ソードアート・オンライン・リターン   作:剣の舞姫

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初めての一人称です。難しい・・・・・・。


第九話 「ユイの一日」

ソードアート・オンライン・リターン

 

第九話

「ユイの一日」

 

 皆さんこんにちは、ユイです。

 今日は、わたしの一日をご紹介するお話となっていますので、わたし視点での進行となります。

 

 朝、わたしはベッドの上で目を覚ましました。

 もう、パパもママも起きているみたいで、両隣には誰も居ませんでした。なので、直ぐに着替えてリビングに行くと、ソファーに座って新聞を読んでいるパパを発見しました。

 

「おはようございます、パパ」

「ん? おお、おはようユイ」

 

 パパに近づいて挨拶をすると、パパは笑顔で頭を撫でてくれます。えへへ、パパに頭を撫でてもらうの気持ちよくて大好きです。

 二人掛けのソファーに座ったわたしはキッチンから漂ってくる良い匂いにお腹がくぅと鳴るのを自覚しました。少し恥ずかしいですけど、ママの美味しい朝ごはんが楽しみでなりません。

 

「キリト君、ユイちゃん、朝ごはんで来たよ~」

「お、そうか」

 

 キッチンから出て来たママはテーブルに朝ごはんを並べていきます。朝のメニューはトーストと野菜スープ、サラダとパパとママは珈琲でわたしはジュースでした。

 

「ママ、おはようございます」

「うん、おはようユイちゃん。さて、じゃあ食べましょうか」

 

 いただきます。と手を合わせてから食べ始めました。いつもと同じ、ママの料理スキルはコンプリートされているだけあって美味しいです。

 パパも釣りスキルをコンプリートしたって言ってましたし、今日の夕飯もパパが釣ってきた魚料理になるのかな?

 

「パパとママは今日何をするんですか?」

「今日か? う~ん・・・先日51層の攻略が終わったばかりだから、暫く暇だしギルドホームで訓練かな」

「わたしも、勧誘の仕事任せてる後方支援部隊の視察くらい」

 

 お二人とも、前線には行かないみたいですけど、ギルドのお仕事があるみたいです。なら、今日はお家に居るよりパパやママと一緒にギルドホームに遊びに行きましょう。

 

 

 朝ごはんを終えて、わたし達は黒閃騎士団のギルドホームに向かいました。

 ギルドホームに着いてパパは早速ですが訓練場へ行き、ママは後方支援部隊の会議室へ行きましたので、わたしはホームの中を探検しています。

 

「あ、お嬢、おはようございますッス」

「ベルさん、おはようございます」

 

 わたしをお嬢と呼ぶベルさん、まだ第一層の時にパパが助けたプレーヤーさんで、黒閃騎士団がまだ黒白(モノクロ)騎士団だった頃の初期メンバーの一人であり、今では幹部さんです。

 

「キリトさんは訓練場ッスか?」

「はい! ベルさんも行くんですか?」

「ええ、モスキートとこの後一緒に」

 

 ベルさんとモスキートさんはギルド内でパパとの戦闘訓練に着いていける数少ない人達ですから、お二人が訓練に参加するだけでもパパはご機嫌になりますね。

 それからベルさんと別れてホーム内を散策していると、様々なギルドメンバーの方々とお会いしますが、皆さんいつもわたしの事を可愛がってくれます。

 中にはちょっと怖い人も居ますけど、皆さん良い人ばかりで、遊びに来ると楽しいです。

 

「お、ユイじゃねーか」

「あ、エギル小父様!」

 

 通路の向こうからエギル小父様が歩いてきました。

 エギル小父様もギルドの初期メンバーで、パパがとても頼りにしている方です。あにきぶん・・・とか言いましたっけ?

 

「今日は遊びに来たのか?」

「はい!」

「そうか、もう直ぐ昼時だ、これでも食べると良い」

 

 そう言ってエギル小父様はアイテムストレージからケーキをオブジェクト化してわたしにくれました。

 いつも不思議なんですけど、エギル小父様はいつ会っても必ずお菓子をくれます。アイテムストレージにお菓子を常備しているのでしょうか?

 

「ありがとうございます! エギル小父様」

「ああ、それじゃあ俺は店に行かなきゃならんからそろそろ行くぜ。ユイも他の皆の邪魔になる事はするんじゃないぞ?」

「勿論です!」

「ああ、良い子だ」

 

 頭を撫でてくれるエギル小父様。パパよりも大きくて少しゴツゴツした掌ですけど、エギル小父様に頭を撫でてもらうのもパパとはまた違う気持ちよさがあって大好きなんですよ。

 

 

 エギル小父様と別れた後、わたしはケーキを食べる為にホームのテラスに出て早速小父様から頂いたケーキを食べました。

 今日はチーズケーキみたいで、凄く美味しいです。

 

「お嬢様、これを」

「あ、イヴさん」

 

 いつの間に後ろに居たのか、イヴさんがアイスティーを出してくれました。

 パパの補佐官を務めているイヴさんは、ギルドホームに居るときはいつもメイド服です。お仕事上、パパの補佐を務めているからという理由みたいですけど、何だかメイドのお仕事が凄くよく似合っている気がするのは何故でしょう?

 

「エギル様から頂いたケーキですか?」

「はい、今日はチーズケーキです」

「それは、良うございましたね」

 

 口数の少ないイヴさんですけど、わたしの事はお嬢様と呼んで時々遊んでくれるから、イヴさんも大好きなんですよね。

 ただ、時々パパを見る目がクルミさんに似ていて、それが少し、嫌ですが。まぁ、このギルドの女性の大半はパパをそういう目で見ているみたいですけど。

 黒の剣士ファンクラブ・・・でしたっけ? 黒閃騎士団や、他のギルド、ソロの人や非戦闘プレーヤーの方々にまで会員が存在しているみたいです。

 会長は確か・・・クルミさんでした。何故か名誉顧問にヒースクリフという名前がありますけど、気にしたら負けです。

 パパはカッコイイから仕方ないですけど、でもでもパパはママとユイのパパですから、誰にもあげません。

 

「私は仕事に戻ります。お嬢様は如何致しますか?」

「また散策します」

「では、お怪我などなさらないよう、お気をつけください」

 

 イヴさんが去って、わたしもケーキを食べ終えた後、散策に戻りました。

 今は後方支援部隊の方々のお仕事を見学していますが、皆さん凄いですねぇ。武器製作をする部隊、リズさんを中心にした部隊ですけど、リズさんが武具店経営で殆どホームに居ませんけど、確りと纏まって高性能の武器を製作しています。

 建築部隊はホーム拡大の設計をしている所でした。人数がどんどん増えるギルドのホームを少しでも大きく、でも周囲の環境を出来るだけ壊さない様に考えているので、皆さんとても真剣です。

 

「それにしても、何故皆さんはわたしをお嬢様とか、お嬢って呼ぶんでしょう?」

 

 そうです。一番気になるのはそこなんですよ。

 わたしはギルドの方々にとても可愛がって頂いていますが、皆さん総じてわたしの事をお嬢とか、お嬢様、ユイ様って呼ぶんですよねぇ。

 少し恥ずかしいから止めて欲しいんですけど、誰一人として直してくれません。唯一わたしを普通に呼んでくれるのはエギル小父様とリズさんくらいです。

 

「一応、ただのプライベートチャイルドという扱いのはずなんですけど・・・」

 

 今のわたしはメンタルカウンセリングプログラムではなく、プレーヤーキリトとプレーヤーアスナのプライベートチャイルド、パパのママの子供ですから、わたし自身が偉いわけじゃないんですけどね。

 

「むぅ・・・」

 

 少し、不満です。

 

 

 訓練場に来ました。

 訓練場では前線で活躍するメンバーの方々が自由に出入り出来て、皆さん素振りをしたり、決闘(デュエル)の初撃決着モードもしくは半減決着モードでの戦闘訓練をしたりしています。

 

「あ、パパです」

 

 パパが訓練場でモスキートさんと決闘(デュエル)してました。

 黒の片手剣エリュシデータを構えるパパと、最近モスキートさんが手に入れたという片手剣ストライクパニッシャーがぶつかって火花の演出効果が発生してます。

 普通の方なら同じ片手剣同士でも盾を持たないパパより盾も装備しているモスキートさんの方が有利だろうと思うでしょうけど、パパはアインクラッド最強の剣士、片手剣のみの装備で数々の激戦を潜り抜けてきた戦士で、何より誰よりも抜きん出た反応速度と反射速度があります。

 モスキートさんの攻撃は悉くがパパに避けられて、逆にパパの攻撃がどんどんモスキートさんを追い詰めていました。

 

「あ、パパの勝ちですね」

 

 決着が付いたみたいです。

 どうやら初撃決着モードにしていたみたいで、パパが一撃入れた事で決着、パパの勝利となったみたいですね。

 

「流石パパ、パパに勝てる人なんて居ませんねぇ」

 

 ・・・・・・ヒースクリフ? パパに勝てる人は居ませんよ?

 

 

 夜、わたしは先に家に帰って情報収集の為にアインクラッドのニュースを見ていました。

 色々な情報がリアルタイムで更新されるので、チェックは欠かせないんです。パパもママも忙しいときはチェック出来ないので、わたしがチェックして教えてあげる事もあります。

 

「ただいま~」

「ただいま、ユイちゃん帰ってる?」

「あ、パパ、ママ! おかえりなさい!」

 

 パパとママが帰ってきました。

 早速ママは夕飯の用意をするのにキッチンに向かい、パパは新聞片手にわたしが先ほど入手していた情報を聞きながら有力情報のピックアップをしています。

 

「夕飯できたよ~」

 

 ママの声が聞こえて、キッチンから出て来たママはテーブルに夕飯を並べました。

 やっぱり今日はパパの釣ってきた魚料理で、ママのオリジナル調味料でお刺身になりました。

 

「やっぱアスナの作る醤油は良いなぁ、刺身にピッタリだ」

 

 ママは前の世界と同じ様にアインクラッドに存在する数々の調味料を調合してお醤油やマヨネーズ味の調味料を開発したり、前は時間が無くて開発出来なかったお味噌やソースなど、本当に様々な現実の調味料の味を再現しています。

 見た目こそ違いますが、現実で言うお味噌汁も夕飯には必ず並んでいますから、和食への拘りは凄いですね。

 最近ではニシダさんという小父様と交流を持って時々お夕飯にお呼ばれしていますし。皆さんにママの作る調味料が大好評です。

 

 

 夕飯も終わり、ママと一緒にお風呂に入ってからパジャマに着替えて、眠くなったわたしはそろそろ寝室に行こうと思っていたのですが、突然パパが大声を上げて眠気が吹っ飛んでしまいました。

 

「ど、どうしたのキリト君?」

「パパ、どうしました?」

「あ、ああ・・・今、暇つぶしにステータス確認してたんだけど・・・二刀流が、出てた」

 

 こうして、わたしの一日は終わります。

 パパの二刀流については、次回のお話でお楽しみくださいね?




次回はキリトの二刀流についてと、ビーストテイマーのあの子が登場!

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