恋する二人と野次馬一人   作:むりー

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怒れる二人と懲りない一人

「こっこれは、見事なマホガニー!凄いな!この机だけで三百万くらいするぞ!もって帰りたい!」

 

「サトウ、ちょっと黙りなさい。」

 

「はい。」

 

さて、やってきたるは、オールドオスマンの執務室。

ここがあのジジイのルームね!

只今、この部屋には、部屋の主たるジジイ、ルイズ、サイト、俺。そしてマリコルヌ君が居る。

 

「さて、では弁明を聞こうかね。ミス・ヴァリエール。ああ、そこの使い魔君はそのまま食事を続けてて構わんぞ?完全に巻き込まれただけのようじゃからな。」

 

と、水を向けられたサイト君の前には湯気を立てるシチューとパン。

 

「あぁ、飯だ!温かいご飯だ!頂きます!」

 

「どんだけ飢えておったんじゃ、彼は。」

 

いただきますの声と共に、シチューにむしゃぶりつくサイト。

完全無欠の欠食児童である。欠けてるのかな?欠けてないのかな?

 

「で、じゃ。ミス・ヴァリエール。説明してもらえるかの?」

 

「はい、オールドオスマン。今回の件はですね………」

 

そして、食堂での騒動を頭から説明するルイズ。

話を聞き終わったオールドオスマンは、次にマリコルヌからも話を聞く。

 

「………はぁ。ミスタ・グランドプレに関しては、あまり非が無いようじゃの。ただ、食堂での魔法の行使は流石におとがめなしとはいかんのぅ。とりあえず、反省文を提出するように。」

 

「はい。」

 

「でじゃ、問題の使い魔君じゃが………大体君は、何故こんな騒ぎを起こしたのじゃ。」

 

おっ?意外だ。使い魔かつ平民の俺には発言権の無いまま裁判は進むと思ったのに。

 

「はい、先生!だってだって、このままだと俺達、ずっと家畜扱いのままだと思ったんだもん!」

 

「ほう?家畜扱いとは聞き捨てならんのう?」

 

「いやさ、昨日突然喚ばれた訳じゃん?なのに寝床は藁だったり廊下だったり、食事は床だったり具のないスープとパンだったり………このまま一生こんな扱いなのかなぁ?とか思ったら、びびっと天から電波を受信しましてね?」

 

「で、電波?」

 

「このままでは、我々プロレタリアートはただただブルジョアジーに搾取されるだけ。今こそ、我々の力を全ての支配者層に知らしめるべきだ!諸君!革命だ!全てのブルジョアジーを赤の広場に引きずり出せ!彼らを断頭台にかけるのだ!彼らの溜め込んだ富が、我々労働者に等しく還元されたときこそが、人類の理想たる共産主義の成就の時である!!………って。」

 

「………オールドオスマン、私の使い魔ではありますが、こいつは危険です。私が責任を持って処分致しますので。」

 

真顔で仰るルイズの目からは光が消えていた。

 

「待って、ご主人様。ジョーク、イッツァサトウズレッドジョークだから!」

 

「そら(専制主義国家で共産主義思想をぶちまけたら)そう(処刑)よ。」

 

サイト君の冷静な一言。

 

「………はぁ、君は真面目に話す気が無いのかのう?」

 

「………まぁ、真面目な話、ずっとあのままの扱いだと流石に使い魔をやっていけるか不安でしたので。肉体的にも、精神的にも。」

 

「………。」

 

この発言を聞いて、考え込むルイズ。

 

「取り敢えず、騒ぎを起こした動機は解ったが、ミスタ・グランドプレを巻き込んだのは何故じゃ?」

 

「うーん、昨日の授業でご主人様を侮辱してましたし、他の無関係な方を巻き込むよりは俺の良心も痛まなかったからですかねぇ?魔法が上手くいかないっていう御主人のコンプレックスに遠慮なく突っ込んでたので、こっちがやっても良いかなぁって。」

 

「………はぁ。そこら辺の理由は解った。とは言え、ミスタ・グランドプレもまぁ、相応の罰を受けとるじゃろうし、反省文以上のおとがめは無しじゃ。ミスタ・グランドプレ、以後このようなことが無いようにの?」

 

「はい、申し訳ありません。オールドオスマン。」

 

おや、以外と素直。マリコルヌ素直である。

 

「では、取り敢えずミスタ・グランドプレは下がってよいぞ?後で反省文を持って来るように。」

 

「はい。それでは失礼します。」

 

そして、マリコルヌ君はこの説教空間から一抜けである。

 

「でじゃ、ミス・ヴァリエール。今の話を聞く限り、御主にも非がないとは言えぬのぅ。使い魔とその主人は一心同体。もうちっと、彼らの待遇を改善する必要があるんじゃないかのぅ?」

 

「………しかしですね、オールドオスマン。それではこのサトウは際限なく付け上がります。」

 

「まぁまぁ、確かにとった手段は全く持って誉められる所がないが、ミス・ヴァリエールを完全に侮っておる訳では無いじゃろ?だからこそ、ミスタ・グランドプレに対してあのような行動をとったのだろうし。」

 

ありゃ、バレてたか。

正直、昨日のデブコルヌの一件は、自分でもびっくりするくらいいらっときたのだ。

ちょっと自分でも戸惑うくらいに。

 

「それにの、こっちのサイト君に関しては素直なもんじゃないかの?」

 

「それはまぁ、サトウに比べれば………」

 

「では、今回の裁定を下すとするかのう。ミス・ヴァリエール。君はまず使い魔二人の待遇の改善をすること。寝床に関しては、部屋を用意しろとは言わんが、寝床はもうちょっと何とかしてやりたまえ。食事も、せめて食堂の使用人達の賄いを食べさせるとかで改善したまえ。後は………そうじゃのぅ。二人と、今後について確り話し合うこと。そして、今回の件は、君のご実家にも伝えておくので心して置くように。」

 

実家の話が出たところで、若干顔色を悪くするルイズ。

まぁ、パパとママに伝わってお説教とか、普通は嫌だろなぁ。

 

「でじゃ、サトウ君。」

 

「ヘイヘイ?何でしょう?」

 

「当たり前じゃが、君にも罰を与えなくてはの?」

 

「まぁ、私にも非があるのは自覚しとりますんで。それはかしこまり何ですが………反省文とか言われてもこっちの字とかは解りませんぜ?」

 

昨日の授業で先生が黒板に書いた事とかさっぱりだったしね。

 

「………ふむ、ではこうしよう。罰として、一週間、この学園の使用人として働きたまえ。他の使用人には伝えておくでの。」

 

「………使用人ですか。わかりまし………ま、待てよ!まさかジジイ!それが狙いか!」

 

「ほっ?いきなりどうしたのじゃ?というか、ジジイって、失礼じゃのう」

 

「えぇい、だまらっしゃい!さては、この俺を使用人として断れないようなエロいことを命じる気だな!」

 

「………は?」

 

「使用人だなんて!偉い奴がエロい事するフラグじゃないか!おのれオールドオスマン!スケベの上にホモォとか業が深すぎる!」

 

「何を言っておるんじゃ!?大体ワシは、この学園の長として………」

 

「ふん!しらばっくれても無駄だぞ!あんたがスケベだって事はネタがあがってんだ!さっきから、御主人の足元をチョロチョロしてるネズミ!あんたの使い魔だろう!?使い魔とその主人は、視界の共有が出来ると聞いたぞ?さっきからルイズのおパンを覗いてるのは解ってんでい!他のやつの目は誤魔化せても、小動物になって覗きをする妄想しているこの俺様の目は誤魔化せねぇって事だよ!」

 

「だとしても、男のおぬしにエロい事なぞせんわい!」

 

「キャー!ジジイに犯されるわー!俺にメイド服着せて、禁じられたご奉仕活動させる気だわ!このけだもの!オスマン帝国!」

 

「かーっ!だまらっしゃい!この男オールドオスマン!例え生徒にセクハラしようとも、男にてを出すほど飢えては居らんわい!」

 

やんややんやと言い合うジジイに俺。

 

「………オールドオスマン、少しお話が。」

 

そこに、底冷えするような声で割り込むルイズ。

その手には尻尾を摘ままれて、暴れるネズミが居た。

 

「モ、モートソグニル!」

 

「ほう?名前をつけているとは、使い魔と言うのは本当の様ですね?」

 

「し、しまっ!」

 

「こ、こんの!死にさらせぇ!エロジジイっ!!」

 

で、出た!ルイズの爆発魔法!

爆発オチだなんて最低!

 

「ギャー!」

 

こうして、オールドオスマンと爆発に巻き込まれた俺は、揃って仲良く保健室送りとなった。

 

サイト君?しっかりシチューを死守しとりましたよ。ええ。

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