ソフィアは、ティファニーに案内してもらいながら、ムーンフェルの森を歩いた。
「あれは、
ティファニーは、うろうろとした。
「ティファニー、あれかしら?」
ソフィアの指差した先に黄金に輝く泉があった。
「あれです!」
恐る恐る手を入れてみた。
「熱くない!」
ソフィアは、入れ物に泉の水を入れ、再びケイロンの石像の前へ戻った。
型に泉の水を注いだ。
「ゾーファ、火をお願い」
「グルッ♪」
ピクシードラゴンは、加熱を始めた。
次第に固まっていく。
完全に固まったとき、
「おお、ソフィア王女!」
石像が壊れ、ケイロンが姿を現した。
「私は、エルレイン様に仕え、このムーンフェルの森を守る、ケイロンと申します」
「ケイロン、エルレイン様は、どちらに?」
ティファニーが尋ねた。
「『時空の鏡』で昼の森にいらっしゃっています。あなた方がたどり着くのは夜だとお思いになり、ソフィア王女の出発を遅らせたくないとおっしゃっていました」
「わかったわ。じゃあ、『レナティの大樹』の門の鍵を貸して」
「それは、できません」
「どうしてよ?」
ティファニーは、苛立ったように言った。
「私たちは、エルレイン様に会わなきゃならないのよ!?」
ケイロンは、しばらく黙った。
「…では、こうしましょう。エルレイン様は、この森に魔力を込めた珠を12コ隠したそうです。それを『レナティの大樹』の入口にある『季節の巡り』という壁画の正しい位置にはめ込んでください。そうすれば、門を開けましょう」
「要は、試したいのね?ケイロンもゴブリン達みたいになったのねぇ…」
「わかったわ。ティファニー、エルレイン女王に会うために探しましょう」
歩き始めてから、数分後
「きれいな珠ね。これかしら?」
ソフィアの手の中に海のように深い青の珠があった。
ティファニーは、珠に触れ、耳を澄ますかのように目を閉じた。
「…魔力のささやきがする…。エルレイン様の隠した珠でしょう」
ティファニーの言葉を聞き、ポケットに丁寧にしまった。
珠は、次々と見つかった。
あるものは、鳥の巣の中、
またあるものは、埋められた宝石箱の中―。
探しはじめてから、1時間程で12コの珠をすべて見つけた。
「素晴らしい!では、『季節の巡り』へ向かいましょう」
ケイロンが案内した壁には何も描かれていなかった。
くぼみが12箇所あり、それぞれのくぼみの下には小さな数字が書かれていた。
「ケイロン!何も描かれていないわよ!」
「ティファニー、静かになさい。ソフィア王女が読み解いていますよ」
ソフィアは、真剣に見つめていた。
(…正しい位置なんて…)
珠と壁のくぼみを何度も見た。
(…12コの珠とくぼみ…そして、『季節の巡り』…。…!)
「わかった!これは、12ヵ月を表すもの!珠の色は、それぞれの月を象徴するものだったのよ!」
ソフィアは、そう叫ぶと、珠をくぼみに入れていった。
壁画は、珠を正しい位置に入れると、絵が現れるようになっていた。
「お見事です、ソフィア王女!約束通り、門を開けましょう」
ケイロンは、鍵を手に門へ駆けていった。
レナティの大樹の中には、大きな鏡が置かれていた。
映っているのは、昼の森。
「どうぞ、中へ」
ケイロンが言った。
「ソフィア姫、鏡の中へ」
女性の声がした。
ソフィアとティファニーは、水銀のような鏡に入っていった。