Awakening   作:アリス・リリス

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第ニ話~王弟~

ゴブリン王国の首都・ルテフォの駅にソフィアの乗った汽車が入ってきた。

 

ホームに降り立ったソフィアは、ルテフォ城へ向かった。

 

 

「あら、あの方、ソフィア王女じゃないかしら?」

「わぁ~!初めて見るわ」

 

 

周囲のゴブリンがざわついた。

 

 

「ソフィア王女様、お城は、この道をまっすぐ行くと着きますよ」

「ソフィア様、これをどうぞ!」

 

 

 

「ヨシュア、ゴブリンって優しいのね」

 

ヨシュアは、胸を張って答えた。

 

「我らの王・リューリク様は、とても寛容で、そのお人柄が民に影響を与えているのです。ただ、王弟(おうてい)・ゼルファルスは…」

「?」

「ほら、着きました」

 

 

目の前に壮麗な門が現れた。

 

 

「ルテフォ城へ何のようだ!?」

 

門の前の衛兵が槍をクロスさせた。

 

「控えろ!このお方は、ソフィア王女にておおせられる!」

 

 

声をあげたのは、ヨシュアだった。

 

「ソフィア王女!?」

「伝説の!?」

 

衛兵は、槍を立てた。

 

「ソフィア王女!どうぞ、ルテフォ城へ!」

 

 

ソフィアは、大きな門をくぐった。

 

 

 

「玉座の間は、こちらです」

 

ヨシュアがソフィアの手を引いた。

 

 

玉座の間に通されたソフィア。

 

玉座に座っていたゴブリンが喋りだした。

 

 

「誰が来たのかね?」

「ソフィアです」

 

先程まで座っていたゴブリンが立ち上がった。

 

「ソフィアだと!?フン、笑わせるな!」

「……お前は、ゼルファルス!?」

 

ヨシュアが声をあらげた。

 

「…よくわかったな、マヌケな兄・リューリクの臣下のヨシュア。確かに俺は、ゼルファルスだ!」

 

リューリクの姿が剥がれ落ち、中からゼルファルスが現れた。

 

 

「リューリク様は、どこだ!?」

 

ゼルファルスは、ニヤリと薄笑いした。

 

「あいつは、死んだよ!そして、この俺が次の新月の日に王位に着くのさ」

「そっそんな…」

 

 

ヨシュアは、落胆した。

 

「近衛兵!ソフィア(この者)を引っ捕らえよ!」

 

ソフィアの周りをゴブリン兵が取り囲んだ。

 

バシン!

 

「ウッ…………」

 

ソフィアは、頭を強く叩かれ、気を失った。

 

「ソフィア様!?」

「その者を塔の最上階の牢屋に幽閉しろ!」

 

「「「「はっ!」」」」

 

兵がソフィアの体を持ち上げ、奥へ連れ去った。

 

「ゼルファルス!ソフィア様に何をする!?」

「国王に逆らうのか?ヨシュア、この俺に忠誠を誓え!『ゼルファルス国王陛下』とそう呼べっ!そうすれば、許してやる!」

「誰がお前のような邪悪な王弟に忠誠を誓うか!」

「ほう、抵抗するのか?ならば、お前も引っ捕らえてやる!」

 

 

ゼルファルスの指から氷魔法が放たれた。

 

「グルルッ!」

 

ゾーファが火を吹いた。

 

「ゾーファ、ひとまず脱出する!」

 

 

 

二人は、ものすごいスピードで玉座の間から脱出した。

 

「ソフィア様!必ずやお助けします!」

 

 

 

一人、玉座の間に残された王弟(おうてい)であるゼルファルス。

 

 

「これで我が王位を危うくする人間は、消えた!リューリクの幽閉先も俺以外知らない!とうとう、この国を我が物にできる!」

 

 

ゼルファルスは、とある予言に悩まされていた。

 

それは、リューリクから王位を簒奪した後に神官が予言したもの。

 

 

―ドラゴン、双翼の銀鷲から錫杖奪い、幽閉せし時

 青きマントを纏いし者(きた)る。

 その者、はるか彼方より来たる人間。

 その者、小さき者を連れる。

 その者、力持たずして、賢き者なり。

 

 ドラゴンを討伐し、双翼の銀鷲を再び迎える。

 全ては錫杖が正統なる者に戻りしため。―

 

 

 

ゴブリン王室では、一人一人が紋章を与えられ、それがその者を表すものとなる。

 

リューリクの紋章は、双翼の銀鷲をあしらったもの。

一方、ゼルファルスは、ドラゴンをあしらったもの。

 

そして、ゴブリン界では錫杖は、王位を象徴する。

 

つまり、この予言は、

 

ゼルファルスが王位を簒奪した時、ソフィアが現れ、正統な王であるリューリクが王位を取り返す

 

ということだった。

 

 

 

ゼルファルスは、それを恐れていたのだ。

 

 

「ゼルファルス国王陛下、あの人間をどういたしましょう?」

「我が王位を脅かす者だ。王位が安定するまで幽閉せよ」

「はっ」

 

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