帰りたい、でも帰れない天狗さんの日常   作:monochrome vision

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02 河童の技術力

 

 

 

 

 翌日。今日は朝から河童のところへ行くことにする。どうもここの河童は技術力がもはや人間を超えているようで光学迷彩を発明しているらしい。ならカメラを頼んでも余裕で作ってくれるだろうと思って河童のいる河へ向かう。

 

 俺が作ってもらおうとしているのはスマホだ。普通にカメラを持つのもいいが、スマホみたいにして色々な機能をつけてもらったほうが便利だろう。音声録音やムービー、音楽に写真やメモ帳。一つに詰めてもらったほうがお得感。しかし、アプリとかで機能していたこれらは河童が作ることが出来るのだろうか…いや、任せよう。そういう機能付きのものを作ってくれるだろう。

 

 鞄に詰め込んだ胡瓜と胡瓜の漬物や胡麻和え、その他諸々の簡単料理と野菜スティックみたいに付けて食べれるように調味料を数点。これで交渉に挑む。

 

 河童の住んでいるところは川の上流付近でそこに集落を作っているが、そこに突撃するわけにもいかないので川付近で暇している河童を見つけてそいつに話しかけてみるつもりだ。

 川に沿って低空飛行で飛んでいると、ようやく一人の河童を見つけた。美少女の河童で水色の服に帽子、背中には大きなリュックが背負われており、胸の前では鍵がついた紐が見える。なにあれ、胸が強調されてエロい。

 

 羽を散らしながら川岸に降り立ち、その河童の近くまで歩いていくと、踏みしめる小さな石達の音にそいつも気づいて此方を見てくる。

 

「あれ? 文じゃん。昨日あったときとなんか違うけど…髪伸びた? 胸縮んでない?」

 

 髪切った?ならよく聞くセリフだが、胸縮んだ?は初めてだぞ……いや、男に何を言っているんだという話だが。どうも俺はその文とかいう女に似ているらしい。女顔らしいからよくわからんが、髪型が似ているとかそんなのかもしれない。

 

「俺は文とか言う女ではないんだが……」

「ん~? 声も違うね…変声機でも使った?」

「誰がコナンくんだ。俺が使うならボーカロイドでも使うわ……それより河童であるお前さんに少しばかり頼みがあるんだが、聞いてもらえるか?」

 

 怪訝な表情で首を傾げている河童の女に鞄の中身をちらりと見せながらそう聞くと、瞬時に目を輝かせながら頷き、家へと案内してくれる。

 

 道中に自己紹介をし、新聞に使うネタを収集するための道具を作って欲しいという簡単な説明をしながら歩く。その説明の途中で河城にとり…にとりは自分も読んでいる新聞があると言ってリュックから一つの新聞を取り出して俺に渡してくる。

 

 その新聞の名前は『文々。新聞』と言い、さっと目を通してみるが、確かに新聞になっているが比較的に読みやすいし、面白みを出している。漫画や雑誌の代わりに読むとしては丁度いいものだろう。人間界の新聞は情報を伝えるものだけでそこまで面白くないしな。

 

 俺が作る新聞も最初は人間界の新聞のように淡々と情報と事実を伝えるものにしようかと思っていたが、変えてみるか……そうだな、半分を大人向けの情報で文章に。半分は読みやすい文章で少しばかり面白みを取り入れた話を。

 ふむ…色んな人に読んでもらうのであれば4コマ漫画も書いてみて、下の方に小説でも書いてみるかな。どちらも幸いなことに書くことが出来る。写真を載せてもいいし、自分で絵を書いてどこか一枚に載せるのもありだろう。うむ、全部詰め込んでしまえ。

 

 大まかなことは決まったし、後はにとりに色々してもらってと…。

 

「着いたよ、蒼夜! さ、あがってあがって」

「ん、お邪魔します」

 

 案内された家に入ると、そこは現代風の綺麗な家だった。これはもう、土下座をする覚悟も必要か…俺の小さな家を捨てて里の外でにとりに家を作ってもらってそこに住む。綺麗な家に住みたいんだよ。

 

 通された居間で座布団の上に座ると、机を挟んでにとりも座る。その顔は今か今かと胡瓜を楽しみにしている顔だが、これは報酬なのだ。話を進めながら一つずつ取り出していくことにする。

 

「早速で悪いが、作ってもらいたいものがある。胡瓜は間で随時前報酬として渡していく。何か書くものはあるか?」

「紙でいいかい?」

「ああ。それでこういうものなんだが……」

 

 胡瓜の漬物を入れた容器を俺の手元に置く。渾身の出来であり、ご飯が欲しくなるほどかなり美味いと思う。受け取った紙とペンでスマホのフォルムを書いていき、その傍らに欲しい機能を書いていく。あとは充電器と発電機、スキャナーなどだろうか。

 

 ふんふんと頷いているにとりの口元に一枚一枚、適度に間隔を空けながら摘んで持っていく。一枚目を食べさせたところで叫び、次だと言われて待ったをかける。そして話をして理解したところでもう一枚。待てもおすわりもできる犬みたいな奴である。餌付けは成功したようだ。

 

「なるほどね…確かに面白いものだね。カメラは勿論?」

「高性能、高画質。持ち歩くからチェーンを付けれるようにしてほしいし、強度とか防水も任せるぞ」

「画像編集は?」

「出来るのか?」

「やってみせるよ。久々に腕が鳴るってものさ。任せて、最高のものを作ってあげようじゃん!」

「フッ…助かる。まだ作って欲しいものがあるんだが……」

「幾らでも。だけど……」

 

 にんまりとしながらにとりは俺の胸の前にある容器と鞄に視線が注がれる。苦笑しながら一枚取り出して口元に差し出すと、笑顔で指ごと咥えられた。彼女いない歴=年齢の俺がこんなことしているとは……柔らかい唇の感触にちょっとドキドキする。

 

 引き抜いて鞄の中から更に容器を取り出して別のつまみのような料理も並べていく。

 

「胡瓜をくれればいつでも作ってこれるが…漬物だけだと思うなよ?」

「おっ、いいねぇ…いやぁ、蒼夜は最高だね。今まで暇してて詰まんなかった日常が、一気に色を取り戻したような気がするよ。まさかこんな鴉天狗が居たなんてね」

「これからも何か頼むだろうけど、スマホのでき次第では専属になって欲しい。それと、俺との話は他言無用で頼む」

「いいけど、なんでだい?」

「この情報をネタにされたくないし、もし腕が確かであるのなら…そんなにとりを誰にも渡したくねぇからだよ」

「そ、そう? そ、それよりさ! 続きはお酒でも飲みながら話さない!? 見た感じ、つまみに持って来いってラインナップだからね」

「ん? いいのか?」

「勿論さ! 河童の…私の技術力を舐めないでよ?」

 

 酒も含めてだが違う意味でのいいのか?に反応してくれたらしい。短いやり取りで既に契約を結んだようなものだが、余程腕には自信があるのか、その瞳には自分が失敗することや無様な物を作るなんてことは微塵も見えなかった。運がいい…まさか川で出会った河童がここまでとは。とは言え、まだ作ってもらったわけじゃないが、大丈夫そうだな。

 

 その後、にとりが持ってきた酒とつまみを飲み食いしながら夜遅くまで話に花を咲かせ、上機嫌に酔ったにとりを寝かせてから夜の空へと身を踊らせる。

 

 人工の明かりなんてない幻想郷の夜空は、宝石なんて霞むような輝く星々に彩られ、寝るのが惜しくなうような絶景だった。これは朝日も綺麗なのだろう…寝るのが嫌だな。

 

 

 ◇ ◇ ◇ 

 

 

「…………妖怪のままか」

 

 夜の景色を堪能してから部屋に戻り、床についたのだが、朝起きてみてもそれは妖怪である俺の部屋の天井であり一人暮らしの時の部屋の天井ではなかった。

 

 寝たら鴉天狗の俺は夢の出来事でいつもと同じように朝を迎えて大学へ行く…そんな生活に戻っていると思ったが違ったようだ。

 溜息を吐いて布団から起き上がる。それにしてもこの布団は少々汚くて臭いし、使い潰されてぺったんこで寝心地は最悪だ。ベッドとか売っていないのだろうか。

 

 ハッ!? もしかしたらにとりに頼めば色々売ってくれるかも。なにせ名前がにとりだからな。……なんてことはないか。幻想郷の文化からして古い日本の風景を残しているからベッドなんて使っているところなんて無いだろう。

 

 ベッドの代わりに自分の羽を羽毛布団の代わりに…することは不可能だがこの翼、寝る時に少々邪魔である。寝心地悪くて寝る前に盛大に寝返りを打とうとしてメキッていった時は飛び起きた。うつぶせでねよ……。

 

 がりがりと頭を掻きながら適当な服に着替えて今日は何をするかを頭の中でスケジュールを立てる。

 優先順位としてはまずは服などの生活用品を揃えること。しかし、色々買ったところで部屋は小さいので置くスペースがない。これもまた問題だろう…引っ越しできるか?

 

 それまでは影の中に入れておくことにする。影を一つの倉庫にすることで様々なものを収納が可能となるのだ。簡単に言えばアイテムボックスや空間倉庫。

 

 あらかたの今日することを頭の中で整理して部屋を出る。朝は全く飯が食べられないのでパン派の俺が米を食べるとか結構無理な話なので水だけ飲んで出た。流石に何も飲まずに行動するのは脱水状態になるのでこれだけは気を付けている。水を飲まずに朝のランニングをして倒れかけるのと同じだ。あれは死ねる。

 

 行き先は人里。翼は妖術でどうにかできるので影を軽く纏い、気配を薄くすることで普通の人は知覚しづらくなるので大丈夫だろう。なんなら道行く人に片っ端から感覚を支配して誤魔化してもいい。流石にゴリ押し過ぎるがな。

 

 朝の冷たい空気の中を飛びながら人里の近くで飛ぶのをやめる。そして門番の居る入り口を素知らぬ顔で通り抜けるが…

 

「嘘だろおい……」

 

 まさかの気づかれないという…。槍を片手に大きな欠伸をする門番は、影を纏った俺が横を通り過ぎているというのに全くの反応無しでボーッと何処かを眺めている。流石にこの事実に俺も驚愕し、少し落ち込む。これは、俺が存在が薄いからなのだろうか…影のせいだよな? 成功してるからだよな? 素でスキルにステルスヒッキーが備わっているとかだったら悲しいものである。大学でもぼっちじゃないので要らぬ心配だと思いたいものだ。

 

 ちょっと気落ちしながら呉服屋を目指すことにした。それにしても…これが人里か。

 

 朝早くだと言うのに既に賑わいを見せ、新鮮な野菜を売るために店主が声を張り上げている。子供達は走り、寺子屋にでも向かうのか鞄を提げていた。なんでだろうな…銀魂思い出したんだが。

 

 道の端を里を観察しながら呉服屋を探す。いいな…天狗の里で過ごすよりも人里で暮らしたいものだ。害がなければ受け入れてもらえるかもしれないが、それでも妖怪が人里に住むのは異例だろうし、何よりも他の天狗が許さないだろう。山を追い出されてみろ、天狗に見つかり次第討伐対象になるぞ。そういうところは天狗は面倒くせぇからな。

 

 まぁ、仲間の天狗を殺しでもしない限り討伐対象にはそうそうならないだろう。それに、そこまで目立つようなこともしたくない。本当に下っ端も下っ端だからな。ロケット団でいう主人公にポケモンバトルで戦う役割すら与えられていない脇役。なんならゲーセンでスロットをしていて話しかけることしかできないやつでも構わん。サボりとも言うがな。

 

「おっと、ここか」

 

 ようやく呉服屋を見つけたが休みということもまだ開いていないということもなく軽く安心する。

 

「いらっしゃい」

 

 中に入ると店主だろう一人の中年の男がカウンターの向こうで出迎えてくれる。無愛想な挨拶だが、チャラい奴がバイトをしていて訳のわからん挨拶をしてくるよりは断然いい。らっしゃっせーってなんだよ。

 

「あん? お前さん、妖怪か?」

「ん? 確かにそうだが、よくわかったな」

「まぁな。この人里で見られない顔があればそれは大体妖怪だかんな」

「ほぅ…まあいい、服を見せてもらうぞ?」

「ああ、好きに見な」

 

 その言葉の通りに歩いて服を見ていく。俺の知っているような服もあれば和服もあるし、ベルトも売られている……幻想郷の技術レベルがいまいち良くわからん。

 人里を見るからに浴衣や着物などの和服を着るのがいいのだろうが、流石に日本人とは言え洋服が主なために着慣れないものは買いたくない。

 

 幸い、金は全然使われていなかったので結構溜まっており、金に糸目はつけないでいい。無難に黒いズボン、黒いインナーと白いワイシャツとでいいだろう。これらを数着持って男の元へ向かう。

 

「これを頼む」

「はいよ…って、お前さん、女なのにこんな服でいいのか? 綺麗な着物とかの方が似合うぞ?」

「……俺に女装しろというのか」

「……男か?」

「そうだが……」

 

 少しの間、店主の男の視線は俺の顔と胸を行き来していたので胸を拳で叩くと鈍い音がなり、それが証明になった。この身体の持ち主のコンプレックスは女顔だが、その顔のせいで男に襲われて自分の顔が嫌いになったのだ。流石にホモじゃなかったらしいが、怖さで塞ぎ込んでいたようだ。

 

 言われた金を払い、服は袋に入れて腕にかけておく。

 

「ありがとよ。ああそうだ、靴とか売ってるところを知らないか?」

「靴を? ああ、いいところがあるぞ。なんでも外来人の男が作ってるらしくてな。評判がいい………ほら、ここだ」

「あいよ。また来るわ」

「おう」

 

 紙に道を書いてもらって軽く礼をして店を出た。で、なんでこの地図は距離が全て歩数で書かれているんだ? というか歩数でわかるとは…まさか数えたのだろうか。余程暇だと思われる。

 

 阿呆店主曰く、ここから左へ236歩丁度で着くらしい。一歩1mだとして230m程度だとなぜ書かないのかはまるで分からないが、もしかしたらボケ防止とかかもしれん。老いない妖怪となった俺だが、ボケないように俺もこうして何かしらを数字化して脳を活性化させたほうがいいのだろうか。

 

 書かれている通りに律儀に数を数えながら歩いていくと、本当に236歩で靴を売っている店に到着したその事実に俺は驚きを隠せねぇんだが……ピッタリで店の扉の前なんだけど、なんだこれ。怖っ。

 

 あの男の意外な特技?にちょっと体を震わせながら扉を開ける。カランとベルが鳴り響いた。

 

「いらっしゃいませ! おや、妖怪の方ですか」

「ああ。呉服屋の男からここで靴が買えると聞いてな」

「あの方ですか。確かに靴を扱っておりますので、ごゆっくりどうぞ」

 

 エプロンを着けた若い男が営業スマイルで出迎えてくれたが、なるほど、こいつが外来人であり現代日本からやってきた人間……何があったかは知らないが、科学の発展していない幻想郷で生きることを決めたのだから、それ相応の理由があるのだろう。

 

 それにしてもこの店も面白いものだ。現代で売られていそうなスニーカーなどが売られているのだから。

 

「随分と違うな」

「草履や革製の靴じゃない…ということでしょうか」

「まぁな。履きなれた草履と比べると、流石にこのタイプの靴は……あまり売れていないんじゃないか?」

「……ええ、まあそれでも洋服を着ているような妖怪の方がたまに買いに来てくれることがありますよ」

「何か理由が?」

「簡単に言えば能力があるのです。『靴を作る程度の能力』ですね。その名の通りで…なにか特別な能力を付与できるというわけではないですよ」

 

 そう苦笑しながら言う店主。クロックスが売られているのは流石に吃驚だ。

 暫くのんびりと靴を眺めているのだが、これ、大丈夫なのか?なんていう疑問が浮かんでくるデザインもある。

 

 ミッ○ーやくまの○ーさんとか、まるで中国版の猫型ロボットやアンパン顔、黄色いネズミや人形ロボット。この歪んだ顔やフォルムを少し変えたガン○ムに色々言いたいことはあるが、子供向けの靴だからまあ大丈夫だろう。ここ、幻想郷だしな。

 

 だが、流石にブッサイクなティン○ーベルを見た時は小さな悲鳴を上げた。こんな妖精見たくなかったわ…むしろ怖いまである。藤田○日郎の漫画とかに出てきそうな顔してるんだが…。

 

 一通り見終わって店主の所に戻ると、なにやら雰囲気が違うことに気づいた。別に翼によって靴を叩き落としたわけでもない。くすんだ翼が汚く見えたか?

 

「どうした?」

「いえ、その……」

「いや、別に言いづらいなら構わんが……それより黒のシンプルで動きやすい靴とクロックス、ブーツも一つ見繕ってくれないか?」

「やはり……あの、ちょっとお聞きしたいことが有るんですが…」

「なんだ?」

「いえ、簡単なことです。バイトをされたことはありますか?」

「バイト? まあ一人暮らしだったからあるが…コンビニと清掃、酒屋にデパート…まあ色々したな」

「………海外旅行などは」

「いや、無いな。アメリカとかには行ってみたいと思っていたが」

「きゅ、休日の過ごし方は!?」

「ゆ、友人とカラオケやゲーセン、バイトとまあどこかに遠出して食べに行ったりだが……」

 

 何故か食い気味に顔を近づけて聞いてくる店主に、ちょっと引きながら答えていく。大学生活は仕送りとか殆どなくてバイトで賄っていたが、割りとキツかったな。

 

 そんなことを思い出しながら一歩後ろに下がると翼ががさりと靴の棚にあたってドサドサと商品が落ちていく。それを拾おうと後ろを向こうとした瞬間、店主に肩をがっしり掴まれた。

 

「か、感激です! まさか他の外来人の方と出会えて、通じる会話がまたできるとは!」

「は? 俺は妖怪で……………ッ!」

 

 そこまで言って続きを言うことはできなかった。それもそうだろう、俺は既にこの男と決して幻想郷では通じない会話をしていたのだから。

 やってしまった……まさか何の違和感もなく人間の頃の話をしていたなんてな。恐らく、俺がこいつ自身を外来人と知っており、普段から聞き慣れた単語に違和感を感じず、妖怪になったのが最近だから無意識で答えていたのだろう。

 

 これはまずい…もし、他のやつに同じようなことがあれば必ずといっていいほど目立つだろう。妖怪の賢者にバレてみろ…何らかの害ありとか思われたら最後だ。

 

「……どこからだった?」

「タイプやシンプルなどを自然に言葉にし、クロックスや質問の答えで確信しました。鴉天狗が現代の人間生活を知っているとは思えませんし」

「まぁ…その通りだ。俺は妖怪で人間なんだが……誰にも言わないで貰いたいんだが?」

「勿論です。お茶でも用意しますのでお話でもしませんか?」

「応」

 

 カウンターで二人して椅子に座り、奥から出てきた女にお茶を貰う。この男、斉藤和真の妻らしく、惚れてしまったからこそ幻想郷に残る決意をしたらしい。どれだけ深い愛なのだという話だ。当の本人は幸せそうだからそれでいいのだろう。彼女に裏切られた俺からしてみれば、その本物の関係は羨ましいものだけどな。

 

 それからの話は結構有意義で、幻想郷では通じないような話もかなりあり、興味深そうに奥さんが話を聞いていた。幻想郷で生きてきたのは俺のほうが長いが、幻想郷で過ごしてきたのは和真の方が長く詳しいという奇妙な関係。人里のことや大まかなことは和真に聞くことができた。更に詳しいことは奥さんが話してくれたし。

 

 帰りは幾つかの靴を只で貰えた。生活には困ってないらしく、これからも話をすることを条件に貰ったものだ。ありがたい。また、お茶でも飲みにここに来ようじゃないか。

 

 

 

 

 




スマホ作ってもらうことに。にとりなら大丈夫。河童だもん。
後は適当に話の通じる相手がほしいなと思ってオリキャラです。
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