「…………悪い、もう一度言ってくれ。よく聞き取れなかった。」
『同じことを何度も言うのは好きではないんだがね。
まぁいい…………。イギリスに行け。迎えの者も用意してある。』
「………悪い、もう一度言って……」
プツッ!
「…………………。」
……………ふっ。
「不幸だ……」
「…どしたの和真さん?」
「なぁ………旅行するならどこに行きたい?(某海賊漫画のクマっぽい人風)」
「えっ?ど、どうしたの急に?」
「いいから。」
「う、う~ん……………やっぱりヨーロッパには行ってみたいかも。」
「よし、お前行ってこい。」
「………はっ?」
「今アレイスターから、恐らくだが仕事の依頼があった。」
「えっと……それで?」
「イギリスに行け。その一言のみ告げて切りやがった。」
「イギリス?どうして………?」
「知らん。だが俺は今絶賛引きこもりタイム中だ。だから代わりに行ってくれ。」
「何その身勝手!?確かに行ってみたいけど、一人は絶対嫌だよ!!」
「なら『アイテム』の誰かとか誘え。」
「いや、そういうことじゃなくて……というか、この前離れるなって言ったばっかじゃん!」
「学園都市の外に行くわけだから問題ない。」
「問題しかないよ!?」
ピンポーン!
「あれっ、お客さん?はぁ~い。」
ガチャ!
「どちら様………?」
「!!………失礼、私イギリス清教『
「は、はぁ………?」
「楠木和真さんはいらっしゃいますか?」
「か、和真さんのお知り合いですか?いますよ。今呼んできます。」
「………………。」
「誰だった?」
「神裂火織さんって人。何か和真さんの知り合いだって…………」
「はぁ?神裂?何であいつがここに…………」
………あっ、アレイスターが言っていた迎えの者って………
「……お久しぶりです。」
「よくここが分かったな。」
「苦労しましたよ。来る途中で妙な女性四人組が戦闘をしていたり……」
「………あいつ等、いないと思ったら何やってんだ?」
「どうかしましたか?」
「いや、何でもない。とりあえず、ここじゃ何だから中入れ。」
「えっ!?い、いや、いきなり来てしかも家の中にまでなんて………」
「何を焦ってる。さっさと入れ。魔術側で何かあったんだろ?」
「そ、そうでした。で、では失礼して…………って……」
「どうかしたか?…………うおっ!凛、何だその目は。病んでるぞ。」
「……神裂さんと和真さんは………どういう関係なの?」
「か、関係って………私達は何も……」
「そういや俺とお前、あとステイルってどういう関係なんだろうな。
一度交戦はしているものの、結局は互いにインデックスを助けるために動いたからな。
そうだな……………簡単に言えば、仲間ってところじゃないか?」
「!!仲間…………」
「……不満か?まぁ、そう思っているのは俺だけならそれでも構わない。」
「い、いえ!不満だなんて…………貴方には返しきれないほどの恩があります。あの子を
救う方法を教えてくれたのですから。」
「相変わらずお堅い奴だな。それに、俺が言わなくても当麻なら確実にあいつを救えたはずだ。」
「ですが、貴方は救ってくれた。その事実は変わらないです。」
「………そうかい。」
「じー…………」
「……何だよ凛?」
「二人とも……仲がいいんだね。」
「えっ!?い、いや……」
「そうか?…ま、確かに俺が学園都市に来て暗部になってからだと神裂が一番好印象だからな。
一番まともというか常識人というか………」
こいつ以外で常識人といえば……ギリギリではあるがアルマと固法先輩、滝壷か。
あの三人も少しおかしい所があるから一番といったらやはり神裂位だな。
「え、えっと…………ありがとう、ございます。」
「……何に対してお礼を言っているんだお前?」
「んもーー!!何なのさイチャイチャして!!私もいるんだよ!?」
「どうしたんださっきから?いきなり癇癪を起こすな。」
「仕事の話をしに来たんでしょ!?」
「そ、そうでした。お話は通っていると思いますが、今からイギリスに来てもらいます。」
「………悪いが、一から説明してくれ。色々あって俺はこの仕事の内容が一切分からん。」
「は、はぁ………?分かりました………と、言いたいところですが、少々時間が迫っていて……」
「??」
「申し訳ありませんが、説明は行ってからにしてください。」
「……俺今絶賛引きこもりタイム中なんだが、
それを中断せざるを得ないぐらいの事件なのかそれは?」
「な、何ですかそのタイムは?とにかく行きますよ。
恐らく中断せざるを得ないくらいの事件です。」
「……………。」
ここで断ったら後でツケがまわってくるだろうな…………はぁ………
「……分かったよ。という訳だ凛。イギリス行ってくるからその間はあいつ等と一緒にいろ。」
「………やだ。」
「は?」
「私も一緒に行く!じゃないと不安だよ!!」
「不安?あいつ等いるんだから不安がることはないだろ。」
「そっちじゃなくて、和真さんと神裂さんのこと!!」
「俺と神裂?」
「多分神裂さんは和真さんのこと狙ってると思うし……」
「なっ!?何を言って……」
「狙う?俺がこいつに殺されると?確かに神裂は強いが一度勝っているし、
第一そんなことをする訳がない。」
「そういうことじゃないけど………まぁいいや。とにかく、絶対私も行くからね!」
「はぁ………。どうする?」
「私は構いませんが…………危険になるかもしれません。」
「大丈夫。こう見えて私強いから!!」
「……だそうですよ。」
「………分かったよ。」
「よしっ!!」
「ならさっさと行くぞ。」
「……神裂さんに一言。」
「??な、何か?」
「和真さんは渡さないよ。」
「………はい?」
「……ん?ちょっと待て。今気づいたんだが、イギリスに行くってことは……まさか飛行機か?」
「それ以外に何があるの?時間がないんだし船で行けないよ。」
「何か問題が?」
「………マジか。」
「………暖かそうな草原に綺麗な川だな。あれを越えて……」
「和真さんそれ三途の川!!越えたらあの世に直行だから!!!」
「まさか彼にこんな弱点があるとは…………」
「私もびっくりだよ。和真さんしっかりして!もう着いたよ!」
「…………あっ?何だここは?」
「もう着いたんだよイギリスに。」
「そうか………うっ!」
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ………いや、やっぱ無理かも……」
くそ………転生させてくれるならこの飛行機酔いも無くしといてくれよあの爺さん。
「このままじゃ仕事どころじゃないんじゃない?」
「そうですね………時間はあまりないのですが、これでは仕方ありません。
一度イギリス清教の寮に行きましょう。休めば少しは良くなるはずです。」
「わ、悪いな…………」
「うぅ………吐きそう………」
「ベッドまで来て吐かないでよ?」
「気分が良くなるような飲み物を持ってきます。」
「あっ、火織さん、トイレってどこ?」
「では一緒に行きましょう。」
「分かった。和真さん、ちゃんと寝ててよ?」
「あぁ…………」
バタンッ!
「うぅ………」
あぁ~気分悪い。というか、あの二人いつの間に仲良くなったんだ?『アイテム』の時といい
凛のコミュニケーション能力は凄まじいな………ガチャッ!………ん?
「早かったな………って……あ?」
「ふ~ん……これが学園都市に現れた、『異端者』ね。」
「??…………っ!?ぐっ、体がっ!?」
チッ!酔いの所為でうまく力が………視界も悪くて顔がよく見えない!
「くっ…………」
「大丈夫よ。取って食ったりしないから。」
「……何者だ。」
「ここは『
「………俺に何の用だ?」
「別に用はないわ。ただ最近噂になっている『異端者』の顔を見たかっただけ。」
「『異端者』?………何の話だ。」
「知らないの?あなた、科学側では『第零位』とかって呼ばれてるようだけど、
私達魔術側からは学園都市の『異端者』って呼ばれてるのよ。」
「……何故俺のことが魔術側にまで漏れている?」
「あなた、ステイル・火織先輩と戦ったとき、『
いっぱい喋ったでしょ?何で内部情報がバレているのかって結構大きな問題になってね。
それで、あなたのことを調べ上げようとしていたのよ。」
「………………。」
おいおい…学園都市だけならまだしも、魔術側にも狙われるのは流さすがにキツすぎるだろ。
魔術側は化け物しかいない。フィアンマやらオティヌスやら…………
「…………調べ上げ
「……なかったのよ、あなたの情報が。ここ最近のは調べられたんだけど、あなたが
学園都市に現れる以前の情報が全く、どこを探しても見つからなかった。」
そりゃあったら俺が一番衝撃を受ける。
「……なるほど。それで『異端者』って訳か。」
「えぇ。だから結構私も警戒してたんだけど…火織先輩が危険視しない理由がよく分かったわ。
確かに、あなたが誰かを襲うなんて思えないわ。」
「……さっきから言っている火織先輩ってのは神裂のことか?」
「そうよ。あの人は私が『
……………っと、自己紹介がまだだったわね。私は霧沼鏡花。一応、火織先輩と同じ聖人よ。」
「聖人だと?神裂以外にも日本人の聖人がいたのか。」
「まぁ実力は程遠いけどね。月とスッポンよ。」
「………神裂ってやっぱ相当強いのか。」
「当たり前よ。ロンドンでも十指に入る実力者なんだから。」
「十指………」
他に強い奴いたか?ステイルは………まぁ普通の目線で見れば強いの部類に入るのか。
他には………
「でも、あなたはその屈指の実力者である火織先輩を軽くあしらったって訳でしょ?
もしかしたら、世界で五本の指に入るほどの実力者かもね。」
まぁこれだけの能力を持っていて五本の指に入らなかったら普通はおかしいが………
「それは買いかぶりだな。世界は広い。俺より強い奴なんか山ほどいるだろ。」
さっきも言ったが特に魔術側は化け物揃いだからな。新約七巻までしか読んでいないから
オティヌスの強さはよく分からないが、とりあえずフィアンマがいるからな。ありゃヤバい。
「随分と謙虚なのね。」
「冷静に判断した結果だ。」
「う~ん……………決めた。」
「??」
「ねぇ………私と結婚しない?」
「……は?」
「パパとママが早くいい相手を見つけろってうるさいのよ。私まだ十七なのに…………。
今のやり取りであなたがわたしの理想の人だって感じたわ。」
「どこをどう感じ取ったらそうなるんだ。お前の感覚ファンタスティックすぎるだろ。」
「結婚じゃなくてもいいわ。まずは彼氏彼女で………」
「ちょぉぉぉぉっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「っ!?敵襲!?」
「何なの何なのこの展開!?隅から隅まで全く意味不明だよ!?」
「心配するな、敵襲じゃない。……で、急に何なんだ凛?」
「何なんだはこっちの台詞だよっ!!ていうか何でそんなに冷静なの!?」
「どうかしましたか?………………!!鏡花、来ていたのですか。」
「あっ、火織先輩。いえ、ちょっと気になったことがあって………」
「誰ですかあなたは一体!?何急に爆弾投下してるんですか!?」
「彼女は霧沼鏡花。私と同じ『
「霧沼鏡花よ。よろしくね、えぇ~っと…………」
「危険人物に教えたくはありません!!」
「危険人物って…………」
「こいつは凛。俺の妹だ。」
「ちょっ、和真さん!!」
「なるほど妹さんかぁ。よろしくね凛ちゃん。」
「くっ………強大な敵が………」
「……で、さっきの返事はどうなのかしら?」
「さっきの返事………とは?」
「……この人が和真さんにプロポーズしてたの。」
「なっ!?えっ!?」
「どうなのかしら?」
「悪いが、今はそういうことをしてる暇はない。」
「あ、あれ……?あっさり断っちゃった…………?」
「今は……ってことは、いつかはいいってことかしら?」
「この先俺がどういう風になっているかなんて俺にも分からない。もしかしたらそういった
恋愛事にも興味が湧いているかもしれない。
その時にお前を恋愛対象としてみる保証はないが。」
「……上出来ね!こうなったら何が何でもあなたを振り向かせて見せるわ!」
「な、何急にどでかいフラグ立ててんの!?!?何この流れすごい怖いんだけど!?」
「そ、そうです!!第一今はそんなことをしてる場合ではないでしょう!?」
「あぁ、そうだった。確か急を要する事件だったっけか。
もう酔いもなくなったみたいだし、そろそろ始めるか。」
「こ、これは………沈利さん達にも報告しなきゃ…………戦争だ!!」
「で、今回はどういう事件なんだ?」
「…こ、今回の事件はある魔術結社の捕縛あるいは殲滅です。
後者を望んでいるようですが…………」
「もしかして今問題になってる事件ですか?」
「その通りです。結社の名は『偽りの現実』、ボスは『ゾルト=グリッツ』という魔術師です。」
「『偽りの現実』……………聞いたことないな。」
「私も詳しくは………目的は分かっているのですが……」
「私も知りません。」
「う~ん………どっかで聞いたことのあるような……」
『偽りの現実』………やっぱ原作通りには行かないな。
「……そいつ等の目的ってのは?」
「どうやら彼らは、『原石』を集めているそうです。」
「『原石』だと?」
「……あっ!思い出した!!」
「??」
「『偽りの現実』…………あの『
「『
「その時、多分ボスの顔見たよ。」
「ボスにまで辿りついていたのか。奴は一体何をしようと…………」
「『原石』って………確か世界に五十人程度いるっていう天然の能力者だっけ?」
「そうだ。魔術側の奴らが何故『原石』をと思ったが…………なるほどな。」
「どういうこと?」
「魔術結社というのは基本的に自我が強い奴らの集まりだ。自分の力を示したいだとか
他の勢力を潰したいだとかそういうことしか考えない。」
「う、うん………まぁ、ちょっと言いすぎかもしれないけど大体そうね。」
「魔術師が力を手に入れるとしたら、強大な力を持つ魔道書や霊装が一番だ。
だがその『偽りの現実』は馬鹿じゃないらしい。それらを手に入れるのはかなりキツイ。」
「厳重に保管されていたり、迎撃術式が施されていますからね。」
「だが『原石』は違う。『原石』は能力者ではあるが、自分の力を理解していない奴が大半だ。
それ故に手に入りやすい。一人一人の力は霊装や魔道書には敵わないかもしれないが、
それが何個も集まるとなると……………」
「……そういうことね。で、私達はどうするの?」
「………お前も来るのか?」
「当たり前じゃない。『
気になったことっていうのもこれのことだし。」
「そうですね………鏡花がいたほうが時間もかかりません。」
「うぅ………この人もくるのか………」
「ふふ…凛ちゃんは本当にお兄ちゃんが好きなんだね。でも何でお兄ちゃんって呼ばないの?」
「呼び方はコイツに任せている。元々本当の兄弟ではないからな。」
「あっ、そうなの?ふ~ん……………なるほどねぇ……」
「それはどうでもいい。で、そいつ等の居場所は掴めているのか?」
「大体は。ですが、ボスのゾルト=グリッツは居場所を含め一切の情報が未だに不明で…」
「
「あの人が自ら動くはずないでしょう。我々に全てを投げ出しています。」
「奴には元から期待など微塵もない。」
「ものすごいことサラッと言うね君…………」
「凛、お前ボスの顔を見たと言ったな。」
「多分だけど………」
「今ボスを見つけ出せる可能性はそれしかない。そいつに何か特徴はあったか?」
「う~んとね………………あっ、右か左どっちかのほっぺに十字架の……何て言うんだっけ?」
「刺青か?」
「そう刺青!赤い十字架の刺青があったよ。」
「顔に赤い十字架の刺青………それが分かったら見つけれる可能性は格段に上がったわね。」
「よし、ここからは手分けして探す。俺と凛はとりあえずそいつ等のアジトに、
お前等二人はそのアジトから半径五キロ圏内を探してくれ。」
「二人で乗り込むのは危険なのでは?」
「ボスはいないんだろ?幹部程度だったら凛を護りながらでも恐らく善戦できる。」
「あれっ、私護られる前提?」
「お前の能力、確か探知機的なことも出来るだろ?お前には探索に全力を注いでもらう。
その間無防備になるからな。誰かが護らないといけない。」
「ふぅ~ん…………なら、私でもいいってことよね?その役割。」
「は?」
「私は凛ちゃんと一緒にアジトに行くわ。」
「えっ!?」
「何なんだ急に?」
「まぁいいじゃない。凛ちゃんと仲良くなりたいのよ。それに私も一応聖人なんだから、
護ることぐらいは出来るわよ。」
「…………どう思う?」
「ま、まぁ実力は申し分ないとは思いますが…………」
「………まぁいいか。分かった。」
「分かっちゃうの!?ちょ、ちょとっと待ってよ!」
「ちょとっとって何だ。ちゃんとした日本語を言え。」
「じゃあ見つけ次第合流ってことで。行ってきまぁーす!」
「いぃぃやぁぁぁぁ!!??」
ダダダッ………
「………俺らも行くか。」
「そうですね………」