「おい、カメラの準備はできたか?」
「もちろんだ。さっさと肩車してくれ、時間が惜しい」
「了解だ」
今おれと侑斗はジャグジーの階段を登ったすぐのところにいる。女湯との仕切りまでは約6mといったところだろうか。
「いくぞ、せーのっ!」
「おぉっ!これならいけそうだ!さぁ進め、侑斗よ!ヨーソローっ!」
「くっ……おれもこの目で見たかったなぁ」
「自分の身長を恨むんだな」
「だまれ!これでもくらえ!」
そう言って侑斗は軽く走り出した。
「やめろっ!落ちるだろうがっ!」
そして残り5m、4mと進んでいく。ん?なんか床がテカってる気がするな。あれはなんだ?
「おい、侑斗ストップ!」
「うるせぇっ!この苦しみをお前も味わえっ!」
「いいから止まれっ!くっ……こうなったら、オラ!」
おれは侑斗の首を絞め、あいつの手がおれの脚を離したすきにジャンプして侑斗の肩から降りた。
「苦しいっつの!ふざ……っておわっ!」
ふん、無様だな。床に滑って頭を打ったようだ。
「やっぱりそうだったか…」
床にはローションが塗られていた。ていうかなんでローションがこんなとこにあるんだ?
そういえばさっきの清掃員の姿をしていた女の人...なんか見たことがあるような気が……。
「────あっ!」
なるほどな、まんまとやられたぜ。
「コイツはあとでお尻ペンペンの刑だな、偽妹よ。」
~時間は少し遡る~
「やっぱりそういうことだったんだね、お兄ちゃん♪」
私──渡辺曜はいま男湯の露天風呂にいます。実はこの日のために清掃員のコスプレ作っといたんだよね♪そう、ちょうどこの旅行に行くことが決まったあの日の夜。私は今日初めてあってさらにシェアハウスをする男の人──聖流さんの部屋の前にいた。
もう果南ちゃんは寝てるだろうし、なんとなくだけどあの人と2人きりで話してみたかった。たぶんだけどあの人の対応が硬すぎたからかな?せっかく一緒に住むんだしもっと砕けた感じで話したかったし仲良くなりたいなぁとも思った。そういう理由で聖流さんを『お兄ちゃん』と呼んでみた。そしてわざわざこんな時間に部屋の前に来たんだけど……
「久しぶりだな、さとるだ──」
なんか電話してるみたいだな。友だち、かな?邪魔しちゃいけないからまた後でこようかな。
「────もいい。元スクールアイドルの裸を見なくてもいいのならな。」
「………………は?」
この人は今なんて言ったんだろう、元スクールアイドルの裸?それって私たちのことだよね?
「──作戦か?それはだな……」
なるほどね。私が間違ってたのかな?この人すっごい面白い♪
いくらなんでもあったばかりでしかもこれから長い付き合いをしていくことになる人を覗くなんて普通なら考えられないよ!意外と気さくな人なのかな?そうじゃなかったらただの馬鹿だしねっ♪
そうか、だったらこれを利用して『お兄ちゃん』と遊んじゃおうかなっ!
私はお兄ちゃんの作戦を阻止するために清掃員のコスプレとローションを用意しておいた。男湯に入るのは恥ずかしいっちゃぁ恥ずかしいけど……。でもそれより楽しみなことがあるから大丈夫っ♪果南ちゃんに忘れ物したから部屋に戻るって言ってきたし、怪しまれることはないしねっ!
「う〜んと、この辺でいいかな?よしっ!これで準備万端!」
ガラガラ
「うわっ……いっぱいお客さんきちゃった。お兄ちゃんもいるし…。早く出ていかないと」
準備は終わったし見つからないうちに帰っちゃおうっと。
~そして現在に戻る~
「おい、侑斗。早く起きろ」
「………………」
「──まさか、気絶してる……のか?」
侑斗からの反応は何も無い。いきなりあの偽妹によって計画が阻止されてしまったようだ。
読了ありがとうございます。次の投稿は前書きでも言った通り本日の夜。もしくは深夜の予定です。