世界の引き金を引く者   作:曇天もよう

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空閑遊真①

迅が三雲の処分を決めると言ってから半日後、俺たち全ボーダー隊員たちはイレギュラー門の原因となっていたトリオン兵の駆除をした。

会議室で三雲の処遇を任された迅と三雲が原因を発見したらしい。

その小型トリオン兵を撃破したことによりイレギュラー門が開くことはなくなり、またいつもと変わらない日常がやってきていた。

そんな中天谷たち天谷隊の面々は今日も防衛任務についていた。

 

「にしてもあんな小型トリオン兵が原因でイレギュラー門が開いているなんてね。意外だったよね。」

「そうか?あれだけ鬼怒田さんが必死になって探しても見つけられなかったんだ。そうとなれば小型トリオン兵で潜伏してると思っていたぞ。」

「確かにそうですね。小型トリオン兵の駆除の時の舞先輩はすごく楽しそうでしたよね。」

 

確かにその日剣持は嬉々とした表情で小型トリオン兵を狩っていた。その様子は天谷もよく覚えている。天谷は剣持が笑い過ぎていてひいていたが。

 

「んー、そうだね。どっかの誰かさんのせいで嫌な勉強をめちゃくちゃさせられたせいだよ。それでそのストレスをぶつけてたらあんな感じになったんだよね。」

「それはそれで怖いですよ。」

「その前に勉強しないお前が悪い。しっかり勉強しておけばなんの問題もなかっただろう?」

 

天谷の言葉に言い返すことができず、悔しそうな表情を剣持は出していた。もっとも勉強嫌いな剣持はこの手の話で天谷に勝てたことはない。テストが近づくと毎回勉強させられるので、テストが終わるとランク戦などに籠るのだ。

それが勉強しないことに繋がるんじゃ…とみんな思っているが、なんだかんだ勉強はするし、宿題を人に任せるといったことはしないためよく思われている。餅をよく食べる個人総合1位に比べれば…

 

『それにしても今日は全くトリオン兵が来ないわね。』

「そうですね。ここまでで3時間くらい待ってますけど一体も来ません。」

「だから暇なんだけどー、暇ー。」

 

普段の防衛任務ではおよそ2回は戦闘が起こる。だがここまでトリオン兵が来ないのは珍しかった。

 

「なんかそろそろ来そうですね。しかも大群で。」

 

そう宇野が言った時だった。

 

【門発生!門発生!トリオン兵が現れます。付近の皆様はお気をつけください。】

 

機械音が周辺へと鳴り響き、トリオン兵が来る警告を促す。

 

『トリオン兵が現れたわ。…かなり多いわね。モールモッドが10体、バムスターが14体来たわ。何体かのモールモッドが旧弓手町駅の方向へと進んでいってる。あそこは警戒区域ラインから近いから早めに撃破しにいって。』

 

「「「了解!」」」

 

「剣持はバムスターの撃破をしてくれ。俺と比奈でモールモッドの撃破をする。数が多いからとっとと仕留めていくぞ。」

「おっけい。それじゃあ…行くよ!」

 

剣持はグラスホッパーを起動し、バムスターの集団の中に突撃していく。バムスターは動きが遅く、三門市を襲うトリオン兵の中では最も弱いとも言われている。そのためスピードの速く、ボーダーでも指折りの剣持が相手では一瞬でやられていくだろう。

 

「よし、こっちも撃破してくよ。比奈は後ろから、俺は先行するから前から挟撃していくよ。」

「分かりました。いきましょう!」

 

天谷もグラスホッパーで一度宇野と別れて先頭のモールモッドを目指す。少し移動すると先頭を移動するモールモッドが見えてきた。

 

よし、先頭が見えてきた。比奈も…後方のモールモッドを2体すでに撃破したな。俺も暴れるか!

 

天谷は空中から一気にモールモッドに向けて急降下し、その手に構えた孤月で切り落とす。

モールモッドは視覚外から突如として現れた天谷の攻撃に気がつくことなく胴体が一刀両断されてしまった。先頭のモールモッドがやられたことを確認した後続のモールモッド3体は戦闘モードに入る。複数の足を持つモールモッドがその足を天谷に向けている。

 

そのまま3体のモールモッドは天谷を切り裂くためにその足を連携して攻撃して来る。天谷はその足を一発一発避けていく。そしてその足が向かう先にメテオラを仕掛け、爆破し、その足を削っていく。

徐々に足が削られ不利になっていくモールモッドを天谷は弄ぶように避けている。

モールモッドが一斉に一箇所を攻撃してきた瞬間を狙って天谷は大きく飛び上がる。モールモッドは激しい一撃を与えようと振りかざした一撃だったため、足が地面に突き刺さり、動くことができない。

そこに天谷はアステロイドの雨あられを降らしたことによって先ほどまで動いていたモールモッドは活動を停止し、ただの残骸となってしまった。

 

「ふぅ、いい運動だった。亜美さん、残りのモールモッドはどこにいる?」

 

『比奈ちゃんが倒したから今はもういないわ。バンダーの方もあらかた舞ちゃんが倒してるからもう戦闘も終わると思うわね。』

 

「よし、それじゃあ待機場所にもどろ…」

 

天谷はあることに気がついた。他の人ならば気づかないことであろうが、天谷には違和感を感じたことがあった。

 

ん…?何かわからない存在が旧弓手町駅の中にいる…?だがここは警戒区域内のはずなのだから人はいないはず…いるとしたら防衛任務中の隊員のはずだが、弓手町の防衛任務は俺たちが担当しているからそれはない。となるとまた勝手に入ってきた輩か?

 

『翔くんどうしたの…?急に黙るから…何かあったの?』

 

急に黙ったことによって柳本に天谷は心配されていた。同じように合流した宇野にも心配された。

 

「いや…今サイドエフェクトで旧弓手町駅内に誰かがいることが分かったんです。おそらく、不法侵入してきた学生か何かだと思います。」

「最近結構いますよね。早くボーダー本部に連れて行かないと面倒なことになりますね。」

『そうね、それなら二人は行ってちょうだい。私は舞ちゃんに伝えるから、先に行っておいて。』

「分かりました。追って連絡します。」

 

そう行って天谷と宇野は旧弓手町駅の中に入って行った。

 

 

 

 

旧弓手町駅ホーム、そこに天谷たちがたどり着いたとき、そこにいた人物、それは天谷にとって見知った人物だった。小さく白い髪をした少年、空閑遊真とメガネをかけたさえない少年三雲修だった。

しかし同時に見たことない人が2人…いや、1人と1匹いた。それは少女と黒い空を飛ぶ不思議なものがそこにはいた。

おそらくネイバーであろうと天谷は考えていた。

 

「なんだ、空閑か。ここは警戒区域内だぞ。下手すれば見つかるからここにはいないほうがいい。」

「天谷先輩じゃん。どうも。」

 

空閑が声を返すと同時に三雲もあいさつをする。三雲は天谷たちが入ってきたときにビクッとしていたが、天谷と分かると安心をしていた。しかし一緒にいる女の子は警戒をしているようだった。

 

「おっと、そっちの女の子は初めてだな。俺は天谷翔。ボーダー隊員をしている。よろしく。」

「よ、よろしくお願いします…」

 

見た目通り少し気が弱そうな少女であった。するとここで宇野が天谷に彼らが誰なのか質問する。

 

「ああ、そうだな、宇野には説明していなかった。こちらのメガネが三雲。ボーダー隊員をしてる。あの小型トリオン兵の発見をした人物だ。」

 

そういうと宇野もあいさつをする。それに合わせて三雲もあいさつを返すが、そこからどちらも真面目な性格であることが見て取れた。

 

二人のあいさつが終わると説明を続ける。

「えっと…こっちの女の子が…」

 

女の子の説明をしようにも自分が初めて会った人物のため説明できない。少し困った様子をしていると、三雲が天谷に変わって女の子の説明を始めた。

 

「えっと…この子は雨取千佳です。僕の家庭教師をしていた人の妹さんで昔から知ってる人です。」

 

「雨取です。よろしくお願いします。」

「宇野です。よろしくね。」

 

雨取とも宇野はあいさつするが、雨取は緊張をしていふようだった。そんな様子を見た宇野は雨取を気遣っていたため、その様子は本物の姉妹のようであった。

 

「それじゃあ…この白い子。この子は空閑遊真。そっちの三雲くんのクラスメートだ。そして…ネイバーだ。」

 

突然空閑のことをネイバーであると天谷が言ったことに三雲は驚く。

空閑も少し距離をとって警戒をしているが、宇野は二人が予想していた反応とは違っている反応を示した。

 

「ネイバーなんだ。私は初めてネイバーを見ましたけど、普通の人間なんですね。よろしく。」

 

思っていたのと違っていたことに三雲は驚かされている。その様子を見た天谷が三雲に伝える。

 

「突然言ってしまって申し訳ないな。だけど、安心してくれ。宇野は…いや、俺たちの部隊はネイバーだからといってすぐに襲いかかったりはしない。別に市街に被害を与えないネイバーなら、俺たちは手は出さない。被害を加えるなら話は別だがな。」

 

「そうですね。正直天谷先輩がいなければかなり警戒をしていたかもしれませんが…空閑くんは天谷先輩が警戒をしていませんでした。それなら信じるに値すると判断しました。」

 

天谷の言葉に続けて宇野も言う。

宇野の言葉を受けて三雲は驚きのあまり地面に少し脱力したように座った。空閑も警戒を解いて宇野に握手を求める。宇野もそれに応じて握手をした。

 

「宇野も信じてくれてよかった。ところで、亜美さんも聞いてました?」

 

天谷が耳に手を当てて自分たちのオペレーターに話を聞く。すると返答が返ってくる。

 

『聞いてたわよ。翔くんが信じるのなら私も信じるわ。よろしくと伝えておいて。あと、舞ちゃんにも映像は繋げておいたから説明の心配はないわ。舞ちゃんも早く会って話をしてみたいといってるわ。』

 

やっぱりうちのオペレーターは仕事ができると天谷は思いながら柳本に感謝を告げて会話に戻る。

 

「それと…そちらの…黒いのはなんなんだ?」

 

天谷の質問を受けて黒い物が話し始めた。

 

「初めまして。私は自律型トリオン兵のレプリカだ。遊真のお目付役兼友達をしている。よろしくお願いする。」

 

以外にも喋ったことに天谷たちは驚きながらもあいさつを返す。一度ネイバーフッドに行ったことのある天谷は初めて見る自律型トリオン兵に興味を示していた。

ここで、宇野が空閑たちに質問をする。

 

「それにしてもなんでここにいたの?」

 

「それは、この千佳がネイバーに頻繁に追いかけ回されるって聞いたからそれの相談に乗っていたんだ。」

 

空閑が簡潔に述べる。

ネイバーに頻繁に追いかけ回される理由、それは天谷が知る限りではトリオン量が多いことが関係しているのだろうと考えた。

 

「それでトリオン量を測ろうとしていたところだったんだ。でも怖いから修が先に安全だって示して今から千佳のを測るところ。」

 

天谷は納得がいった。それでレプリカがここにいたのだろう。今までで見たことがない、レプリカを出して計測しようとしていたのだと。

その話を聞いていると天谷も気になったため、空閑に聞いてみた。

 

「それは俺も計測してみたいのだが、できるか?」

 

「うん。できるよ。千佳はまだ不安そうだしやってみる?」

 

天谷の提案は空閑にすんなりと受け入れられ、早速計測をしてみることになった。

計測の仕方はとても不思議な方法だった。レプリカの口から出てきた舌のようなものを持って少し待機しているだけで計測ができるのだ。

 

しばらく待っていると計測が完了したらしく、目視できるようにレプリカはしてくれた。

それはトリオンキューブ状になって天谷の前に現れた。しかし、それが大きいものなのかわからなかったため、空閑に聞いてみることにした。

 

すると、これは全体の中でも大きめに値されるとのことだった。ボーダーの中ではトリオン量がとても多いと言われるが、近界民から見ると大きめであってとても多いわけではないらしい。そのことに天谷が驚いていると宇野も気になったようで、計測していた。

計測が終わってみると俺よりもさらに大きなトリオンキューブが発生した。さすがにこの大きさには空閑も驚いていた。

 

だが、雨取はもっとすごかった。ボーダーでも1,2を争うトリオン量である宇野の3倍はあるのではと思ってしまうほどであった。さすがにこの量は見たことがないほどであるとレプリカも感嘆していた。これにそこにいなかった柳本も驚いていると再び駅の中に人が入ってくる音が響き渡った。

その音に宇野は別行動していた剣持がやってきたのだと思っていた。しかし違っていた。

 

宇野の目の前に現れた人物、それは三輪と米屋であった。

 

「やっぱりいたのか…ネイバーめ!!絶対に俺が殺してやる!!」

 

 

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