コキュートスは戦士としての冷静な分析で、突然襲い掛かって来た少女が、自分を傷つける事が可能な存在であると認識する。同時に彼女が言っていた「結婚する」について考える。結婚の意味については理解している。己の主君であるアインズにも、早く結婚し世継ぎをもうけて戴き、その若様に爺として尽くすのがコキュートスの密かな夢なのだから。
彼女が言う事は理解できないが、戦いを挑まれた以上は、武人として相手をしなければならないだろう。相手はナザリック地下大墳墓階層守護者のコキュートスから見ても、十分に戦士として認めるに値する実力の持ち主なのだから。
"絶死絶命 "オメーノ・セキ・ネーカラは歓喜する。生れて初めて出会えた自分よりも強大な存在。タレントなど無くても理解出来る!このコキュートスは生物としても戦士としても、自分より格上の存在だと。今も自分が全力全開で振るう戦鎌を軽くいなしている。
~戦闘(告白)タイム~
『あ~っと!絶死絶命、コキュートスへまっすぐいったぁーーっ!』
「こうして戦ってみて、私には貴方しかいないと分かりました!今度一緒に子作りしましょう!私と合体して下さい!」
「ちょっと待ったぁーーっ!!」
『ここでオマワリ隊長の「ちょっと待った」だぁー』
「オメーノ・セキ・ネーカラちゃん!君を、助けに来た!!君に相応しいのはこの俺しかいない!おいコキュートス給料いくらだ?」
「オ前達ハ、イッタイ何ヲ言ッテイルンダ??」
『ああぁ~、これはまさに大~どんでん返し!』
コキュートス相手に全く歯がたたない絶死絶命を助ける為、オマワリ隊長が割って入るが、スレイン法国最強の二人を同時に相手してなお、コキュートスの優位が揺るがない事実に、法国の面々は絶句する。
「こうなっては仕方ない。カイレ使うのだ!!この化け物を秘宝の力で支配して、人類の尖兵とするのだ!」
死の神スルシャーナを良く思わない、生の神の神官長の密命を帯びていた神官が、スレイン法国の最秘宝「ケイ・セケ・コゥク」の発動を命じる。この秘宝の正体はユグドラシルのワールドアイテム「傾城傾国」である。その能力は、どんなレベル・能力の相手でも、例えぷれいやーであっても洗脳して支配下におけるという、反則じみたものだ。この能力の前では、さしものコキュートスも為すすべが無いと思われたが…
~その時不思議な事が起こった~
「我ハ凍河ノ子ッ!ナザリック地下大墳墓第五階層守護者コキュートスBLACKッ!RXッ!!」
コキュートスのライトブルーの身体が漆黒に変化する。これこそコキュートスの最終形態「コキュートスBLACK-RX」である。これは暗黒結社モモンガによって魔改造(監修:たっち・みー、許諾:武人建御雷)された、コキュートスの体内に埋め込まれたワールドアイテム「凍河のキングストーン」の力を解放する事で変身可能な形態で、純粋な身体スペック自体は、シャルティアやセバスといった物理戦闘を得意とするNPC達を大きく上回る訳ではないのだが、特筆すべきはその反則とも言える特殊能力である。
『どんな地形でもペナルティなしで活動可能=相手は死ぬ』
『神級アイテムに匹敵する強度、あらゆる属性・状態異常に耐性を持つ外骨格=相手は死ぬ』
『凍河のキングストーンの力を強烈な閃光として放つ「キングストーンフラッシュ」=相手は死ぬ』
『この形態時のみ使用可能な最強武器「建御雷百八式」=相手は死ぬ』
『特殊スキル「エターナルフォースブリザード」は一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる=相手は死ぬ』
これらの特殊能力によって、アインズ曰く「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな」と言われる始末である。そんなコキュートスに言い訳のしようがない行為を働いたスレイン法国は、愚かとしか言いようが無い。
「オノレスレイン法国!ナザリックヲ汚ス貴様ラダケハ絶対ニユ゛ル゛サ゛ン゛!!」
コキュートスの逆鱗に触れたスレイン法国一行が、ナザリック地下大墳墓第二階層黒棺(ブラック・カプセル)へと送られたのは、僅か1時間後の事である。かろうじて命だけは許された彼らが祖国の土を踏むのは、スレイン法国が「ナザリック宣言」を受諾してからの事である。
~ナザリック宣言~
第1条. アインズ・ウール・ゴウン魔導国は、スレイン法国が冊封国になる機会を与える。
第2条. アインズ・ウール・ゴウン魔導国は、スレイン法国をいつでも壊滅させる武力を有している。
第3条. アインズ・ウール・ゴウン魔導国が求めるのは以下の通りで、それ以外の条件は認めない。
第4条. 人間至上主義、他種族差別の思想を持つ者は、永久にこの世界から除去する。
第5条. スレイン法国が現在の国土および経済・産業・軍備(但しユグドラシルアイテムはボッシュート)を維持する事は許されるが、スレイン法国に駐留する魔導国最高司令官総司令部(AHQ)の政策に従うものとする。
第6条. 我々はスレイン法国民を奴隷にしたり、殺戮する意図はないが、今まで他種族を奴隷として扱っていたり、虐待していた事に対しては厳重に処罰する。
第7条. 前記の目的が達成され、スレイン法国民が他種族との共存共栄傾向を有した時、魔導国最高司令官総司令部(AHQ)は、スレイン法国より撤収する。
第8条. アインズ・ウール・ゴウン魔導国は、スレイン法国の無条件降伏を要求する。そうでなければスレイン法国は壊滅されるだけである。
この「ナザリック宣言」はどこぞの王国の宣言とは違い、周辺国家にとてつもない影響を与える事になる。当事者であるスレイン法国では、上層部の不在による混乱があったが、臨時代表となったニグン・グリッド・ルーインが、知己にあるガゼフ・ストロノーフに仲介を依頼した事で、大きな抵抗も無く受諾された。
こうして大陸の二大国である「バハルス帝国」と「スレイン法国」を冊封下に治めた、アインズ・ウール・ゴウン魔導国の名は大陸中に鳴り響く事になる。そしてスレイン法国の混乱に乗じようとする人物が大陸には存在した。