寒い日が続きますね~風邪引かないように気をつけてください!
それでは本編どうぞ!
今回は音ノ木坂に入学するお話です
時間は朝。この日の大賀は朝ご飯にあまり手をつけていなかった。母親に「大丈夫?」と聞かれても「だ、大丈夫」の一点張り。
緊張からか箸があまり進まず半分くらい残し準備をするために2階へと上がって行った。
(ご飯を半分も残すなんて……よっぽど緊張してるのね。記憶がなくなる前は適当に頑張るとか言って笑って食べてたっけ)
なんて思いながら残ったご飯を片付ける母親。
「はぁー。どうしよう……緊張でどうにかなりそう……」
部屋に入るなりその場に体育座りをして視線を下に落とす大賀。前の日の朝まで夜まで大丈夫だったが、寝る前に女子高に通うと考えると急に凄い緊張に襲われた。知り合いが居るが数人だけ。さらに全校生の前で自己紹介をするとなると緊張は増してくる。
どうしようどうしようどうしよう。でも今更逃げる訳にも行かないし………同じ学年に星空さんとか居るけどもしクラスが違ったらどうすれば!?
大賀はまだ知らない。真姫、凛、花陽が居る学年は1クラスしかないことを。ふと時計を見るともうそろそろ用意をして家を出ないと遅刻しそうな時間になっていた。
再び視線を下に戻した。
やっぱり………僕には………
すると目の前に机に置いてあったはずのサッカーボールが転がってきた。なにかの拍子に落ちたのだろう。大賀の足に当たると少し転がり止まった。
なんでだろう………最近ボールを見ると蹴りたくてたまらなくなる。昨日は眠れなくてずっとリフティングしてたんだよね。音がうるさくて母さんに怒られてやめたけど。
すると立ち上がりボールを手で持ち上げた。少しの間ボールを見つめた。
………………………カッコ悪いよね……………ここで逃げたら。覚悟を決めて試験生の話を受けたのに今更怖くなっても仕方ない!!逃げ道は前に潰したから行くしかないんだ。
ボールを机の上に置き直し、男用の音ノ木坂の制服に着替えた。ネクタイを締め鞄を持って部屋を出ようとドアノブに手をかけたが、後ろに振り返りボールを見た。
「………………よし」
1階に降りると玄関の前に大賀の母親が待っていた。
「その巾着袋どうしたの?」
大賀が持っている長い紐の巾着袋を指差して言った。
「ボールが入ってるんだ。持ってると落ち着くから」
「そう。気をつけて行くのよ?」
「わかってるよ。じゃあ、行ってきます!!」
「行ってらっしゃい」
靴を履いて玄関を勢いよく開けて出て行った。その姿を見て大賀の母親の心配は一気に吹き飛んだ。まるで記憶を失う前の大賀にそっくりだったから。
「頑張りなさいよ。………大賀」
音ノ木坂に向かって全力で走る大賀。集合時間は音ノ木坂の生徒はすでに全員登校している時間帯。なのでバレる心配はない。
今年の音ノ木坂に入学した女子生徒は去年と比べるとかなりの人数だった。新2年生が1クラスに対して今年の新1年生のクラス数は4クラス。そう考えるとスクールアイドルという存在は大きかったのだろう。
そう言えばこの前のスクールアイドルのライブもかなりの規模だっよな~~。ドーム大会も決まってμ'sの最後のライブも終わって今年は凄い年になりそう。
なんて考えながら走っていたがだんだんとスピードが落ちてくる。元運動部とはいえ半年もやっていないと体力も落ちるだろう。今は息を切らして歩いている大賀。
き、きつい………体力が………欲しい。今度から朝走ろうかな?前にビデオで見せてもらったけど、フィールドを駆け回ってる姿を見て本当に自分自身か疑ったからね。
あまりにも変わってて………
しばらく歩くと階段が見えてきた。
「もうすぐか……」
目の前にある階段を登れば音ノ木坂はもう目の前だ。深呼吸をしてゆっくりと登り始めた。1段1段登につれ心臓の鼓動が早くなっていく。
階段を登りきると交差点を挟んだ先に音ノ木坂学院が見える。校門から昇降口まで伸びる道に沢山の桜の木が並んでいて、桜の花びらが舞っていた。
信号が赤に変わった。近くにある黄色い装置についているボタンを押し、お待ちくださいという赤い文字に明かりが点いた。目の前の道路を走る車。
よく見ると校門のところに誰かが1人立っていた。
あの人は……海未先輩だ。案内してくれるのかな?
車用の信号が青から黄色に変わり赤に変わった。歩行者用の信号が青に変わると同時に大賀は海未の元に向かった。
「海未先輩!」
「時間通りですね。おはようございます」と笑顔で言う海未。
「おはようございます」と挨拶を返すと「こっちです」と校舎に向かって歩き始め、大賀はそのあとを追った。
あれ?海未先輩は試験生が僕なの知ってたのかな?知らなかったら驚くと思うから知ってたのか。
それにしても凄いな~桜の木がこんなに沢山見れることなかなかない。毎年綺麗に咲いてるらしんだよね。
キョロキョロと桜の木を見ていると海未がクスッと笑った。大賀は頭に?を浮かべたような表情をして聞いてみた。
「どうかしましたか?」
「いえ。そんなにマジマジと桜の木を見ていたので。好きなんですか?」
「はい。毎年見てるような気がするんですけど……どこで見たのかは覚えてないです」
「そうですか。来年もまたここで見れますよ」
ん?来年も?ということは音ノ木坂で卒業するの?でも来年って海未先輩たち卒業してるよね。知り合いが減るのは痛いな~。友達作らないと………。
校舎の中に入り最初に案内されたのは理事長室。海未がノックをすると中から「どうぞ」と聞こえた。
「「失礼します」」
中に入ると理事長が待っていた。理事長の前まで進み少し離れた位置に2人は止まった。
「来てくれてありがとうね」
「いえいえ」
「園田さんも案内ありがとう。先に講堂に行っててください」
「はい」
そう言うと海未は理事長室を出て行った。そして話はこのあとの集会の話に変わった。自己紹介は覚悟しているためあまり緊張はないが自己紹介以外にあると不安な気持ちになる。
「このあとみんなの前で自己紹介してもらうのだけれど大丈夫?」
「は、はい」
「ふふっ。あんまり緊張しなくても大丈夫よ。集会では自己紹介だけだから」
良かった~自己紹介だけならなんとかなりそうだ。
心の中で安心する大賀だったが、次の理事長の言葉に安心感は一気に緊張感に変わった。
「人はだいたい210人くらいかしら」
「えっ………2……10人?」
思ったよりも人が………居る。音ノ木坂って人数少なかったんじゃ!?待てよ………冷静に考えるとμ'sがあれだけの影響力があるって事はそれだけ入学したくなる人が増え………あっ、詰んだ。
「今年は入学希望者が多かったの。去年の倍くらいに」
「きょ、去年の倍………」
ヤ、ヤバい………人が沢山居ると考えると緊張してきた………あ~事前に音ノ木坂のこと聞くか調べとくんだったー!!
心の中で後悔する大賀だが、集会の時間が近づいてる。すると理事長が椅子から立ち上がった。
「じゃあ、そろそろ行きましょう」
「はい」
理事長が大賀の隣を通ると左手に持っていた巾着袋が気になった。「それは?」と聞かれるとさっきと同じ答えを返した。
「サッカーボールです。持ってると落ち着くので」
「そうなの。サッカー好きなのね」
「はい!」
大賀と理事長は2人で講堂に向かった。
その講堂では試験生が来るという噂が広まりその話題でざわついていた。
「試験生ってどんな人かな?」
「さぁ。どんな人でもいいでしょ」と言いながら髪をくるくるしている。
「真姫ちゃん興味ゼロにゃ」
花陽、凛、真姫も試験生のことを話して居るが真姫の試験生に対する興味はゼロ。そんな興味ゼロの真姫だったが、凛の一言で少し気になるようになった。
「まさか神月君だったり!」
「そ、それはないわよ」
「そうだったら毎日サッカー教えてもらえるのになー」
「毎日は神月君が大変じゃ……」と苦笑いしながら花陽は言った。
(まさか………ね)
すると司会のヒデコから「静かにしてください」と注意をされた。もうすぐ集会が始まるということだ。徐々ににざわつきが収まり集会が始まった。
理事長が舞台裏から出てきた。真ん中に行くと挨拶をして話始めた。
理事長が話始めた一方、大賀は緊張からか頭が真っ白になっていた。
改めてみるとヤバいな………落ち着けー落ち着けー。この前の手伝いに行った時みたいな感じで自己紹介すればいいんだ。
「昨年、音ノ木坂学院は廃校を免れたばかりです。そしてまたいつ廃校の危機が訪れるかわかりません。そのために共学化を視野に入れて試験生を募りました。今日は1人目の試験生が来ます。どうぞ」
そうこうしているうちに理事長に呼ばれ、覚悟を決め一歩前に踏み出した。静かな講堂に足音だけが響く。舞台裏から姿を表したのは…………
(えっ…………嘘!?)
(神月君にゃ!?)
(凛ちゃんの予想が当たっちゃった!)
大賀が出てくると再びざわつく講堂。理事長が立っていた場所に着き一度深呼吸をして自己紹介を始めた。
「試験生の神月大賀です。皆さん、よろしくお願いします」
そう言って頭を下げた。するとパチパチと拍手がなり始め、頭を上げ理事長が代わりに話始めると拍手がやんだ。
「神月君は2年生のクラスに入ってもらいます」
2年生か。……………2年生!?いや、当たり前か。ど、動揺が凄い………。
集会は終わり生徒はそれぞれのクラスに戻って行った。
「まーきちゃん!やっぱり神月君だったね!」
「それがどうしたのよ」
「興味ないの?」
「男子が1人増えるだけじゃない」
そう言って真姫は足早に教室に戻って行ってしまった。いつもと様子が違うことに少し心配する花陽と凛。
(なんで大賀なのよ………別に嫌ってわけじゃないけど。私と居たらいつ思いだすかわからないのに………)
久しぶりに会っただけでなにかを思い出そうとして頭が痛くなっている大賀を見て思った。真姫を見ると思いだす可能性があるんじゃないのかと。
そんな不安を抱えたまま席に座った。
10分くらい経っただろうか。話が絶えない教室のドアが開き担任の先生と大賀が入ってきた。と同時に周りの生徒は自分の席に戻った。
「はーい。席に着いてください」
全員が座ったのを確認し、話始めた。
「はい。みんなもわかると思うけど、試験生の神月大賀君です。自己紹介してくれる?」
「はい。神月大賀です。改めてよろしくお願いします」
パチパチパチと拍手が鳴り、少しすると鳴り止んだ。すると先生は「質問がある人居ますか?」と聞いた。真っ先に「はーい!」手を挙げたのは凛。
「では、星空さん」
「趣味はなんですか?!」
「趣味……えっと……さ、サッカーです」
いきなり星空さんから質問が飛んでくるとは…………。手伝いに行ってから結構仲良くなったと思うんだよね。運動好きみたいだし。
そうこう考えて居ると別の人から質問がきた。
「特技とかありますか?」
「と、特技ですか……」
えっと………特技、特技。今の僕に特技なんてあるのかな?………………あっ!この場を凌ぐにはもってこいのやつがあった!
「少しだけリフティングが出来ます」
「リフティングね~。あら?その袋に入っているのはボール?」
「えっ?あ、はい」
マズい!?この状況は…………。
「じゃあ少し見せてもらえない?」
だぁぁーー!!やっぱりこうなる!ボールもってこなきゃよかった!!うぅ~どうしよう……断れる雰囲気じゃないよね……。
「じゃあ…ちょっとだけなら」
するとパチパチと拍手がなった。半ばどうにでもなれと思いつつ巾着袋からサッカーボールを取り出し床に置いた。
先生に当たらないようにしないと
大賀は担任の先生に背を向けて、ボールを自分側に転がし素早く、つま先でトン、トンと2回で空中に上げた。
そこから床に着かないようにリフティングをする。時には左足を使ったり太ももを使ったりと器用にリフティングをした。
ん?意外といけるかも!!よーし!だったら大車輪でもやってみようかな。
右足で軽く数回リフティングをし、次の1回で少し高く上げボールの外側を右足を回し、軽くリフティングをした。
成功した瞬間「お~~」と歓声が上がり、ボールを少し高く上げ両手でキャッチをして終わりにした。すると再びパチパチパチと拍手がなり始めた。
「凄いですね!」
「い、いえ。全然ですよ…」
拍手が鳴り止んだ。
………………そう言えばサッカーやってると性格変わるのかな?サッカーというよりボール触ってるとか。こないだもそうだし、ボール触ってると落ち着くし。
「リフティングを披露してくれてありがとう。席は西木野さんの隣ね」
「はい」
ボール、巾着袋、鞄を持って先生に言われた通りに真姫の隣の席に向かい、座った。
チラッと真姫を見たが真姫はずっと外を眺めていて大賀とは目を合わせようとはしなかった。
隣が西木野さんか…………少し気まずいな~。あんまりガンガン話かけるような性格じゃないし、でも仲良くはなりたい。この先友達がろくに作れないと大変だし。
時間は過ぎて放課後になった。昼休みには沢山の人に囲まれて質問攻めにあった大賀はもう疲れが限界にきていた。
あああ~~~早く帰りたい~~。昼休みの質問攻めがかなりきた………。でもクラスの皆には右目と記憶がないことは話せたから良いか。
帰ろうと席を立つと困ったような表情で凛と花陽が大賀の元へきた。
「神月君、呼んでる人が居るんだけど……」
「呼んでる人?」
「凄い怖い顔してたにゃ」
「こ、怖い顔?」
「あの人」と凛が指差しをした方に顔を向けるとズカズカと歩いてきて大賀の机を叩いた。
えっ?初日早々なにかやらかした?やらかした覚えがないんだけど………。
恐る恐る顔を上げた。リボンを見る限り同学年ではないのはわかった。
「神月!!なんであんたがここに来たのよ!」
「ええ!?そ、そんなこと言われても………」
困っている大賀を見かねて隣で帰る用意をしていた真姫が話かけた。
「あの。あなた誰なんですか?」
「私?私はこいつと同じ中学校の先輩よ!」
「その先輩がなんの用ですか?」
「神月大賀!あんたには言いたいことが沢山あるのよ!」
いったい僕はなにをやらかしてるんだ?記憶を失う前のことを知りたい…………。
大賀のピンチはまだまだ終わらない。
どうでしたか?
次回は大賀の修羅場が続きます。記憶を失う前の大賀はなにをやらかしたのやら………
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それではまた次回