Fate/Crossing Order   作:傘沙羅

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どうも傘沙羅です。
FGOを終章までクリアした記念に書き始めていきたいと思います。
ちなみに俺TUEEEEE!にはならないようには心がけます

後、恋愛要素はほぼ書けないのでご了承ください





それではどうぞ!



序章プロローグ

 目の前は地獄だった。

 

 もはや人が生きているなんて、考えられない有り様だった。

 

 空は黒く、厚い黒雲が天蓋の如く垂れ下がっている。

 

 足元は瓦礫と灰、そして赤いナニカで埋め尽くされ歩く度に不快な音を鳴らす。

 

 空気は肌を焦がすほどに熱く、腐臭を伴って鼻腔を通る。

 

 

「………マ……ュ…、マシュ!しっかりして!」

 

 

 新しい居場所でできた大切な後輩。

 

 最後に自身の目に映っていたのは助かる見込みのないはずの彼女だった。

 

 そして彼女は今、私の腕の中で気を失っている。

 

 マシュの額からは止めどなく赤いナニカが刻一刻とポタリ、ポタリと落ちていく。

 

 何度目になるか分からない轟音とともに青色のナニカが転がり込んでくる。

 

 

「嬢ちゃん、しっかりしな!何も打つ手無しじゃあ、ジリ貧になんぞ!」

「そ、そうよ!貴方なんとかしなさいよ!このままじゃ、し、死んじゃうじゃない!」

 

 

()()

 そんなことを言われても打つ手はない。

 例え自分が人外のナニカを使役していたとしても、相手も同じ人外のナニカであるなら、同じ土俵の上にたっている以上、絶対的な勝利などない。

 

 

「ー解析始動(アウェイクン)ーーーー抽出不可(コードエラー)ーー」

 

 

 最後の手も今の状況では使うことができない。

 

 その時こちらと対峙する人外のナニカと目があった。そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その口が、ニタリと三日月を描いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 時は数時間前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の名は衣碕(いざき)藍華(あいか)

 

 日本と言う小さな島国からこの辺境の地、人理継続保証機関『フィニス・カルデア』へと来た三流の魔術使いです。

 私の家は鎌倉時代から続く呉服屋で私の持つこの異能は一種の先祖帰りだと親戚の人々は言っていました。

 ………しかしこの力は私にとっては迷惑か極まりないものでした。

 昨日まで親友だった者に忌避の目で見られ、外を出る度に見知らぬ人に頻繁に声をかけられ、家族一同からは隔離され…………。

 

 

「……本当、何でこんな力が私なんかに『其処の貴方!ちゃんと人の話を聴いているの!?』ひゃ、ひゃい!」

 

 

 私を壇上から指摘した女性はオルガマリー・アニムスフィア。

 このカルデアの所長を務められているらしい。

 周囲からの聴こえる失笑を意識の外に追いやって、このカルデアでの新たな生活をどうにかしようかと考え始めたが………それも直ぐに止めた。

 

 

(………またどうせ、ろくなことにはならないだろうな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ハァ……君のそういう悲観的すぎるところは悪いと僕は思うよ?」

「会って一日もたってない相手の思考スタンスによくここまでズケズケと口出しできますね、Dr.ロマンさん」

 

 

 私に支給された部屋は既にカルデアの職員の休憩室として使われていたが、その職員ことロマニ・アーキマンさんは所長と比べればこの人の方が所長に向いてるんじゃないか、と思える程にフランクで話しやすかった。

 

 

「しかし、君の魔術についてだけどよくこんなことをして体がもつね。

 僕だったら半日もしないうちにあやふやになってしまうよ」

「そう大したことじゃないですよ。

 慣れと研鑽と閃きと後、天からも見捨てられてるんじゃないかと思うほどの悪運があれば出来ますよ、大方は」

 

 

 私は自分の右手の上に有るリンゴを軽く握る。

 すると、リンゴは面白いように中心に向けてパックリと割れていく。

 そのまま握りしめるように拳を作ると指の隙間から細く切られたリンゴがポトッと皿の上に落ちた。

 

 

「自身の体に他の物体の性質を付与させる、なんて魔術はあまりメジャーじゃあないからね」

 

 

 Dr.ロマンの言うとおり、私の魔術は他の個体の性質を自身に付与し、自身の力を強化する性質がある。

 例えば今したように包丁などの刃物の持つ『切断』という性質と『硬度』という性質を腕に付与してリンゴを切ったり、岩盤のような高硬度の物体の性質を付与し銃弾を受け止めたりできる(後者は試したことはないが……)

 

 

「折角だし、ゆっくりしていきなよ。

 僕は医務室の方に戻るから、B班の出撃時間までにはコフィンのところに集まっててね」

 

 

 そう言ってDrロマンは私のマイルームから出ていった。

 そうは言われてもゆっくりするといいと言われても何をしようか。

 この場には簡易的な生活用品と申し訳程度の私物、後は自分自身の体のみ。

 ………何をしようかと考えた結果、

 

 

「……日課の鍛練でもしてるか」

 

 

 自分の体を使って暇潰しをすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

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 ???side

 

 

 

「こっちの方に先輩の部屋があると聞いたのですが、詳しい部屋の番号まで聞くんでした……」

 

 

 こんにちは、マシュ・キリエライトです。

 先程から先輩……衣碕先輩の部屋を探しているのですが、見つかりません。

 ドクターから自室にいるとだけしか聞いていないので、場所が分かればお会いできるのですが……

 

 

『………硝子玉一つ落とされた♪

 追いかけてもう一つ落っこちた♪……………』

「ん?先輩の声が……でも、歌ってる?」

 

 

 先輩は初対面から素っ気ない性格だと思っていたのですが、そんな先輩がこんなに楽しそうに歌を歌ったりするのでしょうか。

 少し歩くと僅かにドアの空いている部屋があり、その中から先輩の歌声が聞こえてきます。

 そっと隙間から覗くと………

 

 

「♪そうさ、必ず~僕らは出会うだろう~

 ♪沈んだ理由に十字架を建てる時~

 ♪約束は果たされる~♪僕らはひとつになる~」

 

 

 ………あの先輩が部屋の中で赤いドレスのような衣装を纏って、クルクルと回りながら笑顔で歌っています。

 もう一度言います、笑顔で歌っています。

 それはもう心底楽しそうにまるで舞台の上で歌う歌手のように。

 しかも衣装の装飾を次々と変化されていきながらしているので、ドクターから聞いた先輩の魔術とは別の何らかの魔術を使っているようです。

 

 

「やっぱり、歌を歌うと集中出来るね。

 Dr.ロマンに言われた時間までもう少しあるし、もう一曲いってみようか!」

 

 

 どうやら先輩はもう一曲歌を歌うらしいので、引き続き覗いてみましょう。

 しかし、先輩ってあんな風に笑うんですね。

 ずっと不機嫌そうな顔をしてレフ博士や所長の話を聞いていたのでとても意外です。

 

 

「じゃあちょっとだけ恥ずかしいけど『TRUST HEART』いっちょ、いってみますか!

 ♪鉛玉の大バーゲン♪バカにつけるナンチャラはねぇ~

 ♪ドンパチ感謝祭さぁ踊……れ………」

「っ!その先輩これはあっと、え~と………」

 

 

 笑顔でクルッと先輩が回った時に偶然、先輩と目がバッチリ合ってしまい、先輩がギシッと言う音と共に石のように固まってしまいました。

 そこから先輩は壊れかけの機械のようなぎこちない動きで此方に歩み寄って来て、少しだけ空いていたドアを完全に開けて、とても無機質な顔で…………

 

 

「………今のことはすぐに忘れて。

 後、他言したら命は保証出来ないから」

 

 

 そう言って自室のドアを完全に閉めてしまいました。

 その間、私は無言で直立することしか出来ませんでした。

 管制室の方に戻る際に先輩の部屋の方から叫び声が聞こえましたが………聞かなかったことにしましょう。

 

 

 

 

 

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「………それで医務室に来たんだね」

「恥ずかし過ぎて死にそうです」

 

 

 マシュが去ってから私はすぐにDrロマンのいる医務室へと転がり込んだ。

 自分を先輩と呼ぶ後輩にあんな醜態を晒してしまったことが恥ずかし過ぎてもう立ち直れません。

 こんな絶望感は初めて魔術の修行が友達にばれた時以来です。

 

 

「そろそろファーストミッションが始まるから、君もコフィンのある管制室に行った方が」

 

 

 突然、医務室の照明が落ちた。

 条件反射で腕先にサイリウムの性質を付与し、軽く指の骨を鳴らす。

 すると手首から先が光を放ち簡易的な光源となった。

 Dr.ロマンが感心したような声を出していたが、そんなことは気に止めず回りの状況を確認する。

 

 

 

『緊急事態発生。 緊急事態発生。

 中央発電所、及び中央管制室で火災が発生しました。

 

 中央区画の隔壁は90秒後に閉鎖されます。

 職員は速やかに第2ゲートより退避してください。

 

 繰り返します、緊急事………』

 

 

 そんな私の内心を察したかのようにアナウンスが鳴り響く。

 

 

「管制室で火災!?ドクター、マシュや他のマスター達はどうなったんですか?」

「今モニターを繋ぐからちょっと待ってて!

 モニター、管制室内を映してくれ!皆は無事なのか!?」

 

 

 医務室のモニターが切り替わった。

 ………真っ赤だった、ただただ赤かった。

 床には多くの瓦礫が積み重なり、その隙間からは赤い炎が立ち上ぼり、その下からは黒いナニカが川のように流れ出している。

 幾つかのコフィンは砕け、マスター候補だったモノの欠片が割れた箇所から垂れ下がるかのように飛び出ている。

 そして部屋の中央に鎮座するカルデアスは黒く濁ったように染まっている。

 

 

「っ!」

 

 

 その瞬間、私は医務室のドアを叩き開け中央管制室に向けて走り出した。

 Dr.ロマンの言葉を振りきるようにして管制室の扉を目指した。

 幸い、中央管制室と医務室は歩いて2分ほどの距離だったのですぐに辿り着いた。

 …………辿り着いたが、

 

 

「どうして!?どうして開かないの!?」

 

 

 どうやら火災が原因で扉を開くシステムがダウンしてしまっている。

 触ろうとしても中からの熱気によって扉が加熱され、下手に触れては火傷をしかねない。

 

 

「ハァ、ハァ、衣碕くん!ちょっと待ってくれよ」

「ドクター、扉が開かない!他に開閉手段はないの!?」

「何だって!?多分火災は何者かの破壊工作によるもので、爆弾の衝撃でシステムが故障したのか!

 今手動に切り替えるからちょっと待って!」

 

 

 Dr.ロマンは胸元から端末を取りだし、扉の横のカバーを開けてコードを指した。

 すると、僅かに数秒でドアがスライドし管制室内の状況が確認できた。

 

 

「僕は予備の電力施設に向かうから、君は急いで第2ゲートに退避して!」

「………わかりました。けど、生存者がまだいるかもしれないのでもう少しいます!」

 

 

『隔壁が降りるまで後少ししかないよ!』と言うDr.ロマンの言葉を受けながら、管制室内に足を踏み入れた。

 炎による熱気はどうにか我慢して、生存者を探すが見つけたモノはどれもこれも残骸ばかり。

 生きてる人はいないだろうと断言するには十分な環境だった。

 だからだろう、

 

 

「……せ…ん、ぱい…」

「マシュ!何処!?何処にいるの!?」

 

 

 こんな状況でも彼女の小さな声に過剰なまでに反応した。

 声を頼りに瓦礫の山を進むと、瓦礫に下半身挟まれている彼女を見つけた。

 

 

 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 システム レイシフト最終段階に移行します。

 座標 西暦2004年 1月 30日 日本 冬木

 

 ラプラスによる転移保護 成立。

 特異点への因子追加枠 確保。

 

 アンサモンプログラム セット。

 マスターは最終調整に入ってください。

 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 鳴り響くアナウンスを無視して自分の体に強化魔術を付与し、瓦礫を持ち上げようとした。

 しかし、いくら強化したとはいえ十代の女性に持ち上げられるほど瓦礫は軽くはなかった。

 

 

「先輩……逃げてください、今なら…まだ……」

「諦めないで!ドクターの所にいけば絶対治るから、だから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『生きることを諦めるな』!!!」

 

 

 しかし、その言葉を塗り潰すように背後の隔壁が轟音と共に降りる。

 そしてもう一つの変化が起きた。

 

 

 

 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 観測スタッフに警告。

 カルデアスの状態が変化しました。

 

 シバによる近未来観測データを書き換えます。

 

 近未来百年までの地球において

 

 人類の痕跡は 発見 できません。

 人類の生存は 確認 できません。

 人類の未来は 保証 できません。

 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 黒く染まっていたはずのカルデアスが一転して赤く、紅く光を放ち出した。

 

 

 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 コフィン内のマスターのバイタル

 基準値に 達していません。

 

 レイシフト 定員に 達していません。

 該当マスターを検索中・・・・発見しました。

 

 適合番号48 衣碕藍華 を

 マスターとして 再設定 します。

 

 アンサモンプログラム スタート

 霊子変換を開始 します。

 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 実験用の機材達からおびただしい駆動音が鳴り始めて、体が金色の粒子のようになって、溶けていく。

 それでも、マシュの手だけは話さない。

 マシュの目が私の目を見据え、そして彼女はポツリと言った。

 

 

「………ありがとうごさいます、先輩」

「いいってことよ、気にすんなよ後輩」

 

 

 

 

 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 レイシフト開始まで あと3、2、1、

 

 全工程 完了

 

 ファースト オーダー 実証を 開始 します

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次は年明けになりそうですね、
タグの通りの更新速度なので気長に待っていてください

それではありがとうごさいました!
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