ガゼフとエクス・デスナイトの戦いは召喚の制限時間が切れるまで続いた。両者のレベル差を考えれば、エクス・デスナイトを制限時間内に倒し切れなかったというよりは、ガゼフが制限時間内堪え切ったという表現が正しいだろう。ガゼフはあらゆる武技と魔法やスキル、そして切り札である「ツアーの指輪(効果は界○拳2倍、但し3分間)」の力まで解放したが、エクス・デスナイトの鉄壁の防御を崩す事は出来なかった。
もしガゼフが神器級以上の武器を装備していればエクス・デスナイトにも致命的なダメージを与える事が出来たかもしれないが、いかにリ・エスティーゼ王国に伝わる宝物「剃刀の刃」でも、エクス・デスナイトの膨大なHPを削りきる事が出来なかったのだ。
「なかなかやるではないか。さすが周辺国家最強と言われるだけはある。お前のレベルでエクス・デスナイトとまともに戦えるとは思わなかった。この世界特有のスキルかアイテムのおかげか…」
アインズはガゼフの意外ともいえる善戦に感心していた。ユグドラシルにはなかった武技、そして突如撥ねあがった戦闘力と、色々と面白いものが見れた事に満足した。気負い過ぎていた反動で、多少ハメを外してしまったが…
「私は受けた恩や利益には、必ず報いると決めている。実際、お前から得られた情報は色々と参考になったし、実験に付き合ってもらった事もある。なにか要望があれば可能な範囲で応えよう。」
「それではお言葉に甘えて…わが主君であるバハルス帝国皇帝ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスと会談の機会を設けて戴きたい。」
「ふむ、良かろう。日時はそちらに任せても良いが…場所はどうするか?まあ、ここで良いか…どうだ?」
「ありがたき幸せ。皇帝陛下に代わって御礼申し上げます。日程が決まり次第、改めて使者を出させて戴きます。」
これでガゼフと帝国は何とかバッドエンド直行を免れた。しかしこの場には、まだ用事が残っている者達がいた。
「ちょっと待ってくれないかな?」
「どうかお待ち下さい!神よ!」
ツアーとクアイエッセがアインズを呼び止める。彼らにとってもアインズは「出来れば来てほしくなかった」「お待ちしておりました!」とスタンスは異なるが、こうして出会った以上は友好的に話を進めなければいけない存在だ。
「ああ、お前達が居たのだったな。『プラチナム・ドラゴンロード』にスレイン法国の者よ。我らナザリックは決して暴虐な侵略者でも理不尽な破壊者でもないつもりだ。そちらが敵対の姿勢をとってこないのであるなら、我らの強大な力が振るわれる事はないと知れ。」
ツアーの望みは「押すなよ、絶対に押すなよ」
クアイエッセの望みは「無敵のプレイヤー様が(人類を)何とかして下さいよー!」
「……あー、その、何だ…先程も言ったが、私はこの世界への訪問者であって侵略者ではない。まあ"冒険"をしてみたいとは思っているがな。人類についても必要が無ければ滅ぼすつもりも支配するつもりも無い。相応の対価があれば力を貸してやらんこともない。」
別にアインズはこの世界で大魔王になるつもりなどない。多少はっちゃける事はあるが、あくまで元は小市民なのだ。だがプレイヤーとして得た力で何かをしたいとは思っている。
「スレイン法国については、後日改めて場を設けよう。お前一人で国事について如何こう出来るものでもあるまい。」
「ははっ、我がスレイン法国は神の御加護の下に生きていくことを望んでおりますれば。」
「神ですか、そうですか…いったい誰の事なんですかね(アカン、こいつ目が本気だ!)」
さすがのアインズも狂信者にはドン引きである。
~帰路~
こうして大魔王から無事に解放された俺達は、行政特区カルネに戻る事にした。ちなみにニグンサンは気絶したままなので、俺が背負っている。背中が禁則事項だけど気にしない…友達だからな…
「ガゼフ君…いくら何でもアレはないよ…八欲王なんかとはケタが違うよ、全然違うよ…」
「遂に!遂に我らの神が蘇ったのだ!もう何も怖くない!!」
いくら何でもあこまでとは思わなかった。何アレ…レベル100ってあんなにすごいの??これでも周辺国家最強(笑)だったんですけど!?エクス・デスナイトとか聞いてないよ!界○拳使っても勝てないとか…ツアー(鎧)並みって事なの?こんなの絶対おかしいよ!それとクアイエッセ、いい加減正気に戻れ。
「ところでガゼフ君、僕に内緒にしてる事があるよね…悲しいな~、僕らは友達じゃなかったのかい?悲しいな~。」
「分かりましたよ!全部は無理だけど…説明出来る部分は教えますよ!それで勘弁して下さいよ!」
ワールド・オーバーロードモモンガ様の秘密①
モモンガ様のスキルで創造されたアンデッドは通常の1.5倍の強さ。
私の絶望のオーラはレベルⅦまであるぞ。