ラブライブ・メモリアル ~海未編~   作:PikachuMT07

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第22話 文化祭準備

音ノ木坂高校文化祭まであと2日と迫った木曜日、俺は妹の手伝いと称しなんとか柔道場から出た古い畳のレンタルに成功し、校門で畳とともに穂むら号を待っていた。

畳は業者の方が親切で、15枚も借りる事ができた。

メールで時間を知らせていたため程なく穂むら号「ススキ:エヴリイワゴン」が到着した。

軽自動車だが畳15枚がぴったり入るのにはびっくりした・・・最大積載量ギリギリだろう。

穂乃果ちゃんのお母さん、俺、満載の畳という微妙な組み合わせを乗せて、軽ワゴンは出発した。

さっそく穂乃果ちゃんのお母さんから挨拶があった。

穂乃果母「すみませんね、穂乃果がわがまま言っちゃって・・・翠音ちゃんも亜里沙ちゃんと雪穂と良く遊んでくれて、お世話になってます」

紫音「い、いいえいいえ、こちらこそ兄妹ともども、お世話になってます・・・いつも美味しいお菓子を買わせてもらってるし、うちは家族で穂むらの和菓子が大好きなんです」

穂乃果母「まあ、ありがとうございます!これからもご贔屓にして下さいね!今は栗が入ったものが美味しいですよ。あともうすぐ十五夜だから月見団子も作りますし」

紫音「おお、栗大好きです。珍しく親父も、穂むらの和菓子なら食べるんですよ。あとやっぱり弓道の試合の時、う・・・園田さんに持って行くと喜びますね」

穂乃果母「そうそう、海未ちゃんと仲が良かったのよね。いつも穂乃果がうらやましがってるわ。ズルイズルイって言ってる」

紫音「いやあ・・・仲が良いわけじゃなくて、弓道の試合で一緒になるんです。いつも試合前は園田さん、緊張してるみたいだから・・・ほむまんで和ませようかと思って」

穂乃果母「うふふ、優しいのね。そういうところが穂乃果にはうらやましいみたいよ」

紫音「え~・・・穂乃果さんが夏休みとか神田明神で朝練してたときも、マメに差し入れしてたんですけどね、脱水症状になるといけないから・・・」

穂乃果ちゃんのお母さんはころころと可愛らしく笑う。

穂乃果母「まあ、そういう事は忘れてるのよね、あの子・・・。私からお礼を言うわ。ありがとう」

紫音「いえいえそんな・・・バイト先で消費期限が短くなったものを安く買えるんです。俺のほうこそみんなと仲良くなりたくてやってるんで、お礼とか恥ずかしいですよ」

穂乃果母「うふふ、正直ねえ。それで誰と一番仲良くなりたいの?かわいい子ばっかりいるもんね!」

お母さんの鋭い突っ込みに、俺は思わず咳き込んだ。

紫音「ぐほっ!お、お母さん・・・そ、それは勘弁してください!!ひ、秘密という事で・・・」

穂乃果母「あら、お母さんだなんて・・・気が早いわね!うちの穂乃果と、お付き合いしてくれるの?それとも意外と、雪穂かな?」

俺の背中に冷や汗が流れる・・・ここでの失言は命取りだ。

紫音「うう、ノーコメントでお願いします」

穂乃果母「うふふふふふ、ごめんねからかっちゃって。穂乃果は彼氏いないからいつでもOKよ!雪穂は・・・まだ桜野くんには小さいかな?さあもうすぐ着くわよ~」

紫音「あ、見えてきました!ホントに今日はありがとうございますぅぅ!あっ、あと月見団子買いに行きますよ!!」

ふ~~~!助かった・・・この会話危険すぎる。

確か穂むらのお母さんと言えば孫策の魂と水の龍の力を受け継いだとんでもなく強い人だったはずだ。

良かったな、俺・・・色々と丸裸にされなくて。

 

音ノ木坂高校の正門には計画通り、穂乃果ちゃんと凛ちゃん、紅音が居た。

穂乃果ちゃんがお母さんと話している間に、俺と凛ちゃんと紅音で畳を軽ワゴンから降ろした。

俺は畳1枚を持って屋上まで上がる。

紅音は道案内兼、俺がフラフラとアチコチ行かないように見張る役だ。

穂乃果ちゃんと凛ちゃんは正門から階段の下まで、二人で1枚畳を運んでくれる事となった。

1階と屋上を15往復したため1時間以上かかったが、俺は15枚の畳を無事、屋上に運んだ。

厚さ10mmのベニヤ板も演劇部で持っていたものと買ったもので15枚揃っていた。

畳と板が多くなったため、勉強机もそれに合わせ40個借りてある。

俺は計画通りに机を配置し、その上に畳とベニヤ板を並べた。

当初メールで送った計画の約1.5倍になるのだが、単純に横長に5枚の畳を並べ、それを3列敷き詰め15枚使う。

机は横に6個×4列で24個並べるのだが、これは角以外の机1つに対しそれぞれ、2枚か4枚の畳が載る。

さらに15枚の畳のそれぞれの中央に1個ずつ机を配置、残り1個は司会が乗るか予備である。

この配置作業でさらに1時間ほどかかったのだが、実際にやってみるとイメージ通りには行かない事が分かった。

所詮はベニヤ板、多少変形しているので境目には段差ができてしまうのだ。

μ'sの今回の衣装にもよるが、おそらくブーツのような少しヒールのある靴を履くだろうから、段差に足を取られたら転んでしまう恐れがあり危険だ。

そこで畳の境目と板の境目を少しずらして配置した。

明日もう1日あるので、更にU字型の釘で境目を固定する事とした。

前面に板を張り、前に立つ観客から机の下が見えないようにする作業も明日だ。

真姫ちゃんの家から借りてきた大型スピーカをステージの下、演劇部から4つだけ借りてきたスポットライトをステージ後ろに設置し、配線に雨対策の絶縁テープを巻きつけて本日の作業は終了である。

作業はギリギリ3時間に及び、紅音は初めこそ感心して見ていたが、穂乃果ちゃんと凛ちゃんが早々に「じゃあよろしくぅ」などと言いつつ去ってしまった後はヒマそうにしていた。

重くて作業は手伝えないとは思うが、凛ちゃんくらい居てくれると俺も紅音も淋しくなく作業できたと思う・・・残念。

 

作業後、紅音を伴ってアイドル研の部室に立ち寄った。

どうやら穂乃果ちゃんが振り付けの変更を提案したようで、9人全員で振り付けの確認をしていた。

床には9m×2.7mのサイズにテープが張られ、それを飛び越さないよう練習しているようだ。

紫音「お疲れ様です~今日の作業は終わりました」

絵里「ショーン、お疲れ様!」

穂乃果「しょーくん!どう?できた?」

紫音「うん、用意バッチリだったから今日はスムーズだったよ。明日、仕上げをしたら一回全員でステージで合わせてもらって、修正あればするよ~」

希「紫音くん、ホントにありがとな!なんとかできそうやん!」

にこ「希!なんとかじゃダメなのよ!私の1,2,Jumpの生、初披露なのよ!ナマよ生!!紫音、あんたは水着バージョンをナマで見てるけど、それ以上にかわいくやるんだから!ステージは大事よ!」

凛「にこちゃん、大丈夫にゃ!かなりしっかり出来てそうなの、凛見たもん」

紫音「いやまあ強度は問題ないと思うけど、板と板の境目は段差が出来て危なそうなんだよ。それで明日合わせるときは、靴は本番のものを履いて欲しいんだ」

ことり「うん、分かった。靴は大丈夫。衣装も今日中に仕上げるつもりなの」

紫音「いや、明日は靴だけでいいよ。ことりちゃん、無理しないで・・・それで、今休憩って事でいい?」

穂乃果「うん、じゃあみんな、少し休憩ね」

俺が確認すると休憩タイムとなり、は~と少し疲れたような息を吐きながら、9人がそれぞれの位置に座った。

紫音「ことりちゃん、ちょっといいかな?紅音、持ってきてる?」

紅音「うん、あるよ」

ことり「んん?ことりに何か用?」

紅音から荷物を受け取り、ことりちゃんが俺と紅音の前に来たタイミングで、計画通りに声を上げた。

紫音「せ~の」

紫音・紅音「ことりちゃん、お誕生日おめでとうございます!」

俺と紅音は用意したプレゼントを差し出しながら、声を合わせてお祝いを言った。

紅音「ことりちゃん・・・ことり先輩、ミナリンスキーさん、いつも優しくしてくれてありがとう!これ私と翠音から、プレゼントです」

紫音「こっちは俺から・・・あんまし金なくて、豪華じゃないけど」

ことりちゃんは俺と紅音のプレゼントを交互に見て、なんとも言えない微妙な表情をしている。

穂乃果「ああ~、やっぱりそれ来たか~。あのね、μ'sメンバーは文化祭の打ち上げとことりちゃんの誕生日会を一緒にやるつもりだったの。練習で忙しくて盛大にやれないからさ。でも良かったねことりちゃん」

ことり「あ・・・ありがとう。開けてもいいですか?」

紅音「もちろんいいですよ!」

ことりちゃんは紅音と翠音のプレゼントから開け始めた。

真姫「う~ん、こうなるんだったらμ'sでもプレゼントくらい今日にすれば良かったわね。確かにケーキは打ち上げの時のほうが良いと思うけど」

花陽「そう・・・かもです。私もプレゼント買ってあるから・・・」

海未「紫音さん達がことりの誕生日プレゼントをこのタイミングで出すのは計算外でしたね。でも皆で決めたではないですか。打ち上げでケーキを囲んで歌を歌ってプレゼントを渡すと」

にこ「そうね、振り付けも完璧とは言えないし、文化祭が終わった後の方が落ち着いてできるって話したわよね。それでことり、何をもらったの?」

ことり「わあ・・・かわいい・・・」

紅音と翠音のプレゼントはブローチとヘアアクセのセットだ。

デザインや使われている石に共通性があり、小さいが高校生が身に着けるには高価なものに見える。

まあ俺には値段の予想はまったく付かないのだが・・・。

ことり「ありがとう!大事にします!紫音くんのも開けるね」

しまった・・・周りにメンバーが全員いる。

紫音「・・・う~んと・・・え~と・・・じゃあまあいいよ、割れるものだから気をつけて」

さすがに、ここで断ると返って怪しまれるか・・・と俺はOKを出してしまった。

俺のプレゼントが皆の前で開封されていく・・・大丈夫だろうか。

俺のあげた包みからは二つのものが出てきた。

一つは写真が二枚入るガラス製の写真立てで、アナログ時計が付いている。

アマゾーナで3500円程度のものだ。

もう一つを見てことりちゃんは固まってしまった。

にこ「へ~ガラスの写真立てね。女子にあげるには定番ね。もう一つは・・・安っぽい鏡ね。しかも何で鏡に時計がくっ付いてるのよ?時計は写真立てにも付いてるじゃない。それで何で鏡に『AKIBA』って書いてあるのよ?意味が分からないわ」

アマゾーナで注文した写真立てには時計が一つしか、付いていなかった。

だから俺は近所の雑貨屋で机に立てられる鏡を買い、同じく安いソーラー電池付き時計を買って、両面テープで鏡に貼り付けたのだ。

そしてラメの入ったピンクの文字シールで『AKIBA』と手作業で貼り付けた。

もちろん、パリの現地時間と日本時間が毎日見るもので瞬時に判るようにするためのものである。

凛「紅音ちゃんのプレゼント、凛にも見~せてっ」

やはりかわいいモノがみんな好きなのだろう。

紅音も含め、絵里先輩もアクセサリーが好きな模様で、にこ先輩と海未ちゃん、真姫ちゃんを残し、他のμ'sメンバーはアクセサリーの話を始めてしまった。

だが真姫ちゃんは、気付いたようだった。

真姫「あらことり、どうしたの?泣いてない?そんなに感動するようなプレゼントじゃないと思うんだけど・・・さあ片付けて、もう少し練習しないと」

真姫ちゃんは固まっていることりちゃんの横顔を見ながら、そう声をかけた。

だが、答えたことりちゃんの声は、震えていた。

ことり「は・・・はは。別に泣いてなんかないよ。さ、練習しなくちゃ」

ことりちゃんはいそいそと俺のプレゼントを片付け始める。

それを見ていた海未ちゃんが、さらに声をかけた。

海未「ことり・・・なんか変ですよ。紫音さんのプレゼントがどうかしましたか?何か嫌味なものが入っていたとか・・・」

まずい・・・海未ちゃんがことりちゃんの異変に気が付かないわけはない・・・ここは俺が誤魔化すしかない。

紫音「い、嫌だなあ海未ちゃん、普通のプレゼントだよ普通の。よくあるよね、写真立てと鏡なんて。ごめんね安いもので・・・」

俺がそう言うと、ことりちゃんはじっと俺を見つめた・・・気が付けば大きな目には、溢れんばかりの涙が溜まっていた。

ことり「ううん、安いとか関係ない。大切にします。ありがとう」

この顔は、誰がどう見ても、泣き顔である・・・俺はことりちゃんに助け舟を出した。

紫音「あ・・・あれ、ことりちゃん目にごみが入ってるんじゃない?ちょっと洗面所で見てきたら?」

ことり「うん・・・行ってきます」

俺の意図が判ったことりちゃんは、洗面所に行った。

何とか誤魔化せただろうか・・・だが海未ちゃんの視線は恐いままだった。

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