はるか昔、遠い異世界に魔法で栄えた人間の王国がありました。
王も王妃も賢く国を治めておりました。
また、その国の住人は寿命が長く、皆魔法を使うことができました。
ある日、待望のお世継ぎ様がお生まれになりました。
それはそれは、美しい女の子でした。
ソフィアと名付けられたその王女は、国中の民に喜ばれました。
しかし、ソフィアは魔力を持って生まれてはなかったのです。
魔力を持たぬ者として生まれてきてしまったソフィア。
魔力に満ちたこの世界でソフィアのような者は、そう長くは生きられません。
王と女王は、ソフィアを死なせまいと、妖精の女王とゴブリンの王に頼み事をしました。
「魔力を持たないソフィアが生きていくにはこの時代は過酷すぎる…。どうか、この子を守ってくれ…、いつかソフィアが幸せになれる日まで」
妖精の女王とゴブリンの王は、人間の国の王・女王の頼みを承諾しました。
二人もソフィアを愛していたからです。
ソフィアの両親は、その場でまだ幼いソフィアに魔法をかけました。
「ごめんなさい、ソフィア。あなたにしてあげられるのはこれしかないのよ…」
王妃は、心苦しそうに語り掛けました。
「ママァ・・・Zzz・・・」
幼い姫のまぶたは、ゆっくりと閉じられました。
完全に閉じた後、どんなにまぶたを開かせようとしても、ムダでした。
それはソフィアが生きることのできる時代まで続く眠りの魔法でした。
そして、城の部屋にソフィアを寝かせました。
「いつか…ソフィアと過ごせる日が来るといいのだが…」
「そうね…あなた…。ソフィア…かわいい私の…」
「Zzz・・・」
「後のことは、私達にお任せください。きっと、ソフィア姫をお守りいたします!」
「ええ、任せましたよ」
そうして、人々はどこか遠いところへ旅立っていきました。
独りぼっちになったソフィア。
けれど、独りぼっちではなかったのです。
妖精の女王は、守護のためにティファニーという妖精をソフィアの元へ行かせました。
ゴブリンの王は、ソフィアの城に配下のゴブリンを住まわせました。
そう、ティファニーやゴブリン達と一緒だったのです!
そうして、長い月日が流れました。
ソフィアが眠りの魔法をかけられたのは、100年も前、まだ小さな子供でした。
眠っている間もゆっくりと成長していました。
そして、ソフィアが16歳の少女の姿に成長したある日、目覚めの日が来たのです。
ソフィアの失われた時が戻るように・・・、ソフィアが目覚めました。
運命の歯車がゆっくり音を立て始めました。