恋する二人と野次馬一人   作:むりー

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ぶつかる二人と余分な一人

さてさて、サイト君と俺との二人してキュルケ嬢の豊かなオリンポス山の景色を堪能し、いつかは登頂して山頂にあるであろう火口を直に拝みたいものだ(暗喩)と妄想を膨らませておりましたところですね。

 

はい。

 

後ろからですね、膝が………そのぅ、飛んできまして。

 

ピンクの稲妻とでも呼びましょうか。

ところで、ライトニングピンクとかいったら最終幻想の主人公が思い浮かぶよね?

 

………まぁ、それは関係ないんだけども。

 

俺たちを召喚したご主人様がですね、こう、教科書に載せたくなるような美しい飛び膝蹴りを、俺達の延髄に綺麗にお見舞いしてくれやがりましたですよ。はい。

 

勿論、男の中の男たる俺は、猛烈な勢いで、その社会的反則暴力行為に抗議してやろう!俺も男だ!うぉぉぉ!!

 

とか思ってたんですが、飛び膝ライダーキック後に体制を崩したご主人様からホワイティーなパンティーが見えたので、紳士らしく彼女の言い分を聞くことにしました。

 

紳士だからね、仕方の無いことなのさ!

 

んで、キャインキャイン言ってるご主人様の御言葉を、

不肖この私が要約させて頂きますとですね。

 

ヴァリエール家とツェルプストーは不倶戴天の敵同士!

そんな奴に色目を使われて、鼻の下を伸ばすとは何事かぁ!

 

ぷんぷん‼

 

とのことです。

 

え?ご主人、手が出るの早くない?

 

とは若干思ったものの、女性の性を象徴する部分に穴が開くほど凝視していた負い目もあって素直に彼女の非常に感情的なお説教を受けていた訳です。

 

違うんや、キュルケ嬢のがサービスするように寄せてあげたから、俺達はガン見するしか選択肢が無かったんや!

 

とか、ぐだぐだやって正味二時間。

 

長いですよ、ご主人!

もう、ご主人のじい様の代の略奪愛とか知らんがな!

今を生きましょうよ!未来思考でさぁ!

説教で大切なのは相手に聞いてもらうことなんですよ!!

ほらほら、御学友も呆れた顔して杖振って『フライ』とか言いながら建物に向かって飛んでいっちまいましたょぅ。

 

その光景ををアホ面しながら眺めていたら、またご主人が怒るのよ!

 

あんた!今誰それの下着を覗きこんでたでしょうってね!

 

 

 

そーうでーす!(バキッ)

って、顔をしたら殴られた。………まぁ、解せる。

 

以下はご主人と俺とのやり取りだ。括弧の中の擬音はご主人と俺とのコミュニケーション………いや、ハードネゴシエーションだと思って下さい。

 

あんたは、誰でも良いのか!

違うよ、美人だけだよ!(バキッ)

そもそも、ヴァリエール家の使い魔として召喚された以上は、家の名に恥じない振る舞いを心掛けなさいよ!

あ、自己紹介がまだやんけ。

知るか!あんたみたいな色ボケ猿の名前なんて知りたくもないわよ!(バキッ)

ッキィー(悲鳴)

僕ぅ、鈴木佐藤って言いまぁす!

顔がムカつくのよ!(バキッ)

酷いけど感じちゃぁぁう↑

キモいわっ!(バキッ)

 

 

そんな感じで、

ご主人との、初会話のキャッチボールに成功しました。

ご主人は制球が苦手みたいで、俺はアザだらけだけども。

 

まぁ、不馴れだから仕方ないね!

ご主人は、キャッチボール苦手みたいだからね!

キュルケ嬢の情報を元に考えると、どうやらご主人はコミュニケーションが苦手みたいですからね!

 

俺がそんな感じでご主人とコミュパートやってる間、サイト君はというと、目をキラッキラさせながら、魔法使いの卵達が空を飛ぶのを眺めていたり。

 

「スッゲー!魔法だぜ魔法!空飛んでる!」

「コルベール先生の火も感動したけど、ファンタジーなんだな!俺にも魔法使えるかな!?」

 

………いや、君も大概呑気やね。

まぁ、変に沈んでいるよりはよほど健全で宜しいけどな!

 

それと、ハゲテール先生も言ってたじゃん、魔法が使えるのはメイジだけだって。

選ばれた特別な人達だけだって。

きっと製菓会社の陰謀だろう。メイジだけに。

 

そんなおっきなワンコ見たいな様子のサイト君を見て、ルイズちんもちょっと冷静になったのか

「まぁ、良いわ。喚んじゃったのは、私なんだし。改めて名乗るわ、私はルイズ(以下略)」

と、改めて自己紹介をしてたりする。

サイト君も、ここにきて初めてご主人とのまともなコミュニケーションをとった。

やっぱり、ご主人様は召喚した使い魔について不満が残っている様だったが。

「………はぁ。ミスタ・コルベールに許可は貰ったとはいえ、流石に次の授業には出なきゃ不味いわね。あんた達、着いてきなさい。」

 

どうやらご主人様のこのお説教タイムは、キチンと許可を得てのものだったご様子。

やだこの子、結構しっかりものじゃないのよ。

 

そうしてやって来た教室。

そこには、かなりレトロな雰囲気ながらも此処が確かに学舎であると証明するような教室の佇まいである。

 

「申し訳ありません、ミス・シュヴルーズ。遅れました。」

「ミス・ヴァリエール、ミスタ・コルベールから事情は伺っていますわ。さぁ、席にお着きになって?」

 

いそいそと席につくルイズ嬢。

着いていく俺達。

………この椅子重い。

 

「さぁ、ミス・ヴァリエールも来たことですし、おさらいがてらもう一度説明しましょうか。今日皆さんにお教えするのは錬金の魔法です。この魔法は、土属性のものを………」

 

れ、錬金!

あれか、手をパンと合わせてばちばちっとやったりするんだろうか!

ヤベェ、ワクワクするぞそれ!

 

「………というわけで、『錬金』。」

 

と、教壇にたつふくよかなおばちゃん先生が、杖を振るとあら不思議、教壇にあった粘土らしき物体が見るからに金属金属した黄金色の物体に大変身。

 

「ミス・シュヴルーズ!それは金ですか!?」

 

どうやらその光景に驚いたのは、俺だけではなかったようで、仮称(おっぱいさん)たるミス・ツェルプストーが若干喰い気味に先生に質問する。

 

「いえ、これは真鍮です。黄金の錬金はスクエアメイジになってからできますので、トライアングルの私では残念ながら黄金は錬金できませんの。」

 

スクエアとかトライアングルってなんじゃらほい?

と、疑問に思っているとサイト君も同じ疑問をもったようで、ルイズ嬢に小声で質問していた。

「なぁ、スクエアとかトライアングルって何だ?」

若干眉をひそめながらもその疑問に答えてくれるご主人様。

まぁ、真面目に授業を聞いている所で邪魔されたら、顔ぐらいはしかめるわなぁ。

それでも答えるあたり、ご主人は聞いたとおり本当に真面目ちゃんらしい。

「スクエアやトライアングルっていうのは、メイジの力量を表すものよ。ドット、ライン、トライアングル、スクエアとそのクラスが上に上がるほど高度な魔法が使えるの、今先生が使った錬金の魔法はドットからでも使えるものだけれども、錬金できる物質がクラスによって変わってくるのよ。」

「じゃぁ、あの人ってすごいのか?」

「そうよ。メイジでもトライアングルクラスになれるのはごく一部。その上のスクエアともなれば王宮にだって呼ばれるほどよ。」

「はぁー、すごいんだなあの先生。………じゃあさ、ルイズはどのクラスなんだ?」

 

ちょっとぉ!!サイトの野郎!さっきのコルベールてんてーとの会話をお忘れかよ!魔法が上手くいかないご主人様にとってそれは地雷なんじゃないのかね!?

ほら!ご主人様の顔が険しくなっとらすばい!

 

「さて、もう質問も無いようですし次は皆さんの誰かに、

錬金を使って貰いましょうか。誰か自信のある方……はい、ではミスタ・グラモン。」

 

此方は若干空気が重くなるものの、授業は無関係に進んで行く。

んで、教壇に進むのは金髪のイケメン。

エネミーである。あの顔は判定で敵と出ている。

パターン青!パターン青!でも、そのヒラヒラの開胸シャツをチョイスする冒険的精神は嫌いじゃないわ!

 

そんな彼が、呪文とともに杖を振ると粘土がこれまた金属へ。

「はい、良くできました!これは青銅ですね?魔力の配分といい、見事ですわ。ええっと、では他の方………そうね、ミス・ヴァリエール。やって御覧なさい?」

 

と、突然のキラーパス!さっきのサイト君とのお話を見られてたのかな!?

 

そしてざわつく教室内。

 

「ミス・シュヴルーズ。それは止めた方が………」

「先生、それは不味いですって。」

「せやせや!」

 

「こら!確かにミス・ヴァリエールは魔法が苦手とは聞いていますが本人の努力は私にも聞こえてくるほどです!あなた達も魔法が必ず成功するわけではないでしょう?」

 

「でも、ミス・シュヴルーズ。ミス・ヴァリエールのそれは危険です!」

 

と、上がった誰かの声に

「そうだそうだ!魔法を使えば必ず失敗!ついた渾名が『ゼロのルイズ』!どうせ今回も失敗するんだろ!?」

一際大きな声が響く。

教室の端に座っている、ポッチャリ系の坊っちゃん系がご主人を煽る訳で…

「何よ!かぜっぴきのクセにうるさいわよ!」

「何だと!僕は『風上のマリコルヌ』だ!侮辱は許さないぞ!」

「先に侮辱したのはそっちじゃないの!大体そんな体型で『風上』だなんて笑っちゃうわよ!」

「な、何だと!胸も『ゼロ』のクセに!」

「何ですって!?」

 

と、ヒートアップする二人。

しかし、お互いの体型をディスりあうとか実は仲がいいんじゃねぇのこいつら?

 

「こら!」

 

そんな二人に向けて、若干置いていかれてた先生が一喝。

杖を振って粘土を飛ばし、風上くんの口に貼り付けた。

 

「今まではどうだったか知りませんが、私の授業でお友だちをその様に言うのは許しませんよ?では、ミスタにはしばらくそのままでいてもらうとして、ミス・ヴァリエールは錬金を使って貰いましょう。厳しめに指導しますからね?」

 

そんなこんなで、険しい表情のまま教壇に登るご主人様。

残された俺達には、見守ることしか出来ない!

 

「………私しーらないっと。」

ポツリと言ったキュルケ嬢は机の下に身を隠す。

他の生徒達も大体同じような行動をとる。

っておい!青髪のちびっこがさらっと教室から逃げたぞ!そんなにヤバイの!?

 

そんな此方側の反応を尻目に、我らがご主人は緊張した様子で呪文を唱えた。

 

「錬金!」

 

そのとたん、教室に光が満ちた。

あまりの眩しさに思わず目をつぶると、次いで強烈な衝撃に襲われた。

教壇が爆発したのですなぁ。

て、敵襲かな?

 

轟音と閃光で奪われた聴力と視力が次第に回復する。

あ、まだ耳鳴りがする。

ゲームとか映画で爆発の後にキーンって音と視界がぼやける演出があったりするが、まさか体験するとはおもわなんだ。

 

そして、それが回復すると飛び込んできたのは阿鼻叫喚の地獄絵図。

「あぁ、僕の使い魔が食われた!」

「おい!ミス・シュヴルーズが伸びてるぞ!衛生兵!衛生兵はどこだ!」

「へへっ、ドジっちまった。なぁ、ギーシュ、両親に伝えてくれ………俺は勇敢だったと………」

「おい!しっかりしろレイナール!傷は浅い!だからしっかりするんだ!」

「もう!だから言ったじゃない!危険だって!せっかくセットした髪型が台無しじゃないのよ!」

 

意外と余裕あるな君ら。

いや、使い魔を食われた君は割りと笑い事じゃない気がするが。

 

………って、おい!爆心地のご主人は無事か!?

 

と教壇の方向に目を向けると、服をボロボロにしたご主人様が、顔に煤をつけながらも

 

「………失敗したわ。」

 

とのたまった。

 

でしょうね!失敗でしょうね!?

 

 

 

その後、クラスメイトに文句を言われたりしたが、ルイズ嬢は苦虫を噛み潰したような顔をしてそれを聞き流し、いそいそと教室の後片付けに取りかかった。

先生が気絶したため、当然授業は中断である。

 

俺とサイト君の二人もそんなご主人様を手伝って吹き飛んだ椅子やら何やらを元に戻す。

 

箒で教壇の辺りを掃除するルイズ嬢は、何だか寂しそうな後ろ姿だ。

 

無言の重圧に耐えられなかったのだろうか、サイト君がルイズに声をかける

 

「なぁ、ルイズの魔法っていっつもあんな感じなのか?」

「うるさいわね、そうよ!いっつもああなるのよ!何よ!文句あるの!?私だって、失敗したくてしてるわけじゃ無いわよ!あんた達も運が悪かったわね、私なんかに喚ばれて!あんたも内心馬鹿にしてるんでしょ!こんな奴がご主人様なのかって!」

「べ、別にそんなつもりじゃ………」

お、おう。ヒステリックやぁ………

 

こ、ここは何とかしなくっちゃ!

 

「し、しかしあれですねぇ、あの風上の野郎の目は節穴ですぜご主人様。あいつはご主人様の胸が平たいとか言ってやがりやしたが、とんでもねぇ!あっしの見立てじゃあご主人様は少なくてもCカップはありやすぜ!これだから、エロスの雅を解さない野暮天はダメなんでござい、ゲーッスゲスゲス(笑い声)」

 

「………マジで!?」

 

おおっと、何故かサイト君が食いついて来たぞぅ!?

望んだ結果とは異なるが、この食い付きには男として答えねばなるまい。

 

「おう。間違いない。ありとあらゆる紙媒体やインターネッツで、πの神秘に慣れ親しんだ俺が言うんだから間違いない。ご主人様のopi値は確実にCの水準を満たしてるね!」

 

「うるさいわね!人の胸で盛り上がってんじゃないわよ!手を動かしなさいよ!」

 

「胸が盛り上がるとか、ご主人様のエッチぃ。」

 

「うっさいわよ!」

 

殴られた。

 

 

 

 

そんなこんなで、夕方になり、俺達はルイズ様の寮の部屋に向かう。

晩飯は、片付けが遅くなったせいで抜きです。

………後で食堂の人に頼み込んで、賄いでも別けてもらおうっと。

 

「ここよ。」

 

「あぁ此処が御部屋なのね!おっ邪魔しまぁーす!」

 

と、部屋に突っ込む俺。

年頃の女の子の部屋に突撃!

何て素敵なワード何でしょう!

ひょっとしたら脱ぎ散らかした素敵な布切れとか、洗濯して干しっぱなしの乳パッドとか拝めるかもしれぬ!

 

………と思ったが、残念ながらそんなことは無かった。

ご主人はどうやらキチッと片付けるタイプの人見たいですねぇ。

 

「はぁ、何やってるのよ?………メイドにあんた達の寝床を頼んでおいたから、今日からはそこで寝なさい。」

 

と、指差す先には、藁。

 

「えっ」

 

これ、藁じゃん。この世界では藁に寝るのが一般的なのかと思ったが、部屋にはしっかりベッドがある。

 

「ち、ちょっと待てよ!いくらなんでもこれは無いだろ!」

 

そうだそうだサイト!言ったれ言ったれ!

 

「何よ、文句あるの?いくらなんでも外だと可哀想だと思ったから、部屋に入れてあげるのよ?有り難いと思いなさい。」

 

「も、もうちょっと優しさを見せてくれても良いのよ?流石に石の床に藁じゃちょっと………さ、最低限文化的な寝床を要求します!」

 

「屋根がある。藁がある。最低限文化的じゃないのよ?」

 

そんなに不思議そうな顔をしないで戴きたい。

 

「………勝手に喚んでおいて、こんな扱いかよ。」

「何よ、私だってまだあんた達が使い魔だって事に納得してるわけじゃないのよ!?」

「喚んだのはお前だろ!?」

「私だって喚びたくて喚んだわけじゃないわよ!大体あんた達、感覚の共有も出来ないじゃないの!こんな出来損ないが使い魔だなんて、泣きたくなるわよ!」

 

酷い言われようである。

 

「だが待って戴きたい、俺にだって出来ることはあるんですよ!」

 

「………あんたに何が出来るってのよ?」

 

ふふふ、それを聞いちゃう?

 

「この完璧超人鈴木にかかれば、ご主人様の性欲処理から性欲処理まで何でも御座れよ!」

 

「ななな、何いってんのよ!そんなこと頼むわけ無いじゃない!」

 

「照れるな照れるな。解ってるって、ご主人もこの窮屈ながっこうぐらし。火照るからだをもて余してるんじゃろう?なぁに、実戦は経験したことが無いけども、予行演習は完璧よ!なぁ、サイト!」

 

「えっ?何いってんだお前?」

 

サイト君からの冷たい御言葉。

どうみてもドン引きですねぇ。

 

「安心できる所が何もないじゃない!この変態っ!いっぺん死んでこいっ!」

 

「アザッス!」

 

顔を真っ赤にして跳び膝蹴りを食らう。

文字どうり部屋を蹴り出されてしまった。

………解せぬ。

 

はぁ、おふざけが過ぎたかな?反省反省。

取り敢えず寝床は今後改善して行くとして

 

ガチャリ

 

………ん?

今鍵をかけたの?

ちょっと待って、開けて!

あぁっ!マジで鍵閉めてやがる!

ちょっと、俺だけ外で寝ろと言うのか!

お前らだけ、同じ部屋でにゃんにゃんする気だろう!許さんぞそんなこと!俺も混ぜやがれ!

 

ウソウソウソ!冗談だから!そんなドアの隙間からジト目で睨まないで!

閉めないで閉めないで!一人にしないで!

 

………無慈悲に閉じる部屋の扉。

その夜、俺は一人寂しく寮の廊下で寝ることになった。

 

ちくせう。




書いてる途中で投稿してしまいました。
よんでくださった方にはご迷惑をおかけしました。
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