問題児たちと不死身の少年が異世界から来るそうですよ?   作:桐原聖

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 気付いたので報告します。
 小林の登場するアニメは『―TRICKSTER-江戸川乱歩 少年探偵団より』ですが、ここでは英語の都合上、小林の能力は『TRICKSTAR』となっています。


レティシア奪還作戦を開始するそうですよ?

小林が″ノーネーム″に帰ると、本館の入り口で黒ウサギが仁王立ちで立っていた。

 

「ただいま」

 

「小林さん。何か言う事はありますか?」

 

「白夜叉じゃ僕を殺せないらしい。で、勝った報酬に″ギフトネーム″っていうのを付けてもらった」

 

「ほら、小林さんでも白夜叉に勝てない・・・って勝った!?」

 

「ああ。僕は何もしてないけどな」

 

「で、なんて名前を付けてもらったんですか?」

 

「確か、″TRICKSTAR″とか言ったな」

 

「″TRICKSTAR″・・・・・・『いたずらの星』ですか?」

 

「さあな」

 

「いや、『冗談のような強さを誇る期待の新星』という意味かも・・・。小林さん、白夜叉様は他に何か言っていましたか?」

 

「いや、別に」

 

「そうですか。でも白夜叉様ほどの御方が、ギフトの名前に″STAR″を付けるなんて、凄い事なのですよ!」

 

「どうでもいい。僕は寝る」

 

「あ、小林さん、ちょっとお待ちを。今日ははしごを使って寝床に向かった方がよろしいかと」

 

「何でだ?」

 

「飛鳥さんが自分の初ギフトゲームに小林さんが応援に来てくれなかった事を残念に思って、黒ウサギに『小林君が帰って来たら捕まえて私の所に連れてきなさい』と言っていました。見つかったら何をされるか分かったものではありません」

 

「そうか」

 

 理不尽な怒りをぶつけられたらたまった物ではないので、小林はおとなしくそれに従うことにした。

 

「そうだ、黒ウサギ」

 

「はいな、何でございましょう?」

 

「今日のギフトゲーム、どうだった?」

 

「YES、見事に勝利したのですよ!」

 

「そうか」

 

 小林はそう言うと、黒ウサギに言われた通りはしごを使って屋上に上がり、眠りに着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 小林が眠りについて数分後――

 

「互いにランスを一打投擲する。受け手は止められねば敗北。悪いが先手は譲ってもらうぞ」

 

「好きにしな」

 

 金髪の幼女と十六夜が戦っていた。

 

「ふっ――!」

 

 金髪の幼女がランスを構え、投擲する。

 

「ハァア!!!」

 

 怒号と共に放たれた槍は瞬く間に摩擦で熱を帯び、一直線に十六夜に落下していく。

 流星の如く大気を揺らして舞い落ちる槍の先端を前に、十六夜は牙を向いて笑い、

 

「カッ――しゃらくせえ!」

 

 殴りつけた。

 

「「――は・・・・!??」」

 

 金髪幼女と黒ウサギが、素っ頓狂な声を上げる。

十六夜の拳によって拉げたランスは、只の鉄塊と化し、第三宇宙速度という馬鹿げた速度を叩き出し、金髪の幼女に飛んでいく。第三宇宙速度で飛んでくる鉄塊を避ける事は不可能だ。金髪の幼女が血みどろになって落ちる覚悟を決めた時、

 

「レティシア様!」

 

 黒ウサギが金髪の幼女に向かって飛ぶ。しかし間に合わない。

 今度こそ本当に血みどろになって落ちる覚悟を決めた時、

 

 少年が、落ちてきた。

 

「は・・・・?」

 

 この高さから飛び降りて何もしなければ黒ウサギでも怪我をするだろう。その時、金髪の幼女の眼前に鉄塊が迫って来た。いよいよ覚悟を決めたその時――、

 

 少年の身体から靄のような物が吹き荒れ、鉄塊を切断した。

 ついでに黒ウサギも吹き飛ばした。

 

「こ、小林さん!」

 

 黒ウサギが驚いたような声を上げる。少年はそのまま地面に向かって落ちて行く。その瞬間、少年の身体からまた靄のような物が展開し、落下の速度を相殺する。

 

「な、何なんだ、あれは・・・」

 

 金髪の幼女は、呆然と呟いた。

 

 

 

 

 

 

 小林は、妙な浮遊感に包まれて目を覚ました。

 下を向くと、現在進行形で落下中だった。

 そういえば、はしごを登ってすぐに眠りについたため、屋上の端で寝ていたという事を思い出した。おそらく寝返りを打って落下したのだろう。

 その時、小林の眼下に物凄い速度が出ている鉄塊が見えた。その内一つが小林に飛んでくる。

 瞬間、小林の身体から出た″TRICKSTAR″が鉄塊を吹き飛ばす。鉄塊を危険対象と認識したのか、残りの鉄塊もまとめて吹き飛ばす。

 ついでに近くに居た黒ウサギも吹き飛ばした。

 

「って、何で黒ウサギまで―――!」

 

 黒ウサギがツッコミを入れるが、それどころではない。

 地面に衝突する瞬間、″TRICKSTAR″が展開し小林の身体を包む。

 

「よお小林。お前のギフトってやっぱすごいな」

 

 十六夜が感嘆の声を上げる。その時、金髪の幼女が降りてきた。

 

「初めまして。純血の吸血鬼、レティシアだ。よろしく、黒ウサギの同士よ」

 

「おい、お前、強いのか?」

 

「さあな。まあ白夜叉を倒した君に勝てるとは思っていないがね」

 

「で、何の用だ?」

 

 小林が聞いたその時、空から何かが落ちてきた。それは、レティシアの物と思われるギフトカードだった。

 

「″純血の吸血姫″。これがお前のギフトか?」

 

「何ですって!?」

 

 黒ウサギの悲鳴が空から聞こえて来る。黒ウサギは落下すると、小林からギフトカードを受け取り、レティシアに詰め寄った。

 

「やっぱり、鬼種は残っているものの、神格が残っていません」

 

「なんだよ。もしかして元・魔王様のギフトって、吸血鬼のギフトしか残ってねえの?」

 

 十六夜が残念そうに言う。その時、

 

「居たぞ、あそこだ!」

 

「吸血鬼を優先して捕獲しろ!あとは切り捨てて構わん!」

 

 空から声が聞こえてきた。だが小林の知ったことではない。

 

「全部どうでもいい。僕は寝る」

 

 そう、小林にとっては寝返りで屋上から落ちただけで、吸血鬼も敵もどうでもいい。とりあえずさっさと二度寝したいというのが今の気持ちである。

 

「じゃあな。お前じゃ僕を殺せない」

 

 そう言って敵に背を向けた。だが敵は頭に血が上ったのか、

 

「馬鹿にするな!この″名無し″風情が!」

 

 そう言って斧を投げつけてきた。″TRICKSTAR″の能力でそれを弾き、攻撃して来た敵に反撃する。

 

「ぐぎゃああああああ!」

 

 敵が絶叫するが、知った事ではない。何度も言うが、小林には関係ないのだ。

 小林ははしごで屋上に戻ると、今度こそ熟睡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 どのくらい経ったのだろうか。

 不意に、誰かの声で目が覚めた。

 

「起きろ、小林」

 

 目を開けると、不敵な笑みの十六夜の姿があった。

 

「なあ、ちょっと死んでみる気はねえか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、黒ウサギ達は―――

 黒ウサギ達は、絶望の淵に立たされていた。

 ″ペルセウス″のリーダーはレティシアを″ノーネーム″に戻す代わりに、黒ウサギが″ペルセウス″に入るという取引を持ちかけてきたのだ。もちろん受けられるはずはないのだが、レティシアを取り戻すためにはそれしかない。だが飛鳥も耀も黒ウサギを渡す気などさらさらない。

 

「こんな時に十六夜さんと小林さんが居れば・・・」

 

 十六夜と小林は、数日前に「ちょっと箱庭の世界で遊んでくる」と言って帰ってきていない。″ノーネーム″に愛想をつかしたのだと誰もが思っていた。

 

「ねえ黒ウサギ。さっき話していた、″ペルセウス″の旗印を掛けたゲームっていうのは?」

 

「提示された2つのギフトゲームを乗り越え、その証を示さなければならない、厳しい試練です。いくら十六夜さんや小林さんでも一日二日でクリアできるものでは―――」

 

「ほう。そいつは聞き捨てならねえな」

 

「邪魔するぞ」

 

 瞬間、ドアが外側から吹っ飛んだ。そこには不適な笑みを浮かべている十六夜と、真顔でドアを吹き飛ばした小林が居た。二人とも脇に大風呂敷を抱えている。黒ウサギは驚いて声を上げる。

 

「い、十六夜さん、小林さん!今まで何処に、って破壊せずに入れないのでございますか貴方達は!?」

 

「そんな事より、戦利品だ」

 

「よかったな。これでオマエが″ペルセウス″に行く必要はないぜ」

 

 そう言って脇に抱えていた大風呂敷を地面に置いた。黒ウサギが驚く。

 

「まさか・・・あの短時間で?」

 

「ああ。まあ、ゲームそのものよりも時間との戦いが問題だったけどな。間に合ってよかった」

 

「十六夜に騙されてついて行った僕が馬鹿だった」

 

 小林が悔しそうに語る。

そう、二人は今しがた黒ウサギが話していた二つの難関試練に挑んでいたのである。結果は圧勝。むしろ移動時間の方が長かったくらいだ。

 全員の顔を見回した黒ウサギは、高らかに宣言する。

 

「ペルセウスに宣戦布告します。我らの同士・レティシア様を取り返しましょう」

 




次回 ノーネームvsペルセウス!!
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