とある転生者の崩壊道≪ブレイクロード≫   作:天譴

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少しシリアスっぽくしたかったのですが、微妙な感じになってしまいました


家族・想い

 

 

 

 

      「………収拾がついたようですね。」

      「動物への能力開発を既に完成させているとは………末恐ろしいものだ。」

      「今回も、『第零位』が解決した様ね。」

      「今はまだ我々にとって有益な存在だが、このままではいずれ脅威になってしまう。

       今のうちに手を打っておかなければ………」

      「私には、彼が周りに被害を加えるとは思いません。」

      「親船、お前は平和主義者すぎる。子供を信じるのはいいがそれでは足をすくわれてしまう。」

      「言ってしまえば、奴らは意思のある兵器。牙を剥かれたらただでは済まない。」

      「………………。」

      「ま、私も今のところは何もしなくても問題ないと思うけど?」

      「私も同感だ。」

      「薬味、貝積………何故そこまで言い切れる?」

      「彼の今までの行動は全て私達にとって有益って自分で言ってたじゃない。だからよ。」

      「だからこそだ。そんなものは我々のご機嫌取りかもしれん。」

      「そうだとしても、現状彼は私達に何もしていない。危害を加えられてもいない

       人間に対して何かをする必要はない。」

      「そうそう。だから今は放っておいても大丈夫。いざとなればやればいいんだから。

       阿武隈もおそらくそう言うと思うけど?」

      「………………。」

 

       ………能天気どもめ。まぁいい。私は私で独自に行動をすればいいだけのこと。

       あの凶悪な『第零位』を今のうちに…………

 

      『……奴のことには干渉しない方が身のためだ。』

      「っ!?と、統括理事長………」

      『アレは君達が思っている以上に難解なものだ。迂闊に関わると命を落とす。』

      「ですが理事長!貴方の身も危険になる可能性が………」

      『……納得できないなら、一度見てみるといい。アレがどういう存在か。』

 

       ブォォォン

 

      「??映像………?」

      「これは……確か『幻想御手(レベルアッパー)』事件でしたね。」

      「これが一体どうしたと……………っ!な、何だこれは!?」

      「……骨?ガイコツみたいなものが出てるわね。」

      「一体どんな能力を………?」

      『これでもまだ関わるというのなら、自ら確かめてみると良い。』

 

       ブツンッ!

 

      「くっ……………。」

      「……私にとっては興味のないことだ。」

      「!!……塩岸、ここにいる間ぐらいは『駆動鎧(パワードスーツ)』を脱いだらどうだ。」

      「この町に絶対安全など存在しない。用はこれだけか?なら私は戻るとする。」

      「相変わらず人付き合い悪いわねぇ。ま、それじゃ私も帰るとしましょうか。」

      「おい待て!まだ話は………」

      「天宮、彼に対して不満があるなら理事長が言っていたように自らで確かめろ。

       私達には関係のないことだ。」

      「くっ………」

 

       ………いいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      「う~ん………ねぇ師匠、今新約禁書九巻みたんだけどさ………ヤバくない?」

      「ん?どういう意味じゃ?」

      「この『魔神』に勝てるとは思えないんだけど。」

      「どれどれ…………ほぉ、これはすごい。確かにこれじゃ勝てんかものぉ。」

      「どうすんの?」

      「ふむ…………まぁまだ先のことじゃし、気にすることはないじゃろう。」

      「そうかなぁ………?」

 

       ま、死んだら死んだでそれも良いじゃろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      「おっ、復活してるないちごおでん。

       しかし一昨日のいちごおでん消失事件は何だったんだ一体?」

 

       一瞬生産中止になったのかと思ったが…………まぁこうしてまた飲めたから良いんだがな。

 

      「ゴクッ、ゴクッ………はぁ美味い。さて、説教しに行くか。」

 

       ガチャ!

 

      「おいこの電撃茶髪不良中坊。さっきのあの態度は一体………」

 

       パンッ!!パンッ!!

 

      「…………何だ?」

      「楠木さん、退院おめでとー!!」

      「それと『幻想御手(レベルアッパー)』事件解決ありがとうございます!」

      「ささやかですけれど、お姉様が何かをしたいとのことで。」

      「ちょ、私は別に………」

      「……ビリーが?」

      「ち、違うわよ!?ほらあの事件のときあの怪物を一人で食い止めたからその借りを返しただけ!

       退院祝いも佐天さんのついでよついで!別にアンタのことを思ってやってる訳じゃ………」

      「………………。」

      「ちょっ!何黙ってんのよ!というかその目つきは何!?」

      「……本当にお前が俺のためにこれをしてくれたというなら正直言って嬉しい。ありがとな。」

      「はへっ?い、いや、そんな急に……」

      「………だが、さっきの電話での態度は何だ?お前には少し礼儀を教えないといけないな。」

     

       ガッ!

 

      「えっ、な、何!?」

      「聞こえなかったのか?説教の時間だと言ったんだ。」

      「へっ………?」

 

   

       ~三十分後~

 

 

      「おはよう………って、どうしたの御坂さん?何かやつれてない?」

      「お、おかえりなさい………固法先輩。」

      「わ、わたくし達が一切入りこめませんでしたわ。」

      「こ、怖かった………」

      「………気を付けよう、楠木さんを怒らせないように。」

      「い、一体何が…………あっ、楠木君来てたのね。ねぇ、これは一体どういう………」

      「別に何もないっすよ。何か俺のためにパーティー開いてくれるらしいです。」

      「あぁ~。それで最近こそこそと何かの準備をしていたのね。」

      「先輩思いの良い奴らですよ。なぁビリー?」

      「お、鬼…………」

      「と、とにかく!パーティーを始めちゃいましょうよ!」

      「……そうですわね。」

      「私も混ざっちゃっていいのかしら?」

      「もちろんですよ。」

      「じゃあ早速乾杯しましょう!」

      「いちごおでんが飲みたいんだが………一昨日はどこにもなかったからな。流石に無理か。」

      「……あるわよ。」

      「えっ?」

 

       ドサッ!

 

      「なっ!?何だこの量は!?お前等一体どうやって………」

      「一昨日なくなってたのは私達が買いまくってたからよ。…………今日のために。」

      「楠木さんが一番喜ぶ物っていったらやっぱこれかなぁ……って、全員で話したんです。」

      「自動販売機やらお店やら色々回りましたので、なくなってしまったんですの。」

      「独占したのはムカつくが………これはマジで嬉しい。ありがとなお前等マジで。

       そしてビリー、さっきは悪かったな。これ企画したのがお前だと考えると感謝しかない。」

      「ッ!?あ、アンタは説教したり急に褒めたり……

       ま、まぁ素直に受け止めておくわ。感謝しなさいよね。」

      「………全く、素直じゃないわね。」

      「おぉ………ここが新世界というものか……」

      「本当ですねぇ……いちごおでんに囲まれているなんて………」

      「……わたくしには理解できませんわ。」

      「あたしも………」

 

       素晴らしい………。天国だ。

 

      「………そういや、アンタ少し前まで携帯全くつながらなかったらしいけど、どこにいたのよ?」

      「あぁ……学校にちょっとな。」

      「学校って………海星学園のことですの?」

      「そうだ。何か資料盗まれたからそれを取り返す手助けをしてくれとか言われてな。」

      「盗まれたって………何故『風紀委員(ジャッジメント)』に通報しなかったのかしら?」

      「まぁそういうレベルじゃなかったんすよ。」

 

       逆の意味で………だけどな。

 

      「ふぅん………。私はてっきり第十学区にいたのかと思ったけど。」

      「はぁ?」

      「第十学区で爆発があったらしくて。アンタならそこに居てもおかしくないじゃない?」

      「………俺はお前みたいなトラブルメーカーじゃない。」

 

       こいつ…………勘が鋭すぎるな。

 

      「私のどこがトラブルメーカーなのよ?」

      「百人に聞いたら百二十人がお前はトラブルメーカーと答えるはずだ。」

      「限界突破!?そんな訳ないでしょうが!!絶対アンタの方がトラブルメーカーよ!」

      「…………どっちもどっちですわ。」

      「あはは………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      「うっ………流石に飲み過ぎた。」

 

       三十四本連続飲みはやり過ぎた。超吐きそう……

 

      「………ん?アイツは…………」

      「……あら、久しぶりね。」

      「裏第三位………。」

      「鷹宮真菜よ。よろしくね、和真君?」

      「………こんな所で何をしている?」

      「そんなに睨まないで。私もこの町の住人なんだから、どこで何をしていてもいいでしょ?」

      「……………。」

      「……まぁ、伝えたいことはあるんだけどねぇ。」

      「伝えたいこと?」

      「君を狙う輩が出てきたみたいよ。手段は選ばないらしいわねぇ。」

      「……俺を?そんな情報一体どこで………」

      「こんな所にいたか。さっさと来ないと切り捨てるけど。」

      「………っ!?」

      「同業者には優しくした方がいいわよ?」

      「同業者と思ったことはないけど。」

      「…………お前、ブレインだったのか。」

      「!!………彼女を知っているのかしら?」

      「……学園都市統括理事会の一人、貝積継敏のブレイン……雲川芹亜。」

      「!?………そういうお前は確か『第零位』、楠木和真の様だけど。」

      「まさか、こんな大物に会えるとはな。」

      「それはこっちの台詞だけど。まさか、こんな場所にあの『第零位』がいるとは。」

      「さっきまで第十学区の事件に関わっていたらしいわねぇ。

       全く、この短期間でどれだけ働きたいのかしら?」

      「無理にやらされたものもあるが、自分でやっていることだ。

       上のためにやっているわけではない。」

      「……その自らの行動が、一部の人間に対して不評だということに気付いてないようだけど。」

      「…??」

      「さっきも言ったけど、君は今狙われる立場になってしまった。理事会の一人にね。」

      「……………。」

 

       少し動きすぎたか。『裏超能力者(アンダーレベル5)』に『幻想御手(レベルアッパー)』、魔術師に今朝の事件、その他色々………

       確かにこれでは上層部に警戒されるな。というか、そんなこと全く気にしていなかった

       …………ヤバくないかそれ?

 

      「ま、私のアレはお前を危険視していないようだけど。」

      「あの人は案外平和主義者なのよねぇ。私のところは第一にここにいることが少ないから

       よく分からないわ。」

      「お前は誰のブレインだ?」

      「阿武隈という人よ。」

      「………あのおっさんか。」

      「あら、会ったことがあるのかしら?」

      「さっきな。すぐまたどこかに行ったが、あのおっさんは俺の学校の理事長らしい。」

      「海星学園か。あそこには変人が多いと聞いてるけど。」

      「……まぁ、間違ってはいない。」

      「それにしても、この三人の組み合わせは上からしたら相当ヤバいと思うけどねぇ。」

      「…………なら、俺は帰るとする。」

      「一つ、言っておくことがあるけど。」

      「何だ?」

      「自分の意思で行動するのは構わないが、

       それが自分にどんな影響を与えるか深く考えた方がいいと思うけど。」

      「……どういうことだ?」

      「お前は非情に成りきれないところがある。それを逆手に取られる可能性があるという話だけど。」

      「………?」

      「…………これ以上はもう言う必要はないと思うけど。後は自分で考えろ。

       それでも分からないのなら、お前は期待外れと判断するけど。」

      「……………。」

      「じゃあね~和真君。」

 

       …………何だったんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       ガチャッ

 

      「あっ、おかえり~。」

      「あぁ………」

      「……何か疲れてるね。大丈夫?」

      「色々あってな。」

      「お、おかえり~楠木。」

      「……何でびくついてんだフレンダ?」

      「い、いや!別に何でもないって訳よ!?」

      「………??まぁいいか。俺は少し寝る。飯になったら起こしてくれ。」

      「えっ?う、うん………」

 

       バタンッ

 

      「………相当疲れてるみたいね。」

      「ば、バレたらどうなるか分かったもんじゃないって訳よ………」

      「超大変だったんでしょうか?」

      「私達の所為でくすのきがあんなに疲れて………」

      「「「「………………。」」」」

      「……よしっ!みんなでご飯を作ろう!!」

      「えっ?」

      「和真さんあんな感じだから、私達でご飯を作って元気を取り戻してあげようよ!」

      「いや、そしたら凛一人でも良くない?」

      「みんなで作るからこそ意味があるんだよ!」

      「ですが、超そんなこと言っても……」

      「……私はやる。くすのきにご飯食べてもらいたい。」

      「滝壷………………はぁ、分かったわよ。」

      「麦野本気!?前料理作ったときどんなことになったか………」

      「あぁ?」

      「……何でもないです………」

      「大丈夫だよ。私と理后さんで教えるから。」

      「それでも超不安なんですが………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      「和真さぁ~ん、ご飯出来たよ~。」

      「……ん…………。」

 

       っうあぁ~…………よく寝た。帰ってきたのが四時だから………四時間か。

       やっぱこのぐらいの時間の方が目覚めがいい。…………ん?

 

      「何だこのにおい?おい、一体何を作って………」

 

       ドドンッ!

 

      「………何だこれは?」

      「何って………夕飯よ。見れば分かるでしょ。」

      「……この得体の知れないものが食べ物だと?冗談も大概にしろ。」

      「塵にされたいのかしら?」

      「最愛ちゃんは大丈夫だったんだけど、沈利さんとフレンダちゃんは………」

      「お前等全員で作ったのか。……………礼を言うべきなんだろうが、

       これを見せられて礼を言うのはそれはそれでおかしいだろ。」

      「見た目は関係ないわよ!結局、味が全てな訳よ!」

      「という訳で、味見してみて。」

      「………………。」      

 

       味見?死刑の間違いだろ。というか、元の食材は何なんだコレ?垣根帝督でも呼んだのか?

       完全にこの世界のものとは思えないんだが……………

 

      「…………まぁ、確かに見た目で判断するのは馬鹿のすることだからな。」

      「そうそう、味は大丈夫な訳よ!」

      「ふぅ……………よし。」

 

       パクッ!

 

      「ど、どお………?」

      「…………何だこれ?」

      「や、やっぱ不味いって訳?」

      「いや、不味いとかじゃなく………何だこれ?」

      「どういうことかしら?」

      「一回食ってみろ。訳が分からなくなる。」

      「はぁ?何よそれ…………」

  

       パクッ!

 

      「…………何、これ?」

      「俺が聞きたい。凛、一体何を教えた?」

      「え、えっと……私は普通に教えたんだけど、出来ないからもう適当にやるって言って………」

      「……人に作る料理を適当にするな馬鹿。」

      「それにしても、本当超何なんでしょうこの味?」

      「どう表現したらいいか分からない味。」

      「絹旗が作ったのは?」

      「これです。超口に合うか分からないですが………」

      「…………おぉ、普通に美味い。初めてでこれは上出来だろ。」

      「そ、そうですか…………」

      「…………ちっ!」

      「今舌打ちが聞こえた気がするが…………。んで、こっちは誰のだ?」

      「それは私が作った。」

      「………これは………超美味いな。凛と同等か、それ以上だな。」

      「…………ありがとう。」

      「ぶぅ……確かに理后さんの腕は超一流だけど、私のだって!」

      「………あぁ、安定した美味さだな。」

      「あっさり!?もっと言うことないの!?」

      「美味いで十分だろ。この言葉に全てが凝縮されている。毎日ありがとうという思いとか、

       これからも頼むという思いとか、料理適当にしたらどうなるか分かっているだろうな?とか。」

      「最後脅迫になってるけど!?」

      「「………………。」」

      「…どうしたお前等?」

      「…………別に。」

      「何でもないって訳よ………」

      「??まぁいい。それより、早く食うぞ。」

      「えっ?それも食べんの?」

      「当たり前だ。お前等が作ってくれたわけだし、まず俺は飯を残すのが嫌いだ。」

      「そ、そう………」

      「ま、まぁそういうことならしょうがないって訳よ!」

      「それに不味いとは言えないからな。不思議というだけだ。ということでお前等もちゃんと食え。」

      「………やはり超そうなるんですね。」

      「あはは…………でも、こういうのっていいね。」

      「??何がだ?」

      「こうやってみんなでワイワイやりながらご飯を食べるって……………家族みたいでいいなって。」

      「!……………」

 

       家族………そういや凛は『置き去り(チャイルドエラー)』だったな。親に捨てられ

       この町に放り込まれた子供。そして、あの地獄にずっといた………………

       

      「こういうのって初めてだから………すごく嬉しいなぁって。」

      「………だそうよ、お兄ちゃん?」

      「……………と、言われてもな……」

      「いいんじゃない?そういうのも。」

      「凛はまだ妹だからいいが、お前等は関係ないだろ。」

      「そんなことはない。」

      「うおっ!何だ滝壷、急に。」

      「私達だってくすのきを大切に思ってる。それはりんと一緒。」

      「あ、あぁ……そうか。ありがとな。」

 

       急に何なんだ?というか、いつこいつ等の高感度が上がったんだ?

 

      「理后さん達は学園都市の外に家族居るんでしょ?」

      「そりゃね。ま、何してるかは知らないけど。」

      「私は妹がこの町にいるけど、同じく何してるか分からないって訳よ。」

      「私のところはおそらく超呑気に暮らしていると思います。」

      「多分私も。」

      「和真さんはどうなの?」

      「ん?あぁ………」

 

       そういや、この世界には俺の家族は一人もいないんだったな。あっちの世界で親父達

       は今何をしているんだか…………

 

      「さぁな。この世界にはもういないから、あっちで平和に暮らしているんじゃないか?」

      「えっ?それって…………」

      「もう死んでるってことかしら?」

      「………そうだな。」

 

       何一つ嘘は言っていない。

       親父達はあっちの世界で平和に暮らしているし、俺はすでに死んでいる。

 

      「「「「「………………。」」」」」

      「……何急に黙ってるんだ?」

      「いや、だって………」

      「同情でもしているのか。俺より凛の方が辛いと思うが?」

      「…………辛くないよ、私は。」

      「??」

      「だって…………和真さんがいるから。」

      「……………。」

      「和真さんだけじゃない。沈利さん達も………。私の周りは幸せで溢れてるよ。」

      「………………。」

      「くぅ~!嬉しいこと言ってくれるって訳よ!!」

      「凛さん超いい人です。」

      「それに比べこいつは…………はぁ。」

      「おい、勝手に呆れるな。俺は何もしてないはずだ。」

      「何もしてないから問題な訳よ。」

      「何だそれ?」

      「くすのき…………馬鹿。」

      「唐突に侮辱するな。何なんだ本当に…………」

 

       ズズンッ!

 

      「!何だ………?」

      「外から音がしたわね………っ!?何あれ!?」

      「はぁぁ!?どうなってんの!?何でここに大量に『駆動鎧(パワードスーツ)』がいるって訳!?」

      「えっ!な、何?どうなってんの!?」

      「まずいです!この建物の四方を超囲まれてます!」

      「…………………。」

      『……聞こえているか、『第零位』。』

      「!!」

      『私は学園都市統括理事会の天宮というものだ。』

      「統括理事会!?何でそんな奴が来てる訳!?」

      『君の噂は方々から聞いているよ。その圧倒的な力で事件を解決していると………。』

      

       統括理事会……まさかあの二人が言っていたのはこれのことか?こんなに早く来るとは………

 

      『事件を解決してくれたのは我々としても嬉しい限りだ。

       しかし……私はそれとは別に君の危険性を危惧している。』

      「…………?」

      『君をこのまま放っておくと、いずれ我々にとって凶悪な存在になるのではないか………と。』

      「何だと……?」

      「そんな風になる訳ないよ!!」

      『??……そうか、久我山凛か。

       君は我々の研究対象だったのだが……まさか『第零位』の家族になるとはな。』

      「はっ!学園都市の上層部は本当にクズ野郎の集まりの様ね。」

      「全くです。その所為で私達がどれだけ苦労してるのか知りやがれって話ですよ。」

      『ん?おやおや………これは予想外だ。第四位並びに『アイテム』がいるとは。』

      「それで………俺の危険性を考えたお前等は俺を抹殺しに来たと?」

      『いやいや………私では君を倒すことは出来んよ。これだけの『駆動鎧(パワードスーツ)』をもってしても

       君には勝てん。だから………交渉しにきた。』

      「交渉……?」

      『私の下に来ないか?そうすれば今よりも良い環境を与えよう。

       そして、君を狙う者を排除しよう。そうすれば、君の妹も安全になるぞ?』

      「………俺がここでその提案を拒否すれば、凛を捕え人質にする訳か。」

      「えっ!?そうなの!?」

      『私も手荒なまねはしたくない。』

      「手荒なまねをするつもりがないにしては、随分と戦力を用意して来たようだが?」

      『私は用心深いんだ。君を狙う他の者が来たときに丸腰ではただでは済まないんでね。』

      「そんなこと言って、本当は楠木を殺る気満々って訳ね。」

      「恐らくね。ま、あんな奴に負けるとは微塵も思えないけど。」

      『……信用とは得るのにかなり難しいものだな。』

      「統括理事会という時点で信用なんて超無いです。」

      「二人ほど信用できそうな人間はいるが………お前はまず無理だな。」

      『フッ……まぁいい。それで、答えをまだ聞いていないが?』

      「……分かりきっている問題をわざわざ答え合せする気はない。」

      『………残念だ。』

 

       キィィィン!!

 

      「!?」

      「な、何……この音!?」

      「頭が…………ぐっ!」

      「くっ………っ!?能力が超使えない!?」

      「これは……AIMジャマー………?いや………キャパシティーダウンか。」

      『よく知っていたな。これは『木原』の一人が作ったもので、私の知り合いに強化させた

       改良版だ。それにより『超能力者(レベル5)』すら抑え込めるようになった。』

      「くっ……能力が使えないわね。チッ!あんなクソ野郎なんかに抑え込まれるなんて………」

      「……………。」

      『………?何故平然としていられる。強化されたこれは聞くだけで立っていることすら

       困難になるはず。………何故だ!?』

      「俺だけではない。凛も影響を受けていない。」

      「ウソッ!マジでっ!?」

      「うん………。」

      『どうなっている!?一体何をした!?』

      「知るか。そっちの整備不良だろうが。…ま、原因は何かおおよその見当はついているがな。」

      『何だと……?』

      「良かったな。研究資料に一つ新たな情報が付け加えられるぞ。」

      『何だと聞いている!!!』

      「俺達には共通点がある。二人とも………『原石』だということだ。『原石』は能力開発を

       受けていない天然の能力者。既存の方法では御しきることは不可能って訳だ。」

      『くっ………』

 

       というか、それ位考慮してから来るべきだろ。統括理事会のくせに馬鹿なのかこいつは?

      

      『………それならそれでいい。幸い、『アイテム』の面々を封じられたのは好都合。

       いくら『第零位』であっても、これだけの兵力があれば人質を取ることぐらい出来るはずだ。』

      「………………。」

      『あの少女を捕えろ。』

 

       バンッ!!

 

      「っ!?『駆動鎧(パワードスーツ)』大ジャンプ!?」

      「ちょ!マズいんじゃ………くっ!頭が………」

      「どうするって訳!?」

      「………………。」

 

       ……………クソが。

 

      『………??』

 

       ドゴォォン!!!

 

      「へっ…………?」

      『っ!?!?』

      「え、えと………和真……さん?」

      「自分でもよく分からないんだが…………何だろうなこの感じ。」

      『その能力………映像で見たな。『幻想御手(レベルアッパー)』から産まれた怪物を圧倒していた……』

      「あ、アンタ………それ……」

      「……少し下がってろ。すぐに終わらせる。」

      『くっ!これでは退くしか……』

 

       ダンッ!!!

 

      『っ!?』

      「逃がすと思うか?」

      『なっ……!?』

 

       ドゴォォォォン!!

 

      『がぁぁぁあ!?』

      「…………………。」

      「ちょっ!どうしたのよアイツ!?」

      「骨……?超何なんですかアレは!?」

      「くすのき……?」

 

       本当何なんだろうな。奴が凛を狙うと言ったときから妙に腹が立っている気がする。

 

      「はぁ………嫌な気分だ。」

      『ぐっ……貴様、統括理事会のメンバーであるこの私に

       手を出したことがどういうことか分かるか!!』

      「……………。」

      『『第零位』であろうと結局はただの学生。私が言葉一つ発せば貴様などすぐに潰せる!       

       権力とはそういうものだ。庶民がたてつくには高すぎる壁だ!!』

      「………………。」

 

       あぁ~………ワンピースに出てたCP9の長官の………名前は何だったか?

       まぁいいか。それに似てるなこいつの言動………

 

      『もう人質などどうでもいい。権力で貴様等を消してやる。』

      「あれ!?いつの間にか私達も標的に含まれてるって訳!?」

      「どうでもいいわ。妙な音も消えて能力使えるようになったし、あのクソ野郎を消す。

       統括理事会だろうが何だろうが、私達を敵に回したことを死んだあとも後悔させるわよ。」

      「でもここから飛び降りるなんてことは超したくないんですが…………」

      「ここ二十七階よ!?そんなことしたら絶対死ぬって訳よ!!」

      「……ちょっと待ってみんな。」

      「…どうしたの、りん?」

      「今は………行かない方がいいと思う。」

      「どういうこと?」

      「さっきも感じたんだけど、今の和真さん…………ちょっと変かも。」

      「変?確かにアイツは少し変だとは思うけど……」

      「そういうことじゃなくて!何というか………とにかく行かない方がいいと思う。」

      「だから意味が………」

 

       ドゴォォォォン!!!

 

      「っ!?」

      「うわっ!?」

      「っ………超何ですか!?」

      「………!!あれ……」

      「え………?あっ!」

 

       ズズン………

 

      「がはっ!?」

      「やっと面を拝めたな。」

      「ぐっ………貴様、さっきの私の言葉を聞いてなかったのか!?私に手を出せば………」

      「……あぁ、あまり聞いてなかった。退屈な話なんぞ聞く必要もない。」

      「退屈………だと?」

      「人質やら権力やら…………それ以上馬鹿なことをぬかすとこのまま握り潰すぞ。」

      

       ギギッ……

 

      「がぁぁ!?」

      「一つ言っておく。お前等上層部が俺のことをどう思おうと構わない。気に食わなければ

       その度に俺を襲えばいい。だが、俺ではなく俺に関係があるものに手を出してみろ。

       お前等一人一人を絶望の底に叩き落とす。殺すのではなく絶望させる。

       生きる気力までなくして、あとは勝手に死んでいけ。」

      「ぐっ……………やはり……報告…通り…だ。」

      「……??」

      「……気付いているかは……知らないが……貴様は、自身の関係者を護ろうという想いが強い。

       きっかけは……久我山凛を家族にしたことと、『雑貨稼業(デパート)』を……殺したこと。

       殺すという感覚に違和感、嫌悪感を覚え、貴様はどんな敵であろうと殺さない傾向になった。

       久我山凛のことにしても………『家族』を持ってしまった貴様は、性格が丸くなり

       暗部の仕事でさえ争いを避ける程甘くなった。」

      「………………。」

      「私が……貴様を殺せなくとも………いずれ他の誰かが……必ず殺しにくる。貴様の周りを……

       巻き込んでな…………。貴様の方こそ………絶望……することに……」

      「………………。」

 

       フッ………ドサッ!

 

      「………勝手に言ってろ。」

      「これはまた……随分と派手にやってくれましたね。」

      「……………?」

      「初めまして、『第零位』。わたくし、天宮のブレインを務めている右往と申します。

       此度は天宮がご迷惑をおかけしてしまい、大変失礼致しました。」

      「……迷惑だと思っているならさっさとここから消えろ。」

      「そうさせていただくつもりです。

       彼を生かしてくれたことにも、お礼を言わなければなりませんね。」

      「そいつが生きようが死のうがどうでもいいと思っただけだ。」

      「………資料によると、貴方様はお心の優しい方だと思っておりましたが…印象とは

       どうも違うようですね。今の貴方様からは………禍々しい気を感じます。」

      「………………。」

      「…………とにかく、今は退かせてもらいます。本当に大変失礼致しました。」

 

       ザッ!

 

      「………………。」

      「和真さ~ん!」

      「ん?お前等………」

      「大丈夫!?怪我ない!?」

      「いきなり大声出すな。この通り何もない。」

      「うっわ~………それにしても、派手にやったって訳よ。」

      「後始末は暗部が勝手にやる。放っておけ。」

      「アンタ、好き放題やってその後は他人任せって………」

      「お前等もそうだろうが。それより…………凛。」

      「ん?」

      「お前、これからは絶対に俺から一定以上離れるな。」

      「………はへっ?」

      「俺じゃなくとも、麦野達でもいいから基本的にはずっと一緒にいろ。分かったな?」

      「えっ……えっ?」

      「お前等も、こいつのことちゃんと見てろよ。」

      「いや、一体どういう………」

      「………分かった。」

      「…滝壷?」

      「俺はもう眠いから先に上に行ってる。」

 

       ビシュン!!

 

      「………超どうしたんでしょう楠木さん?」

      「滝壷、何が分かったって訳?」

      「さっき、くすのきと敵の会話が聞こえたの。暗部の人達が楠木を襲いに来るらしいって。」

      「暗部が?でもアイツなら心配ないでしょ。」

      「でも、多分楠木を直接襲うんじゃなくてその周りを襲うとかって………」

      「周り?ということは………」

      「具体的には、凛を狙うとか…………」

      「私っ!?」

      「……なるほど。だから凛を護るためにアイツか私達の近くに居ろってことね。」

      「でも楠木って、あまり周りの心配をしないように見えるけど。」

      「………超失礼ですよ、フレンダ。」

      「くすのきはちゃんとりんのことを大切に思ってるよ。」

      「えっ?」

      「りんを襲うって聞いて、あんなに怒ってたんだよ。」

      「そ、そう……なの?」

      「うん。」

      「……えへっ。和真さん、私のことを想ってあんなに………へへへへへへ………」

      「あ、凛が壊れた。」

      「にしても、アイツがねぇ……」

      「ていうか、私達のことも心配してほしいって訳よ!!」

      「されたらされたで腹が立つけど、全くされないってのもムカつくわね。」

      「心配してるかどうかは分からないけど、信頼されてるとはと思うよ。」

      「何で?」

      「信頼されてなきゃ、りんを任せたりしないと思う。」

      「う~ん………そうかなぁ……」

      「えへ、えへへへへへへへへへ…………」

      「………超まだ壊れてたんですか。」

      「……ま、それならそれでいいけど。

       言葉にしなきゃこっちは分からないっていうことを理解してない様ねアイツ。」

      「でも、言葉にしなくても、ちゃんと護ってくれると思うよ、くすのきだったら。」

      「………ていうか、護られるほど弱くなったつもりはないって訳よ!」

      「それもそうね。一度アイツに私達の強さを確認させるのも面白いわね。」

      「そんなことしたら、楠木さんに超負ける未来しか待ってないと思いますけど………」

      「私もそう思う。けど、私はそんな麦野とフレンダを応援してる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      

 

 

 

 

      「うわ~……。また派手にやられたわねぇ。」

      「むやみに関わろうとしたからだ。これは奴の責任、彼に非はない。」

      「そうですね。

       しかし、彼の雰囲気が聞いていた人物像とは違ったような気がしたのですが………」

      「………そうかもしれんな。だが、もしかしたらあれが彼の本当の姿なのかも知れん。」

      「かもねぇ………。それで、天宮の容態はどうなの右往くん?」

      「身体はズタズタですが、命に別状はないようです。」

      「はぁ~あ、天宮の所為で完璧に嫌われたわね、私達。」

      「仕方ないと言えばそれまでだ。いずれはこうなっていただろう。」

      「私としては仲良くやっていきたかったんだけどねぇ………」

      「………下らん。子供一人に踊らされるなど、統括理事会として恥でしかない。」

      「でも実際、統括理事会が彼に溢れるほどの興味を抱いているのは事実じゃない。」

      「私は一切興味ない。」

      「つまんない奴。潮岸もそんなこと言ってたわね。

       アンタあの年中『駆動鎧(パワードスーツ)』野郎と同じよ、嶺丘。」

      「他人と比べることすら私にはどうでもいい。私は私自身にしか興味はない。」

      「………それ、かなりヤバいと思うけど。」

      「先生、そろそろ『胸がでかくて損することなんか結局はない』さんの検査の時間です。」

      「…恋査ちゃん、そのニックネーム、患者自身が言っていたなら一発殴っておいてちょうだい。」

      「…………私もそろそろ時間だ。失礼する。」

   

       『第零位』……もしかしたら、この町はとてつもないものを抱えてしまったのかもれんな……

 

 

 

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