Awakening   作:アリス・リリス

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第五話~支配者~

ヨシュアとゾーファは、不可視の壁を破壊しようと試みた。

 

 

ブォォォ……

 

 

炎を浴びせてもびくともしない。

 

 

「ソフィア様、どうかご無事で!」

 

 

 

 

 

 

暗闇の中に水晶玉が浮かぶ。

 

 

映し出されているのは、ヨシュア達の姿。

 

 

「ホッホッホッ!わしの魔法が解けるはずがないのじゃ!」

 

 

黒衣に身を包んだ老婆が水晶玉を見ていた。

 

「さてと、わしの計画を邪魔をするものは、排除せねばな…」

 

 

 

ガシャン!

 

 

 

ヨシュア達の姿が映る水晶玉を割った。

 

それと同時に

 

 

ドゥオン!

 

 

「クゥッ…!」

 

 

時空が歪みにより、強いダメージを受けたヨシュア・ゾーファは、身動きが取れなくなった。

 

――――――――――

 

「ハッ…。今、時空の歪みを感じた…。通常の歪みじゃない…、もしや…」

 

 

白いドレスを身に纏う若い女性は、使い魔の白猫を連れ、時空の歪みを感じた神隠しの森へ急いだ。

 

――――――――――

 

暗闇の中に老婆は、もうひとつの水晶玉を浮かべた。

 

 

「Ρεα…」

 

 

呪文を唱えると、水晶玉の内部にたちまち緑の霧立ち込めた。

 

 

 

骨ばった手でフッと払うと、霧が消え、ある景色が映し出された。

そこに映し出されたのは、ソフィアの姿。

 

 

「わしの新たな憑代(よりしろ)となる娘。伝説の娘を憑代(よりしろ)に出来るなど、なんと嬉しいことかね!」

 

老婆の声に呼応して、使い魔のカラスが騒いだ。

 

 

「もう少しの辛抱じゃ…」

 

 

 

――――――――――

 

哀れなソフィアは、両親に会えると信じて、自分が憑代(よりしろ)にされることを知らぬまま、歩き続けた。

 

「…リョウシン…、アエル…。…ハヤク…アイタイ…」

 

 

 

(うわ)言のように繰り返し唱えていた。

 

 

 

――――――――――

 

 

「ゾ…、…ゾーファ…」

「キュン…」

 

 

ヨシュア・ゾーファは、体力の限界を感じた。

 

 

(リューリク様、役目を果たせず…すみません…。私めに罰をお与えになるならば、抵抗しません…)

 

 

目を閉じた。

体が次第に軽くなっていく。

 

(ああ…、死ぬのだなぁ…。しかし、怖くなどない…。これが罰をなのだろうから…)

 

 

底無し沼に沈んでいくような感覚…

 

 

「――――!」

 

誰かが何か叫んだようだ。

 

(ソフィア様…、さようなら…)

 

 

ヨシュアの意識が途切れた。

 

 

 

 

 

「時空の歪みが消えてる…」

「こいつら大丈夫なのか?」

 

白猫がしゃべった。

 

「手当てをすれば大丈夫よ」

 

白いドレスの女性は、立ち上がると不可視の壁があるところに手を触れた。

 

 

「やっぱり…ね…。エルブリオ、ソフィア(予言の娘)は?」

 

 

エルブリオと呼ばれた猫は、耳を澄ますような動作をひとつした。

 

 

「ウルリケ様、この向こうかと」

「まずいわね、早く行かないと…」

 

 

 

 

同じ頃、ソフィアは、森の最奥にたどり着いた。

 

そこには、両親の姿があった。

 

 

「父様、母様!やっと…やっと会えた!」

 

 

永い間眠っていた城で見た写真のままの姿の両親がそこにいた。

 

二人は、ソフィアを抱きしめた。

 

 

「ずっとやって来ると信じていたわ!」

王妃が泣きながら言った。

 

 

背後に禍々しい魔法の気配を感じた。

 

 

 

「わしにすべてを寄越すのじゃ!」

 

老婆が声をあらげた。

 

「父様も母様も私が守る!」

 

ソフィアは、庇うように立ちふさがった。

 

「ソフィア…」

「やめなさい!魔力を持って…」

「魔力なんてなくても、ここまで来れたのだもの!」

 

 

「フォッフォッフォ…!」

 

老婆は、ソフィアの言葉を聞いて、甲高い笑い声をあげた。

 

 

「どうして笑うの!?」

 

「わしの狙いは…」

 

「お前だということさ…」

囁くような声で言った。

 

パチン!

 

 

老婆が指を鳴らした。

 

 

 

「キャア!」

 

 

ソフィアは、何者かに腕を掴まれた。

 

腕を掴んだのは、両親。

 

しかし、その目は、赤く光っていた。

 

 

「父様、母様!?」

「まだ本当の親だと信じているのかね?」

 

 

もう一度指を鳴らした。

 

すると、二人の姿がドロドロになった。

 

 

「!?」

「わしの泥人形(ドルー)、よくできていただろう?お前も考えが浅はかだこと。本当の親がここにいるはずがないだろう」

 

 

泥人形(ドルー)は、ソフィアを掴んだまま老婆の元へ歩いた。

 

「あなたは、何者なの!?狙いは!?」

「わしの名は、ティタニラ。狙いは、お前の体さ」

 

 

ティタニラは、ソフィアの体に触れようとした。

 

バチッ!

 

「防御魔法か!でも、この森ではわしの魔法を防ぐことはできぬ!」

 

もう一度体に触れようとした。

 

「若々しい体じゃの!」

 

首筋から胸のラインをさすった。

 

「そんなに怯えるな。すぐには使わんよ。さて、泥人形(ドルー)よ、ついてこい!」

 

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