「…………ん?」
目を覚ますと頭上にはとても澄み渡った綺麗な青空が広がっていた。そして最近は恒例になりつつある頭への柔らかい感触……。
今回は誰だろうか……?考えられるとすれば北海道組の千歌、果南、曜、梨子ちゃん。そしてあの自己紹介のあとなぜか急になつき始めた堕天使さんの5人だろう。
少しの間思考に更けたあとゆっくりと立ち上がり膝枕をしてくれていた優しい御仁の顔を拝見する。するとそこにいたのは──
「あ、師匠!起きましたか?」
「る、ルビィちゃんっ!?」
待て……。これはドッキリか!?そう思って周りを見回すが他のみんなは近くのベンチに座り軽く談笑している。少しくらい俺の心配してくれてもいいんじゃないの?
それよりもあそこまで俺のことを毛嫌いしていたルビィちゃんが膝枕をしてくれていただと?
そんなことなど有り得ん!有り得んぞ!
……というか師匠ってなんだ?
「あの、ルビィちゃん?」
「??どうかしましたか、師匠」
「その……師匠ってなんだ?」
「ああ、そのことでしたか……。先程までのご無礼をお許しください!」
「ええっ!?」
やばい、ルビィちゃんに何が起きたんだ!?頭でも打ったのか?
「あ、さとる!起きたんだね♪」
「おっ!果南か!」
先程のルビィちゃんによる大声での謝罪とそれに驚いた俺の声でみんな俺が起きたことに気づいたようだ。
「なぁ!ルビィちゃんになにがあったんだ!?」
「あぁ〜……そのことか。その、なんていうか『スイッチ』が入っちゃったみたい……。」
はぁ?スイッチ?あの某学園生活支援部のコンピュータによる合成音声でしゃべるあれか?
……1人で脳内でボケていても埒があかないので先に進もうか。
「スイッチ?なんだそれ」
「うーんと、二年前のクリスマスパーティの時に私と曜とルビィの3人で料理してたんだけどその時に主に私のせいでルビィの性格が一時的に職人っぽくなっちゃってね……。」
「つまりその時と同じような状況になってしまったということか?」
「簡単にいうとそんな感じかな……。ごめんねっ!」
これまた大変なことになってしまったな……。
「まぁいいさ、ただ一つ気になるのはなんで俺を嫌いじゃなくなったかだな。」
さっきの果南の話を聞いてもこれだけは謎だらけだ。
とりあえずルビィちゃんに何個か質問をしてみるとしよう。
なんか松岡修造みたいな熱血ワードが出てきたらそれがキッカケだろう。
「なぁルビィちゃん、さっき俺の投げた球を打った時になにか感じたか?」
「そうですね……。『魂』を感じました」
はいビンゴっす。絶対これだわ、間違いないね。
「それまでは俺に対する恨みとかあったはずだがそれはどうなったんだ?」
「確かに師匠の言う通り恨みはありました。しかし打てなかった私に対して適切なアドバイスを与えてくれました。」
「嫌いな奴の顔を球に思い浮かべろと言われた時に真っ先に師匠の顔を思い浮かべました。そうして打った打球とともに師匠に対する恨みなどは飛んでいき、更にはこの打った瞬間の気持ちよさを教えてくださった師匠に対する尊敬があっしの心に芽生えたのです」
あっし!?というかなにこの超展開……!
「と、とりあえずルビィちゃんは俺に対してもう敵意は無いという認識であってるのかな?」
「その通りでごぜぇやす!いま師匠に抱いてるのは尊敬の念だけです!」
……ほんとにこれでいいのか?
ま、まぁもう嫌われてないみたいだし次に進もうか……。
その後ずら丸ちゃんとヨハネ様のバッティング練習を行った。
全員の結果は以下の通り。
千歌→センター前ヒット
曜→レフト越えホームラン
梨子ちゃん→空振り。二打席目はピッチャーゴロ
果南→センター越ホームラン
マリー→空振り。二打席目も同じく
ダイヤ→手に直撃。二打席目でショートゴロ
ルビィちゃん→空振り。二打席目はピッチャー殺し
ずら丸ちゃん→バットの振り方がわからず。
ヨハネ様→レフト前ヒット
こう見るとなかなかいい感じじゃないだろうか。しかしずら丸ちゃんよ、振り方わからないってなんだ?君の住む世界は江戸時代か?
ヨハネ様は左打ちらしく、流し打ちがとても上手だった。手先が器用なようだな。
ここから星空監督が決定した打順はこちら
1渡辺
2津島
3高海
4松浦
5黒澤(姉)
6小原
7桜内
8黒澤(妹)
9国木田
以上である。
足も早く眼もいい。そしてヒットも打てるというまさに典型的な一番打者である我が偽妹を一番に置く。
そして手先が器用でバントや流しうちの上手いヨハネ様を2番。
ソフトボールが得意でヒットを打てるクリーンナップの3番に千歌。
力も強くホームランを打てる果南が4番。
ある程度強めの打球を打ててなんでもそつなくこなせるダイヤを5番。
なるべくここまでの5人で点を取っておきたいな。
そしてスイングはいいのであとはボールを見てくれることに期待がかかるマリーが6番。
当たりはするが強い打球を打てない天使。梨子ちゃんが7番。
そして惜しむらくはルビィちゃんである。あの打球を打てれば文句無しに四番に据えたのだが問題が生じてしまった。
──そう、俺への憎悪がなくなったことである。ルビィちゃんは俺への憎悪をボールに込めて打っていたがその憎悪がなくなってしまった今では最初のスイングに戻ってしまっている。
そのためバットにボールが当たることなどほとんどないのでルビィちゃんは8番。
そして最後にバットの振り方がわからないという古代人のずら丸ちゃん。奇跡が起こることに期待しよう。
打順はこんな感じだ。次は守備のテストを開始するとしよう。
わからない人のための野球用語講座
クリーンナップ
3番、4番、5番のこと。塁にいる走者を全員本塁へ返して塁上を掃除することからクリーンナップと呼ばれる。
流し打ち
逆方向へ打つこと。例えば右打者がライト方向、左打者がレフト方向へ打つこと。こうすることで走者が次の塁へ進みやすくなる。
とりあえず以上です。わからない言葉があれば感想などに書いてもらえるとお教えいたしますよ♪