周辺国家最強(笑)の戦士   作:生コーヒー狸

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そんな風に考えていた時期がありました

 ウルトラスーパーDXガゼフなら大丈夫。そんなふうに考えていた時期が俺にもありました…。王国戦士長になったガゼフですが、とんでもないブラックです。戦士長なんて役職でも所詮は平民、貴族出身の軍人からは侮蔑と嫉妬の視線が日常茶飯事!主君であるランポッサ3世も、なにかにつけては擁護してはくれるが、あの人の言ってる事って、ぶっちゃけると「すまぬ…すまぬ…」と「それでもガゼフなら…ガゼフならきっと何とかしてくれる!!」だけなんですよ!手柄を立てても臨時で報酬があるわけでも無し、王党派も貴族派も「これだけ無茶な条件でもやったんだ、次はもっと無茶でもOKだろう」「無理という言葉はですね、嘘つきの言葉なんですよ」という感じだ…この国マジで終わってますわ。上がダメな国は下がどう頑張ってもダメってやつだ。

 

 まあ、それでもウルトラスーパーDXガゼフだから何とかしちゃうんですけどね(ドヤァ)。俺は戦士長としての任務をパーフェクトにこなし、バハルス帝国VSリ・エスティーゼ王国、伝統の一戦でも帝国4騎士の一人を仕留める手柄を立て、わずか1年で王国最強戦士としての地位を固める事が出来た。さすがに貴族共もあからさまには俺を無碍に扱わなくなったし、直属の部下達や平民出身の下級兵士は、俺を英雄のように崇めている。国民からの評判と人気も上々だ…だというのに、俺の待遇(年収金貨350枚)は据え置きって…もうFAしちゃっていいよね…

 

 

 

 

「大変ですっ!ヒルマの姐御!」

 

「なに慌ててるんだい!?」

 

「ガサ入れです!ガゼフですっ!あのガゼフが店に来てますっ!」

 

 王都の闇を支配する犯罪結社『八本指』、その麻薬取引部門を統括し、元娼婦として娼館の運営にも携わるヒルマは、部下の知らせに驚愕した。この娼館はコッコドールのところのような「マニア御用達」のヤバい店でなく、あくまでも表向きの、それも比較的富裕層向けの「おとなしくクリーンな店」だ。元娼婦のヒルマが育てた、極上の娼婦ばかり在籍する、王都でも評判の優良店だ。客も貴族や大商人、一流冒険者等の金払いの良い客ばかりで、だからこそ運営には細心の注意を払っているし、娼婦たちの待遇も他とは比べものにならない。ここは八本指の数少ない合法的なシノギなのだ。そこへ王国戦士長がガサ入れ!?ありえない、というより何故、王直属の戦士長が八本指への捜査を?貴族共だけでなく一部の王族へも甘い汁を吸わせている自分たちに、日和見のランポッサ王が強硬手段に出るとは考えにくい…

 

 混乱しながらも、ヒルマは事態を収める為にどうするか考える…わからない…この店の何処を調べられても、見られて不味いものはないはず…だとすれば目的は自分か?…麻薬取引部門を統括する自分の身柄が押さえられれば、王国の麻薬の流通は一時的にも大混乱になる。だが証拠もなしにそんな事は不可能だ。とにかくガゼフに会って、向こうの出方を探るしかないだろう…

 

「これはこれは!かの高名な王国戦士長様に御来店いただけ光栄ですわ!わたくし支配人のヒルマと申します。今日はどのような御用件でしょうか?」

 

「……私はビーフ・ストロガノフ。ただの冒険者、王国戦士長などではない…」

 

「……そ、そうですか、冒険者のストロガノフ様…当店は多くの上級クラスの冒険者の方に御贔屓いただいておりますが、ストロガノフ様の名は初めてお聞きしますね…」

 

 目の前の挙動不審な男はどう見てもガゼフ・ストロノーフだ。本人は否定してるが間違いない。そして自分を冒険者だなどと言っているが、それなら一体なにをしに来たのだ?ヒルマは現状が理解出来ないでいたが、目の前の男の仕草にはおぼえというか心当たりがあった。

 

 おいおい聞いてないよー!この店は王都一の優良店じゃなかったの?なんで八本指の幹部が出てくるの?俺は頑張った自分への御褒美に、最高級の店で童貞を卒業したかっただけなんですけど!こんな場所で人様の個人情報を暴露しやがって!謝罪と賠償を要求してやりたいくらいだ…それにしてもこのヒルマ、さすが元売れっ子娼婦、多少トウがたってるが、マジでイイ女だ…色気というかなんとうか、すごくたまりません…

 

「プッ…もしかして戦士長って童貞?」

 

「どどどど、童貞ちゃうわ!王国戦士長が童貞などと名誉棄損は許さんぞ!というか戦士長じゃないって言ってるでしょ!冒険者ビーフ・ストロガノフです!」

 

「そ、それで?ビーフ・ストロガノフがこの店に何の用で来たの?」

 

「いや、一人の紳士として遊びに来ただけだけど!?ここってそうゆうお店じゃないの?」 

 

 王国戦士長がガサ入れにきたと思ったら、童貞を捨てに来ていた…何が何だかわからない…ヒルマは何か恐ろしいものの片鱗を味わっていた。

 

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