とある仮定の破綻論理 作:無法松
思わせ振りなキャラ、無駄に深読みさせようとする展開…き、きっと回収して見せます
上条当麻。
能力を打ち消す不思議な右手。
あの夜に見た、level5の電撃を片手間に散らす姿。
上条さんと名乗っていたあの少年。
それらのピースが繋がり、ステイルという男を打ちのめしたその人物を俺は容易に想像することができた。
あの少年、幸薄そうな顔をしているとは思っていたがこんな厄介な連中に絡んでいるとは。全く知らない人間ならともかく、少しとはいえ言葉を交わした相手が危険にさらされるのを黙っているのは少々心が痛む。しかし、暗部の人間として見捨てるのが正解。
(まあ、なんだ。自分から厄介事に首突っ込んだのか巻き込まれたのかは知らんが、許せよ。俺も自分の命が惜しいんでな。)
結論はすぐに出た。人助けをするためにこんな仕事をしている訳じゃない。
「そんな奴がいるのか、驚いたな。」
「ええ、我々としても想定外の事態です。彼の後ろ楯も未だ不明ですし、調査をしない限りは手を出しづらい状況にあります。」
後ろ楯。恐らく何の支援もない一学生が策も無しに首を突っ込んでくるはずもないという考えの上だろうが、彼に支援者などいないだろう。この勘違いは上条にとって貴重な時間稼ぎになる。2、3日もすれば発覚するとはいえ、余裕というものはいくらあってもよい。
「学園都市側はアンタらの行動を黙認しているとはいえ、あまり目立つことはしないでくれよ?」
「人払いの仕方はあなた方より心得ているつもりです。」
「あそう。んじゃあまあ、頑張ってな。」
そう言ってトラックに乗り込み、エンジンをかけ発進させる。
彼女がかなり深い部分の人間でなければ目に触れさせたくないというほどの重要人物には思えない。多少ファッションに難があるがそれ以外はいたって普通。むしろ頭のネジが飛んだ木原共なんぞよりよっぽどまともだ。
「さっきのカード使って魔法でも使ったりしてな!ハハハハハ!」
バカみたいな想像をして一人バカ笑いする男は、端から見ればただの陽気な運送屋といったところだろう。
今日も学園都市は平常運行だ。
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「全くあの人と来たら!今日はタッグで見回りするはずですのに!」
肩を怒らせて歩く白井黒子の顔を見てギョッとした通行人が道を開ける。
本日は風紀強化デーということで、風紀委員の見回りはタッグで行うとされた、しかし仮名が「新台が入った。サラバ」という書き置きを残し消え去っていた。その所業に腹をたてるも実際問題彼はその場におらず、行き場のない怒りは般若のごとき様相へと変化していた。
とはいったものの、白井自身も相方を置いて単独で現場に乗り込んだりといった行為が多く、個法先輩いわく「どっちもどっちの似た者同士」らしい。一緒にしないでもらいたい。
「スキルアウトはいねが~!暴走能力者はいねが~!」
ギロギロと目を光らせる様は潜在的犯罪者どころか一般人までもを威圧しているということに残念ながら今の彼女は気づいていない。
「…あ嬢ちゃんよお!どう…前つけてくれんだあ?」
「ご、ごめ、ごめんなさ…」
「ごめんじゃすまな…こっちこ…」
般若の耳に不穏な声が届く。目を凝らすと、どうやらスキルアウトが女生徒を脅しているらしい。路地裏に引っ張り込んでいく姿を目撃した黒子は即座に駆け付けようとするが、路地に人が多くぶつかったり阻まれたりと進めない。
「ジャッジメントですの!道を開けてください!」
仕方なく腕章を見せながら人並みを割っていく。あまり大声を出すと下手人に逃げられてしまう可能性もあるのでやりたくはなかったが仕方がない。
そうして小道に入ると、大きな物を叩きつけるような音が聞こえてくる。何か固いものが砕ける音もした。我慢できず能力を使い、突き当たりの開けた場所に出る。
「ジャッジメントですの!大人しく…え?」
そこにあったのは、泣きじゃくる女生徒と、倒れ伏すスキルアウトたち。何故か真四角にへこんだ地面と壁。倒れている者のなかには、腕があらぬ方向に曲がっている者や、口から血を流している者もいる。
なにが起こっているのか理解出来なかった。
とにかく状況を整理することに努める。
裏路地の突き当たりのこの場所は袋小路だ。入ってこれるのは今黒子が通ってきた道だけだ。例外はビルの上から、自身のようなテレポートを扱えるもの、空間に直接働きかけて遠距離から攻撃出来るタイプくらいか。
しかし客観的に見て、この惨状を産み出したのはどう見ても彼女だ。地面にへたりこんで涙をながし続ける女の子。ふわふわとした癖っ毛ごと頭を手で押さえて嗚咽を漏らしている。
いや、あり得ないだろう。恐らく何者かが過剰な攻撃を行い去っていった。彼女は恐怖からの解放と目の前の悲劇に耐えきれず泣き出してしまったのだ。そうに違いない。
「大丈夫ですの?」
黒子が声をかけると、泣き腫らした目でこちらを見る。グスグスと鼻を啜るせいでいまいち決まってはいないが、吊り目で強気そうな顔は愛しのお姉さまを連想させるものがある。
「グスッ、誰?」
「ジャッジメントですの。安心してください。私が来たからにはこんなことをした犯人を絶対に捕まえて見せますから。」
少女は助かったとはいえ、これは明らかに行き過ぎた犯罪行為だ。必ず捕まえねばなるまい。そう決意を新たにしている黒子の耳に、衝撃が襲う。
「ズズッ、う、私が、やったんです。」
「え?」
聞き間違えか。
「私が、だって、許してくれなかった、から、でも、許してほしくて、だから、グスッ、こうするしか無くて、その」
「ど、どういう事ですの?」
「許してもらえるまで、頑張るしかないの。そうしないとダメなの。だから、許してくれるって言ってもらったの。」
意味がわからない。錯乱しているのか言動が支離滅裂だ。許してもらうためにこうした?どういうことだろう。
「許すだの、許さないだの、一体なんの事ですの?」
「ヒッ、うぅ、ごめ、ごめんなさい、うぅぅ…」
少々語気が強くなってしまったせいか、怯えてしまう。こんな状態ではマトモに話もできない。兎に角一旦支部の方に連れていって、落ち着くまで待つしかない。
「今、安全なところへ連れていって差し上げます。大丈夫ですよ。」
そういって彼女の腕をとろうとした瞬間、何かが迫ってくることを感じた。咄嗟に後方にテレポートすると、今まで立っていた場所が見えない何かでへこまされた。
「さ、触らないでよ!私は、兄さん以外誰も信用しない。もう、もう許してもらったの。だから、消えてよ。どっか行ってよおぉ!」
「な!?」
突然豹変し叫び始める彼女は、何かを振り払うように腕を回す。
その動きに応じて、巨大な何かが横から飛んでくるのを感じた黒子はすぐさまテレポートし、路地の上のビルへと飛んだ。
すると今まで立っていた場所の延長線上の壁に、あの謎の破壊痕が出来上がる。
「落ち着いてください!危害を加えるつもりはありません!」
そうは言ったものの、あの攻撃をみる限り彼女が不良たちを叩きのめしたのは明らかだ。正当防衛の範疇を明らかに越えた行為は拘束されて然るべきだが、あの状態では近づくことも難しいだろう。
(せめて、能力が分かれば対処のしようがある。事前に初春に連絡をしておけば…!)
「許されません、いいえ。」
「なッ!?」
声が聞こえたと感じた瞬間、後頭部を誰かに掴まれる。テレポートで脱出しようとするものの、何故か演算が上手くいかない。それどころか、どんどんと意識が薄れていく。
「な、何者、ですの…」
「知る必要はないでしょう、いいえ。彼女の情報は抹消されるのです、はい。」
「くっ…こ、んのぉ!」
全力を振り絞り肘打ちを繰り出すものの、呆気なく受け止められたあげくに両手も拘束されてしまう。男は何故か片方にだけ手袋をしており、頭に当てられた手は素のままだ。チラリと見えた横顔はフルフェイスのヘルメットで覆われていたが、声からして男だということはわかった。
「乱暴なお嬢さんはこうするべきでしょう、はい。貴方の記憶を消させて貰います、はい。」
「う…あ…」
もはや満足に頭が働かず、呻き声をあげる程度の抵抗しかできなくなった黒子を見て、襲撃者は満足そうに頷いた。
「依頼達成です、はい。お友達価格ですが金欠だったのでありがたいです、はい。」
遂に意識を失った黒子を寝かせすぐさま手袋をはめ、眼下の少女を眺める男。少女は今まで荒れ狂っていたのが嘘のように大人しくなっており、ブツブツと小声でなにかを呟くのみだ。
「可哀想なお嬢さんです、はい。彼が会ってあげるだけで精神が安定するのに、はい。ですが不安定なお陰で遠隔でも作用するのは助かります、はい。」
ジャケットの内側から二つ携帯を取りだし、一つでワンコールだけ電話を掛ける。そしてまた手袋を取ると携帯に手を押し付け、床に放ってしまう。もうひとつには119を打ち、端的に人が倒れている、場所はどこどこだ、と伝えまた同じように手を押し付ける。
「こんなところでしょう、はい。風紀委員が介入したので後始末が面倒です、はい。」
独り言を呟きながらその場を去る。後には倒れ伏した少女2人が残されるのみだった。
私は科学的なこととか魔術的なことにはとんと素人ですので能力の設定やらにガバがあると思います
できる限り減らす努力はしていますが、それでもたくさんあると思います
ですので指摘して頂けるのはとてもありがたいです しかしシナリオの根幹に関わるような部分ですと修正できない場合もあります
その場合はお知らせしますので、どうかこれからもよろしくお願いします
【能力紹介】
扇状消失(スイープファン)所持者・???
両手の平と顔から常に発せられる電磁波で、脳細胞に影響を与え記憶を消去することができる。ある程度指向性を持たせることはできるが、任意で止めることが出来ないので常に特別製のヘルメットと手袋を装着している。
電子機器に直接当てれば狂わせることが可能。