みかん色の風   作:OCEAN☆S

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第37話「幻影」

~沼津~

 

喫茶店の中…

 

「ねえ、善子ちゃん?」

 

「何よ?ずら丸。」

 

「さっきからずーっと呼んでたのに気づかなかったずら?」

 

「えぇ…ちょっと考え事をしちゃっててね…。」

 

 

私は素っ気なく返事をする…

 

 

「くすっ最近善子ちゃんなんだか変ずら♪」

 

「何がよ?」

 

「昔みたいにゴスロリっぽい服とか全然着なくなっちゃったし、なんだかオシャレな女の子みたいになっちゃったずら。」

 

「そうかしら…?昔から私はこんなもんよ。」

 

「ふ~ん♪もしかして好きな人とか出来ちゃったずら?」

 

「なっ///誰も悠之さんのことが好きだなんて…///」

 

「だ~れも、悠之さんだなんて言ってないずらよ~♪」

 

 

ずら丸め…完全にはめられた…

 

 

「あ~もしかしてその事で悩んでたずら?ダメずらよ?悠之さんには、もうお相手が……」

 

「ずら丸。」

 

「…ご、ごめんずら…調子乗っちゃって……」

 

「いや、ごめん…そういう事じゃなくて……」

 

 

怯えているずら丸を落ち着かせる……

 

 

「ねぇずら丸…幻影ってさ…あると思う?」

 

「幻影…ずら?なんで急に…?」

 

ずら丸になら…言ってもいいか。

 

「実は…この前東京から帰っている時にね。」

 

 

~~~☆☆☆~~~

 

~電車内~

 

 

はぁ…やっぱり悠之さんには、千歌の方がお似合いなのかしら…はぁ…天に味方されないのもこれもまた運命なのね…。

 

 

電車が駅に停車し、人がぞろぞろと入ってくる…。

 

 

なんか…急に人が増えたわね…ちょうど退勤する時間なのかしら?

 

 

扉が締まり、電車が発進する…。

 

 

発進して2分くらい経ったあとの事だった…。

 

 

(それにしても人が多すぎるわ…ぎゅうぎゅうだから凄く暑苦しいし…今日もついてないわね…)

 

パシャパシャ…

 

そう考えていると…何やらシャッター音のような音が聞こえる…スクショでもしてるのかしら?マナーモードくらいにはしときなさいよね…。

 

 

でも…私は気づくのが遅かった…。

 

 

下半身の部分にひんやりとした感覚が伝わる…この感じ…もしかしてさっきまでのの音は…!?

 

 

誰…!?また今シャッター音が聞こえたから、恐らくスマホを下の方から覗かせてる人のはず…。

 

私の正面から横にかけてはそんな人はいない…やっぱり後ろの…?

 

 

今度は何やら下着が引っ張られるような感触が伝わる…少し慌てたが私はその人の手首を無理矢理掴めた。

 

私は後ろを振り向き、男にがんを飛ばす…

 

「ねえ、貴方よね…私の事をずっと——」

 

 

そう言いかけたとたん…私の口を無理矢理塞ぎ込む…。

 

 

 

「ねえ…『堕天使ヨハネちゃん』だよね?」

 

「…!?」

 

「結構プライベートだとオシャレで可愛い服を着てるんだねぇ…自分の事を堕天使って言うくらいだからもっと違うのを想像しちゃったよ…。」

 

 

声のトーン的に…男…?今私は…顔も分からない男に痴漢されて……

 

 

「下着も随分可愛いのを履いてるんだねぇ…電車で揺れた時に見えちゃったからついつい撮っちゃった♡」

 

 

最悪……この男…最低のクズだ…!

 

 

早く…逃げないと…こんな男のペースに飲まれちゃダメ…!

 

 

「それに…ヨハネちゃんの、アレ…もちゃんと撮れちゃったしね♡」

 

 

な…!?嘘でしょ…!?さっき下着を引っ張られたような感覚は……

 

 

「驚いた顔をしちゃって~もしかして気づいていなかった?随分のんきなんだねぇ~そうだ!せっかくだし、撮った生写真見せてあげようか?中々見る価値はあるよぉ?」

 

 

嫌…やめてよ…お願い…誰か助けて…。

 

 

 

パシャ…

 

また…シャッター音がなる…?でも、私の近くでは無い…一体どこから?

 

 

「おい、今俺のことを撮ったやつは誰だ!?」

 

私を取り押さえてる男が大きな声をあげる…それと同時に、視線が私達の方へ向く…。

 

 

『え…痴漢?』

 

『警察に通報するか?これ?』

 

 

馬鹿なヤツね…自ら目立つ行動をするなんて。

 

 

「おい、お前だろ俺のことを撮ったのは!いいからスマホをよこせ!!」

 

 

男が叫び込んだ…その視線の先に居た人は驚くべき人物だった…。

 

「悠之…さん?」

 

でも、私は疑問に思った…。

 

それは、いつもの悠之さんとはまた違ったような雰囲気…それに、身体もなんだか、高校生の時に近いような体格をしている…。

 

顔や、目つきは悠之さんそのものなのに、雰囲気は全く別人のようだ…。

 

 

「スマホをよこせってんだよ!早くしろボケ!!」

 

「(こんの…!!)」

 

男が彼に夢中になってるうちに、かかとで男のすねを蹴る…男は軽く怯んだので、その内に逃れられた…。

 

 

「悠之さん!今あいつにいろんな所を盗撮されて……」

 

「………」

 

「悠之さん…?」

 

悠之さんは無言のまま私の頭を撫でる…

 

「ゆ、悠之さん…こんな事してる場合じゃ…///」

 

「なにイチャついてんだ!早く…スマホを…」

 

 

 

一瞬…悠之さんがパッと動いた瞬間…。

 

 

私には何が起きたのか…分からなかった…。

 

 

何かがぱっと光ったような…ほんの一瞬の出来事だった…。

 

 

 

ただ、今認識できるのは、目の前の男が気絶して倒れていて、あの男のスマホは他の人が取り上げてた…

 

 

「君大丈夫?」

 

「怪我はない?あの男のスマホは今俺達が全部消去してるから安心して?」

 

「あ…はい。」

 

 

どこかの学校の男子高生達がその男を捕らえていた…。

 

 

「悠之さん、さっきはありが……あれ?」

 

 

そこには彼の姿は無かった…。

 

 

そして、その後警察に連絡し、無事事件は解決できた…。

 

 

 

 

~~~☆☆☆~~~

 

 

「——って事がこの前あったのよ…。」

 

「許せないずら…善子ちゃんに痴漢だけじゃなく盗撮までするだなんて…。」

 

「ヨハネよ…でも、写真とか全部削除されたし、男も逮捕できたから一安心よ。」

 

「そっか…だから最近善子ちゃんはゴスロリっぽい服とかあんまり着なくなっちゃったんだね…。」

 

「別にそういう訳じゃ……でも、ネットの本当の恐ろしさはこの身体で強く実感できたわ…。」

 

 

でも、あの時私のそばに現れた悠之さんは一体なんだったのかしら…?

 

あのあと、悠之さんに兄弟とかいるのか聞いてみたけれど、悠之さんは一人っ子だった…。

 

 

「じゃあもしかしたら、善子ちゃんの言う通り幻影かもしれないずら。」

 

「なんで、そんな風に断言出来るのよ。」

 

「きっと善子ちゃんの愛の気持ちが悠之さんに届いて……」

 

「バカね、そんな事があるわけがないでしょ?」

 

「堕天使とか、占いとかは信じているのに?」

 

うっ…それを言われると否定出来ない…。

 

 

「だから、善子ちゃんは悠之さんの事をずーっと好きでいていいと思うずら!出会うのが遅かったとか関係ないずら♡」

 

「そうね…まあ、それも悪くは無いかもしれないわね。」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「あの…千歌さん?」

 

「うーん…なぁに?ダイヤさ~ん…」

 

「なぁに?じゃありません!人の家に上がり込んではダラダラとして…そんな風に過ごすのなら、家でのんびりすればいいのでは!?」

 

部屋全体に大きな声が響きわたる…。

 

「だって…悠之君は今日授業でいないし…今頼りに出来るのはダイヤさんだけなんだもん…。」

 

 

ゴロンと寝返りを打つ…。

 

 

「そんな硬い事言わなくても…ダイヤさんも一緒にゴロゴロしようよ~♡」

 

むぎゅう~

 

「あ、暑っ苦しいですわ!早く離れなさい!」

 

「え~ダイヤさんのケチ~」

 

「それが人の家にお邪魔しに来る態度ですか全く……」

 

 

 

「……いつも悠之さんとこんな事してるんですか?」

 

「え?うーん…まあ、いつもかなぁ~」

 

「そんなに毎日くっついてると飽きたりしませんの?」

 

「ん~あんまり飽きたりはしないかな~悠之くん成分をほきゅ~♡みたいな?」

 

「はぁ…ある意味羨ましいですわ…。」

 

 

ぐ~…

 

「ダイヤさん~お腹すいたよ~」

 

「全く仕方ないですわね…おうどんさんでもお作り致しましょうか?もちろん、あなたも手伝うのですよ?」

 

「は~い♡」

 

 

~♪♪♪♪♪♪~

 

あれ…?悠之くんから電話だ…どうしたんだろ?

 

「もしもし?悠之くん?」

 

「おー、千歌今どこにいるの?」

 

「あー今ダイヤさんの家にいるよ~悠之くんも来る?」

 

「うーん…迷惑かもしれないから俺は別に……」

 

「千歌さん、少し電話代わってもらえますか?」

 

「え?うん。」

 

何やら話し声が聞こえる…

 

「悠之さん。」

 

「ダイヤ?どうしたの?」

 

「少しお話しが…」

 

 

 

ダイヤが発した言葉は予想を遥かに上回る言葉だった…

 

 

 

『学生時代の俺を見かけた…?』

 

 

 

 

謎の言葉に俺はその場に立ち尽くした…。

 

 

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