシリアを打ち破り勝利するのだった


第4話 再会!師匠と弟子

試合の後ドモンは一夏の様子を見に行った。

保健室に入ると箒が一夏のそばにいた。

「篠ノ之、一夏の様子はどうだ。」

「今はよく眠っている。大きなけがもないからそのうち目を覚ますだろう。」

「多分連日の疲れもあるんだろう。何せ倒れる寸前まで特訓をしていたようだったからな。」

「ま、まあそれに関しては少しは悪かったと思っている。だが、あいつが腑抜けていたのは本当だからな!情けない試合をされたら幼馴染の私まで恥ずかしいからああやって特訓してやったんだ!」

少し恥ずかしそうに箒が言うのを見てドモンは少し微笑ましく思った。

「何かおかしいことでもあるのか?」

「…いや。とりあえず一夏の事はお前に任せる。頼んだぞ。」

「言われなくてもそうするつもりだ。幼馴染でルームメイトだからな。」

一夏のことは箒に任せることにしてドモンは保健室を後にした。

すると廊下で少ししょげたセシリアと出会った。

「あっ、カッシュさん…。」

「セシリアか、こんなところでどうしたんだ?さっきの戦いで怪我でもしたのか?」

「いえ、私はただ、お二人に謝罪しようと思いまして…。」

「謝罪?祖国に対する罵倒の事なら今日の試合でけりのついたことだろう。」

「そちらではなくて、あなた方に向かって何も知らない素人などと言ってしまったことですわ。」

「それは本当の事だから謝る必要はない。俺が勝てたのもただの偶然かもしれんからな。」

「…謙虚ですわね。」

「自分の分を弁えているだけだ。…俺の師匠は俺なんかよりもはるかに強かったからな。」

ドモンはどこか遠くを見るような目をしたがセシリアは気付かなかった。

「ところで、一夏さんの方は…。」

「…ああ、今は眠っている。篠ノ之がついているから心配するな。」

「そう、ですの。」

「?」

セシリアが残念そうな顔をしたが、ドモンにはその理由が分からなかった。

「あー、ところでセシリア、お前の先生も男性だと言っていたな。どういう人物なんだ?」

「私の先生ですか?それは大変優秀な方ですわよ。私は最初男性に教えを乞うなんて屈辱だとさえ思っていたのですが、1度だけ模擬戦をしていただいた時に完膚なきまでにやられてそれ以来先生の事はずっと尊敬していますの。特に狙撃の腕では右に出るものがいませんわ。」

「…そうか、ありがとう。」

セシリアの話を聞いてドモンはその男の正体がなんとなくわかった気がした。

 

 

 

部屋に戻りドモンはベッドに横になった。

(俺はいつ元の世界へ戻れるんだ…)

ドモンの中には不安があった。

もし戻れなかったら自分はどうすればいいのか。

未だ修行の中で答えが見つけられていないのはどうすればいいのか。

そしてレインはどうしているのか。

いくら考えても答えは浮かんでこない。

そして、そのうちにドモンはゆっくりと眠りに落ちた。

 

 

 

ドモンはセシリアに勝ったためクラス代表に就任した。

その時副代表も決めることになったのだが、なぜか一夏が副代表になった。

『カッシュ君、クラス代表就任おめでとう!』

「…こういうのはあまり好きではないんだがな。」

現在ドモンは「カッシュ君クラス代表就任&織斑君副代表就任記念パーティ」と銘打たれた会に参加している。(クラスの女子たちに無理やり連れてこられた)

「なあ、一つ聞いていいか?」

「何、織斑君?」

「ドモンがクラス代表になったのは分かるけど、俺は負けただろ?なんで副代表になってるんだ?」

「それは私が辞退したからですわ。」

一夏の横に座っていたセシリアが立ち上がる。胸に手を当てるのは彼女の喋る時の癖のようだ。

「勝負はあなたの負けでしたけどそれは考えてみれば当然の事。何せ私が相手だったのですから。」

この一言で一夏はむっとした表情を浮かべたがセシリアは気付かなかったようでそのまま話を続ける。

「それで大人気なく怒ったことを反省して、一夏さんにクラス副代表をお譲りすることにいたしましたの。」

ドモンは強い者が代表になるべきだと思ったが本人が良いようなので何も言わないことにした。

「はいはーい。新聞部でーす。はいそこの男子代表二人、肩組んで。写真撮るから。」

二人が肩を組んで、新聞部員が写真を撮った瞬間、周りにいた女子たちが一斉に集まってまるで集合写真のようになってしまった。

翌日発行された新聞には何もコメントしていないはずなのにクラス代表戦に自信をのぞかせるドモンのコメントが書かれていた。

 

 

 

翌日朝食を終え、ドモンが教室へ行くと女子に囲まれた。

「いよいよクラス対抗戦だね、ドモン君。」

「ああ、今から楽しみだ。」

「そういえば、2組に今日転校生が来たらしいよ。何でも代表候補生なんだって。」

「この時期に転校してくるなんて、私の存在を危ぶんでのことかしら…?」

「ははは…。」

セシリアの自信満々の発言に苦笑いする一夏。その時女子の一人が「でも、」と切り出す。

「専用機持ちは1組と4組にしかいないから楽勝だよねー。」

「その情報、古いよ!」

声のした方向を見るとそこには小柄なツインテールの少女が立っていた。

「誰だ…、お前は?」

「私は凰鈴音。中国の代表候補生で2組のクラス代表よ!」

「おい、お前は今日転校してきたばかりなのにどうやってクラス代表になったんだ?」

「そんなの、私が強いからに決まってるじゃない!」

(こいつまさか、チコのようなことをしたんじゃないだろうな…)

ドモンはかつて出会ったネオメキシコのガンダムファイターであったチコ・ロドリゲスのことを思い出した。

彼は、病気の妹と地球の海のそばで暮らすため、違法な手段(実際はどうだったのかは分からないが)でファイターになり、地球に降下した後には自分に近づいてくるファイターを排除し続けた。

最終的に彼はガンダムファイトに負け、ネオメキシコの役人の温情で死んだ扱いにされ、今は妹と暮らしているはずだがどうしているだろうか。

「鈴!?鈴じゃないか!?」

突然一夏が素っ頓狂な声を上げる。

「久しぶりね、一夏。IS学園に入学したのはニュースで知ってたけど、まさかこのクラスだったなんてね。」

「一夏、知り合いか?」

「ああ、俺の幼馴染だよ。」

窓際に座っていた箒が少し反応したが、誰も気が付かなかった。

「えーっと、ところでクラス代表って誰?」

「ああ、俺だ。」

「そう、だったらあなたにISファイトを申し込むわ!」

「その言い方、お前まさかっ!?」

「ふふふ、今度のクラス対抗戦楽しみに「そこに居ったか、鈴よ!」あいたっ!?」

鈴が後ろから叩かれ前かがみになる。そこにはドモンにとっては見慣れた人物が立っていた。

「ええい、宣戦布告に行く際は儂にも知らせいと言ったのを覚えておらんのか、この馬鹿弟子がぁ!」

「あいたた、だからって後ろから叩くことはないんじゃ…」

「分からぬことがあったら体で覚える!これも流派東方不敗の教えぞ!」

「ううっ…。」

「し、師匠?」

ドモンの声で今までリンの方を向いていた東方不敗がドモンの方を向いた。

「ドモン!?何故お主がここにいるのだ!?」

ドモンには目の前の現実がにわかには信じがたかった。

それは当然だ。東方不敗は確かに自分の腕の中で息を引き取ったのだから。

東方不敗も一瞬驚いた顔をしたがすぐに落ち着きを取り戻し、

「ヌハハハハ、どうしたドモンよ。まるで死人にでもあったような顔をしておるぞ。」

高笑いをしながらそう言った。

「し、師匠がどうして・・・?あなたはあの時確かに・・・。」

「世の中には信じがたいことが起こることもあるものよ。」

「ですが、俺にはどうしても信じられません!」

「喝っ!」

「!?」

東方不敗の一喝によって教室が一気に静まり返る。

「流派、東方不敗は!」

「お、王者の風よ!」

「全新!」

「系列!」

「「天破侠乱!!」」

「「見よ!東方は、赤く燃えている!!」」

流派東方不敗の演武を行うことでドモンは目の前の人物が本物の東方不敗であると確信が持てた。

「今のでよく分かったはずよ。儂以外に東方不敗がいると思うたか、この馬鹿弟子がぁ!」

「では、本当に師匠なのですね!」

「くどいわ!最初からそうだと言っておろうが!」

「あ、あのぉ…。」

「「む?」」

声の方を向くといつの間にか千冬と真耶が来ていた

「もうすぐHR始まるんですが・・・。」

「おお、これはすまなかった。」

「さあ、お前らは早く席に着け。鳳とクロス先生は2組に戻って下さい。」

「じゃあ、またあとでね。」

「ドモンよ、またあとで会おうぞ!」

そう言うと、二人はそそくさと自分達の教室へ戻っていった。

 

 

 

時は放課後。夕日の射す屋上に二人の男が立っていた。

「改めて久しぶりだな、ドモンよ。」

「お久しゅうございます、師匠!」

「うむ。しかし、妙なものよ。一度死んだ儂がこのようにしてお主と会うことになろうとはな。」

「師匠、こちらでも弟子をとっていたのですね。」

「うむ。鈴は儂がこちらで指導した中では一番の有望株よ。とはいえ、流派東方不敗の技を伝えるには至ってはおらぬがな。」

「他の男性IS操縦者に会ったことは?」

「儂は国外に出ることはおろか、外国人との接触も禁じられておったから、一度も会ったことは無い。」

「そうですか・・・。」

ドモンは、男性IS操縦者はもしや自分と同じように未来世紀から来たのではないかと予想していた。そこに東方不敗がやってきたことによって、自分の予想は間違ってはいないと思い始めたのだ。

だが、まだ確証がある訳では無い。

(そのうちセシリアにも確認してみるか。)

「ところで、ドモンよ。」

「何でしょう、師匠?」

「お主はおそらく鈴と戦うことになるだろう。鈴は強い。お主も油断しておれば負けかねん相手よ。それを忘れてはならぬぞ。」

「俺は戦いで油断などしません。ここにいるのは強い奴と戦って己を磨くためなのですから。」

「ヌハハハハ、お主らしい答えよ。明日の試合は楽しみにしておるぞ。」

「はい!」

 




またも修正に時間がかかってしまいました
丸々文章を足した部分があるので前の時とはだいぶ印象が違います

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