世界の引き金を引く者   作:曇天もよう

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今回初登場のボーダー隊員さん

ブラコンとシスコンの両刀 嵐山
ブラコンとシスコンを兼ね備え、我が道を行く男。圧倒的爽やかさで周りの者を眩しくさせる。天谷にとって頼れるお兄さんであり、嵐山にとって天谷は頼れる後輩であり、お互いに尊敬しあっている。

出来るキノコ トッキー
怒っている人を宥める、裏方をこなす、戦闘援護などあらゆるサポートをこなす出来るキノコ。その腕前の高さは多くのボーダー隊員から評価されてたり、多くの勧誘がなされているとか。だが時枝は嵐山の元で働くのがいいと言っているため勧誘される可能性はないと言われている。天谷も剣持と一日交換してみたいと考えている。

ツンツンデレ 木虎
ツンの割合がとてつもなく大きいツンデレ。天谷は比較的デレが多い側の人物に当たるため他のボーダー隊員から羨ましがられているとか。実際は戦闘に関する技術を教えてもらったため尊敬していると言うのが正しい。天谷はもう少しみんなと仲良くできたらいいな、と保護者のように感じている。


黒トリガー争奪編
三雲修①


「ふう、これで最後だな。」

 

そう呟いた天谷の周りにはおびただしいほどのモールモッドの残骸が広がっていた。その理由は何か?ここ最近異常なほど門の発生数が増えているのだ。そのため多くのボーダー隊員が臨時で防衛任務に入り、対応している。今まさに天谷も臨時で防衛任務に入っているのだ。

「お疲れ様!流石の活躍だな。」

 

明るく爽やかな青年が話しかけてくる。その男は嵐山准。ボーダーの広報を担当しており、いわゆるアイドル部隊と言われている。しかし実力はもちろん折り紙つきである。

 

「まあ、天谷さんならその程度造作もないですよね。」

「木虎、そんなことはないよ。俺なんか二宮師匠に比べればまだまだ甘い。」

「ですがやっぱり私からすればとても強いです!」

「はいはい。まだ二人とも終わってないんだから気を抜かないで。」

 

木虎と呼ばれた少女はいわゆる天才だ。デビュー当初からその類い稀な実力を発揮し、ランク戦を勝ち上がっていった。だがそれは木虎自身のたゆまぬ努力に裏打ちされたものであるので皆から認められている。少し性格に難があるが天谷も良き後輩だと思っている。

そして二人の会話を止めるように促したのが時枝充。嵐山の右腕で、援護能力の高さに定評があり、トッキーというニックネームで親しまれてる。人柄もよく、頼りになる後輩だ。

 

皆が一度門から現れたネイバーを撃退したため少しだけ気を緩めていたときだった。みなのインカムに突如として音声が聞こえてくる

 

『門が市街地に発生しました!場所は三門第三中学校です!おそらくイレギュラー門だと思われます。』

 

「なんだって!?三門第三中学には副と佐補が…」

「急いで向かいましょう!」

「嵐山さん、俺はグラスホッパー装備しているので先行して向かいます!」

「ああ…天谷頼む!俺たちも急いで向かうぞ」

「「「了解」」」

 

天谷はそれを聞くとグラスホッパーを起動し一目散に三門第三中学校へと向かった。

 

グラスホッパーは機動戦に使うトリガーだ。そのため長距離を素早く移動するためにも使われる。天谷は全速力で突き進んでいた。しかし、いくら移動が速いとはいっても三門第三中学校までは5分はかかる距離だった。

天谷はその5分がとても長く感じた。わずか5分されど5分である。戦うすべを持ち合わせていない者が逃げるのに5分というのはとても長い時間だ。もしも自分が着くまでに誰かが死んでしまっていたら…そう考えていると身の毛もよだつ…

 

そうしていると三門第三中学校に到着した。すぐに天谷は教員のもとへ行き、状況を確認する。

 

「教員はいますか?早くしてください!」

 

すると教員がやってきて状況を説明する。

 

「まだあの北棟にボーダー隊員が一人残って戦っています。そして、まだ一人安否が確認できていない子がいます…」

 

「なんだって!?安否不明者がいるだと!?急がないと…」

 

天谷は教員の言葉を聞くなりすぐに北棟に走っていく

 

「おかしいな…確か三門第三中学校にB級以上のボーダー隊員がいたか…?いなかったはずなのだが…いやそんなこと考えている暇なんてない…急がないと…」

 

天谷は北棟を見ると4階から煙が上がっているのが見えた。

 

「あそこだな……グラスホッパー!」

 

天谷が4階へと駆け上がると弧月を振るい廊下へと入りこみ確認する。

 

「…モールモッドが一撃で切り裂かれている…明らかに手練れの隊員がやった痕跡だ…

 

そう考えていると反対側から再び爆発音が聞こえる。

 

反対側からか…行くぞ!

 

反対側に行くとモールモッドがもう一匹いた。天谷が弧月を構えた瞬間だった、突如としてモールモッドが音を立てて地に倒れ伏した。

倒れ伏した先にいたのは黒い隊服に身を包んだ白い少年だった。そしてその側にメガネをかけた少年が立っていた。

 

「君が一人ここに残って戦っていたというボーダー隊員か?」

 

天谷の問いかけに白い髪の少年は少し黙っていた。そしてその側の少年は困ったように冷や汗をかいていた。そして二人で話す。その様子を疑問に思った天谷は話しかける。

しばらく待っていると天谷にとある考えが浮かぶ。

 

(そうか、この子は訓練兵だな。訓練兵がボーダー基地以外でトリガーを使用すると厳罰が下るとなっていたな。ならば…)

 

「…なぜ肯定しない?お前は訓練兵だというのはわかっている。確かに厳罰を受けなければならない立場であるのも分かっている。だが今回は緊急事態につき起動したのだろう。だから俺からも許しを請う。」

 

天谷の提案にも白い髪の少年は何も言わない。それにしびれを切らした天谷が強くいう。

「…名乗った方がいいぞ。このまま何も言わないというなら俺とてお前が近界民であることを疑わずを得ない。余計な誤解を生み出したくないのなら名乗ろう。」

 

その言葉に白い髪の少年ではなく隣のメガネをかけた少年が言う。

 

「訓練兵所属の三雲修です。一体は撃破できたのですがこの一体にやられてしまい、ピンチだったのをこの友人に助けてもらったのです。」

 

「…嘘だな。お前は倒していないな。」

 

天谷の発言に三雲が驚き言う。

 

「嘘をつく理由がありません!どこが嘘だと言うんですか!」

 

三雲は少し怒りながら天谷へと言う。その三雲に天谷は告げる。

 

「お前…あちらにあったモールモッドをお前が倒したと言ったな。」

 

その発言を受け三雲は答える。

 

「はい、自分が倒しましたが…」

 

三雲は答えるが少し語尾を濁しながら言う。そんな三雲に天谷は続けて言う。

 

「あのモールモッドは一撃で切り裂かれていた。あの傷は正隊員ですらなかなか作らないような鋭い傷跡だった。あのような傷跡を残せるような者がさらさらモールモッドに負けるはずがないな。」

 

「こちらでは守るべき友人がいて庇った結果負けてしまったんです!」

 

三雲も強く言い返すが、次の一言を受けて黙ることとなった。

 

「では、お前。そこのモールモッドとあっちのモールモッド。どちらも同じような太刀筋で切られているのはどう説明する?第一素人がこんな太刀筋を放てるはずがない。大方そこの白髪は近界民なんだろ?」

 

その一言を聞いて白髪の少年は距離を取り警戒をする。しかし三雲は二人の間に立って言う。

 

「聞いてください!こいつは悪いやつではないです!街を襲うようなことはしません!」

 

三雲の叫びを聞き天谷は孤月を鞘へとしまい白髪の少年へと話しかける。

 

「ああ、俺は別にお前が近界民だろうとそうでなかろうと別にどうでもいい。お前が街を襲わないというのならここで殺す必要はないからな。」

 

白髪の少年は天谷をじっと見つめ、しばらく立っていた。すると警戒を解き天谷へと近づく。

 

「お前は信じても大丈夫そうだ。俺は空閑遊真。お前が信じているように近界民だよ。でも何で俺を殺そうとしないんだ?こっちの人間はみんな近界民を目の敵にしているのに。」

 

空閑の不用意な天谷への接近に三雲は下がるように言うが空閑は三雲の話を聞かず天谷の元へと歩いていった。すると空閑の質問に天谷が答える。

 

「ああ、俺は天谷翔だ。ボーダー隊員をしている。さて、お前の質問だが確かに俺も近界民は憎い。なんたって俺の両親を殺した奴らだからな。」

 

「ふむ、両親を殺されたのにか?」

 

「ああ、俺の両親を殺したのは近界民だ。その事実は変わらない。だがそれで全ての近界民を憎んでいては意味がない。お前が俺の両親を殺したという証拠もない。だから危害を加えてこない近界民は問題がない。だが危害を加えるというなら話は別だ。だからお前も街へ危害を加えないな?」

 

「うむ、俺もわざわざ襲う必要がないからな。約束するよ天谷先輩。」

 

そういうと二人は握手をした。その姿に三雲が呆けていると天谷が言う。

 

「とりあえず下に降りよう。傷がついたこの校舎にいては危険だ。そして三雲。お前についてはおそらく何かしらの処分は下るだろう。覚悟しておきなよ。三雲くんはそれだけ危険なことをしたんだ。いいね?」

 

「はい。もちろんです。」

 

処分という言葉にショックを受けずむしろ分かっていたような態度をしている三雲の姿を見て天谷は驚いていた。普通ならば処罰から逃れようとするものだが彼にはそのような行為がなかった。その態度を見て天谷は続けて言う。

 

「ただ、今回は君の活躍による被害者0というのもあるだろう。今回は俺からも罰を緩めてもらえるように頼もう。」

 

「本当ですか!?ありがとうございます!」

 

先ほどまでは少し悲しそうな顔をしていた三雲であったが天谷の言葉を聞き嬉しそうな顔になった。その姿を見るとやはり年相応な子なんだと天谷は感じた。

 

「さあ、下へ降りるぞ。みんなが待っている。」

 

 

 

 

 

天谷たちが下へと降りると三雲に助けられたらしい子たちが三雲の元へと駆け寄ってくる。三雲は当然のことをしたまでだから誇れることではないと言っているが、隣の空閑が話に尾ひれをつけて話しているためみんなの興奮は止まらないようだった。

 

「先生、校舎内にいた近界民は殲滅完了しました。殲滅が確認できていますが、まだ油断はできません。もうしばらくシェルターに戻っていてください。」

 

天谷が教員たちに報告していると嵐山、木虎、時枝がやってくる。

 

「敵は全滅したようだな。流石だな、天谷。」

「この程度、天谷先輩ならできて当然です。」

「お疲れ様。」

 

三者三様に労いの言葉をかけてくれるが皆に天谷が伝える。

 

「いや、今回は俺がモールモッドを斬ったわけではない。その場に居合わせた彼、三雲くんが倒した。彼の活躍がなければ多くの生徒が亡くなってしまっていたかもしれない。」

 

その天谷の報告を受けて嵐山は早速三雲のところへ行き労いの言葉をかける。

 

「君が三雲くんか!君の活躍で多くの生徒の命が助けられた。本当に感謝している!」

 

テレビでアイドルのような存在である嵐山が目の前にいて、しかも三雲に感謝の言葉を述べていることに他の生徒たちは興奮しているがそれを良しとしない者がいた。木虎だ。

木虎はプライドが高く、上級生には頼りにされたい、同級生には負けたくない、下級生にはナメられたくないといった考えを持っていた。

同級生が訓練兵であるにも関わらずモールモッドを2体も実践で倒したというのは彼女のプライドに火がついたのだった。

 

「あなた訓練兵でしょう?訓練兵はボーダー基地以外でトリガーを使うことは禁じられています。それにもかかわらず使ったというのを分かってるんですか?」

 

木虎の強い口調に興奮していた生徒たちも黙る。そして三雲も申し訳なさそうに俯いていた。

その様子を見た空閑が木虎と三雲の間に割り込み言う。

 

「なんだお前、偉そうに言って。」

 

空閑の発言に木虎は食ってかかる。

 

「何かしら?ボーダー隊員でもない者がこの話に入ってこないでもらえるかしら。」

 

「俺は修に助けてもらった者なんだが。修に助けてもらっていなかったら俺は死んでいたかもしれない。だから修に文句をつけるのは間違っている。」

 

「私たちの到着を待っていればよかったでしょう?わざわざあなたがする必要なんてなかった。分かるかしら?」

 

「いや分からないね。現にあんた達は間に合っていなかった。早く来た天谷先輩さえギリギリのタイミングだった。それなのに感謝も言えないなんてお前、さては修に嫉妬しているな?」

 

空閑の言葉により核心を突かれた木虎はさらに言い返そうとするが、そこに天谷が二人を諌めるように言う。

 

「そこまでだ、木虎、空閑。三雲に関しては俺が厳重に注意した。確かに空閑の言う通り俺ですらほぼアウトのタイミングで到着した。言い返すことなんてできない。分かったかい、木虎?」

 

「でも…」

 

まだ言いたそうな木虎に時枝がなだめるように言う。

 

「はいはい、木虎そこまでにして。三雲くんの処罰に関しては上層部が決めることだよ。とりあえず現場調査は終わったから帰るよ。」

 

「…はい。」

 

木虎はかなり渋々ながら引き下がった。その様子を見て嵐山が三雲に言う。

 

「三雲くん、上層部の元へ行ってもらわないと君はいけない。だから、夕方に来てくれるか?」

 

「はい、分かりました。」

 

そう言うと俺たちはその場を後にした。

この出会いが三門市を、ボーダーを大きく変えていくことになっていくなんてまだ誰も知らなかった。

 

 

 

 

 

 




今回も投稿遅れて申し訳ありません。次回はもう少し早く上げますのでまたお待ちください。
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