学園都市の日常生活《デイリーライフ》
――――――――『学園都市』
東京西部に位置する完全な円形を描く形をした都市であり、その名の通り人口のおよそ八割を学生が占める学生の街。
その総人口は230万人にもおよび、その総面積は首都の三分の一。
また、この都市は世界で初、『超能力』の実用化に成功した都市としても広く認知されている。
『超能力』と聞いて胡散臭く思う人間もいるだろうが、学園都市での『超能力』とはテレビに出てくる似非能力者とは違う。
能力の強度を
……そんな、普通とはかけ離れた常識が当たり前になっている場所に、僕と兄ちゃんは子供の頃から住んでいる。
兄ちゃんにも僕にも、小さい頃から人とは違った“妙な力”が備わっていて、そのせいで『疫病神』、『死神』と悪し様に言われて挙句殺されかけたことさえあった。
そんな現状に心を痛めてくれた兄ちゃんの両親が、『科学の最先端がある学園都市ならオカルトめいた力の正体を突き止めてくれるかもしれない』と本来血の繋がりの無い僕まで学園都市に推薦してくれた。
当時ある意味兄ちゃん以上に忌み嫌われ、人として見られなかった僕にも温かく手を差し伸べてくれたおじさんたちには今でも感謝の念が尽きない。
しかしそんなおじさん達の想いとは裏腹に、僕や兄ちゃんの力の正体はこの都市の科学をもってしても掴めず、兄ちゃんはレベル0の判定を受け、僕の場合は
評価が欲しい訳じゃない。でも、外の世界よりも十年先を行く筈の、学園都市の科学ですら僕たちの力は異端だと言われた気がして、正直ここでもダメなのかと落胆しそうになった。
……でも現在、兄ちゃんは高校生となって僕は中学生になった。
ここでも迫害を受けるかもしれないと戦々恐々としていた僕も、今では一学生として普通の学生生活を謳歌するまでになった。
この都市において僕らはあくまでも、学生人口の八割を占めるレベルの低い能力者であって、外のように迫害されることは無くなった。
偶にスキルアウトや不良に絡まれることはあっても、あの頃よりは断然マシだと言える。
顔を見られただけで石を投げられたり怪物扱いされたり、果ては刃物を突きつけられて殺されかけることもない。
この町にはそれ以上に恐ろしい存在だって普通にいるのだし、僕らなんて全然大したこと無いんだと思えばいつの間にか気負っていたものが無くなって、僕も兄ちゃんも今の生活を満喫とまでは言わないまでも、少なくとも不平不満を抱えてもあの頃のように死にたいと思わないだけ、ずっと今の生活の方が良いに決まってる。
そんな訳で現在、僕が何をやっているのかというと――――――――
「にーちゃーん。僕だけど、今いるー? 差し入r―――」
「―――――ご飯の気配がしたんだよ!? って、ゆづる! おはようなんだよ! そしてその手の鍋はカレーだね!?」
「あー、お早う目録ちゃん。とりあえず、カレーは合ってるけど今ここで食べちゃダメだよ? あっため直してからじゃないと美味しくないからね?」
「了解なんだよ! とーま、とうまー! 早くご飯をよそうんだよハリーなんだよハリーハリーハリー!」
「あぁもう今日もクライマックスだなぁインデックスさんは。にしても悪いな遊鶴も、いっつも差し入れ持って来てもらって……」
「良いんだって。僕が好きでやってることだし、一人で食べるよりも兄ちゃんや目録ちゃんと一緒に食べたしさ」
「うぅぅ、お前が天使か……!」
……最近居候が増えた兄ちゃんのアパートに、差し入れを持ってきている最中だったりします。
少し前の出来事だ。
夏休みがいざ始まるとなって、帰省する時の話をしに兄ちゃんのアパートに久しぶりに顔を出した時に巻き込まれたある事件の際に僕はこの世界のもう一つの一面を知ることになった。
その事件の中心にいたのが、現在兄ちゃんの部屋に居候しているシスターの格好をした女の子で名前は“
明らかに普通じゃない彼女は、ここが『学園都市』であることを差し引いても普通ではなく、むしろここが科学の総本山だからこそ、彼女の語る世界の一面を僕も兄ちゃんも最初は信じることが出来なかった。
「じゃーん。栄養偏りがちとのことだったので、夏野菜のグリーンカレーを作ってきましたー。一応タッパーでサフランライスも持ってきてるから、先にこっちを温めて食べない?」
「おぉ~! とうまとうま! これが本当の『料理』なんだね!」
「何気に俺の料理スキルがディスられてるような気がするけど、今はそれも許そう! また腕を上げたな遊鶴!」
「まぁね。一人暮らししてるから料理覚えた方が節約になるし、どうせ作るなら美味しい物を食べたいからね。一応僕の場合兄ちゃんよりもレベルが高いから学生支援金もそれなりにあるし、あまり使い道も無かったからしばらくは兄ちゃん家にご飯を持ってきて食べようと思うんだけど……いい、かな?」
「モチのロンでございますですのことよ遊鶴さんいやさ、遊鶴様! この極貧生活に喘ぐ上条さんには今の貴方様はまるで天使に見える……!」
「迷える子羊に手を差し伸べる……ゆづるは良いシスターになれるんだよ! 何なら私が推薦状を書いてもいいかも!」
「シスターって、一応僕男だから遠慮したいかなぁ……?」
―――――科学とは対を成す存在、『魔術』
目録ちゃんが関わっていたのは僕たちの常識の裏側とも言える存在であり、それに関わったことで僕と兄ちゃんの日常が大きく歪み、恐らくは一生に一度経験出来れば十分すぎて胃もたれするような事件に直面する事になったんだけど………それも今は過去の話。
今ここにある、皆で一緒にご飯を食べる。そんな他愛も無くどこにでもあるようなありふれた今があるのだから、あの事件の事も今では笑い話のように話すことも……いややっぱりそれは出来ないかも。
科学と魔術が交差したあの日のことを、きっと僕は忘れることは無いのだろう。
「それじゃ、手を合わせて……」
『『『いっただきまーす!』』』
「ハムハムハフッ! ハムハムハフッ! とうまとうま、このカレーすっごく美味しいんだよ! まさに『味の宝石箱や~』なんだよ!」
「それは寿司からラーメンだったような気がするけど、今はそんなことよりこのカレーだよな! マジでうめぇ!」
「そんなに急がなくてもお代わりはあるんだから………あむ、ん~………八十点ってところかな?」
「おかわりっ!」
「…って速いね目録ちゃん!? 特別大盛りによそった筈なんだけど」
「これぐらい私にとっちゃ朝飯前なんだよ! だから次はもっと多くよそうんだよ!」
「それはお皿のキャパ的に無理だからね?」
「んぐっ……ぷはー! 俺もお代わりだ! ここ最近の清貧生活で飢えた男子高校生の食欲はこんなもんじゃねぇぜー!」
「兄ちゃんも今日はテンション高いんだね……」
もう僕たちの世界は僕たちだけの狭い場所じゃない。
目録ちゃんの事件を皮切りに、それはもう一生もののトラウマになるような出会いやら事件もいっぱいあって、その度に兄ちゃんがフラグを建てては死にかけて、また立ち上がっては死亡フラグ建設に余念の無い建築士っぷりを十二分に発揮する度に僕は火消しやフォローに奔走した。
お蔭で『カミジョー患者専門カウンセラー』と兄ちゃんの悪友の人に命名されて、いつのまにか僕の携番がホットライン扱いになって昼夜を問わずにフラグ被害者の相談を受ける羽目になった。
中には外国から電話してくる人もいるので、夜中に叩き起こされることもしょっちゅうだったりする。兄ちゃんよ、女子にフラグを建てることに異論はしないけど、お願いだから手加減してください。そのうち嫉妬に狂った青髪さんがカルト教団のような組織を設立しかねないし、そもそも僕の睡眠時間もヤバい。
……あと、偶にヤンデレが発症しかける人の対応もヤバい。お願いだから、もうちょっと自分の行動を自覚してお願いだから。
最近では事件も無く平穏な日々を享受している僕たちではあるけど、それは事件が無いってだけの話でしかなくて、学園都市の日々は基本いつも騒がしい。
「昨日ビリビリに絡まれてフルーツいっぱいゼリーを食べられなくなったの、まだ引き摺ってるんじゃないかな?」
「ビリビリ………あぁ、
「そうなんですよ、何でアイツ俺を見かける度にいっつもいっつも絡んでくるんだよ、俺にそこまでの恨みがあるのかよアイツはよぅ……」
「……と、こんなことを言ってるけどどう思う、目録ちゃん」
「……とうまのスルースキルは聖人どころか魔神クラスなんだよ。だからきっと、ツンデレみたいな回りくどいのは不利だと言わざるを得ないかも」
「ふむふむ、となると目録ちゃんが現在一歩リードで、次点でオルソラさんかなぁ?」
「むむっ、そこでオルソラってことは、やっぱりとうまの属性?」
「年上のお姉さんが好きらしいからねぇ。でも今は目録ちゃんが一緒にいるんだし、十分矯正の余地も属性の塗り替えも可能だと思うよ?」
「あのー、もしもーし? お二人で一体何を話していらっしゃるのでせうか~? 何だか上条さんはとっても不吉な予感がするのですが……?」
『『うん、気のせいだよ?』』
「うおっ、眩しっ!? 遊鶴だけじゃなくて、インデックスの笑顔まで輝いて見えやがる……だと……!?」
これは、神様のシステムすら壊せる少年と、生きているならあらゆるモノを殺せる少年の日常を綴った物語。
科学と魔術。日常と非日常。恋愛フラグと死亡フラグ。あと偶に出てくるNice boatフラグ。
普通とはちょっと? いやかーなーりかけ離れた人々と送る、二人の少年の
―――――上条当麻と湊谷遊鶴。二人の少年と様々な人物が交差した学園都市を舞台に、二人の物語が今日も紡がれる。
※この小説の設定
基本的に原作の流れとは一っっっっ切関わりの無いパラレルワールドだと思っていただければ大体合ってる感じで、一応原作の事件も起きてるけど現在進行形で平和極まりない世界。上条さんも記憶を失っておりません。単なる日常コメディをとあるキャラでやりたいがために書いてしまったので、シリアス設定なんてありません。ないったら、無いんです。
上条さん
原作通り安定の上条さん。変更点としては下記の遊鶴君とは幼馴染の関係であり、小さい頃から何かと面倒をみていた弟分でもあるため若干ブラコン気質が加わっている。最近では居候のせいで家計が圧迫されているため、差し入れを持ってきてくれる弟分が天使に見え始めた模様。ただし右手で消えないので上条さん的にはここ最近で最も幸せな幻想ではなかろうか。
ちなみに安定のフラグメイカーなので大体の女性にフラグを建てては鈍感スキルを如何なく発揮しているため、もし続くなら上条さんの周囲の女性模様を遊鶴君視点で描いていく感じになるかと。
インテグラ……じゃなくて、インデックスさん
上条さん家の一人娘、もといマスコット扱い的な腹ペコシスター。『必要悪の教会』に所属しているのは変わっていないが、原作とは違って秘密兵器というよりは秘蔵っ子としてたいそう愛されていたりする。ちなみに某最大主教は回りくどく面倒臭いツンデレという設定でヨロ。
上条さんのフラグ犠牲者の“二人目”であり、現在最も上条さんに近い異性でありながら周辺女性には安定のマスコット扱いのため何気にライバル認定されていない不憫属性も完備。どうでもいいけど、最近の灰村さんの絵で描かれるインデックスはマジで美少女だと思いました(粉蜜柑)
湊谷遊鶴(そうやゆづるって読むといいかもなんだよ!)
この作品の語り部であり、キャラ造型は筆者の拙作のあの子である。変更点があるとしたら髪がちゃんと黒くなっていることと、髪型が三つ編みからいぬぼくのイケモメンみたくなってる事ぐらいで、後は基本あの子のまんまである。要するに男の娘(ry
上条さんと同じ時期に学園都市に送られた少年であり、両親を事故で失っている。その事故の際に自身も瀕死の重傷を負い、その結果脳のチャンネルが『死』に触れてしまったため直死の魔眼が発現してしまった。一人だけ生き残ったことと魔眼による特異性により『死神』と忌み嫌われた過去から、上条さんを介さない人間関係にはひどく気後れするようになっている。
両親を失って以来、親戚でもあった上条夫妻に引き取られて差別の無い愛情を注がれたため上条家に対して無上の感謝を感じているのと同時に、自分に手を差し伸べてくれた上条さんには全幅の信頼と好意を寄せている。ぶっちゃけ性別が違ってたら間違いなくヤンデるレベルで上条さん大好きっ娘になっていたんじゃないかな、きっと。
ちなみにこの作品における上条さんのフラグ“第一号”がこの子である。
本人も上条さんへの好意は基本明け透けであるが、そのため彼の幸福を自分以上に願っているため苦労だと面倒だと思いつつ、フラグ被害者達へのフォローや情報提供を進んで行っている表向きは良い子であり、裏向きな思惑としては『やっぱりお姉ちゃんと呼びたい人は僕も選びたいよね』という上条真城陥落における最大の城壁である。要はブラコンだね。
設定としては大体こんな感じ。原作とか時系列とかまるっと無視する感じでネタな日常を謳歌してもらう流れになることでしょう。
ちなみに遊鶴君に直死の魔眼を持たせたのは上条さんの幻想殺しと似たような能力を持たせたかったからで、特に型月設定とのクロスは今のところ考えておりません。遊鶴君の師匠的ポジションにパンダの着ぐるみがいたりだとか、アレイスターが学園都市の地下深くに封印している愉快型割烹着チックヴォイス搭載のステッキが虎視眈々とターゲットを狙っているとか、そんなことは微塵も考えていませんともさ!