周辺国家最強(笑)の戦士   作:生コーヒー狸

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かなりご都合主義展開になりますが、この作品の仕様という事でご容赦願います。


行政特区カルネ

 カルネ村は3年前までは、ありふれた(旧王国基準、生きていられるだけでありがたいレベル)開拓村だった。だが3年前の戦争でバハルス帝国の領地になってから様々な変化があった。大幅な減税、様々な援助で村人の生活はとても楽になった。これで未来に希望が持てる!と村人が喜んでいると、代官から「カルネ村は行政特区に指定された」と通達があった。「行政特区」って何?と村人は訝しんだが、詳しい説明を聞いて仰天する事になる。

 

~行政特区カルネ~

 

 バハルス帝国皇帝ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスによって提唱された、「全ての種族との共存共栄」のモデルケースとして、人間に敵対的でない亜人との交流を積極的に推進する行政特区を、トブの大森林に近いカルネ村に設立する施策。

 

 トブの大森林に住むゴブリン、リザードマンの部族と交易を行い、人間側は森で採取される薬草やモンスターの素材を安全に入手、ゴブリン、リザードマンも人間の造った便利なアイテム等を入手と、互いに良好な関係を築くに至る。

 

 さらに飲食不要で疲労しないというアンデッドの特性に注目した、帝国魔法省の特別プロジェクトとして、スケルトンによる農作業が実験的に行われている。

 

 これに対してスレイン法国が非常に強い懸念を示したが、バハルス帝国側が全面的な査察受け入れを認める事で、静観の構えを見せた。査察団団長は陽光聖典隊長ニグン・グリッド・ルーイン、副団長に漆黒聖典第5席次クアイエッセ・ハゼイア・クインティアが任命されたが、両名とも帝国征威大将軍ガゼフ・ストロノーフとは深い友誼を結んでいた事もあり、行政特区成立にはガゼフの尽力が欠かせなかった事が推察される。

 

 周辺国の動向に殆ど関わりを持たなかった、アーグランド評議国永久評議員の『プラチナム・ドラゴンロード』が、この件に関しては「まあ、いいんじゃないの?」と異例のコメントを発表している。ちなみに不倶戴天と言われたアーグランド評議国とスレイン法国の関係改善にもガゼフは尽力している。

 

 「法国絶対殺すマン」のツアーと「評議国は消毒だ!」のスレイン法国による歴史的会談を実現させたガゼフの評価は高い。周辺国家最強(笑)の戦士として知られるガゼフが、武力だけでなく政治にも非凡な才能を持っている事を現わす事例だ。

 

 カルネ村に住むエンリ・エモット(16歳、彼氏なし)は、家族とともに農作業に勤しんでいた。アンデッド農場はあくまで国の実験なので、村人は自分達の畑を世話しなければならない。それでも依然と比べものにならない税率のお陰で、収穫した作物は半分以上が自分達の手元に残る。だから大変な農作業にも張りが出る。そんなエンリの元へ妹のネムが声をかける。

 

「お姉ちゃーん、すっごい豪華な馬車が村に来てるよ!どこのお貴族様なんだろうね?」

 

 モモンガはカルネ村訪問にあたって「旅の魔法詠唱者とその従者」という設定を採用した。この世界の魔法と自分の使う魔法が同じとは限らないが、村の様子を遠隔視の鏡で調べてみて、魔法的な何かがあるだろうとは思った為だ。ホースゴーレムに引かせた馬車の御者をセバスに任せカルネ村へ向かう。周囲にはハンゾウをリーダーとしたエイトエッジ・アサシン、シャドウデーモンの部隊が不可視化して護衛にあたっている。NPCにとっては初めてとなる、モモンガに同行してのナザリックの外での任務に、セバスとプレアデス達は凄まじい気合いであった。

 

 村へ到着したモモンガ一行。御者のセバスが門番へ訪問の目的を告げると、馬車の威容やセバスの風貌から、モモンガ一行を高貴な存在と判断した彼らは、行政特区執政官ロウネ・ヴァミリオンへ即座に報告をあげる。門番の案内で行政特区の庁舎へ案内されるモモンガは、都合の良い展開に些か不安を感じるが「虎穴に入らずんば虎子を得ず」だなと思いながら、この流れに身を任せる事にした。

 

~行政特区庁舎~

 

「……なんじゃ、そりゃ!?」

 

 異国からやってきた貴族(お忍びの旅なので仮面をつけて身分を隠してますアピール)アインズ・ウール・ゴウンと名乗ったモモンガに、ロウネはそれに相応しい、非常に丁寧な対応をとった。バハルス帝国を始めとする周辺国家の情報、この地域の魔法・アイテム等の発達具合について説明した。特にモモンガが興味を示した、伝説として伝えられる「六大神」「八欲王」「十三英雄」、そして周辺国家に知られる強者の情報を伝えた結果が先の一言である。

 

 モモンガは驚愕する。あまりにも都合の良すぎる展開に警戒しつつも、もたらされた情報を分析する。執政官と名乗るこの男が、スラスラと話す内容を鵜呑みにする事は出来ないが、参考程度にはなるだろう。それよりもプレイヤーの可能性が高いと思われる「六大神」「八欲王」「十三英雄」の過去の存在は置いておくとして、大陸北西部のアーグランド評議国の「ドラゴンロード」と、ここからすぐ南に国境を接するスレイン法国の「神の血を覚醒させた戦士」の事には警戒が必要だ。

 

 そして何より周辺国家最強の戦士ガゼフ・ストロノーフ!この男は怪しすぎる、

 

~全盛期のガゼフ伝説~

 

・御前試合で優勝して、平民の身で王国戦士長になる。

 

・帝国との戦争で大活躍。ガゼフが出るだけで帝国軍は撤退。

 

・ビーストマンの脅威に晒される竜王国で大活躍。ガゼフが出るだけでビーストマンは死ぬ。

 

・スレイン法国で聖人認定されている。法国にはガゼフハーレムがあり、ガゼフの子が100人以

 上いるらしい。

 

・ガゼフに嫉妬した王国貴族の陰謀で国外追放になるが、皇帝にスカウトされて人生逆転サヨナラ

 満塁ホームラン。

 

・帝国移籍後も大活躍。3年連続で帝国三冠王。

 

・大陸最強といわれるマスタードラゴンに認められた勇者。

 

・スレイン法国とアーグランド評議国の和平を成立させ、ノー○ル平和賞を受賞。

 

・周辺国で最大のコングロマリット「エイトフィンガーズ・コーポレーション」の創設者で、財界

 人としての影響力も大きい。

 

 いったいどこの俺tueeee主人公だとモモンガは憤慨する。こっちは訳のわからない状況におかれて、右も左も解らないで不安だというのに!大切な友が遺してくれたナザリック地下大墳墓と子供のようなNPC達を守る為に、プレッシャーに耐えて頑張っているというのに!心に暗い情念が渦巻くが、アンデッドの基本特殊能力である、精神作用無効で抑制される。

 

 この男はそうとう好き放題に第二の人生を満喫しているようだ。間違いなくプレイヤー、それも周辺国家最強という位だから高レベルのプレイヤーだろう。とにかくこの男は放っておけない。現時点で敵対する気はないが、慎重に対応する必要があるだろう…

 

「アインズ・ウール・ゴウン殿はガゼフ将軍に興味があるのですか?それなら丁度良いタイミングでしたな。ガゼフ将軍はスレイン法国からの査察団を伴って、明後日に行政特区カルネに視察に来られます。」

 

 ロウネの一言にモモンガは驚愕する。精神作用無効の効果が現れるのに、先程より時間が掛かったのは気のせいではなかった。

 

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