問題児たちと不死身の少年が異世界から来るそうですよ? 作:桐原聖
次回は来年になるかもしれません。
「ち、違うのですよ。黒ウサギは、コスプレでもバニーガールでもないのですヨ」
「じゃあ何なんだ、お前」
「く、黒ウサギは・・・」
その時、春日部が黒ウサギと名乗る少女のウサ耳を根っこから掴み、
「えい」
「フギャ!」
力いっぱい引っ張った。
「ちょ、ちょっとお待ちを!触るだけなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか⁈」
「好奇心の為せる業」
「自由にも程があります!」
「へえ?このウサ耳って本物なのか?」
今度は十六夜が右から掴んで引っ張る。
「・・・。じゃあ私も」
「ちょ、ちょっと待―――!」
今度は飛鳥が左から。左右から力いっぱい引っ張られた黒ウサギは、言葉にならない悲鳴を上げ、その絶叫は近隣に木霊した。
「―――あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」
「いいからさっさと進めろ」
小林が言うと、黒ウサギは情けない声で「はい」と言った。
「それではいいですか、皆様。定例文で言いますよ?言いますよ?さあ、言います!
ようこそ、″箱庭の世界″へ!我々は皆様にギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼンさせていただこうかと召喚いたしました!」
「ギフトゲーム?」
「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが、皆様は普通の人間ではございません!その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます。『ギフトゲーム』はその″恩恵″を用いて競い合う為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に造られたステージなのでございますよ!」
飛鳥が手を上げた。
「まず初歩的な質問からしていい?貴方の言う″我々″とは貴方を含めた誰かなの?」
「YES!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とある″コミュニティ″に必ず属していただきます♪」
「嫌だね」
「そんな面倒な事は嫌だ」
十六夜と小林が即答した。黒ウサギは一瞬心が折れそうになるが、何とか話を続ける。
「属していただきます!そして『ギフトゲーム』を勝者はゲームの″主催者″が提示した商品をゲットできるというとってもシンプルな構造となっております」
「主催者って誰だ?」
「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループでもございます。特徴として、前者は自由参加が多いですが″主催者″が修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。しかし、見返りは大きいです。″主催者″次第ですが、新たな″恩恵″を手にすることも夢ではありません。後者は参加のためにチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればそれらはすべて″主催者″のコミュニティに寄贈されるシステムです」
「チップは何だ?」
「様々ですね。金品、土地、利権、名誉、人間・・・そしてギフトを賭けあうことも可能です」
「自分の能力も賭けられるのか?」
「Y、YES。ですが、負ければギフトを失ってしまいますよ?」
「でもそうすればこの能力も消えるんだな」
「あやや。小林さんはご自分の能力を失いたいのですか?」
「ああ」
「そ、そうですか」
飛鳥が手を上げた。
「ゲームそのものはどうやったら始められるの?」
「コミュニティ同士のゲームを除けば、それぞれの期日内に登録していただければOK!商店街でも商店が小規模のゲームを開催しているのでよかったら参加していって下さいな」
「・・・つまり『ギフトゲーム』とはこの世界の法そのもの、と考えていいのかしら?」
「ふふん?中々鋭いですね。しかしそれは八割正解の二割間違いです。我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。ギフトを用いた犯罪などもってのほか!そんな不逞な輩は悉く処罰します―――が、しかし!『ギフトゲーム』の本質は全く逆!一方の勝者だけが全てを手にするシステムです。店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすればタダで手にすることも可能だという事ですね」
黒ウサギは一通りの説明を終えたのか、一枚の封書を取り出した。
「さて皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。新たな同士候補である皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我らのコミュニティお話させていただきますが・・・・よろしいですか?」
「待てよ。まだ俺が質問してないだろ」
「僕からも一ついいか」
十六夜と小林が声を上げた。
「・・・・どういった質問です?ルールですか?ゲームそのものですか?」
「僕から先にいいか、十六夜?」
「ああ、構わないぜ」
小林は、黒ウサギの目を見て、聞いた。
「この世界なら、僕は死ねるか?」
その言葉を聞いた黒ウサギは、ウサ耳をへにょらせて言った。
「え、えっと、小林さんのギフトがどんな物か分かりませんけど、この箱庭は神魔の遊戯。小林さんがどんなギフトを持っていようと、死ぬ事は可能だと思われます」
「そうか」
「今度は俺が聞く番だぜ、黒ウサギ」
「は、はい」
「この世界は、面白いか?」
十六夜は黒ウサギの目をまっすぐに見て、聞いた。
「――YES。『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」
次は水神との闘いです。
お楽しみに!