戦いの残痕に育むもの   作:誠衣ヴァルル

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初めましての方は初めまして。前作を読んで頂いた方はお久しぶりです。
艦これの戦後を舞台に書いて行く作品をと、今作は考えて作っています。アイディアは鉄腕ダッシュや色々な物を組み込んで行こうと思います。
皆様に楽しんでもらえるよう精進して行きますので、よろしくお願いします。


第1章 戦争はおわった。

夏の終わり頃、私は汗を垂らしながら港のコンテナの影で、彼女達の帰りを待っていた。

 

「気温は30度と言ったところだろうか?」

 

いきなり聞こえた優しげな声に私は少し戸惑ったが、その声の持ち主に軽く手を降った。

 

「あぁ、だけど、この暑さも今日で終わりだと思うよ。」

 

私はほんの少し期待を込めて彼女に返した。

 

「提督、暑い中お疲れ様だな。」

 

そう言って彼女・・・長門は後ろに隠していた飲み物を私に手渡した。そして、そのまま隣に座り込んだ。

 

「おっ、ありがとう。」

 

私は飲み物を受け取り、長門の顔を見て感謝を述べた。すると、長門は小さく丸まり、小さくうなずいた。

少し顔が赤いが日差しにでもやられたのだろうか。熱中症には気をつけてもらいたいな。そう思いながら私は冷たいお茶をカラカラの口に流し込み、涼を感じていた。そして、私がお茶を飲み終える前に長門は小さく、ため息のように言葉をこぼした。

 

「なぁ、提督。私達はこれからどうしたらいいんだろうな?」

 

長門は私に質問をしてきた。この質問、答えきれるだろうか?私には。いや、これは私が答えていい質問なのだろうか。正直、どう言えばいいのかわからない。悩みに悩み続け、しばらく沈黙が私達2人を包み込んだ。

 

「私は・・・私はこの作戦が終わったら、新潟で暮らそうと思ってる。山の近くに親父からもらった茅葺き屋根の小さな古民家があるんだ。」

 

私はまるで誤魔化すかのように、話を切り出した。長門も少し驚いた感じで話を聞いていた。

 

「そこで畑仕事をして、家を少しづつ直してゆっくりと過ごしていきたいと思ってる。出来れば、陶芸もやりたいな。自分で鍋とか作ってさ・・・」

 

違う。長門はこう言うのを聞きたいんじゃない。わかってる。でも、わかりきってるじゃないか、深海棲艦との戦争が終わり、艦娘としての任務を終えた彼女達がどうなるかだなんて、軍は彼女達を国を守るための兵器として手放す訳には行かないから、必ず管理下に置こうとする、しかも、国のお偉いさん達からは"自立した兵器"として見られ、隔離される。それが嫌なら、艦娘としての第2の人生を終える。すなわち、成仏・・・。私はどれも嫌だ。

 

「すまない、私には答えきれない。君達のこれからは君達次第だが、それを軍やお偉いさん達が放っては置かないだろうし。それに、」

 

私は言葉が詰まった。いやそれ以上は口から出すのは無理だった。私の横で長門は泣き出しそうな顔をしていたのだ。

私はこの作戦終了後名誉除隊として軍から出される。実際のところ無断で作戦を変更し、鎮守府も多大な損害を受けてた。その責任を私に押し付けて辞めさせるのだ。ただ、彼女達の反感を買わないようにと、不名誉ではなく、名誉除隊として・・・。そんな私に何が出来るだろうか?

 

「なぁ、提督・・・。」

 

長門は私の肩に寄りかかり、弱々しく呟いた。

 

「私は提督と共に生きたい。共にこの世界をもっと見たい。無論、ほかの娘立ちとも一緒に。でも、私のワガママは通じない。分かっている。分かっているが・・・」

 

長門は言い終わる前に立ち上がり、私に背中を向けたまま涙を拭った。

 

「私は軍に残る。また、敵が来た時に対処ができるように。だから、提督はたまに会いに来てほしい。私や、私と同じくここに残る娘たちに会いに。」

 

長門が私に告げ終わると、私は驚きと悲しみが混じり合った何とも言えない気持ちが心で暴れた。

 

「分かった。でも、ながry」

 

突然の事だった。私の視界は一気に狭まり、長門の顔が目の前にあった、そして、私の唇が長門の唇と触れ合っていたのだ。

 

そして、しばらく沈黙が続いた。いや、実際はほんの少しの時間だったのだが、私には数分にも感じたのだ。

 

「提督・・・私はこれで、しばらくは頑張れる。この優しい気持ちと、この唇の感触を忘れない限り。私は、頑張ってみせるからな。」

 

長門はそう言い残し、宿舎の方へ走り去って行った。一瞬だけだったが、走り去っていく長門の表情は笑顔で満たされていた。その姿を見た私も、気持ちが少し軽くなった。そして、

 

「ありがとう・・・」

 

小さな声で私は、感謝を述べたのだった。

 

それから約20分後、作戦を終えた彼女達が港に着いた。服や体は煤で汚れ、敵との交戦でボロボロになって負傷者も多数いた。

私は、彼女達が誰一人欠ける事なく戻ってきた事に安堵し、先程まで長門と座り込んでいた場所から、歓声や涙の流れる明るい場所に重い腰を上げ、歩いていった。

 

彼女達は、綺麗にアイロン掛けされて汚れのない制服姿の私を見ると同時に敬礼をした。

 

そんな、私は彼女達に敬礼をしてもらえるほどの事など、何もしていない。なのに、彼女達は涙を流しながら私に敬礼をして、微動だにしない。私は胸が苦しいばかりだった。こんな汚れ一つ付いてない木偶の坊の私を・・・

 

「みんな、やめてくれ・・・私は君達のように戦場で、命をかけて戦ってはいないろくでなしだ。私は、君達を死地に行ってこいと図々しく命令をして一人、机で仰け反っていただけだ。こんな私に敬礼をしなくていい。腕を降ろしてくれ。」

 

私は彼女達にそう告げたが、誰一人敬礼をやめなかった。

 

「みんなやめてく・・・」

 

「司令官!今回の私達の失敗で司令官がその責任を負い、任を解かれると聞きました。」

 

私は驚いた。私の声を遮り大きな声で質問してきたのは、あの無口な加賀だったからだ。しかし、加賀は驚いている私に言葉を続けた。

 

「司令官!なぜ私達ではなく、司令官が責任を負い、任を解かれるのでしょうか!?私には・・・私達には納得できません。」

 

私は、加賀の質問・・・に答えるかどうか悩んだ。彼女達に納得のいく説明を出来るかどうかで、私は出来ないと知っているからだ。軍のメンツと国のお偉いさんの保険って事を彼女達に説明した所で、彼女達から私を遠ざける理由としては納得してはもらえないだろう。私自身彼女達と離れるのは嫌だから・・・所々濁すと思う。

だが、だからといって答えない理由にはならい。

 

「私はみんなの事が好きだ。何よりみんなが姉妹と共に自由に過ごしている姿が好きだ。その幸せを守りたい。だから、私1人の責任として貰えるよう私から、上層部に掛け合った。」

 

私はこういうのは下手くそだな・・・これでは納得なんてしてもらえないか・・・。

 

「納得なんてしませんからね」ボソッ

 

加賀は小さく呟いた。誰にも聞こえないくらいの小さな声で。

そして、敬礼をやめて、後ろを向き、みんなに指示を出して解散した。

納得してもらえたって事でいいのだろうか?私は疑心暗鬼になりながらみんなが宿舎やオフロに向かうのを見守っていた。




た、たたたのしんでいただけましたでしょうか?
憂鬱な気分になりそうな内容になっていると思うので、皆様に楽しんでもらえるか心配ですが、とりあえず、今回はここまでです。

読んで頂きありがとうございます(〃・д・) -д-))ペコリン
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