目を見開くと、ルテフォの旧市街地の中にいた。
「先を急ぐわよ!」
ソフィア、ヨシュア、ゾーファ、リューリク、ウルリケ、そして、エルブリオは、ルテフォ城へ急いだ。
―城門―
「貴様、あの塔から抜け出したのか!?」
門番がソフィアの姿を見て、怒鳴り付けた。
「静まれ!この私の前ではしたないであろう!?」
リューリクは、前に進み出た。
「リュっ…、リューリク国王陛下…。ご無事でしたか!」
「ああ、ソフィア姫が救ってくれたのだ。ゼルファルスの元へ案内しろ」
「はっ、リューリク国王陛下の仰せのままに!」
衛兵は、玉座の間に急いだ。
バタン!
「なんだ?何があったのかね?」
玉座に座るゼルファルスが立ち上がった。
「ゼルファルス!お前は、国王にふさわしくない!錫杖を返してもらおうか!」
「フン、取れるものなら、取ってみろ!」
ゼルファルスは、錫杖を掲げた。
「
錫杖の先に黒い球が現れた。
ゴォォ…
キャアアア…!
まるでブラックホールのようにすべてを吸い込もうとしている。
「こんな悪い魔法に負けるものですか!」
ウルリケは、柱から手を離した。
「ウルリケさん!」
「エルブリオ、行くわよ!」
「おう!」
ウルリケとエルブリオは、詠唱を始めた。
「黒魔法を使いし者よ!」
「禁忌を犯す者よ!」
「「王位簒奪者よ!」」
「我らは正統な王」
「双翼の金鷲に錫杖を返すため」
「「邪悪な
手に光の弓が現れた。
「
光の矢は、ブラックホールに当たり、ブラックホールは消滅した。
「くそっ!」
ゼルファルスは、再び闇魔法を使おうとした。
「
足元に、白く輝く魔方陣が現れた。
黒い魔方陣は、白い魔方陣に飲み込まれ、黒い煙となって消えた。
「もう黒魔法を使えないわ!」
「くそっ!」
ゼルファルスは、短剣を手にした。
「リューリク、覚悟!」
そのままリューリクに向かって走った。
カーン!
「国王陛下、ご無事ですか?」
近衛兵がリューリクを守った。
「近衛兵、リューリクを引っ捕らえろ!」
ゼルファルスは、命令した。
しかし、近衛兵は物音ひとつ立てなかった。
「近衛兵!国王は、俺だ!命令を聞け!」
「……………」
黙ったままの近衛兵に向かって、リューリクが言葉を発した。
「ゼルファルスから錫杖を奪還せよ。そして、
「「「「「「仰せのままに、リューリク国王陛下!」」」」」」
近衛兵の一人がゼルファルスを巧みに捕らえ、別の兵が右手から錫杖を奪い、一人を除いた兵は皆、ゼルファルスを牢へ運んだ。
「陛下、あなた様の錫杖です」
「すまぬのう。さて、民に私が復位することを伝えねば。ソフィア姫、ウルリケ殿、バルコニーへ来ておくれ」
―我が国に暗黒時代をもたらそうとした、邪悪なゼルファルスは去った。
幽閉されていた私を助けたのは、ソフィア姫とウルリケ殿。
二人の力がなければ、今この場所に私はいないだろう。
私は、再びそなたたちの王となり、正しき道へ導こうと思う。
そなたたちは、私が復位することを望むか?
「是」と言うのなら、王となろう。
「否」と言うのなら、この国から去ろう。
そなたたちの意見を聞きたいのだが。―
―リューリク王万歳!
ソフィア姫万歳!
ウルリケ様万歳!―
「これで、滅びの道を避けられた…。ソフィア姫、ウルリケ殿、心から感謝する」
リューリクは、ソフィアの手をとった。
「ソフィア姫、あなたのご両親は、民と共に空の浮島・スカイウォードにおります。あなたに贈り物を差し上げましょう」
指をならした。
ヒヒーン!
どこからか、ペガサスが飛んできた。
「このペガサスに乗って、スカイウォードに向かいなさい」
「はじめまして。私の名は、シエル。ソフィア姫、どうぞお乗りください」
ソフィアは、ペガサスにまたがり、手綱を取った
シエルは、翼を動かして、空へ舞い上がった。
―
最高裁判所の長官が高らかに宣言した。
「ゼルファルスの敷いた専制君主制は、我が国の歴史において最大の暴君である第五代国王・ネロティアスと並ぶほど残虐であった。よって、ゼルファルスへの刑はこのようにする」
―
一つ、
一つ、ゼルファルスの子孫から王位継承権を永久に剥奪する
一つ、居城をアルテリア城からウェルフ城へ移し、監視の下に生活せよ
一つ、ウェルフ城より外に出ることを禁ず
―
「再び反逆を起こそうものなら、死刑と『公式記録抹消刑』に処することとする」
ゼルファルスは、項垂れていた。
貴賓席に座るリューリクが立ち上がった。
「ゼルファルス、最後に言うことはないか?なければ、刑を執行するが…」
「お前に呪いをかけてやる!」
―王国に解けぬ呪いを今、かける
この王国は、永久に後継者争いが起こるであろう―
黒い茨が手から現れた。
しかし、
パキン…
「きっと呪いをかけようとすると思っておった。それを防ぐ術を私がかけ忘れると思ったか?」
ゼルファルスの両脇に監守が現れた。
「では、あとは頼んだぞ」
リューリクは、法廷をあとにした。