リメイクと言っても、主人公の名前、性格、展開を一新したものなので、面影はないとです…(汗
これからゆるゆると投稿をしていくので、よろしくお願いいたします。
はじまり
時刻は夕暮れ。場所は埼玉県某所の駅前。
ベンチに腰掛けた俺は、目の前を行き交う人々をぼんやりとした瞳で眺めていた。
傍らに置いたボストンバッグの中からスマホを取り出し、待ち受けに表示された時計を確認する。
「遅い」
現在の時刻は16時。待ち合わせは14時だから、2時間の遅刻だ。
あいつ……、もしかして俺が来ることを忘れているんじゃないのか?
ベンチの後方に植えられた桜の木からひらひらと舞い降りる花びらを眺めながら、俺はそんな事を考えていた。
「桜か……」
俺は溜息を吐きながら、視線を上にあげた。
オレンジ色の空をバックに、鮮やかな桜の花が咲き誇っている。
「そういえば、はじめてこの町に来た時も、こうしてベンチに座って桜を見上げていたな」
5年ほど前、俺(少年ver)は親の都合で埼玉の親戚、泉家に預けられた。
その時も、迎えにくるはずの従姉が遅刻をして、2時間も待ちぼうけを食ったのだ。
「5年、か」
結局この町いたのは1年足らずだったが、あの頃はとても充実した楽しい日々を送っていた。
アニメ好きで変わり者の従姉、性格が対照的だが仲睦まじい双子、物知りだけどちょっと抜けてる眼鏡っ子。
あいつら……元気かな。
ふと、俺の視線を何かが遮った。
「……」
小柄な少女が俺をのぞき込んだのだ。
少女と俺の視線がクロスする。少女はゆっくりと口を開くと、
「花びら、積もってるよ?」
「そりゃ、2時間も待ってるからな」
俺の台詞を聞いた少女は、何故か嬉しそうに頬を緩めた。
「おほーっ、さすがたくと! あたしのパロネタに瞬時に合わせるとはやりますなぁ。はいこれあげる」
少女が差し出した缶コーヒーを受け取った俺は、怪訝な表情をする。
「何のことだ?」
「カノソだよ、カノソ。駅前のベンチで2時間待った主人公にヒロインが『雪、積もってるよ』って言ったあと、主人公が『2時間も待ってるからな』って返すんだよ」
「別に狙って言ったわけじゃない。俺は本当にここで2時間待ってたんだ」
「え? 約束の時間って、4時じゃないの?」
「14時。つまり午後2時だ」
「……す」
少女は困ったような表情でポリポリと頬をかいた後。
「すぁーっせんしたぁー!」
腰を90度曲げ、勢い良すぎる謝罪をした。
どうせ、14時と午後4時を勘違いしていたのだろう。
まあ、そこまで怒っていないし、この缶コーヒーに免じて許してやるか。
俺は立ち上がり、ボストンバッグを肩にかけて歩き出す。
「いいよ、それより、お前の家に案内してくれ」
「あ、たくと! ……あたしの名前、まだ覚えてる?」
「……」
背後から聞こえる声はこいつにしてはらしくないほどしおらしいもので、『覚えていない』という冗談を言う気にはなれなかった。
俺は軽く振り返り、5年前からさほど成長していない従姉に向かって、
「いくぞ、こなた」
「うん!」
こなたは嬉しそうに頷き、小走りで俺に駆け寄ってきた。