Awakening   作:アリス・リリス

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第七話~簒奪者の追放~

目を見開くと、ルテフォの旧市街地の中にいた。

 

「先を急ぐわよ!」

 

ソフィア、ヨシュア、ゾーファ、リューリク、ウルリケ、そして、エルブリオは、ルテフォ城へ急いだ。

 

 

―城門―

 

「貴様、あの塔から抜け出したのか!?」

 

門番がソフィアの姿を見て、怒鳴り付けた。

 

「静まれ!この私の前ではしたないであろう!?」

 

 

リューリクは、前に進み出た。

 

 

「リュっ…、リューリク国王陛下…。ご無事でしたか!」

「ああ、ソフィア姫が救ってくれたのだ。ゼルファルスの元へ案内しろ」

「はっ、リューリク国王陛下の仰せのままに!」

 

衛兵は、玉座の間に急いだ。

 

バタン!

 

 

「なんだ?何があったのかね?」

 

玉座に座るゼルファルスが立ち上がった。

 

「ゼルファルス!お前は、国王にふさわしくない!錫杖を返してもらおうか!」

「フン、取れるものなら、取ってみろ!」

 

ゼルファルスは、錫杖を掲げた。

 

 

「闇牢獄解放(カオス・ジェイル・オープン)!」

 

錫杖の先に黒い球が現れた。

 

ゴォォ…

 

キャアアア…!

 

まるでブラックホールのようにすべてを吸い込もうとしている。

 

 

「こんな悪い魔法に負けるものですか!」

 

 

ウルリケは、柱から手を離した。

 

 

「ウルリケさん!」

 

「エルブリオ、行くわよ!」

「おう!」

 

 

ウルリケとエルブリオは、詠唱を始めた。

 

 

「黒魔法を使いし者よ!」

「禁忌を犯す者よ!」

「「王位簒奪者よ!」」

「我らは正統な王」

「双翼の金鷲に錫杖を返すため」

「「邪悪な王弟(おうてい)を罰する!」」

 

 

手に光の弓が現れた。

 

 

「破魔光矢(ライトニングアロー)!」

 

光の矢は、ブラックホールに当たり、ブラックホールは消滅した。

 

 

「くそっ!」

 

ゼルファルスは、再び闇魔法を使おうとした。

 

「聖空間現出(セント・シールド・オープン)!」

 

 

足元に、白く輝く魔方陣が現れた。

 

 

黒い魔方陣は、白い魔方陣に飲み込まれ、黒い煙となって消えた。

 

 

「もう黒魔法を使えないわ!」

「くそっ!」

 

 

ゼルファルスは、短剣を手にした。

 

 

「リューリク、覚悟!」

 

そのままリューリクに向かって走った。

 

カーン!

 

 

「国王陛下、ご無事ですか?」

 

近衛兵がリューリクを守った。

 

「近衛兵、リューリクを引っ捕らえろ!」

 

ゼルファルスは、命令した。

 

 

しかし、近衛兵は物音ひとつ立てなかった。

 

「近衛兵!国王は、俺だ!命令を聞け!」

 

「……………」

 

黙ったままの近衛兵に向かって、リューリクが言葉を発した。

 

「ゼルファルスから錫杖を奪還せよ。そして、王弟(おうてい)としての特権等を停止し、牢へ繋ぎ止めよ。処罰は、然るべき裁判ののちに処するよう」

 

 

「「「「「「仰せのままに、リューリク国王陛下!」」」」」」

 

 

近衛兵の一人がゼルファルスを巧みに捕らえ、別の兵が右手から錫杖を奪い、一人を除いた兵は皆、ゼルファルスを牢へ運んだ。

 

 

「陛下、あなた様の錫杖です」

「すまぬのう。さて、民に私が復位することを伝えねば。ソフィア姫、ウルリケ殿、バルコニーへ来ておくれ」

 

 

 

―我が国に暗黒時代をもたらそうとした、邪悪なゼルファルスは去った。

 幽閉されていた私を助けたのは、ソフィア姫とウルリケ殿。

 二人の力がなければ、今この場所に私はいないだろう。

 私は、再びそなたたちの王となり、正しき道へ導こうと思う。

 そなたたちは、私が復位することを望むか?

 「是」と言うのなら、王となろう。

 「否」と言うのなら、この国から去ろう。

 そなたたちの意見を聞きたいのだが。―

 

 

 

―リューリク王万歳!

 ソフィア姫万歳!

 ウルリケ様万歳!―

 

 

 

「これで、滅びの道を避けられた…。ソフィア姫、ウルリケ殿、心から感謝する」

 

リューリクは、ソフィアの手をとった。

 

 

「ソフィア姫、あなたのご両親は、民と共に空の浮島・スカイウォードにおります。あなたに贈り物を差し上げましょう」

 

 

指をならした。

 

ヒヒーン!

 

どこからか、ペガサスが飛んできた。

 

「このペガサスに乗って、スカイウォードに向かいなさい」

 

 

「はじめまして。私の名は、シエル。ソフィア姫、どうぞお乗りください」

 

 

ソフィアは、ペガサスにまたがり、手綱を取った

 

シエルは、翼を動かして、空へ舞い上がった。

 

 

 

 

 




―王弟(おうてい)ゼルファルスへの判決を下す―

最高裁判所の長官が高らかに宣言した。

「ゼルファルスの敷いた専制君主制は、我が国の歴史において最大の暴君である第五代国王・ネロティアスと並ぶほど残虐であった。よって、ゼルファルスへの刑はこのようにする」


―
一つ、王弟(おうてい)としての特権をすべて剥奪する
一つ、ゼルファルスの子孫から王位継承権を永久に剥奪する
一つ、居城をアルテリア城からウェルフ城へ移し、監視の下に生活せよ
一つ、ウェルフ城より外に出ることを禁ず
―

「再び反逆を起こそうものなら、死刑と『公式記録抹消刑』に処することとする」

ゼルファルスは、項垂れていた。


貴賓席に座るリューリクが立ち上がった。


「ゼルファルス、最後に言うことはないか?なければ、刑を執行するが…」

「お前に呪いをかけてやる!」


―王国に解けぬ呪いを今、かける
この王国は、永久に後継者争いが起こるであろう―


黒い茨が手から現れた。

しかし、


パキン…


「きっと呪いをかけようとすると思っておった。それを防ぐ術を私がかけ忘れると思ったか?」


ゼルファルスの両脇に監守が現れた。

「では、あとは頼んだぞ」

リューリクは、法廷をあとにした。
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