闇に堕ちた提督 リメイク版   作:きんにく同盟

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ちょっと艦娘出さなさ過ぎだったので、注意して書いていきます。

お願いいたします。


英雄が生まれた日

消滅、一つの熟語に表すと正にその通りだった。人の営みこそはないが、築いてきた自然の歴史は、およそ10トン余りの鉄の塊により再起不能な迄に凌辱され尽くした。

 

そんな中、少女は茫然と言葉を放つ

 

「…また私はこうなるのか……」

 

彼女の声の抑揚は精神的な消耗からか、か細い物となってしまう。

 

その少女の後ろには数人いるが、皆沈黙を貫いている。

 

全体的に言えば、満身創痍。服は所々破けているのに加え焦げ付いている。この平均が成人に満たない子達は一体何をしていたというのか?

彼女らに問うても分からないと答えるだろう。

そう、捨て駒とは何時の時代も何も知らされずに働かされ続けるのだから。

だが、死の直前に初めて分かる。自分らは弾かれたのだと言いたい事は沢山ある。恨みや憎しみを帯びた罵詈雑言。

そんな中、優先させたのは

 

「…グングニル……」

 

神の鉄槌…

なにせ、彼女らの上空には先ほどの鉄の塊が無数に散らばっていたからだ。ここが、陸地なら空挺部隊のパラシュート降下。言わば、それ程の数だった。

 

瞬間、テスラコイルを積んだエルドリッヂ号にも勝るか同等かの閃光が包んだかと思えば、直下の海水諸共、彼女らは消え去っていた。

 

 

その地から、遠く離れた地点に男はいた。遥か彼方にのみ太陽の光が降り注いだかのような荒唐無稽さは、例の作戦が実行されたのだと理解するには十分だった。

 

僅かに遅れてきた地鳴りのような、低く大きい音が響く。悲しみの残響だろうか?それとも慚愧であろうか?

 

当事者では無い彼はそれを知り得る資格は無いだろう。

 

 

彼の背後には港らしき設備と大型のクレーン。比較的大きい建物群。そして、レンガ造りの荘厳な雰囲気をまとう建物がある。

ここは、海の防衛を担う日本海軍直属の鎮守府だ。

付け加えれば、昨今話題の艦娘が居る場所でもある。

 

またこの男は、その鎮守府の最高司令官であった。

名は天川卓也。

 

音が鳴り止み、爆破の完了を示唆する静寂の中、天川は呟く

 

「俺が……必ず…!」

 

2時間後 某ホテル 大会場

 

そこでは、軍服を着た中年が多数に跋扈している。軍服の装飾を見るに、相当な上層部だろう。

 

露出の多い服を着た女が酒を配り歩き、その度に下品な笑い声が会場を包む。

 

そんなムードを壊す轟音が鳴り響く。独特な少量の火薬を使用した音は紛れもなく拳銃だ。

 

上層部たちは、一斉に青ざめる。パーティーなので、持っているのは装飾にすぎ無い軍刀だけな為だ。

 

火力以前の話である。

 

「誰か私を護れ!!」

 

そう言い駆け出す小太りの男。こう言った状況下で真っ先に死ぬ奴の典型。

 

故に必然的に倒れる。

 

ドクドクと胸の辺りからドス黒い血が流れ出る。見るに即死…の筈だが、ゼンマイが巻いてある人形の様に足をバタつかせる。

 

「生き汚い奴だ…」

 

皆が同様に思っている事を的確に言いながら、入ってきたのは、日本の警察がよく使うリボルバー式の拳銃を両手に持った天川卓也だった。

 

彼は今宵、反逆者となる。

 

 

「ぎゃあああ!!」

 

品性の欠片も感じさせない悲鳴が耳を突く。鼓膜が震え上がり、赫怒を爆発させる。

 

当たるか当たらないかどうでも良いが、牽制の為の一発。それは、さる老害に被弾する。

 

「み、耳がぁぁぁぁ!!」

 

片耳が千切れ飛ぶ。迫り来る激痛で叫び、肉体の欠損を自覚し嘆く。それは、誰の目にも写る絶望のプロローグ。

 

必然か当然か、動きが止まる。

決まっている。人間の心理とはそういうものだ。

 

今の内に殺すべき奴らはをピックアップする。対象は未来に生きていてはいけない者。こんな程度で怯む連中だ、大した度胸がある奴などいない。

 

だから、大半は見逃しても問題ない。いくらあの娘たちを殺したとしても、一人では何もできない。問題は船頭に難なくつける者。

 

 

見た所、視界に入る人数は5人。

自分が予めリサーチした人数より3人程足りない。

 

「高原中将出てこい!!」

 

炙り出し…この現状では皆が監視し合うので知らぬふりなど出来ない。

 

 

ノロノロと出てくる。その顔は恐怖に染まっている。

 

 

その顔…見たよ。

俺が何時、そちら側に移るか分からずに不安を押し殺しながら接してくれたあの娘たちだ。

 

「お前が…そんな顔するんじゃない!!」

 

照準を上で揃えずに横から銃身の角度を見て撃つ。昔、友人から教わった早撃の要領だ。

 

リザルトは気にしない。早々に確認した5人を目で捉えた順に同じく撃つ。

 

関係ない奴に一発当たったから、計7発の消費。前に5発使ったから、今両手に持っている銃はリロードしなければ使えない。

 

「必要ないな。」

 

手早く捨てる。

 

確かに彼女らの事を目の前の銃のように、簡単に捨てて戦果を上げるのは合理性がある。

だが、脳裏に浮かぶのは微笑ましい時間。

 

故に出来るはずが無い。

 

上着を捲る。ベルトで腹に固定させた無数の同じ型の拳銃。全て憎しみを込めた弾が詰まっている。

 

あと2人…

 

名前を呼ぶ前に、奴らのただでさえ統制のない隊列…というか塊だが、それが複数の人が撃たれた事実を目の当たりにして乱れる。それだけならばいいものの、パニック状態となり、こちらへ来る!!

 

 

 

 

 

 

「お願い提督……行かないで。」

 

そう縋り付いて来るのは、駆逐艦の集団。後ろに居る軽巡も不安そうに見ていた。

 

止めてくれ……惜しまれる男ではない。

 

 

 

「だから………………やってやる…」

 

掃射する。

これは、マシンガンではない。つまり、最速でトリガーを押し込み、それが戻る瞬間にまた繰り返す。

 

愚行と言い切れはしないだろう。何故なら彼には重い使命があるのだ。

 

消費していく弾丸、詰められる距離。

窮鼠猫を噛む………ただ、俺は噛まれるだけでは済まない。

湧き上がる恐怖…狭まる距離からの焦燥感。

だが、総じた恐怖よりも……殺意の方が勝る!!

 

構わず撃ち続ける。俺も奴らも止まれない。

 

「俺は…俺はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

数十分後………

 

フロントが騒ぎを聞きつけて呼んだ警官隊が、会場があるフロアに突入した所、至る所で荒そった形跡と火薬と濃厚な血の匂いがした。

 

「…………」

皆無口になる。

生きている奴などいまい。本能的に悟れてしまう程の凄惨極まる情景。

 

やはり……生存者は居なかった。

こんな極限状態ならではの同士討ち、フレンドファイアの跡も見受けられた。

だが、そんな中でも天川の死体は無く、また行方も分かっていない。

 

それから、事件は追求されて海軍幹部の行いが明らかとなり、天川はテロリストから英雄へと形を変えた。

 

 

だから、この事件はこう呼ばれている。

 

英雄の鉄槌と……

 

 

 




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