「千歌?」
「う…ん…?」
「千歌、起きろ?」
「ん…悠之君おはよ…。」
「どうしたんだよ?なんかあまり元気なさそうだけど…?」
千歌が目を擦りながら大きなあくびをする…。
「ん~?そうかな?私は別に何ともなっ——」
ズキ…
「千歌?」
「……たい」
「え?」
「お腹…痛い…。」
「えぇ!?」
千歌が辛そうにお腹を抑える…。
「だ、大丈夫か?トイレ行く?」
「いや…そういうのじゃなくて…。」
ズキズキ…
「あいたたた…」
「え?どういうのなんだ?病院に行くほどのなのか?」
「だから…その…そうじゃなくてさぁ…///」
「?」
千歌が俺の耳にごにょごにょと喋りかける…
「——ってことなの。」
「あ~そっか生……」
「あー!言わないでって!!!」
ズキズキズキ…
「あたたた……」
「ご、ごめん…つい…。」
それにしても辛そうだ…男には一生縁のない悩みなんだろうな…千歌の痛みを知らない分俺がちゃんと面倒見てあげないとな。
「どうする?今日は一日休んでおくか?」
「うん…ごめんね悠之君…。」
「どうして謝るんだよ?」
「だって春休みいっぱい遊ぼうって…約束したのに…体調悪くしちゃって…。」
「そんなことでいちいち気にしなくていいさ。辛い時に無理しちゃうと体にもっと負担がかかっちゃうんだしな。」
寝ている千歌の頭をそっと撫でる。
「千歌は女の子なんだし、そんなに無理しちゃダメだ…それに俺には一生縁のない痛みなんだから…。」
「うん…ありがとう…悠之君…。」
~☆☆☆~
「朝食はどうする?こういう時って消化がいい物の方がいいのか?」
「んー、胃腸炎とかとそういうのとはまた違うから、あまり気にしなくて大丈夫だよ~。」
「そっか、じゃあいつも通りの感じでいいか。」
「うん!」
とりあえずいつも通りにトーストとサラダを用意する…。
「飲み物は何がいい?」
「うーん…ミルクティーがいいな~」
「あいよ~」
今はまだ普通だが、いつ痛みが走るかは分からない…。
「あ、そうそう。昨日の夜にこんな物が届いてたんだった…はいコレ。」
「あぁ~!内浦のみかんじゃん!!どしたのこれ?」
「志満さんが送ってくれたみたいだぞ。」
「ほんとだ!さすがはしまねぇ~♡」
千歌が幸せそうにみかんを頬張る…さっきまでの辛そうな表情とは大違いだ。
俺がみかんを持っていると、物欲しそうな顔をしてから口をあーんと開ける…沢山あるんだから自分で好きなだけ取っていけばいいのに…。
「はい、あーん…」
「あー……ん~っ!やっぱり美味しい!」
「わざわざ俺のから貰わなくても…まだいっぱいあるんだから。」
「んーん、悠之君に食べさせて貰うのが1番美味しいもん♡」
「はは…なんだそりゃ。」
♢
あれ梨子ちゃんと善子ちゃんからLINEがきてる…
『ごめん、今日はちょっと体調悪いから無理~ごめんね~。」
これで…よしっと…
「千歌、腹の調子はどう?」
「うん、今のところは大丈夫。」
「そっか、じゃあ何かあったら言ってね。」
「ありがと、悠之君はやさしいねぇ~ふわ…ぁ…。」
千歌が大きくあくびをする…
「なんだかまた眠たくなっちゃった…また寝るね…。」
「そっか、じゃあ…おやすみ。」
「まって~いっしょに寝てくれなくちゃや~だ」
「ダメだこの前なんて一緒に寝ようとしたら、話が止まらなくなって結局寝られたのは夜中の2時なんだからな。辛い時は早く寝る!」
「やーだー!お願い見捨てないでぇ~!」
「ダメなものはダメ…」
千歌が俺の袖をキュッと握って…涙目になりながら上目遣いをする…
ダメだ…今日くらいは押しに負けちゃいけない!
いつもこのパターンにやられてるんだから…流石に少しくらいは学ばなきゃ…!
「だって…悠之君がそばにいてくれないと…さみしいもん…」ウルウル
「でもな、今日は体調悪いんだから、早く寝た方が楽だぞ?」
「でも…急にお腹が痛くなっちゃったら…悠之君に一早く来てもらえないし…。」
「だ、だけど…な?千歌……?」
「それに…悠之君が一緒にいてくれたらきっと治るのも早くなると思うんだ…」
千歌俺の手を自分のお腹に当てる…同時に距離を詰めてくる
「お願い…」
それに…耳元で喋るから吐息が当たってくすぐったい…。
さて…普通の男子ならわかるだろう…普段は明るくて活発的な女の子が少し弱々しい雰囲気を出して、なおかつこんな風にお願いされたら答えは1つしかない。
「えへへ~ありがとう悠之君~♡」ギュ~
結果…こうなる。
「あ~やっぱり悠之君は温かいなぁ~♡」
はぁ…寝起きだから全然眠くならないや…
「千歌…胸当たってる…。」
「ふぇっ!?ご、ごめん…///」
「柔らかい…もっと当ててもいいよ。」
「もう…エッチ…///」
そんなこんなで、千歌の症状が治るのに三日かかった…そして、その三日間…同じような日々が続いた…。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~翌朝~
「ふぅ…やっと治ったぁ~!」
「そっか、お疲れさん。」
「でもよかったの?完全に症状が治りきるまで待たなくても……」
「デート中に貧血とか、吐き気とか、頭痛とか、そういうのが出てきたら楽しくないだろ?」
「たしかに…やっぱり悠之君は優しいね♪」
「そりゃあどうも。じゃあ…行くぞ。」
「うん♡」
~♪♪♪~
「それにしても、春に入りたてだってのに随分と暑いな。」
「ほんとだね~薄着で来て良かったかも~」
千歌がバックの中からタオルを取り出して、肩と頬を拭く…。
髪を少し伸ばしてからか、千歌のワンピース姿が凄く似合っている…軽く肩も出してて、春らしくて可愛いらしく着こなせてる…。
「悠之君?おーい?」
「ん?どうした千歌?」
「さっきから…肩ばっかり見てる。」
「そ、そうか…な?」
「絶対見てたって…肩を出すのってやっぱり千歌には早かったかなぁ…?」
「ううん、そんな事ないよ。今の千歌の雰囲気にすごく似合ってる。」
「ほ、ほんと…///」
千歌がニヤけそうなのを頑張ってこらえてる…
「隣で歩いているのが俺でいいのか…?って思っちゃうくらいに素敵だよ。」
「もうっ悠之君だってかっこいいんだからそんな事言わないでよ~」
「そうか?ごめんごめん。」
二人で会話してるとやっぱり自然と笑顔になれる…
「あ、見てみて!ソフトクリーム屋さんがあるよ!」
「急に暑くなったから売り出したって感じだな。よしっ買いに行くか。」
「うん!」
「すみませんバニラ2つで」
2本で300円か…まあまあってところかな。
二人でベンチに座る…ちょうど木陰の下なので、風通しがとても良い…。
「良いベンチもあるもんだねぇ…あ、悠之君!1口ちょーだい♡」
「いいけど、千歌も同じ味じゃなかった?」
「いいのいいの♡」
無邪気に口を大きく開ける…見た目は大人っぽくなってもやっぱり千歌は無邪気な笑顔が1番可愛い。
「あー……ん~っ!やっぱり美味しい!」
「そりゃあ同じ味ですから。」
「ちがうちがう~悠之君が食べさせてくれるから美味しいの♪」
「またまた~」
「はい!悠之君もあ~ん♡」
「あー…やっぱりバニラだな。」
「もぉ~返して欲しいセリフと違う~!」プンスコ
~☆☆☆~
それにしても心地よい風だ…ここに座っているだけで寝られそうな感じだ…。
「千歌そろそろ……ありゃ寝てる…。」
なんか肩が重たいと思ったよ…。
10分くらい…だからな?
~Zzz…~
「~じ君」
ん…?あぁ…きっと 俺もつられて寝ちゃったのか…でも…まだ少し意識が遠いな…
「中々起きないなぁ……う~ん…あ、そうだ!」
おや…今度は何を…?
少し目を開けると千歌の顔が至近距離に迫っていた…。
え………?
柔らかい感触が唇全体に伝わる……この瞬間に俺の体の全神経が目覚めた…。
「やっと起きた~♪」
「ち、ちちち千歌ぁ!?一体何を…して…///」
「おぉ~顔を真っ赤にしてる悠之君もこれは中々レアな…」パシャパシャ
「ちょっ…///写真はよせええええ!!!」
♢
二人で買い物をしていると、千歌が何やら俺の横顔をじっと見つめてくる…
「千歌…?」
「……」ジーッ…
「ちーか?」
「おわぁっ!な、なに悠之君?」
「俺の顔になにか付いてたか?」
「い、いや…悠之君ってピアス開けてたんだね。」
「ピアス?あーこれ?」
自分の耳たぶについてるピアスを揺らす。
「これはノンホールだから、ピアスは開けてないよ。」
「のんほーる?」
「こういうタイプは穴を開けなくてもピアスがつけられるんだ。付けてみる?」
「うんうん!」
自分のピアスを外して千歌に付けてみる…。
「うーん…これはメンズ用だからちょっと千歌には似合わないか…。」
手鏡を千歌に渡す…。
「どれどれ~?う…確かにこれじゃちょっとヤンキーみたいだね…」
「千歌もピアスがしたいのか?」
「うん、最近ちょっと気になってて…穴を開けなくてもいいならちょっと付けてみたいな~」
「よし、じゃあちょっと見に行こう。」
自分の行きつけの店に案内する…。
「ん~どういうのが似合うかな~?」
「千歌が付けるなら少し小さめくらいなのが可愛いく見えるかもな。」
あれこれ悩んだが、やっぱり……
「これ!このお揃いのにしようよ!」
ま、アクセサリーとなるとやっぱりカップル系のやつが1番いいかもな。お揃いにもなるし。
「だな。千歌には1番これが似合ってるしそれが良さそうだな。」
早速購入し、そのまま千歌に付けてみる…。
「これは右と左、どっちに付けたらいいの?」
「男は左、女の子は右につけるんだよ……はいできた。」
鏡で確認する…。
「おぉ~似合ってるかな?」
「あぁ、可愛いらしくてとてもいいよ。」
「ありがとう♪悠之君もすっごく似合ってるよ♡」
「ほんとか?ありがとうな。」
外を見ると、すっかり夕日に変わっていた…。
「そろそろ家に帰ろっか。」
「そうだね~夕飯の支度もしなくちゃね。」
「今日は何にしようか~」
「千歌はね~今日はハンバーグがいい~」
「え~一昨日食べたばっかじゃなかった?」
「ハンバーグは特別なの~♪」
「やれやれ、仕方ないな~」
二人で手を繋ぎながら真っ直ぐ家に帰る…夕日がピアスを綺麗に照らしていて、少し眩しい…。
今日またひとつ…思い出の宝物が増えた。
高海千歌(大学生…この作品の場合)
変わった点
・また少し胸が大きくなった。
・髪を伸ばした…セミショート→セミロングに
・相変わらず無邪気☆