参拝を済ませた俺達は屋台巡りをしていたのだが…果南と曜がふたりきりにしてくれたのは嬉しいが…ちょっと面倒な事件が起こってしまった…
~五分前
「悠之君は何を食べに行きたい?」
「俺は、大判焼きなんかがいいかな。」
「よし!じゃあ大判焼きを求めてレッツゴー!」
千歌が俺の手を離して、走り始めた…慣れていない下駄で転ばなきゃいいが……って俺も急がないと千歌に置いてかれてしまう!
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そして案の定……千歌とはぐれてしまった……だが、流石にケータイくらいは持っているはず……
「この電話番号は現在電源が切れているか、電波の届かない所にあります。ピーっという発信音の後に……」
なんで電源を切ってるんだー!?はぐれた時には電源くらいつけておくだろ!?……とりあえず今は千歌を探さなくては。みかん色のアホ毛の女の子くらいすぐに見分けがつく……
俺が歩き始めると沢山の人がが進行方向を塞ぐ……やっぱり簡単にはいかなさそうだな……すぐに見つかるというのは撤回しておくか。
…10分経過。
う~ん…どこへ行っちゃったんだろう…こういう時は迷子案内とかに行ったほうがいいのかな……でも放送で呼んじゃったら悠之君も恥ずかしいだろうし…ど~しよ~。
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「(この辺りも居ないな…どこまで行ったんだ?……ん?なんだあの子は…。)」
俺が千歌をさがしていると、赤いツインテのちょっと身長が小さめの女の子が半泣きの状態でウロウロしているのが見えた。………あの子もきっと迷子なんだろうな…。
「(今はそれどころではない…早く千歌を見つけなくては。)」
俺は果南と曜に連絡して、千歌を一緒に探してもらうように頼んだ。
~さらに5分経過。
流石にこんなに時間がかかってしまうと…俺も不安になる。呼び出し放送でも使うべきか…?
「おっと…」
俺が周りを見ながら歩いていると、さっき見かけた女の子に気づかず、正面からぶつかってしまった…。
「ごめんね、怪我とかはしていない?」
「ぴぎっ!?」
俺が倒れ込んだ女の子の手を掴む……
「ピギ…」
「ん…?」
「ぴぎゃアアアアアア!!!」
俺がその女の子に手が触れた途端に、辺り一帯が吹き飛びそうなくらいな程の絶叫をあげる……それにその女の子は目に涙を浮かべていた……この子の叫び声と同時に360度から痛い視線を感じた…やべえな、俺が変態に思われてしまう、いや変態かもしれんが。
「えっと…俺は君を怖がらせるつもりはないよ…?」
「うぅ…うっ…」
俺は必死に説得する…納得してくれればいいのだが。
「もしかして君も迷子かい?」
「そ、そんなことないですっ!ちょっとはぐれちゃっただけです!!」
「…それを迷子っていうんだよ。」
「うぅ…」
自分が迷子になったことを必死に隠したいみたいだな……それと、見た目からすると千歌のちょうど1歳くらい年下に見えるな。
「君は誰とはぐれてしまったんだい?」
「…お姉ちゃんです。」
お姉ちゃん……か、羨ましいな。俺は生まれてすぐ、物心つく前に父さんは亡くなって…兄弟もいない…昔から母さんと2人きりだったもんな…
「あのぅ…?」
「あ、ごめん……なにかな?」
「お兄さんも迷子ですか…?」
「はは……そんな所かな…。」
「あはは……」
俺とその子は一緒に笑っているが……こんなことしていると時間がどんどん無くなっていく…早く行動に移さなくては…。
「とりあえず、君のお姉さんはどんな人なんだい?」
「えっと……黒髪で…髪が長くて…赤い着物を着ていて……キリッとした顔をしている人です!」
「う、うん………なんか絵に書いたような…和を感じる女性だね。」
本当にそんな和服美人な女性がいるのだろうか…だとしたらかなり目立つはずなのだが…。
「お兄さんのは?」
「俺の探している人は…みかん色の髪をしていて…サイドに三つ編みをしていて、あほ毛が目立つ女の子だ
「あ、あほ毛…?」
「うん、たまにレーダーみたいに動いてるからすぐに見つかると思うんだ。」
「動く!?」
女の子が少しオーバーなリアクションを見せる。
「(あほ毛がレーダーみたいに動くっていったいどんな…?)」
~~~~~
「この反応…近くに何かがいるぞー!!」
ぴょこ…ぴょこ…と、あほ毛レーダーが動きはじめる…。
「こっちかな……いや、こっち……?」
距離が近づくほど、あほ毛の動きが激しくなる…そして…。
「おおっ!これは……………かわいいカエルちゃんだー♡」
あほ毛の女の子がカエルを見つめていると、カエルが急に逃げ出す…
「あぁ…待ってよ~カエルちゃ~ん…」
~~~~~
「(いやいや…そ、そんな女の子がいるわけが…)」
「あの人じゃないかな?君のお姉さんは。」
綺麗な黒髪の女性の方に指を指す
「え!?あ………お姉ちゃん!」
「ル、ルビィ!?」
「う、うぅ…お姉ちゃんー!」
赤い髪の女の子……泣きながらあのお姉さんに抱きついている…きっと優しいお姉さんなんだろうな……姉妹や兄弟がいるとあんな事が普通にできるのか……
「心配したのですよ…ルビィ…電話にもでないから…。」
「ごめんなさい…お姉ちゃん…ケータイの電源が切れちゃってて…。」
「全く……貴方はすぐにどこかへ行ってしまうのですから…もう少し注意深く行動しなさい。」
「は、はい…」
黒髪の女性がルビィの事をじっと見つめる……
「でも…無事でよかったわ…。」
「お姉ちゃん…」
すると黒髪の女性の後ろから見覚えのある女の子が出てきた…。
「妹さん、見つかってよかったねダイヤさん!」
「えぇ…手伝っていただき…ありがとうございます。」
「……!?」
「……あ」
「千歌ぁ!?」
「悠之君!?」
なんと、まさかの再開…。
「え、えっとぉ…悠之君は何をしてるの…?」
「ち、千歌こそ何を…?」
「わ、私はダイヤさんの妹さん探しを…」
「俺は…ルビィちゃんだったかな…この子のお姉さんを探して…」
「まあ、これは凄い偶然ですわね。」
こ、こんなミラクルが起こるなんてな……。
「あれ~ダイヤもここに来てたんだ~。」
「か、果南さん!?」
うわ……もう何が何だかわかんねえ……
話を聞くと、ダイヤさんは果南の高校の同級生…つまり俺の1歳年下……とてもそうは見えない。俺よりもしっかりしてそうだし…何よりも大人っぽい……。
「それにしてもダイヤもここにいたなんてね……びっくりだよ。」
「私もですわ……それと、そちらのお方…。」
「悠之でいいよ。」
「では、悠之さん…ルビィをここまで連れてきていただきありがとうございます…。」
「いやいや、俺は偶然ここに来ただけであって…」
「しかし、あなたがいなかったら…ルビィはきっと寂しい思いをしながら私の事を探したことでしょう…。」
あ、かなりの寂しがり屋さんなんだな…ルビィちゃんって。
「それにしても…男性恐怖症のルビィがあなたと同行できるなんて思いませんでしたわ…。もしかして、貴方は人を心を和らげる何かがあるのかもしれませんね…。」
だから、俺がルビィちゃんに手が触れた途端にあんな叫び声をあげたのか…。男性恐怖症なんて初めて聞いたな…昔に何かあったのだろうか…。
「とりあえず今は感謝しておきますわ…お礼はまたいつか…。」
「あ、ああ…」
どうしよう……あまりにも丁寧に喋るからなんか……体がギクシャクする…。
~~~~
「じゃあみんな揃ったところだし、みんなでお店を見て回らない?ダイヤさん達も一緒に!」
「そうだな、ダイヤさんはどう?」
「別に構いませんが……貴方は私よりも年上ですのよ?……さん付けはちょっと違和感が…」
「なんか俺よりも年上に見えてしまうからつい……」
なんだろうか……威圧?いや違う……大人の魅力ってやつか!……でも俺はやっぱり……
ギュッ…
「ゆ、悠之君!?」
「今度ははぐれないように…千歌の手を…ずっと離さないから…」
「ありがとう…悠之君…///」
他の人からの視線が集まる……やってしまった……また何も考えずに行動してしまった…。でも、さっき視線なんか気にしないって決めたんだ、恥ずかしがってる場合じゃない!
みんなで店を見ている時は、千歌と俺はみんなの1番後ろで歩くことを意識した……みんなの事を気にする必要がないからだ。………あれ?さっきの決意はどこへ……?
「そうそう、さっき悠之君が大判焼きが食べたいって言ってたでしょう?」
「あぁ、そういえば…千歌とはぐれてから腹が減っていたことでさえ忘れてたよ。」
「だからね……」
「ん?」
千歌が両手を後ろに組んでなにかを隠し持っている……
「じゃーん!悠之君が大好きなカスタードの大判焼き!悠之君に会うちょっと前に買ったんだ~!」
周りには大判焼きの屋台は沢山あるのに…千歌ときたら……まあ、そんな天然さが可愛いんだけどな。
それに千歌が買ってくれた大判焼きだ、いつも食べるのとは美味しさが増してそうだ。
「ありがとう千歌。………大好きだよ。」
「えっ///(い、今…悠之君…大好きって…。)」
「どうした?千歌」
「う、ううん!な、なんでもないっ!!」
みんなで神社祭りを楽しんでいると……既に夕方になっていた……楽しい時はすぐに時間が過ぎてしまうのがお決まりな展開だ……
「じゃあ、私達はここで…」
「うん!じゃあね!」
「またね、ダイヤ。」
そして果南と曜と別れた後……2人で海を見に行った。夕焼けが海を照らしていてとても綺麗だ…。
「今日は色々とトラブルがあって大変だったね~」
「千歌が急に走るから……」
「あ~千歌だけのせいにしようとしてる~!」
千歌が俺の頬をグニョグニョと触ってくる……。
「や、やめろよ…千歌。」
「まだまだ~うりゃうりゃ~!」
「やっ…やったなー!」
俺が千歌のほっぺたをグニョグニョと触る…
「うにゅぅ……ゆ~じくん~!」
「ん~?なにかな?」
「はゃ~なゃ~し~てぇ~」
千歌の声が余りにも可愛いので余計触りたくなってしまう……だけど俺は顔から手をはなす…。
「ふふっ…去年と一昨年は…こんなに楽しいお正月は過ごしてなかったのに……悠之君がいるだけでこんなに楽しいなんて思っていなかったよ。」
「俺も…同じ気持ちだよ…。千歌がいなかった2年間が辛かった…でも、今年から同じ場所で新年が過ごせる…。」
千歌が笑顔でうんっと頷く…。
「それと…千歌に渡したいものがあるんだ…。」
右胸ポケットから包装された物を取り出す…。
「なになに~?」
「あけてごらん。」
千歌が包装紙を外して、中身を確認する…。
「これって…髪飾り?」
「そう、千歌はいつも双葉の髪飾りをつけているだろう?だから今度は三つ葉の飾りを…千歌の成長…って意味で買ってきたんだ。」
「嬉しい……ほんとにくれるの!?」
「ああ、もちろん。」
「やった~!!」
千歌が満面の笑みを見せる…よかった…気に入ってくれたみたいで。
「早速つけてみてもいい?」
「うん、俺もつけているところが見たい…。」
千歌が双葉の髪飾りから三つ葉に付け替える…
「じゃーん!どうかな!?」
千歌が嬉しそうにぴょんぴょんはねる…
「千歌、すごく可愛い…よく似合ってるよ。」
「えへへっありがとう!」
俺と千歌は砂浜のベンチに腰をかける…すると千歌が俺の手に自分の手を添える…柔らかくて小さな手だ…俺と千歌はそのまま…夕焼けを眺めていた。
「あけましておめでとう…千歌…。」
「うん…これからもずーっと…いっしょだよ…♡」
お年玉セットが全て爆死してしまった…