とある仮定の破綻論理   作:無法松

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気が向いたときだけ書きます


=0 賢い選択

これは、ある男がちょっとだけ選択を変えたお話。賢い選択を、頭の悪い選択に変えたお話。

 

「つまり、俺に銀行強盗をやれと、そういうワケですか。」

「その通りだ。お前、今月分の利息、払えそうにないんだろ?」

「だからって…」

「いいから、な?おれの指示通りにしてれば間違いねぇって。」

 

とある第7学区の廃ビル。(自称)暗部組織セクトの支部(勝手に使用)で、俺は先輩に無茶をかまされていた。

俺の名は仮名某怪(かりなほうかい)。絶対等速とという能力を持ち、levelは4だ。そしてこの先輩は耳ピアス。耳にピアスは普通だが、こいつは一杯付けてて分かりやすいからそう呼んでる。心の中で。そして無能力者だ。大能力者である俺が何でこいつに敬語なのかというと…何のことはない、借金だ。ちょっとした遊び(・・・・・・・・)が過ぎて借金を背負い、利息がかさみ…最終的に、こいつのいいなりになるくらいにまで大きな額になった。そして首が回らなくなった俺に、とうとうこいつらは犯罪を持ちかけてきたというわけだ。だが…

 

「早く腹決めろよ、オマエみたいなクズは、黙っていうこと聞けばいいんだよ。」

「ハァ…いい加減、うんざりだ。」

「あ?何だと?」

「うんざりだっつってんだよ耳ピアス。てめえのいいなりに何ざ誰がなるか!」

「な…ん、だとテメェ!俺に逆らってただですむと…」

「『絶対等速』ッ!」

 

俺は耳ピアスの腹に蹴りを入れると、ポケットからパチンコ玉を取り出して奴の頭を掴み、こめかみにあてがった。

 

「アンタ知ってるよな?俺の『絶対等速』は何があろうと、投げたものが壊れるまで前に進み続ける。ココで俺がチョッと玉を弾けば、お前の頭を貫いてもこいつは止まらない。」

「ひ、い、なん、なんで」

「なんでだろうね全く。いつもの俺なら、ここであんたに従ってただろうに。でも、なぜか今日はそうしたくない気分だったんだ。」

 

そういうと俺は耳ピの頭を地面に叩きつける。

 

「ギャアッ!」

「そこで寝てろよlevel0。どうせオマエ一人じゃできないから俺を呼んだんだろ?情けねぇ奴。」

「く、くそがあ、てめぇなんざ、いなくても、できる仕事なんだ、てめえ何ざいらねえんだよ!」

「そうかそうか、じゃ、いらないやつはすぐ帰らせていただきますよ。」

 

おれは踵を返すと、そのまま廃ビルを後にした。

 

 

 

(やっべええええやっちまったああああ!これ、あとから復讐とかされちゃうパターンだよこれ!)

 

当てもなくふらふらと歩きながら、冷静になって自分のしたことを考え直すと寒気がした。

 

(家はバレてるし、携帯番号も把握されてるし、ヤバイなぁ。取り敢えず、第7学区を離れよう。それと、当面の生活費も引き出しておかないと。)

 

そう考えた俺は、取り敢えず近くの銀行に向かうことにした。

 

「の前に、少し打っていくか。」

 

通りには、新台入れ替えののぼり。これもまた、俺の借金の一因だったりするんだが…やめられねぇ…

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「はは…まさか全額スるとは…」

 

向かった先は、いそべ銀行第7学区第3支所。ここは支所の中でもわりと繁華街に近く位置してるせいか、そこそこ規模が大きい。

 

「…中学と言えば、学園都市でも五本の指にはいる名門校ですよ!」

 

ATMに並ぼうとしているとき、近くの女の子二人が話している会話が聞こえてきた。何中学か聞き取れなかったが、常磐台か長点常幾か、その辺りの金持ちがいくところだろう。俺もそんなところに行けてればな…と、過ぎ去った青春時代を懐かしみつつ、金を下ろそうとして残高に愕然とした。

 

「残金、5万…?」

 

しばらく入金していなかったが、そんなに少なかったか。見れば、耳ピの引き落としが20万をこえており、やはりアイツかと歯噛みした。そんなとき

 

パァンという乾いた音が、時を止めた。

 

音の方を向くと、耳ピアスがいた。え、マジ?コイツ、自分で強盗するのか?無能力者なのにアホだろ。

 

「おかしな真似なすんなよ、お、お客も、あんまり騒がないでくれよな。」

 

わーお、マジかよ。てかこれやばくないか俺。アイツに顔見られたら問答無用で撃たれそう。そろりそろりと後ろに下がる。と、突然、ツインテールの女の子が耳ピに向かって走りだし、爪先を思いきり踏みつける。

 

「んぬぉわぁ!?んだテメェ!?」

 

耳ピの動揺を意に介さず、思いきり足払いをかます。倒れた耳ピの腹を踏みつけ、制圧完了。

 

(うわぁ…アイツだせぇ…)

 

まさか日に二回も年下に叩きのめされるとは。合掌してあげたくなるくらいだ。

 

一件落着と行った空気が銀行内に流れたそのとき、女の子の悲鳴が響く。

 

「なんだ、ガキにのされちまってんじゃねぇか。使えねぇ野郎だ。能力者には逃げられるし、こいつ本当においておきたくねぇぜ。」

 

そう吐き捨てた男の手にはナイフ。その凶器は先程楽しそうに話していた少女の首筋に突きつけられ、顔を歪ませている。

 

「初春ッ!」

 

ツインテールの子が叫ぶ。不味いんじゃないのかそれはと思う暇もなく、

 

「あ?お前の知り合いか…こりゃ好都合だぜ。おっと動くなよ、お友だちの顔を傷だらけにしたくなきゃな。」

 

走りよろうとした彼女を牽制するように、男がいう。おれはソイツに見覚えがあった。耳ピがペコペコしていたのを見かけたことがある。恐らくあいつの上司か何かだろう。スキンヘッドの大男で、たしか能力者だったはず。自称暗部組織とはいえ、能力者が2、3人いるだけでも驚異だ。

 

「お前ジャッジメントか?他の仲間はどうした?今のうちに出てこねぇと…」

 

そういいかけた男の声が、警報によって掻き消される。恐らく銀行員の誰かが押したのだろうが、はっきりいって不味い。これでは犯人をいたずらに刺激するだけだ。シャッターがしまり、銀行は完全に封鎖された。

 

『セキュリティ信号を受信しました。侵入者を排除します。武器を捨てて床に伏せてください。』

 

どこからか、警備ロボットが現れ、犯人に向かう。しかし、犯人には焦りが見られない。むしろ好都合と言った顔に不安を覚える。

 

『警告完了。実行します。』

 

ロボットは三本足を露出させると、モーターを唸らせ突進する。好機と見たか、ツインテールの子も同時に動き、飛びかかる。

 

「ふん、吹っ飛びな!」

 

男が腕を振るうと、液体のようなものが飛び散る。横合いから誰かが飛び込み、女の子は脱出したが、代わりにロボットはモロに浴びた。と同時に、爆発を起こした。

 

「先輩!?」

 

どうやら、先程助けに入ったのはジャッジメントの人間で、あの子の先輩らしい。どうやら負傷したらしいな。そこに犯人が走りより、容赦なく蹴りを加える。

 

「ネズミはあぶり出せたらしいな。」

「し、白井さん!」

「おっと!」

 

花の女の子の腕を掴み上げ、動きを封じる。そしてツインテールの子の足を踏みつけた。

 

「うぅぅっぐあぁ…」

「白井さん!」

 

さてさて、俺はまあ、自分のことを身のほどをわきまえてると思ってるし、ここで助けにはいるなんてのを悪手過ぎるとは思う。でもさすがに…

 

「小さな女の子があんなに痛め付けられてんのに見てるだけってのは、チョッとな…」

 

やっぱり今日のおれは、どっかおかしくなってるらしい。

 

「『絶対等速』」

 

ポケットのパチンコ玉を取り出し、足元に狙いを定める。そして、叫ぶ。

 

「お前ら離れろ!」

 

思いきり振りかぶって投げたパチンコ玉は、犯人の床をえぐり、隙を作る。少女たちの方を見ると、キュンッという音と共に花頭の少女が消えた。

 

「すっげぇ、テレポートかよ。」

 

呟いている俺に、あの男が迫っていた。

 

「テメェ!何してくれてんだぁ…よッ!」

 

男が腕を振り、またあの謎の液体が飛ばされる。何とか避けるが、床に飛び散ったそれが破裂する。

 

「うぉッ!?」

「くっははは!俺様の『即席爆発(インスタント)』でふっとんじまいな!」

 

無様に転がりながらも直撃を避け、ツインテールと合流する。彼女の方も痛め付けられて大分まいっているようだ。

 

「大丈夫か?」

「ええ、何とか。」

「やれるか?」

「時間を稼ぐしかないですわ。」

「そうだな、よし、やってや」

 

ドゴォンッッッ!という轟音と共に、シャッターがぶち破られ、一瞬犯人の注意がそれた。

 

「今ですの!」

 

その隙を見逃さず、ツインテールが走り、犯人を見事に投げ飛ばす。そして俺が犯人の頭に、鉄球をあてがう。

 

「さて、こいつがお前の頭をぶち抜くのと、お前が腕を振るって俺たちを爆殺するの、どっちが早いと思う?」

「ぐっ…クソッ!」

 

犯人が体の力を抜いた。どうやら諦めたらしい。

 

「た、助かったの?」

「嘘…」

「や、やったぞぉ!」

「助かったぁ!」

 

銀行員や野次馬たちがそれぞれ安堵の言葉を口にする。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

しばらくたってから、アンチスキルが到着、怪我の治療なんかをしてもらった。幸い掠り傷で終わった俺は、怪我の重そうなあの少女の様子を見に行くことにした。

 

「なんとか、助かったみたいだな?足大丈夫か?」

「ええ…あの、助けてくださって、ありがとうですの。」

「いいよお礼なんて。もっと早く助けにはいってれば、こんな大事にはならなかったかもしれないし。それよりお礼をいうべきなのは、あの電流だろうな。」

「あれは、一体どなたがやったものなんでしょう?」

「さあね、しかしとんでもない目に遭った。」

「あ、よろしければ、お名前を教えてくださいますか?あとでジャッジメントのほうから、正式に感謝状等が送られるでしょうし、実際それだけの協力をしていただきました。」

「ん?まあ、いいけど、感謝状かあ…どうせなら仕事がほしいってのは、贅沢だよねぇ…」

「いえ、そうでもありませんよ。」

「固法先輩!お怪我は大丈夫なんですか!」

「お陰様でね。それより、あなたジャッジメントに入りませんか?」

「え、俺が?でもジャッジメントって、たしか生徒だけなんじゃなかったか?」

「ええ、特例中の特例です。かなり上の方からのお達しで。」

「上の方?どういうことだ?」

「詳しくは、私から説明いたします。」

 

その言葉と共に、黒服の男がいつのまにかたっていた。どうやら、働き口はもらえそうだ。何だか怪しい雰囲気はぷんぷんするが。

 

 




ちょっとだけ絶対等速を強くしてあります。具体的には、『投げたものが投げた速度で飛ぶ』です。
あと、オリジナル能力『即席爆発』は、ニトログリセンのようなものを腕からにじみ出させることができる能力で、スキンヘッドくんはそれを飛ばすことで攻撃を行いました。もっと他に使用方法ありそうですね…
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