と言ってもここまでですけど
襲ってきた堕天使をアンジェロ(詳しくはジョジョ四部の本編をご覧ください)と同じ運命を歩ませ、僕は無事に家に帰って来れた。
家の鍵を開け、玄関先で僕の家族が待っていた。
「にゃ~ぁん」
「っと、今日は随分と勢いがある出迎えだね黒歌」
黒猫───黒歌が僕の胸に突撃してきたのを受け止め優しく撫でる。
この黒歌は僕が小さい頃に拾った猫だ。両親を説得し、激戦の末に飼うことを許された。猫派ということもあった故に、思わず我が儘を言ってしまったのは少し恥ずかしかったが。
それで、猫を飼うことを許した両親はというと僕が高校一年になった夏に海外に出張に行った。両親共にだ。
二人は有名な企業で優秀な人材ということしか聞いていないので、具体的な仕事は聞かされていない。
そして、何よりも両親共に親バカということだ。僕が日本に残ると言った時も大人と思えないほどの駄々をコネていた。説得するのに羞恥心を殺さないといけなかったのが何よりもきつかった。
高校生にもなって一日中両親から離れてはいけないとは本当に辛かった。
海外出張でいない両親だが、高校の行事の時は必ず日本に帰って来る。
授業参観の時などは地獄の様だった。後方から聞こえてくる親の声に耳を傾ければ我が子の自慢話。横を向けばクラスメートからの同情の眼差し。
……思い出しただけで嫌になってくる。
「にゃ~ん」
「ん、何でもないよ」
黒歌の頭を優しく撫でながらリビングの方へ歩く。
リビングに到着するなり黒歌は僕の腕から降り、足にすり寄る。
コレは猫の習性で自分の匂いをつけて「ここは自分の場所だ」というパターン。ようはマーキング。他にすり寄る時に尻尾がピンと立っている場合は愛情の表現。
最後におねだりのパターン。これはご飯などを欲しいときにするものだ。
猫がすり寄る時はすり寄る猫の仕草を見て見極めなければならない。
黒歌がやっているのは…………おそらく全てではないかな。
黒歌の尻尾はピンと立っている。そして、やたら入念にすり寄って隅々まで擦り付けてくる。最後に帰ってくるのが遅過ぎた。
「ごめんよ、黒歌。直ぐにご飯にするからな」
黒歌はにゃ~ぁんと一鳴きし、すりすりしてくる。
歩きにくいがそれ以上の可愛さがある為、そのままにしておく。
さて、黒歌のご飯なんだが何故か黒歌はキャットフードを食さない。最初はキャットフードを食べなくて戸惑った。そして、代わりに焼き魚を与えるとそれを食べてくれた。
次にキャットフードと焼き魚を二つ用意すると真っ先に焼き魚の方へ向かい、食べ始めた。
我が愛猫はどうやらキャットフードは食べない贅沢な猫と分かった時だ。
それ以降の食事は魚を与えている。
黒歌の食事を作り終わり、自分の食事も作り上げる。
その際に黒歌には先に食事を出して置くのだが、僕が食べ始めるまで待っているという賢い猫でもある。
いただきます。というと同時に黒歌もにゃ~んと鳴き、あたかも黒歌もいただきますと言っているようで一人で食事をしているという感じがないのだ。
そして、入浴の時は黒歌は嫌がらずに寧ろ、率先して入浴する。
どうやら黒歌は綺麗好きらしい。
当然の如く毎日僕は黒歌の毛を洗い、黒歌に丁度良いたらいにお湯を入れて入れようとするのだが、どうも黒歌は僕と一緒に入りたいのか浴槽の方へ入ってくる。
最初は驚いたものだ。突然ジャンプしたと思ったら、浴槽でバシャバシャと暴れているのだ。
余りの可愛らしさに逆上せそうになったのは覚えている。
そんな事があり、今の僕は膝を曲げ、黒歌の顔にお湯がつかない位の所で膝に乗っけて一緒に入っている。
その時に黒歌の視線がチラチラと僕の局部を見ているのは気のせいかな。
お風呂から上がると真っ先に黒歌をバスタオルで包んであげる。
流石に濡れたままで居させるというわけにはいかない為、僕自身よりも先に黒歌をタオルで拭いておく。
黒歌をバスタオルで拭く際にお腹の方もちゃんと拭くのだが、乳首の部分を触れると艶やかな声で鳴いてくるのはどうなんだろう。
その後僕もパジャマに着替え、黒歌の湿っている毛をドライヤーで乾かしてあげるのだ。
そして、就寝時には黒猫専用のベットに寝かせ、僕は部屋のベットで寝る。
だが、朝になると黒猫が僕のベットに潜り込んで寝ているのだった。
◇◇◇
時間は飛んで放課後。
まるで、キング・クリムゾンでも使ったかのような時間の飛びようだ。
そんな事を思っていると、教室の黒板側の開いている扉の縁をコンコンとノックするリアスさんが居た。
「静、迎えに来たわよ」
oh……なんかその言い方は誤解を生むんじゃないか。
現に周りの女子生徒がキャーキャー黄色い声を上げている。
そして、男子達は何やら呪詛を唱えているではないか。
「リアスさんその言い方は誤解を生みますよ?それとオカルト研究部についての話でしたよね?」
流石に人外についてを公に話すことが出来ない為、リアスさんの所属している部活動の名前を出す。
リアスさんがそうよと頷くと、男子達からの視線が少し緩む。
女子達はリアスさんが来ている事にまだ、騒いでる。
「静、部室に移動するわ。ついて来て頂戴」
「分かりました」
僕は歩き始めたリアスさんの後を追いかける。
数分後着いたのは旧校舎だった。
外から見た旧校舎は古臭いといった印象があるだけで、中に入ることはなかったが、入ってみると隅々まで掃除が行き届いており、中だけは綺麗だった。
「ここよ」
オカルト研究部という札があるところでリアスさんが立ち止まり、扉を開ける。
────部室なのか?
部室に入ってみての感想はこの一言しかでなかった。
だって、魔法陣やら何か魔術関係のモノが一杯あって、何故か奥の方にはシャワーみたいなのがあるんだよ
「さて、静。アナタを歓迎するわ。悪魔としてね」
リアスさんは僕が困惑している中で話を進めていくのであった。
◇◇◇
「粗茶です」
「どうも」
「静は此方の事はどれくらい知っているのかしら?」
朱乃さんに淹れて貰ったものをいただいている途中でリアスさんに質問される。
僕はコップを机に置き、朱乃さんに美味しかったです。と伝え、リアスさんとの話に答える。
「………各勢力の事情は知りませんが、そういった人ではない者が居るって事は知ってますよ」
「そう。何故知ったのかは……神器を持ってたからかしら?」
「えっ!?ジョジョの姉御も神器持ってるんですか!?」
驚いた声を上げ、一誠君は僕の方に視線を向けてくる。
「イッセー昨日の戦いを見てなかったの?……それより、昨日もそうだったけれど、なんで静のことを姉御って呼んでるのかしら?」
呆れたのか顔に手を当てながらそう口にするリアスさん。
「いや、部長が目を隠したから見えなかったんですけど……」
一誠君は言いズラそうに言う。一誠君がそう口したことにより、他の部員と僕がリアスさんの方へ視線を向ける。
「ま、まあ、それならしょうがないわね!…そ、それより、静。さっきの質問の返答は?」
あからさまに話をズラし、僕の方の質問へと変わる。
「答えはYESです。まあ、大体の種族とは戦いましたかね」
「大体って!?……そのうちの悪魔ははぐれじゃなくて普通の悪魔もかしら?」
少し鋭い視線を向け、僕を見るリアスさん。他の部員である朱乃さんや祐斗君、子猫ちゃんも視線を向けてきている。
唯一、一誠君だけは訳が分からないといった表情だ。
「僕が相手したのは殆どはぐれ悪魔だったよ。まあ、実力が知りたいとか言って戦いを挑んでくる人もいたな」
悪魔だから人じゃないか。
「そう。それならいいのだけれど……」
「あ、けど、はぐれ悪魔じゃなくても女性を襲っていた悪魔なら殴っても大丈夫だったよね?」
昔の事を思い出してそうリアスさんに言う。
「…ええ、そんな状況なら構わないわ……だいぶ、話が逸れてしまったけれど…静…アナタの神器について───」
「それは言えません。いや、自分でも把握していないから言えませんと言った方が正しいですね」
「そ、そう。けれど、随分とあの人型の人形を使いこなしているように見えたのだけれど」
「アレは人形ではありませんよ。アレは『スタンド』です」
「アレ?でも先輩は『ザ・ハンド』?と呼んでいたような」
祐斗君がそう呟く。
それに同意するかの如く一誠君を除く皆が頷く。
「『ザ・ハンド』は固有名であり、それら全てを総称して『スタンド』と呼んでいるんです」
「…静先輩。その言い方だと他にもスタンド?があるように聞こえるのですが」
「うん。そうだよ子猫ちゃん。スタンドは百種類位あるんだ」
百という数にリアスさん達が驚愕の声を上げる。
「けど、スタンドは基本一体だけしか出せないんだ。まあ、例外はあるけどね」
『バッド・カンパニー』とか『ハーヴェスト』とか………
「それじゃあ、静の神器は『スタンド』というものかのね?」
「いや、なんて言うか『スタンド』は神器の能力なんですよね。えっと…コレが僕の『神器』です」
僕はそういい『DISC』出して見せる。
全員がポカンとした顔になる。
「あの…ジョジョの姉御……それってDVDのディスクじゃないんですか?」
「そうだよ一誠君。けど、唯のディスクじゃない。僕の『神器』であるこの『DISC』は……実際見せた方がいいかもね」
そういい、僕は皆の前で『DISC』を頭の中に埋め込む。
全員が再び驚愕の声と表情を見せる。
まあ、突然頭に埋め込んだのを見ればそうなるな。
さて、今日の一発目は………はぁ、よりにもよってコレかよ。まあ、別に害を与えるわけないしでも攻撃力が皆無だからいいか。
「『ローリング・ストーンズ』」
僕がそう言葉にすると、人の形を刻んだ石が出て来た。
うむ、知らない人達だから何ともいえないな。女性4人の姿がそこには刻まれてあった。
「あ、アーシア?」
「一誠君!この中に知り合いがいるのか!」
「え、ええ。この子アーシアに────」
「今すぐ連れてきて!早急に対策を練らないと!」
いや、駄目だ。原作ではブチャラティやナランチャ、アバッキオは死んだ。
僕が突然焦ったことにより、一誠君やリアスさん達は呆然としていた。
そして、リアスさんが我に返った。
「静!落ち着いて頂戴!この石はなんなの!」
リアスさんにそう言われ、僕は深呼吸をする。
少し落ち着いた所で一誠君の方を見る。
「コレは『ローリング・ストーンズ』というスタンドだ。この石に刻まれている人は近いうちに死ぬんだ」
「……え?ま、待って下さい。そんな事───」
「現に僕は三人。この石に刻まれていた人が死んだのを知っている」
「そ、そんな……」
「一誠君、そのアーシアちゃんって子は?」
僕がそう質問すると今日の朝出会ったシスターだってことを話された。
つまり、悪魔にとっては天敵。
だが、一誠君はそんな事どうでもいいと思っているらしい。
「ちょっと良いかしら」
「何かなリアスさん」
「私は未だにその石に刻まれている人が死ぬってことは信じられないのだけれど」
「そうですわね。突然そんな事を言われても信じがたいですわ」
リアスさんと朱乃さんがそう言い放ってくる。
まあ、突然人が死ぬなんて話は信じられないのが普通だがコレは違う。実際に死んだ人がいるのだ。
「それで静、賭けをしないかしら?」
「賭け?」
「そう。賭けよ。もし、このアーシアって子が死んだら私が蘇らせてあげる。まあ、一誠と同じように悪魔としてだけれどね」
「………死なないかった場合は?」
リアスさんはそうね。と言いチラッと一誠君の方を見てから僕の方を見る。
「静、アナタが欲しいわ」
そう言われ、僕は呆然とした。
まあ、人の生死で賭けなんて不謹慎だけれど。と口にしたリアスさん。
確かに、そうだが一誠君にとってはどちらも結果としては嬉しいわけだ。
「それに乗るよ。一誠君の友人が生きていられるならその賭け乗るしかない」
「それじゃあ、コレにサインをして頂戴」
リアスさんから一枚の紙を貰い、目を通すと入部届と書かれてあった。
「あの……これは?」
「静にはオカルト研究部に入部して貰うのよ?悪魔じゃないとはいえ、神器持ちなわけだから監視という形で入部して貰うわよ。勿論、いいわよね?」
まあ、こんな得体の知れない神器持ちを野放しにしておくよりも近くで監視した方がいいか。
けど、何故あんな話をした後のタイミングでなんだ?
そんな事を疑問に思いながらも入部届に記入していくのであった。
◇◇◇
その日の部活後のリアスと朱乃の会話
「部長、何故あのタイミングで入部届の紙なんて渡したのですか?」
「……それは…」
「もしかして、『静、アナタが欲しいわ』なんて言ったことを思い出したら恥ずかしくなって────」
「わー!わー!止めなさい!それ以上は止めなさい!後々、気付いたら告白みたいで恥ずかしいなんて────────ッ!朱乃!なんてことを言わせるの!」
「あらあら、リアスが勝手に言ったんじゃありませんか?」
そうして二人の会話は続いていくのであった。