~朝方
「千歌~しいたけのお散歩行ってきてくれない~?」
「え~?いつもはみと姉が行ってるじゃんー!」
「たまにはあんたも行きなさいよ。」
「わ、わかったよ~」
~~~~~
「——っというわけで悠之君。千歌と一緒にお散歩いこ?」
新学期の早朝からいきなり俺の布団にのしかかって来るから宿題のやり残しか何かと思ったが……そんなことか。
「分かったよ、じゃあ着替えるからちょっとまってて。」
「うんっ!」
「わあぁ…悠之君のブレザー姿もカッコいいね…。」
「あ、あんまりジロジロ見るなよ……」
千歌が犬が匂いを嗅ぐように、俺の周りをぐるぐる回りはじめる……
「そういえば千歌の制服姿の見るの初めてかも…。」
「そ、そう…?……似合ってるかな?」
「ああ、千歌は何を着ても可愛いよ。」
「ほんと?嬉しい!」
~~~~~
「それにしても、しいたけは俺がいない間に随分でかくなったな。」
「そうかな?悠之君がいた頃からこのくらいじゃなかった?」
千歌と一緒に歩いていると、1人のおばあさんがあるいていた。
「あらぁ…今日は高見さんの妹さんがお散歩をしているの?」
「あ、おばあちゃん!おはようございます!」
「ん?この人は千歌の知り合いなのか?」
「うん!よくこの時間を歩いているんだ~」
そのご老人を見ると、とても優しそうな瞳をしていた……。
「それにしても、千歌ちゃんったらいつの間にボーイフレンドを作ったの?」
「ぼ、ボーイフレンド!?」
「あ、あの……私達まだ……」
千歌が必死に否定する…。
「若いって羨ましいわ……その人と仲良く…大切にするのですよ。」
「だ、だから違うんですって、おばあちゃん…」
「はい!俺はこの子を必ず幸せにします!」
ちょ…ちょっと!悠之君何言っちゃってるの!?私は……悠之君に想いが伝えられて……
「まぁ…なんて頼もしい人なんでしょう……千歌ちゃんの事をよろしくお願いしますね?」
な、なんでおばあちゃんがお母さんポジションになってるの!?
「ゆ、悠之君!お散歩が…」
「あ、いっけね!急がないと……おばあさんさようなら!」
「ええ…足もとに気を付けるのですよ~」
「悠之君、さっきの言ったこと本気?」
「うん?」
「その……幸せにする…って///」
悠之が千歌に顔を近づけて…
「もちろん、俺は千歌を幸せにするよ!」
悠之君はずるいよ……私には言えないような事を、かんたんに口にしちゃうんだから……私にもそのくらいの勇気が欲しいよ。
「それって……悠之君と私が結婚するってことなのかな?」
「ん?何か言ったか?」
「な、なんでもないよ……///」
悠之君と……結婚……したいなぁ♡
~~~~~
「「ただいま~」」
「「おかえり~!」」
俺達が旅館に戻ると果南と曜がお出迎えしてきた。
「な、なんで果南と曜がここに来ているんだ?」
「いや~新学期が始まるし、昔みたいにみんなで学校に登校しようかな~って。」
「それに見せたいものもあるし!」
曜が1通の手紙を見せる。
「それはなんだ?」
「見てみればわかるよ~」
俺達は居間に移動する……
「えっと…差出人は……黒澤ダイヤ?」
『お久しぶりです。いきなりですがこの間のお礼がしたいので、今週の休日に私の家に来ていただけませんか?』
「いや、なんでこの手紙が果南のところに来てるんだよ。」
「さぁ~住所がわかんなかったんじゃない~?」
「それより、この手紙の内容…遠回しに遊びに来てって言ってるよね……」
「もしかして……ダイヤさんって…。」
4人『おちゃめ?』
俺と千歌と果南、曜の4人で学校に行くのは3年ぶりだ…俺の高校が千歌達の中学校と途中までバスが同じでとても嬉しく思う。
「こうやってみんなで学校に行くのは久しぶりだね~」
「そうだね~悠之君がいるだけでこんなにも雰囲気が変わるね。」
「そういえば、悠之君って前までどこに引っ越してたの?」
曜が俺に尋ねる。
「俺は、3年間東京に引っ越してたんだ。まあ、母さんの事務所が東京に移動する事になったからだけどな。」
「東京!?こことは比べられないほどの都会じゃん!」
みんな東京が都会だ~っていうけど…実際住んでみると結構大変な街なんだよな…便利だけど…。
「で、東京では彼女はできたの?」
「(ビクッ)」
果南が余計なことを聞く…
「別にいないよ、てゆうか東京でそんなにたくさん友達は作ってないし…」
「え、そうなの?」
しばらくすると千歌達の中学校が見えてきたので、千歌達がバスから降りる。
「じゃあ、2人とは一旦お別れだな。」
「うん、またね悠之君!」
「ああ、気をつけてな。」
千歌と曜がいなくなったので今は果南とふたりきりか…。
「最近千歌とはどうなの~?」
「どうって…別に普通だけど。」
果南が楽しそうな目で俺に聞いてくる。
「でも、2人ともよく手を繋いだりしてるし。そろそろ友達以上の関係に……いや、もうなってるか。」
「いや…まだだけど。」
「ええっ!そうなの!?」
果南がバスの中で大きな声を出す…ほかに人がいなくて助かった……
「えー2人ともあんなに仲いいんだし…もう付き合っているのかと。」
「俺は結構アピールするんだけど、千歌がちょっと恥ずかしがっちゃうから……」
「確かに千歌はこういう時は結構、消極的だもんね…。」
まあ、俺は恥ずかしがってる千歌を見るのが一番好きなんだけどな……これは変態的な意味ではないぞ、趣味だ。
「悠之君は、千歌の事好きだもんね。」
「……まあな。」
「そっか……だよね。」
「……?」
果南と話していると、浦の星女学院が見えてきた。
「じゃあ、私はここで。」
「ああ、またな。」
~~~~~
ここが新しい高校か……転校ばかりしてきたからあまり違和感はないな。
俺は理事長に挨拶するため、理事室に向かったの……だが。
「はぁい♡君が~小野君ね?」
「は、はい…」
「まぁ~写真で見たとおり素敵な男の子だこと~お相手はいるのかしら~?」
な、なんだ…!?この変に奇妙なテンションな理事長は!?
「い、いや…特には…。」
「え~嘘おっしゃぁい~。こ~んな素敵な子には素敵な子がふさわしいわ~……例えるなら…私みたいな~?」
うっわ……マジで絡みにくいなこの理事長…とゆうか気持ち悪い…。
「えっと…そろそろ僕のクラスとかの説明を…」
「あ、ごめんなさ~い。では早速あなたの教室にご案内するわ~。」
理事長に教室を案内されながらいろんなことを聞かれたが、大体適当に流した。
「は~い、皆さん注目~!」
「誰?」 「かっこいい…」 「背高い~」
沢山のつぶやきが聞こえるが…まあ、大体無視しとくか。
「今日からここの学校に転校することになった小野君で~す。小野君は東京から来たイケメン都会人だから」
「すごーい!」 「羨ましい~!」
そんなに棚にあげんなよ、この理事長……ったく
「東京から転校してきた、小野悠之です。これからよろしくお願いします!」
パチパチパチパチ……
「ちなみに私はこの学校の理事長……」
「あんたの自己紹介はいらねえよ。」
俺の自己紹介が終わるとたくさんの質問が始まった…受け答えするのがかなり面倒だな。
「悠之君の好きなスポーツは?」
『サッカーかな。』
「嫌いな食べ物は?」
『……せろり』
「彼女は?」
『……いない』
「好きな歌手とかは?」
『いや…特にいないかな。』
引越しを繰り返している人には分かるはず……転入生は必ず質問攻めに答えるのが一番面倒な作業だってことを…。
「はい、質問はそこまで。悠之君は空いてる席ならどこにでも座ってもいいわよ。」
俺は適当に窓際の席に座った。
「小野さん…よろしくね///」
「……よろしく」
当然空いてる席でも隣には必ず女子生徒がいる……俺は適当に選んだのだが、どうもこの子は自分が気に入られたと残念な勘違いをしているようだ…。
「はぁい、今日は新学期初日だからこのまま下校になりまぁす。」
——って理事長がこのクラスの担任なのかよ!?ハズレを引いた気分だぜ…。
「ねえ、小野さん一緒に帰らない?」
さっき席が隣だった子に声をかけられる……帰りにおそらく千歌と一緒のバスになるはず、この女が一緒なのははっきり言って困る……ん?
この子のバスの定期を見ると俺とは反対方向のバスのようだ。
「悪いけど、君の持っている定期だと一緒には帰れないから……」
「そ、そうなんだ…ごめんね。」
「いや、きにしなくていい。」
いよーし!ここは突破できた!後は普通に帰るだけ…。
「小野君~まだ君の教材とかが渡せていないわよ~♡」
うっわぁ……まだモンスターが残っていたのか…。
「いや、教材は明日でも……」
「だ~め~」
理事長に思い切り肩を掴まれる……
「ちょっ!離せよ!この変態理事長!!」
「う~ん…この抵抗感…たまらなく。す…き…♡」
だ、だめだ…何を言っても通じない……こいつは本当のバケモノだ……たすけ…て。
俺は無理やり連行されて教材を受け取った。
「うわぁ…結構な量だな」
「まあ、たくさんあるけど頑張って持ち帰ってね~」
「へーい…。」
うわぁ…この時間で結構持っていかれたな……15分くらい使った気がするぜ……さっき写メでとったバスの時刻表を一応見てみるか…。
あ、まだ五分ある!いつもなら遅くて腹立つ所だけど今は助かった!
そして、俺はバスに乗りみんなが乗ってくるのを待った…そして一つ目のバス停で果南が乗車した。
「あ、悠之君。新しい高校どうだった?」
「色々とヤバかった……」
「な、何があったの…?」
「まあ…みんなが乗ったら話すよ。」
そして二つ目のバス停で千歌と曜が乗って来た。
「あ、悠之君~。……なんかやつれてない?」
「ほんとだ~大丈夫?」
「大丈夫……ではないな…。」
俺は今日の半日の出来事をみんなに話した。
「うわぁ……それは大変だったね~」
「勘違いしてる女の子がかわいそう…。」
「その理事長に会ってみたいな~」
「おまえらな……俺はすごく大変だったんだぞ…。」
みんなは分からないんだ…俺の苦しみを……理解できるはずがない…
こんな学校に後…約1年も通うなんて…
「それにしても、勘違いしてる女の子は放っておくとちょっと厄介なことになるんじゃない?」
「なんで?」
曜が不安そうに話す。
「だって、悠之君には千歌ちゃんがいるじゃん。」
「よ、ようちゃーん…。」
「確かに……思い違いでトラブルになっちゃうかもしれないね。」
果南が真面目な顔をして言う…果南のいうことは大体正しいから信じた方がいいかもしれない。
「あ~あ…これからの高校生活が雲行きが怪しくなってきたな…。」