黒岩さんが聖杯戦争にinしました   作:BOX

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黒岩さん視点&桜ちゃん視点&黒岩さん視点の桜ちゃんサンドです。





 

 人気の無い路地を移動しながら、交戦したアーチャーのことを考える。

 あの弾幕の厚さはチャリオットとの戦闘を思い出させる。

 対処法としては同じく弾幕でもって、物量でもって迎撃することだ。

 威力ではあちらが上回っているが、速射性と連射性はこちらが上だ。

 真正面からの撃ち合いになれば、こっちにも分がある。

 しかし、それはカリヤにかなりの負担を掛けるので避けたい。

 

(他のサーヴァントに期待する。)

 

 倒すとまで言わなくとも消耗させて貰えれば、短期決戦でアーチャーを倒せるかもしれない。

 といってもかなり希望的観測が入っているが。

 確実にやるなら令呪を使うべき。

 だけど、

 

(令呪はたった3つそれを考えれば避けるべき。)

 

 幸い今回の戦闘で私のことを他の陣営はただのバーサーカーと思ったに違いない。

 ステもこれが狂化のスキルによって、強化済みのものとして考えるだろう。

 そうなればこっちのもの。

 

(敵が潰しあった後で切り札(れいじゅ)を切り、相手を倒す。)

 

 そこまで考えた所で間桐の家に着いた。

 玄関のドアを開け中に入る。

 

 トテトテトテ、ポスッ、ギューーー……!

「サクラちゃん?」

「……おかえりなさい。」

「ただいま。」

 

 眠りにつくのを確認して家を出たはずなのに何故?

 

「ほら、ちゃんと帰ってきただろう?もう遅いから寝なさい。」

「んっ。」

 

 サクラちゃんはもう眠気が限界にきてる様でパーカーにぶら下がりうつらうつらしてる。

 抱き上げてベッドまで運ぶ。

 サクラちゃんが眠りについたのを確認したあと、リビングに向かいカリヤに話を聞く。

 

「カリヤ。どうしてサクラちゃんは起きてたの。」

「あぁ、いきなり下に降りてきてな。バーサーカーはどこかって聞いてきたんだ。」

「流石に聖杯戦争については話せないから、夜の散歩に行ってるって言ったら。帰りを待つって言い出したんだ。」

「それで玄関に居たんだ。」

 

 サクラちゃんは何も知らないのだ。

 今、自分の叔父と私が聖杯戦争と呼ばれる。殺し合いに参加してることも、私があと数日後には居なくなってしまうことも。

 

「もしかしたら、次は一緒に行きたいとか言い出すかも知れないから適当な言い訳を考えないと。」

 

 それが一番手っ取り早い方法だろう。

 けれど、

 

「……私は本当のことを言った方が良いと思う。」

「本当のことって?」

「聖杯戦争のことはともかく私がいなくなってしまうことは伝えた方が良いと思う。」

「バーサーカー。言っておくが桜ちゃんは君が思っている以上に君のことを思っている。」

 

 確かにそうなのかも知れないけど。

 

「だったら、なおさら――――

 

「いなくなっちゃうの?」

 

 ーーーっ!」

 

 背後から聞こえた声に驚き、振り向くとそこには二階で寝ているはずのサクラちゃんの姿だった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 きょうはいつもとちがった。

 よるおそくにおきたとき、いつもいるはずのおねぇちゃんがいなかった。

 

「どうして?」

 

 たすけてくれてからいつもいっしょにねてくれた。

 ……なのに、

 

「あれ?どうしたんだ桜ちゃん?」

 

 おねぇちゃんをさがしてるとおじさんをみつけた。

 

「おじさん、おねぇちゃんはどこ?」

「えっ?あぁ、バーサーカーはそう、ちょっと夜の散歩に行ってるんだよ。」

「……。」

 

 ……たしか、だうと?っていうんだっけ?

 こういうとき。

 おじさんはかおにおもってることがすぐでるのだ。

 だから、おねぇちゃんもいれてババぬきをやるといつもまけてる。

 

「じゃあ、まってる。」

「うぇっ!いや、いつ帰ってくるかわからないし。」

「まってる。」

「……わかった。」

 

 おじさんはせめてリビングでまっていたほうがいいといったけど、おねえちゃんがかえってきたらすぐにあいたかったから、げんかんのところでおねぇちゃんをまった。

   ・

   ・

   ・

 ドアがひらくおとでめがさめる。

 ドアのあいたそこにいたのはおねぇちゃん。

 おもわず、はだしのまましたにおりてしまった。

 そして、けっしてはなれないようにうわぎをしっかりつかんだ。

 

「サクラちゃん?」

「……おかえりなさい。」

「ただいま。」

 

 ちゃんとかえってきてくれた。

 あんしんしたら、またねむくなる。

 そのままだきあげられベッドにはこばれる。

 そのあと、おねぇちゃんはベッドにすわりわたしのてをにぎってくれた。

 ……いつもならいっしょにねてくれるのに、

 

 ねむったふりをする。

 おねぇちゃんがへやをでたのをたしかめてからおきだしてこっそりついていく。

 たぶん、おじさんとおねぇちゃんはわたしになにかをひみつにしてる。

 こわかった。

 まえみたいにすてられてしまうんじゃないかって。

 おねぇちゃんやおじさんのことはやさしいひとだってしってる。

 けれど、とうさかさんだってわたしをすてたのだから。

 こわい。

 とてつもなくこわい。

 けれど、おねぇちゃんやおじさんのことをうたがいながらくらすのはもっとやだった。

 おうちのなかでリビングだけがあかるかった。

 

「……ッ…………!」

 

 こえがきこえる。

 なにかをはなしあってるようだった。

 わたしはドアにみみをちかづけた。

 

「……のことはともかく私がいなくなってしまうことは伝えた方が良いと思う。」

 

「……えっ?」

 

 イマナンテイッタノ?

 

「いなくなっちゃうの?」

 

 うそだよね、おねぇちゃん。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「桜ちゃん!どうして。」

 

 狸寝入りだった訳か。

 すっかり騙されてしまった。

 

「おねぇちゃん。うそだよね。いなくなったりしないよね。。」

「桜ちゃん。バーサーカーは「カリヤは黙ってて。」バーサーカー……。」

 

 カリヤが私を庇ってくれようとしたが。

 これは私とサクラちゃんの問題なので黙ってて貰う。

 

「いなくならないよね?」

「……。」

 

 サクラちゃんは目に涙を溜めて見上げてくる。

 出来る事ならずっと一緒に居てあげたいと思う。

 もしかしたら聖杯に願えば可能になるかも知れないとも思う。

 けれど、それは駄目だ。

 そんなことをすればサクラちゃんはもう二度と私から離れられなくなってしまうだろう。

 チャリオットとデッドマスターように。

 それは酷く歪な関係だ。

 だから。

 

「私は」

「……。」

「私はあと数日でいなくなる。これは決まってることなの。」

 

 サクラちゃんのもとを離れる。

 これは変えることは出来ない。

 

「っ!」

 

 駆けだそうとするサクラちゃんの手を掴み、腕の中に閉じ込める。

 

「はなして!」

「駄目。」

「わたしのこときらいになったんでしょ!」

「違う。」

 

 そんな訳はない。

 

「だったら!」

「……。」

「だったら、ずっといっしょにいてよぉ。すてないでよぉ。」

 

 綺麗な瞳からポロポロと涙を零す。

 拘束から逃れようともがくのをやめたのを確認し、腕の中から出して目を合わせる。

 

「サクラちゃん。」

「ひっく……ひっく……。」

 

 声をかけてもしゃくりあげる声しか聞こえない。

 しかし、声は聞こえているだろうと話を続ける。

 

「私が言えたことじゃないけどね。人生ってこんな感じだよ。」

「ひっく……こんな、かんじ?」

「そう、人生は出会って別れての繰り返しなんだ。私も別にサクラちゃんの事が嫌いになった訳じゃないんだよ?普通のことなんだ。」

 

 人として生きた事など無いので、飽くまで一般論としてだが。

 

「そんなのいや。」

「どうして?」

 

 とりあえず泣き止んだサクラちゃんから目を離さずに問いかける。

 

「わたし、なんにもなくなっちゃう。」

「どういうこと?」

「おねぇちゃんも、おかあさんも、とうさかさんもかぞくじゃなくなっちゃった。」

「おねぇちゃんがいなくなったらもうだれもいなくなっちゃう。」

 

 なるほど、まだ小さなサクラちゃんには人との繋がりと言えば家族しかいないのだろう。

 

「だけど、カリヤだって家族でしょ?」

「……おじさんもすきだけど、いちばんはおねぇちゃん。」

「……。」

 

 サクラちゃんの発言を聞いたカリヤがぐにゃあ~となっているが放っておこう。

 

「それは嬉しいけど。」

「うれしいなら、どこにもいかないでいっしょにいて。」

「それは出来ないの、それに、」

「?」

 

 そこで一旦、言葉を切るとサクラちゃんは小首を傾げた。

 

「それに別れたら何もなくなっちゃうなんてことは無いんだよ?」

「え?」

「確かにサクラちゃんはもう前の家族とは暮らせないかもしれない。」

「……。」

「けど、心の中に家族だった時の思い出は残ってるでしょう。」

「・・・うん。」

「きっと、サクラちゃんの前の家族だって覚えてる。」

「そうかな。」

「そうだよ。だから、桜ちゃんにはちゃんと大切な思い出が残ってる。」

 

 そこで改めて目を合わせ、髪を指で梳いた。

 

「私ともそう。サクラちゃんが忘れない限り思い出はずっと残る。」

「でも、」

「でも?」

「みじかすぎるよ。」

 

 確かにそうかもしれない。

 出会ってからたったの五日だ。

 

「うん、だからね。サクラちゃん。」

 

 そこまで言ってサクラちゃんを強く抱きしめる。

 

「サクラちゃんが一番して欲しいことも、私が一番してあげたいこともできないけど、して欲しいことがあったら言って。サクラちゃん。」

「……いっしょにごはんたべて、「うん」いっしょにおさんぽして、「うん」いっしょにあそんで、「うん」いっしょにおふろはいって、「うん」いっしょにベッドはいって、「うん」」

 

 そう、出来る事なら何でもしてあげたい。

 けれど、

 

「いっしょに、いっしょに……っ。」

 

 其処まで言ってサクラちゃんの瞳からまた涙が流れ出す。

 

「……。」

「ずっといっしょにいてよ。おねぇちゃん。」

「ごめんね。」

 

 その願いだけは叶えることが出来ない。

 これ以上、泣くサクラちゃんを見ていられずに抱きしめた。

 そんな私の頬を室内にもかかわらず暖かい雫が流れていった。

 

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