第一話~記憶のない王女の目覚め~
「ここは…」
王女は、目覚めた。
「永い間、眠っていたような気がする…」
ふと、ドレッサーの所から声が聞こえた。
「姫!?お目覚めになられたのですか!」
声の主は、ドレッサーの鍵の掛かった棚の中にいるようだ。
王女は、首もとに鍵をかけているのに気づき、その鍵を棚の鍵穴に入れてみた。
★カチャン★
「やっと出られたわ!まるで何百年も眠っていたみたいだわ!」
小さな妖精が勢いよく飛び出した。
その妖精は、王女の顔の前でホバリングしながら、恭しくお辞儀をした。
「はじめまして、我が姫君。私は、妖精の女王・エルレイン様の命を受け、姫様の元へ参りました。名は、ティファニー」
続いて、ティファニーは懐に手を入れ、手紙を取り出した。
「エルレイン様は、私にこうおっしゃいました。『王女が目覚めたら、私の使者に渡して、届けなさい』。この城のどこかにエルレイン様の使者がいるはずです」
王女は、それを受け取った。
「ところで、私以外の人間は…」
「どこか遠いところへ旅立ったと聞いております。すいません、私はその場所を知らないのです。エルレイン様なら、知っておられると思います」
王女は、部屋を出た。
「どうしてかしら、知らない場所なのに懐かしい…」
「もしかして、覚えていらっしゃらないのですか?」
王女は、頷いた。
「確かどこかに…あった!」
ティファニーは、写真を取り出した。
「このお二人は、姫様の父上と母君です。姫様のお名前は…ほら、こちらに」
写真立てに文字が刻まれていた。
「ソ…フィア…?ソフィア…、懐かしい響きだわ…」
「さあ、ソフィア様、この城を出て、エルレイン様に会いに行きましょう!」
ソフィアは、城を巡り始めた。
「ポッポー♪」
どこからか鳩の鳴き声がした。
「ティファニー、何か鳴いていない?」
「ソフィア姫、ちょっとお待ちください」
ティファニーは、光の粉を振りまきながら、鳴き声が聞こえた方へ飛んでいった。
「ソフィア姫、こちらに来てください」
ティファニーは、ソフィアを呼び寄せた。
「クルッポ~」
鳩の背中には小さなケースが付いていた。
「きっと、エルレイン様の使者です。このケースに先程の手紙を入れてください」
ソフィアは、ティファニーの言葉の通り、ケースに手紙を入れると、鳩は空へ舞い上がって、見えなくなった。
「エルレイン様への手紙を出しましたから、次は、この城を出て、エルレイン様のいる『ムーンフェルの森』へ向かいましょう」
ティファニーがソフィアの手を握った。