The Fantasic Story 〜其は不屈の夢物語〜   作:なっぺ

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こちらでも投稿させてもらうことに致しました。

書きたいことを書くために、この小説を書き始めました。そんな、自己満足の要素が強い作品ですが、楽しんでいただければ幸いです。感想やご指摘がありましたら、遠慮なくどうぞ。

※この話は改稿された話になります。


第一章 Birth篇
第00話 誕生


 人生、是則ち塞翁が馬。

 

 それは、いつの時代であろうと変わらない。時を超えて通用する名言だ。

 

 で、あるならば、だ。

 

 時間を超える名言は、果たして"生死"を越えても通用するのか。それを確かめられた者は、いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………どこ? ここ……」

 

 目の前に広がる真っ白な空間。そこでオレは目を覚ました。尤も、今まで寝てたかどうかは貞かではないけど。

 

 オーケー、記憶を整理しよう。

 

 オレの名前は吉谷吼太。ごくごく普通の男子高校生だ。中肉中背で成績は並。顔も普通で身体能力も普通。勿論、特別な環境になんて無い。美少女の幼なじみもいないし、近所に懐いている美幼女もいない。学校にツンデレな生徒会長もいなければ、やたら女に詳しい悪友もいない。ロボットに乗ったこともなければ、超能力も無い。ついでに彼女もいない。なんか女の子の話ばっかりだけど気にしないことにしよう。

 

 そんな普通のオレは、いつも通り家に帰ってきた。男子高校生らしく腹の減っていたオレは、たまたま残っていたカレーと、余っていたご飯を合わせて食べた。で、気づいたらここにいた、と。

 

 「…………冷静に状況を整理しても分かんねえ!!」

 

 チクショウ! ドッキリか!? ドッキリなのか!? つーかここはどこなんだよ!?

 

 「誰かー、いませんかー?」

 

 と、呼んではみたけど、こんな場所に答える奴なんているわけ――――

 

 「あ、はいはい」

 

 ――――――いた。

 

 つーか、声がした割に姿が見えないんだけど。あれか? スピーカーから声が出てるとか?

 

 「あ、すみません、下向いて貰えます?」

 

 言われた通りに下を向く。すると、そこには確かにいた。ただ、生物なのかどうかはとても判別がつかない。

 

 まず、人間でないことは確かだろう。人間なら、頭だけで生きてるわけがないし、半透明なわけないし、オレンジ色なわけないし、何よりこんなふざけた顔をしているわけがない。その姿は一言で言うなら……というより、竜で探求な某国民的RPGのマスコットキャラの別種そのもの。口角の上がり具合がなんともムカつく。

 

 「さて、向いて頂いたところで、今来たばかりで訳が分かっていないであろうあなたに、三行で説明しましょう」

 

 三行で説明出来るような簡単な状況なのかこれ?

 

 目の前の謎生命体はオレに構うことなく喋り続ける。

 

 「吉谷吼太に起こった三つの出来事。 一つ、吼太さんは食べたカレーライスが腐っていて食中毒になった」

 

 ふむふむ。つーか、何かどっかで聞いたことある語り口だな。

 

 「二つ、私こと神は仕事である"運命の書き込み"を間違えた」

 

 神の仕事って運命を書き込むことなんだな。だから全能とか言われてるのかな。……神? コイツが? いくらなんでもねぇよ。

 

 だが、目の前の自称神は、そんなことが簡単に吹っ飛んでしまうような、信じられないことを口にした。

 

 「三つ、その結果、吼太さんの運命が腹痛から死へと変わり、あなたは死んだ」

 

 ………………は? いやいやいや。待て待て待て。死んだ? オレが? しかもなんだ。傍から見たら、腐ったカレー食って死んだってことかオレ!? なんじゃそりゃ!?

 

 「最高ですよね。笑えます」

 

 「いや、笑えねぇーよ! ちっとも笑えねぇから!! 腹イタで! 即死!? なんだその死に方!? トラックに轢かれたとかならともかく、食中毒で死ぬって最悪にも程があるわ!」

 

 「見ている分には笑えます」

 

 「笑うなよ! そもそも聞いた感じじゃテメェが元凶じゃねぇか! クソッ、殴りたい! その半笑い顔を無性に殴りたいッッッ!!」

 

 「どうぞ、殴れるのなら」

 

 じゃあ遠慮無く。

 

 「ぶっ飛べやクサレ外道ーーーッッッ!!!」

 

 ……

 

 …………

 

 ………………

 

 あれ? おかしいな。手が無いぞ。遅れて手が動いてるわけでもないし、つーより感覚からして無い。

 

 「鏡どうぞ」

 

 「あ、どうも」

 

 自称神な奴が出した鏡に、自分を写す。するとそこにあったのは――――

 

 「……人魂?」

 

 「はい。今のあなたは、既に人魂になってるんです」

 

 …………どういうこと?

 

 「分かっていないようなので説明致しましょう。人間に宿る、俗に言う魂とは、状態によって形を変えているんです。まず、生きている時の形態である、"生命"。生命体が死亡した後、残った命の時間を消化するための"幽霊"。寿命で死んだり、幽霊が時間を使い切った後で変化する、魂をリセットし分解されるための形態である"人魂"。そして、魂の最小単位を再構成し、新たな命に宿る準備の出来た"命"。で、今のあなたは人魂に当たる、と」

 

 「なぁ、生命体って言ったけど、カエルやら虫やら犬なんかも人魂になるってことか?」

 

 「勿論です。作られ方が違うだけで、根本的な材料はあらゆる魂で共通ですから。ちなみに、技術が劣る神が作った結果、稀に構成が緩くなってしまった魂なんかもあって、そういった生命体は"生霊"を発生させることも出来たりします」

 

 なんか大量生産品みたいだな。再生紙みたいなノリで作られてそうだ。

 

 「そして、生命体が生きている間も含めた一連の流れが、所謂輪廻、というわけですね」

 

 ほーほー。

 

 「で、オレがお前を今すぐ殴るにはどうすればいいんだ?」

 

 「無理です。常識的に考えてくださいよ。人魂から腕が生えたら気持ち悪いでしょう?」

 

 「気持ち悪いでしょう? じゃねーよ!! なんだその説明!? 投げやりにも程があんだろ!! 呪うぞチキショー!!」

 

 「ハッハッハッ、たかだか人魂が神を呪うだなんてバカバカしい」

 

 「お前の態度の方がよっぽどバカバカしいわ!! 中途半端に余裕ブッこいてんのが無茶苦茶ムカつくんだよ!!」

 

 あぁ殴りたい! このクソムカつく自称神な〇ラ〇ムベスを殴りたい!!!

 

 「まぁまぁ、落ち着いて下さい。そんなあなたに朗報があるんですよ」

 

 「朗報?」

 

 まさか生き返らせてくれるとか? いや、それにしたって無償はないだろうからな。何か試練とかあるのかな。地獄一回りとかやるのか?

 

 「簡潔に言いましょう。生き返りなさい」

 

 「命令口調!?」

 

 つーか無理だろ! 生き返れって言われて生き返れたら神様は要らない…………要らないのか? あ、目の前の神がいらないのか。

 

 「ぶっちゃけ、間違った運命であなたが死んだことが上司にバレると、後処理とか始末書とかめんどくさいんですよ。なにぶん、しがない中間管理職でして」

 

 職務怠慢じゃねーか。働けよ神様。

 

 「だから、あなたをちょちょいと生き返らせて、私のミスを揉み消そうかなー、と」

 

 最低だこの神様。こんなんが神だなんて世も末だな。

 

 「ただ、問題もあるんですよ」

 

 「そりゃあるだろうな」

 

 ミスの揉み消しなんてやろうとしてんだから。

 

 「本来ならあなたを元の身体に戻すのが1番手っ取り早いんですけど……。とりあえず、現世でのあなたの死体から見た視界のライブ映像です」

 

 そう言うと駄神はどこからともなくテレビを取り出す。ブラウン管式で、チャンネルがスイッチではなくてツマミで変わるタイプだ。ずいぶん古臭いな。

 

 そこに、やたら色鮮やかに現世らしき風景が映し出され――――

 

 「って待て待て。何故辺りが火の海なんだ? 火事か?」

 

 「いえ、既に火葬が始まっているだけです」

 

 「早ぁッ!? 未練なさすぎだろ!!」

 

 つーか準備いいなチクショウ!

 

 「何を言っているんですか。もう現世では火葬を始めるには十分な時間が経っているんですよ。まぁ、今のあなたは時間という概念を感じることが出来ないので、仕方ないと言えば仕方ないのですが」

 

 そうなのか? よく分からないけど。

 

 「まぁ、そういった訳で普通に生き返らせるのは無理なんですよ。いやはや、困った困った」

 

 「自業自得じゃねぇか」

 

 「そこで、ですよ」

 

 オレの言葉を無視して、駄目神は喋り続ける。

 

 「所謂書類的なものをちょちょいと書き換えまして。それであなたを、"別の世界の人間"として生きさせることで何とかごまかそうと考えたんです。いやはや、我ながら妙案」

 

 「どこがだよ! 完ッ璧に情報改竄じゃねぇか!!」

 

 「あなたは生き返り、私は怒られない。互いにいい話じゃないですか」

 

 「お前は怒られるかどうかだけなのかよ!? なら普通に怒られろよ!!」

 

 オレがそうツッコんだ瞬間、急に神妙な雰囲気になったベスが言う。

 

 「その場合、あなたは本当に死にますが、いいんですか?」

 

 「それは…………」

 

 そりゃあ、オレだって死にたくはない。赤ん坊になるんでも、生きられるなら生きていたい。でも、だからってそんな形で……神様のミスを揉み消す理由でなんて生きたくない。

 

 「――――もう、何だかめんどくさくなりましたね。AかBか。選べと言っているんです。早くして下さい。でないと、貴方を消します。私としてはそれでも構いませんし」

 

 Aか、Bか。

 

 神と共犯になって生きるか、神に逆らって死ぬか。

 

 それは、オレの今の立場から考えれば、あまりに魅力的な提案だった。

 

 目の前の神と共犯になれば、形はどうであれ生き延びることが出来る。それだけでなく、最初からやり直しをさせてくれるという。対し、逆らえばオレの人生はそこまで。バカみたいな理由で死んだ男は、なんら周りに影響を与えることなく死んで、それでおしまい。哀れな死体の出来上がりって訳だ。

 

 ――――面白いじゃねぇか。だったら、オレの答えは決まってる。

 

 

 

 「…………そんな選択肢になんか乗ってやるかよッ! オレの運命はオレが決める! そうだ、そんな腐った運命なんざ……オレが変えてやらァ!」

 

 オレがオレ自身の思いを叫ぶ。思いが辺りに伝播するように、周りが微かに震える。

 

 しかし、目の前にいる神は、事も無げに言う。

 

 「……笑わせますね。たかだか一介の魂が、神に逆らうと?」

 

 先程までのふざけた感じじゃない。見た目のコミカルさがまるで感じられない程に、今目の前にいる神様は、強烈な迫力を放っていた。

 

 だが、それでもオレは退くつもりはない。

 

 「笑わせるたぁ笑わせるぜ。生憎だが、オレは自分が納得できないことを強要されるのが大嫌いなんだ。だから、そんなことを押し付けてくるんなら、例え神様にだって逆らってやるさ!」

 

 オレの中から、オレの意志に反応するように、何かが溢れ出そうとしてくる。熱い熱い、マグマよりも、太陽よりも熱い何かが。

 

 「さぁ覚悟しろ神様。人間の意地ってヤツを見せてやるぜ!」

 

 具体的にどうするのか、そんなことは関係なかった。ただ、自分の中の衝動に突き動かされるままに、目の前の神に向かって突撃する。

 

 

 

 その時、神様の顔に、ほんの僅かだがいろいろな感情が見えた。

 

 驚き、愉快、恐怖、希望。

 

 ――喜び。

 

 しかし、それが見えたのはごく僅かな時間のみだった。

 

 そして、オレはいつの間にか自分がこの場からいなくなっていたことに、気づくことはなく消えていた。

 

 

 

 

 

 全く、いちいちめんどくさいですね。しかも、選んだ結果は"自分の道は自分で切り開く"。まぁ、そこが"らしい"と言えますが。

 

 「巡り巡って、再び来たチャンスです。今度はしっかりモノにしてくださいよ。吼太さん」

 

 

 

 

 

 なんか気づいたら、オレ……3歳児になってました。なんで?

 

『記憶が戻りましたか。おはようございます、吼太さん』

 

 何故か、不意に奴の声が頭に聞こえてきた。

 

 「ベスか?」

 

『ベスってなんですか』

 

 「いや、オレンジ色でいかにもRPGの序盤に出てくるような姿してるから」

 

『………………』

 

 そこまで気に入ったか。よかったよかった。

 

『……まぁいいです。とりあえず、今のあなたの状況を説明します』

 

 気を取り直したベスが、改めて説明に入る。

 

『とりあえず、あなたは無事に転生を果たしました。これで晴れて、転生者の仲間入りというわけですね』

 

 「転生、ねぇ」

 

『まぁ、とりあえず私の目的は達成した形になりますね。で、どうします?』

 

 「どうしますってどういうことだ?」

 

 訳が分からん。一体何の話だ?

 

『吼太さんが転生を果たしたことで、当面の私の目的は達成したわけです。ですので、あなたが望むなら、今すぐにでもあなたを死なせることも出来ます』

 

 「なっ…………」

 

 突然言われた衝撃的な言葉に、返答が出来なくなってしまう。ベスは話を続ける。

 

『経緯はどうあれ、元々は死ぬはずだった命です。そして、転生させられたのも私による強制的な物で、あなたが望んだ物ではない。ですので、今の命が気に入らないのならば、あなたを殺してもいい、ということです。…………どうしますか?』

 

 ベスが再び聞いてくる。つまりは、今の命が納得できないなら、さっさと死んでもいい、ってわけだ。

 

 ――なら、答えは決まってるさ。

 

 「お断りだ。どんな形であれ、この命は今ここにある命だ。その命を好き勝手にするなんざ、例え神様だろうと認めねぇ」

 

『…………』

 

 ベスからの返事はない。オレは話を続ける。

 

 「それに、夢も出来たからな」

 

『夢……?』

 

 意外なのか、先程より若干感情を感じられる声を出すベス。

 

 「あぁ。以前の人生じゃ、何も為せなかった。何一つ、な。だから、当面の目標は何かを為すこと。理想としては、後世に残る何かだな」

 

『偉業を為す、ということですか?』

 

 ベスの言葉に、しかしオレは首を振る。

 

 「そこまで大層なことじゃねぇよ。そうだな…………子供、かな。こだわるわけじゃないけど、愛する人と一緒に家庭を作って、いつか子供が生まれて……。そんなことでもいい。何か、自分がいたって証が、オレは欲しい。だから、それがオレの今の夢だ」

 

『そうですか』

 

 そう言うと、ベスの気配が薄くなっていく。

 

 ――――ならば、生き抜いてみせなさい。生き抜かなければ、どんな夢も命も、意味はないのだから。

 

 「……おう」

 

 こうして、オレの人生の幕は、再び上がったんだ。

 

 

 

 

 

 「ほら~、コータ、朝だよ。おきて。ちこくしちゃうよ~」

 

 「ん…………」

 

 朝日が顔に当たり、暖かな熱が頭に染み渡っていく。とても心地よく、この暖かさに任せて再び眠りに落ちてしまいたかったが、そういうわけにもいかない。目を開ける。

 

 「あ、コータおきた!」

 

 隣から声がする。顔を向けた先にいたのは、背中まで届く長い黒髪に、パッチリとした茶色の目。まだまだ幼いながら、将来は美人になるであろうことが容易に分かる、整った顔立ち。

 

 彼女は鏡ありす。オレの今世の家の向かいに住む、同年齢の女の子だ。いわゆる、幼なじみってやつだな。

 

 ここまでで分かった人もいるかと思うが、転生してもオレの名前は変わる事なく、吉谷吼太のままだった。まぁ、変わらないほうが面倒はないし、特に問題も感じていない。

 

 「おはよう、コータ!」

 

 「あぁ、おはよう」

 

 オレが返事をすると、それだけでありすはニコニコと笑う。

 

 彼女との付き合いは、それこそ生まれた時にまで遡る。同じ病院、同じ日にち、同じ時間に生まれて、更にはベッドが隣同士。トドメに親が互いに向かいに住んでいる、ともなれば嫌でも係わり合いが生まれるわけで。

 

 そんなわけで、小さいころからオレはありすと一緒に育ってきた。尤も、オレの精神年齢は、前世の19年と現在の5年を合わせて24年。感覚的にはどうしても、同世代ではなく、年下のかわいい子になってしまっている。

 

 「あ! コータ、またわたしを年下に見てるー! わたしのほうが大人なのにー!」

 

 「はいはい」

 

 「もー!」

 

 とはいえ、流石敏感な女の子。こんな風にすぐに気づいてくる。

 

 仕方ない、背伸びしたがりなお嬢さんのために、さっさと起きるとしよう。

 

 

 

 部屋から出てすぐの階段を降り、リビングダイニングに入ると、朝食のいい匂いがする。

 

 「コータのママさん! コータおこして来ましたー!」

 

 「あら、ありがとね。コータも早く自分で起きられるようになりなさいよ」

 

 「うーい」

 

 台所から顔を見せた彼女は、オレの母親。名前は吉谷 (あかり)。ありすのママさんと合わせて、近所では美人若奥様と評判……らしい。自称なんで怪しいが。

 

 だが、美人なのは多分間違いないだろう。170cm弱はある高身長に加え、エプロン越しでも分かるレベルの、出るとこは出て、引っ込むとこは引っ込んだ体形。時代が時代なら、ナイスバディとでも呼んだのだろうか。

 

 現在は専業主婦だが、昔はバリバリのキャリアウーマンだったとかで、ゆくゆくは部長に、なんて話も出ていたらしい。しょっちゅう仕事復帰を誘われている辺り、よほど信頼されていたんだろう。

 

 顔立ちはかわいい、キレイというよりカッコイイ系。実際、学生時代は異性以上に同性にもモテていたとか。

 

 しかし、そんな美人な母さんは、父さんにゾッコンだったとかで、告白もプロポーズも母さんからしたという。できちゃった婚だったらしいけど。

 

 じゃあ、そんな父さんはどんな感じなのかというと、だ。

 

 「お、起きたか。おはよう、吼太」

 

 食卓に座りながら読んでいた新聞を畳み、こちらに顔を見せた人が、オレの父さん。名前は吉谷透。

 

 職業は……知らない。ただ、海外出張はかなり多い。こうして朝食をとれるのも、割と珍しいことだ。

 

 母さんがカッコイイ系なのに対し、父さんはかわいい系。比較的低身長で童顔、たまに中学生に間違われている。稀に父さんを誘拐しようとする痴女もいるが、そんな輩は例外なく母さんに撃退されている。

 

 ちなみに、単純な身体能力は、実は父さんの方がいい。どれぐらいかというと――

 

 「ドロボーっ!」

 

 「何ぃっ!?」

 

 外から聞こえてきた声。それを聞いた父さんは素早く立ち上がり、窓から飛び出した。

 

 間もなく見えたのは、上空に錐揉み回転しながら打ち上げられた、ドロボーなのであろう見知らぬ人物。

 

 「今日はあんまり上がらなかったわね~」

 

 「10mくらいかな。空中コンボしなかったんじゃない?」

 

 母さんのどこかボケた言葉に、席に着きながらテキトーに応える。

 

 前世と比べたら明らかに異常だが、慣れてしまったんだから仕方ない。

 

 そうそう、前世と比べて異常、といえばもう一つ。

 

 台所で卵焼きを焼く母さんをもう一度見る。白いエプロン、綺麗な肌、そして――――艶やかな"橙色の髪"と、切れ長な"紅い瞳"。

 

 そう、オレが今生きているこの世界では、日本人でも髪や瞳の色が無駄にカラフルなのだ。ありすのような、オレの前世におけるスタンダード、黒髪茶瞳の日本人はむしろ珍しいレベルだ。

 

 そんなわけで、オレも赤い髪と赤い瞳を持っていたりするわけで。ちなみに、父さんは赤髪茶瞳。

 

 「ただいまー。やれやれ、朝っぱらから強盗だなんて、物騒な時代だ」

 

 個人的には、朝っぱらから強盗を紐なし逆バンジーする父さんのほうが物騒だと思う。

 

 「さぁ、朝ごはん出来たわよ」

 

 「あ、てつだいます!」

 

 母さんとありすが料理を食卓に並べる。学生時代は料理人を目指していたこともあったとかいう母さんの料理は、とにかくうまいから、毎日楽しみだ。

 

 オレの周りはそんな感じ。なんだかんだで、平和な第二の人生を満喫している。

 

 そう、この時のオレはまだ知らなかった。この世界には何があり、この先何が起こるのかを。




※なろうでの後書きを転載

はい、そんなわけで、プロローグが終わりました。

髪の色やら瞳の色やら、一見要らなそうな情報がありますが、これはわざとです。理由はいろいろあるのですが、一つは私自身、髪やら瞳がカラフルな世界に行ったら気にせざるをえない気がしたからですね。

今回はありませんでしたが、次回からはバトルも入っていきますのでお楽しみに!

ではではこの辺で! 次回もお楽しみに!
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