とある転生者の崩壊道≪ブレイクロード≫   作:天譴

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暗部と家族

 

 

  

 

  「…………吐きそう。」

 

   ちくしょう、まさかあの後一時間も始末書を書かされるとはな。

 

  「転生してまだ三日しか経ってねぇのにこの疲労かよ。

   やっぱ死んだままのほうがよかったかもしんねぇ。」

 

   どれもこれもアレイスターの野郎が『ピリリリッ!』………。

 

  「…………。」

 

   ピッ!

 

  『仕事だ。』

  「…………疲労の元凶がまた疲労を持ってきやがった。」

  『仕事の内容だが…………。』

  「やっぱ俺の言葉はスルーかこの野郎。」    

 

 

 

 

 

 

   ~第十五学区・とあるビル前~

 

  「………こんなでけぇビル全部探して回れってか?やっぱあいつ俺のこと嫌いだろ

   ったく…………」

     

 

   …………

 

 

 

  『今回の仕事は、十五学区のとあるビルにいる雑貨稼業(デパート)の始末だ。』

  「…………雑貨稼業(デパート)を殺る?どういうことだ。あれはお前にとって必要なもんじゃねぇのか?」

  『人間の入れ替えも、暗部の仕事だ。』

  「成程、そいつよりも使える奴が出たということか。内容はよく分かった。

   だが何故俺なんだ?その程度のことなら俺である必要はないだろ。」

  『他の奴らには他のことをさせている。それに、君の初陣を

   早めにして暗部の仕事に慣れさせておく必要もある。』

  「…………分かったよ。それで、雑貨稼業(デパート)は

   そのビルの何階に『プツッ!プー、プー、プー。』まだ話してんだろうが!!」

 

   …………  

 

 

 

  「はぁ…………もうテンション上げてくしかねぇよな。よし!殺るぞー、殺ってすぐ帰って寝る!!」

 

    

 

 

 

 

 

   

 

 

   十五学区のとあるビルの二十階の一室、雑貨稼業(デパート)はパソコンを見ていた。

   そこには、最近現れたという『第零位』のことが書かれていた。

 

  「ふ~ん…………。」

 

   ガチャッ!

 

  「ん?おやおや、お客さんとは珍しい。」

  

   はぁはぁ…………やっと見つけた。クソッ!裏をかいて上から調べようと思ったが

   さらにその裏をかいて一階から探したのが間違いだった。まさか最上階の部屋にいたとは。

  

  「…………息がだいぶ上がってるが、大丈夫か?そんなに急ぎの用でも?」

  「いや…………気にするな………俺のミスだから………。」

  「そ、そうか。」

  「はぁはぁ………ふぅ。ん?水晶でできた蜘蛛か。なかなか良い作りだな。

   フォルムが特に綺麗だ。」

  「そういうものが好きとは、あんた変わってるな。どうしてもと言うなら

   売ってやってもいいが?」

 

   おぉ………本当に綺麗だな。だが、あの部屋には合わないか。

   くっ!超欲しい!!

 

  「…………いや、やめておこう。」

  「そうかい。それで、今日はどのような用件で?」

  「とりあえずリストを見たい。今はどんな物がいいとかも教えてくれるとありがたい。」

  「ほいほ~い。……………よっと、リストはこんな感じだな。今売れ筋がいいのは

   ……………よく分らないが、この超小型カメラが一番だな。あとはメタルイーターとかかな。」

  「そうか。」

 

   へぇ、こいつ等はこういうものを売ってるのか。色々あるもんだなぁ……ん?

   

  「なぁ、あれも商品に入ってるのか?」

 

   ひっでぇことしやがる。中三ぐらいの女か。痣だらけじゃねぇか。

   っつか、生きてんのかあいつ?

 

  「ん?あぁ、ありゃ駄目だ。俺も一応販売業をしてるんでね。お客には最高の

   商品を売りたいんでね。」

  「…………そうかい。」

  「それよりあんた知ってるか?第零位の話。

   なんでも、あの統括理事長お気に入りの人間らしいぞ。」

  「ふ~ん、お気に入りねぇ……………まぁそいつのことは結構知っているぞ。

   と言うより誰よりも知っている。」

  「本当か?少し教えちゃくれねぇか?」

  「あぁいいぞ。名前は楠木和真、あの名門校海星学園に在籍している。」

  「へぇ、嘘を言っている感じじゃねぇな。本当に知っているのか。すげぇな。

   もしかして今どこにいるのかとかも知ってんのかい?」

 

  「あぁ、もちろん知っている。今そいつは……………お前の目の前にいる。」

 

  「は……………?」 

 

 

   雑貨稼業(デパート)が疑問符を浮かべた瞬間、雑貨稼業(デパート)の頭が吹き飛んだ。 

 

 

 

 

  「はぁ。な~んか、変な感じだなぁ。殺すって言うのはこんな感じなのか。

   そんなに経験したくないな。それより……………」

  「……………っ。」 

 

   …………かすかだが、何か言っているな。これだけの傷を負っているのに

   しゃべる気力があるとは。なかなか見所があるな、この子。

 

  「提案がある。お前はここで死なすには少し惜しい人材だ。俺はお前が必要だ。

   だが決めるのはお前だ。……………俺と一緒に来てみるか?」

 

   少女は何も言わなかった。ただこちらをまっすぐ見て、首を縦に振った。

   それを見た和真は少し笑った。

 

  「俺は楠木和真だ。これから宜しくな。」    

 

 

 

 

 

   ……………

 

 

 

 

 

 

  「あぁ、懐かしき我が家。やっと帰ってきたぞ。」

  「お、おっきい…………」

 

   この少女…………久我山凜という名前だそうだどうやらこいつは置き去り(チャイルドエラー)らしく、上層部に利用されて

   あの雑貨稼業(デパート)のところにいたらしい。そしてあの有様だったというわけだ。

 

  「(……なんか納得いかねぇな、学園都市の上層部とやらは。

   あとで根絶やしにしとくかな……………アレイスターに何言われるかわかんねぇからやんねぇけど。

   それより、まさか俺が人助けとはなぁ。元の世界じゃ考えらんねぇな。)」

  「あ、あの…………」

  「ん?どした?」

  「助けていただきありがとうございました。」

  「あぁ別にいいよ、感謝の言葉なんか。俺の気まぐれだから。」

 

   テンションが高くなかったら助けてないだろうし。

 

  「気まぐれだろうと、助けてもらったことには変わりありません。

   本当にありがとうございました。」

  「はぁ………だから別にいいって。それと、敬語も使うな。

   家族に他人行儀とか馬鹿馬鹿しいしな。」

  「えっと………家族?」

  「あぁ言ってなかったか。ある絶対的な権力を持った人間に言ってお前を義妹にしてもらった。

   これでお前はもう一人じゃない、安心しろ。」

  「えっ!!…………でも、何で私なんかを家族に………」

  「少し調べたんだが、お前………置き去り(チャイルドエラー)なんだろ?」

  「……………。」

  「俺もお前と同じだ。」

  「!!……………」

  「だから、お前の苦しみは分かる。一人でいることの苦しさを。だから俺はお前を家族にした。

   お前に苦しんでほしくないから。それと、最初に言ったろ?ただの気まぐれだって。

   だから感謝も気遣いも要らん。敬語もな。自分らしく生きろ。

   ……………お前はもう、一人じゃない。」

  「っ!!……………あ、ありがとう。」

  「よし、それでいい。だが泣くな、わめかれるとうざい。」

  「別に泣いてないよ!」

  「やっと声が出てきたな。」

   

   よし、これで暗部の仕事を押し付けれる奴ができたな。

   …………最低だな、俺。

  

  「むぅ…………あの、あなたのことなんて呼べばいいの?」

  「ん?別に何でもいいぞ。お前の好きなように呼べ。」

  「えっと・・・じゃあ、和真さんで。」

  「ん、了解。」

  「えへへ……………。」

  「ん?何だよ。」

  「いや、さっき和真さんが言ってくれたことが嬉しくて!」

  「さっき言ったこと?」

  「助ける時に言ってくれた、『俺はお前が必要だ』っていう言葉。私そんなこと言われたの

   初めてだった。いつも除け者扱いされてて、必要とされることなんてなかったから

   ……………だから、凄く嬉しい。これからよろしくね、和真さん!!」

  「!!………」

  「ん?どうしたの?」

  「…………いや、何でもない。」

  「??」

   

   ……………。

 

 

 

 

 

   

 

  『とりあえずは、お疲れと言っておこう。』

  「誰のせいで疲れてると思ってんだこの野郎。」

  『何のことだ?』

  「はぁ……それで、何のようだ。」

  『あの少女についてだ。』

  「………凛のことか。」

  『あの少女の能力についてだ。』

  「能力?」

  『君ほどではないが、変わった能力だ。あの少女は、所謂原石と言うものだ。」

  「…………原石だと?」

  『そうだ。能力名は自然還元(ナチュルリダクション)。第七位に次ぐ原石だ。』

  「…………マジかよ。あいつそんなに凄かったのか。」

  『そして、それを君は家族にした。その意味、分からないとは言わせない。』

  「……………。」

  『君のことだから心配はないと思うが、あの少女の価値が

   どれ程のものかを覚えておいて欲しい』

   

   ……………。

  

  「……………関係ねぇな。」

  『?』

  「あいつが原石だろうが何だろうが関係ねぇ。あいつはもう俺の家族だ。

   価値なんつー馬鹿みたいなモンでまたあいつを酷い目に遭わせた奴は、

   誰であろうと片っ端からぶっ殺していく。たとえお前でもだ。それを覚えておけ。」

  『……………。』

  「………。」

  『……………そんな性格だったとはな。』

  「俺もビックリだ。最初はただ仕事を押し付ける用の人間が欲しいだけだったんだがだがな。

   だが、今は違う。守るべき大切な存在。そう思うようになっただけだ。」

  『………ふん。』

  「……何が可笑しい。」

  『やはり君は面白い。私の予想のはるか上をいく存在だ。』

  「そりゃどうも。」

  『では、原石は任せる。』

  「あぁ。」

 

   ピッ!パタンッ!

 

   ふぅ…………いらんことばっか言い過ぎたー!!いや、家族だから護るのは当然だが、 

   ぶっ殺すとかやばいよな。学園都市全体に喧嘩売ってるようなモンじゃねぇか!

   あぁ、さよなら。俺の安全な人生…………。 

 

  

 

 

  「うるさいなぁ和真さん。」

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