デート・ア・ライブ 風見サンフラワー 作:文々。社広報部部長 シン
今回は1日で2回も更新しちゃいますぞ!(この反動で次が遅くならなければいいけど)
今回は予告通り幽香さんが出ます!やっと出せた!(実に3話ぶり)
今回は直接的な描写はありませんが、グロ注意?です。
それではどうぞ
日はとうに暮れ、冬の凍てつく寒さを孕んだ乾いた風が《天宮ひまわり園》に戦ぐ。電灯がチカチカと点滅する様子を緑髪紅眼の女性がつまらなそうに見つめている。電灯が点滅を止めて弱々しく光り出すと女性はティーカップへと手を伸ばした。
こんな時間にひまわり園などという季節外れの施設に居る彼女はやはり季節外れの薄手の出で立ちで日傘を持っている。椅子に座ってティーカップを口に持っていく姿は一種の芸術作品と言っても過言ではないだろう。
そんな世にも奇妙な女性--風見幽香はティーセットを小さな円卓の上に置くと肘を立たせ掌に顎を乗せて思考に耽っていた。
どうすれば
一つ浮かんでは消え、また一つ浮かんでは消え。シャボン玉のような取り留めのない思考が彼女を弄んでいるようである。
次々に浮いたシャボン玉はすべて弾け、幽香は呆れたように大きな溜息を洩らし、彼女を取り囲む暗黒の一点を睨みつける。
「誰だか知らないけど、私に用かしら?さっきからずっとそこに居るあなた」
と、幽香は電灯の奥の暗闇に向かって言った。
「あら、あら」
驚きの感情が混ざってはいるが、蠱惑的な声が暗闇の中から響く。すると、幽香が視線を向けていた闇の中から電灯の光の下に1人の少女が現れた。
左右非対称な長さのツインテールとヘッドドレス、黒と赤コルセットに幻想的なドレスを纏った少女。その右眼は幽香に似た
そんな二人目の世にも奇妙な少女--時崎狂三は心底驚いた様子で幽香に語り掛ける。
「初めてですわね。
「…あなたが私を見始めた時からよ」
それを聞き狂三はまた驚かされる。これは思っていた以上に大物だ、と。
「きひひひひ、それはそれは。失礼しましたわ、ワタクシ時崎狂三と申しますの。以後お見知りおきを」
狂三はスカートの裾を掴んで頭を下げる。その所作は何処ぞの王国の姫君を思わせる。
「ふーん。私は風見幽香よ」
それに対して幽香は顎を掌に乗せたまま手短に答える。こちらの態度は魔王の妃と言ったところか。
「私の名前なんてどうでもいいのよ。あなたが質問を質問で返したせいで最初の質問が有耶無耶になったじゃない」
「あら、あら。それは悪いことをしましたわ」
狂三は悪びれもなくクスクスと笑うだけで謝ろうという気はさらさらないようだ。
「で、あなたはは此処になんの用があって来たのかしら?もしかして私を退治しようとしてきた、とか?」
幽香の
「きひひひひ、そんな事ありませんわぁ。そんなに睨まないで下さいまし。ただ、強い力を感じたから偵察に来ただけですの」
「あっそ。それならもう用は無いわね、立ち去りなさい。…ああ、それとその笑い方は気色悪いわよ?」
「なッ!?」
その言葉は狂三の心を深く抉ると同時に怒りの着火剤にもなった。
「………きひひ、ひひ、ひひひひひッ、そうですかァ!その宣戦布告、受けてたって上げますわぁ」
「あら、私と遊んでくれるの?なら、本気でかかって来なさいな」
幽香はおもむろに椅子から立ち上がり、指先をちょいちょいと。その様子に、狂三の怒りは頂点に達した。そしてステップを踏むようにして両足を開き、
「その舐め腐った態度を矯正してさせ上げますわァ!おいでなさい--〈
狂三は自分の保有する最凶の天使を呼び出した。狂三背後の影から巨大なものがが現れる。狂三の身長の倍ほどの大きさの金の文字盤に、本来針があろう場所にはアンティークな歩兵銃と短銃がハマっている時計。その時計塔についていそうな時計は見ている2人には圧巻だった。
「なかなかに圧巻ね。でも、
隣にいる幽香が驚いていたので少し得意になる。最後に言ったことの意味は分からなかったが。
しかし、ふと狂三にの頭の中に一つの疑問が生じる。何故この女は私の髪を掴んでいるのだろう、と。それを境に疑問が溢れ出てくる。何故いつもより視線が低いのだろう、なぜ自分の体と背後の〈
「………!!!?」
体に血が流れているのを実感しながら自分の手で
「カハッ…!はあっ…はあっ…危ないところでしたわっ」
数秒遅ければ死んでいたであろう。狂三はフルマラソンを完走したランナーのような荒い呼吸を繰り返す。そんな息も絶え絶えな狂三をよそに、前方からパチパチと乾いた音が響く。
「凄いわね。首と体が離れたのに生きてるなんて、面白い手品ね」
「手品ですって……?!」
自分を殺そうとしていた癖によく言う、と毒づきたい気持ちを必死に押さえつける。
「あなたはっ…!どうやって、わたくしの頭をッ……!」
恐怖で声がうまく出せない狂三を
「あら、あら。『わたくし』は少し怖がり過ぎではないですの?」
「黙りなさいッ!」
狂三は憔悴しきった顔で
「酷いですわ、酷いですわ。助けてさしあげたのに『わたくし』に怒られましたわ。もう助けて差し上げませんわ」
と言って
「終わった?」
2人の茶番劇の間に幽香は椅子へと座っていた。円卓の上のティーカップからは湯気が昇っている、紅茶を新しく注いだのであろう。ティーカップを手に取り、紅茶で喉を潤した幽香は興味をなくしたように素っ気なく言った。
「あなたがなんか叫んだ後に高速で近づいて、掴み取って、高速で元の位置に戻っただけよ。痛みを感じなかったのは私の技術かしらね」
それを聞き、狂三は戦慄した。精霊である自分が気づかないほどの速度でその三つのことをやってのけたコイツと自分とでは地の能力が違い過ぎる、と。わたくしは何て相手に喧嘩を売ってしまったのでしょう、と。大物なんてものじゃない関わってはいけないものだった、と。
狂三はその場にへたり込み、力無く問う。
「あなたは…何なんですの?」
「ただのお花の好きな妖怪よ」
「よう…かい、」
妖怪が本当にいるとは、と思った狂三だったが、「わたくしが言えたことではありませんね」と自嘲した。
暫く静寂がその場を支配していると「あ」と幽香は狂三に視線を送る。
「いい暇潰しになったわ。ありがとう、狂三ちゃん」
「…ッ!」
魅惑的で、人を惑わす幽香の声にいきなり名前を呼ばれた狂三は同性なのにも関わらず顔を紅潮させてしまった。この声も幽香が妖怪たる所以なのだろう。
少しすると狂三は立ち上がり、幽香に向けて言った。
「夜遅くに失礼しましたわ。また会う時まで私のことを忘れないで下さいまし、幽香さん。では、ごきげんよう」
頬を赤らめながらお辞儀をすると狂三は影の中に姿を消した。
「また会う時、ね」
幽香はティーカップに唇を付けると、紅茶はもう冷えていた。新しく紅茶を注ぐとすぐに湯気が立つ。幽香はまた思考に耽る。それは出ては消え、出ては消える湯気のような--
幽香さんと狂三ちゃん回でした。
狂三ちゃんのストーキングを見抜き、圧倒的な力の差を見せつけ、甘い言葉を囁く。
さすが幽香ッ!俺たちに出来ないことを平然とやってのけるッ!そこにシビれる、憧れるゥ!
その直撃を受けた狂三ちゃんは…あれ?百合の兆しが…
いやぁ、この2人のの絡みは書いてて飽きないですね。何倍でもご飯いけちゃう。楽しかったァ!
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