ゴブリン王国の首都・ルテフォの駅にソフィアの乗った汽車が入ってきた。
ホームに降り立ったソフィアは、ルテフォ城へ向かった。
「あら、あの方、ソフィア王女じゃないかしら?」
「わぁ~!初めて見るわ」
周囲のゴブリンがざわついた。
「ソフィア王女様、お城は、この道をまっすぐ行くと着きますよ」
「ソフィア様、これをどうぞ!」
「ヨシュア、ゴブリンって優しいのね」
ヨシュアは、胸を張って答えた。
「我らの王・リューリク様は、とても寛容で、そのお人柄が民に影響を与えているのです。ただ、
「?」
「ほら、着きました」
目の前に壮麗な門が現れた。
「ルテフォ城へ何のようだ!?」
門の前の衛兵が槍をクロスさせた。
「控えろ!このお方は、ソフィア王女にておおせられる!」
声をあげたのは、ヨシュアだった。
「ソフィア王女!?」
「伝説の!?」
衛兵は、槍を立てた。
「ソフィア王女!どうぞ、ルテフォ城へ!」
ソフィアは、大きな門をくぐった。
「玉座の間は、こちらです」
ヨシュアがソフィアの手を引いた。
玉座の間に通されたソフィア。
玉座に座っていたゴブリンが喋りだした。
「誰が来たのかね?」
「ソフィアです」
先程まで座っていたゴブリンが立ち上がった。
「ソフィアだと!?フン、笑わせるな!」
「……お前は、ゼルファルス!?」
ヨシュアが声をあらげた。
「…よくわかったな、マヌケな兄・リューリクの臣下のヨシュア。確かに俺は、ゼルファルスだ!」
リューリクの姿が剥がれ落ち、中からゼルファルスが現れた。
「リューリク様は、どこだ!?」
ゼルファルスは、ニヤリと薄笑いした。
「あいつは、死んだよ!そして、この俺が次の新月の日に王位に着くのさ」
「そっそんな…」
ヨシュアは、落胆した。
「近衛兵!
ソフィアの周りをゴブリン兵が取り囲んだ。
バシン!
「ウッ…………」
ソフィアは、頭を強く叩かれ、気を失った。
「ソフィア様!?」
「その者を塔の最上階の牢屋に幽閉しろ!」
「「「「はっ!」」」」
兵がソフィアの体を持ち上げ、奥へ連れ去った。
「ゼルファルス!ソフィア様に何をする!?」
「国王に逆らうのか?ヨシュア、この俺に忠誠を誓え!『ゼルファルス国王陛下』とそう呼べっ!そうすれば、許してやる!」
「誰がお前のような邪悪な王弟に忠誠を誓うか!」
「ほう、抵抗するのか?ならば、お前も引っ捕らえてやる!」
ゼルファルスの指から氷魔法が放たれた。
「グルルッ!」
ゾーファが火を吹いた。
「ゾーファ、ひとまず脱出する!」
二人は、ものすごいスピードで玉座の間から脱出した。
「ソフィア様!必ずやお助けします!」
一人、玉座の間に残された
「これで我が王位を危うくする人間は、消えた!リューリクの幽閉先も俺以外知らない!とうとう、この国を我が物にできる!」
ゼルファルスは、とある予言に悩まされていた。
それは、リューリクから王位を簒奪した後に神官が予言したもの。
―ドラゴン、双翼の銀鷲から錫杖奪い、幽閉せし時
青きマントを纏いし者
その者、はるか彼方より来たる人間。
その者、小さき者を連れる。
その者、力持たずして、賢き者なり。
ドラゴンを討伐し、双翼の銀鷲を再び迎える。
全ては錫杖が正統なる者に戻りしため。―
ゴブリン王室では、一人一人が紋章を与えられ、それがその者を表すものとなる。
リューリクの紋章は、双翼の銀鷲をあしらったもの。
一方、ゼルファルスは、ドラゴンをあしらったもの。
そして、ゴブリン界では錫杖は、王位を象徴する。
つまり、この予言は、
ゼルファルスが王位を簒奪した時、ソフィアが現れ、正統な王であるリューリクが王位を取り返す
ということだった。
ゼルファルスは、それを恐れていたのだ。
「ゼルファルス国王陛下、あの人間をどういたしましょう?」
「我が王位を脅かす者だ。王位が安定するまで幽閉せよ」
「はっ」