ラブライブ・メモリアル ~海未編~ 作:PikachuMT07
翌日の朝、アパートまで起こしに来たのは紅音だったが、昨日の約束もあり俺は翠音とともに地元中学校を経由するルートで家を出た。
紅音は淋しそうな視線を送ってきていたが、あいつも実は翠音の事が大好きなので、翠音のこの嬉しそうな笑顔を見たら引っ込まざるを得ない。
また明日は交代だから紅音には我慢してもらおう。
翠音と並んで秋葉原の街を歩く。
翠音も姉譲り(正確には父親ゆずりか)の群青色のこぼれんばかりの大きな瞳と透き通るような白い肌の持ち主である。
顔立ちは姉よりも更に柔和な印象で、体の線は細く手足がとても長く見える。
実際の身長は若干紅音より低いのだが、並ばないと分からない。
ちなみに二人が並ぶと美人が多いニューヨークでもそれなりに注目を集めたものである。
まあ顔立ちは日本人ぽく二人とも鼻がそんなに高くはないので、ハリウッド映画等でアジアン美女にも理解が深まってきてはいるものの、向こうの男子からの人気は今一つというところだった。
翠音「お兄さま、手をつないでいい?」
俺が回想に浸っていると翠音は返事をする前に俺の左手を握ってきた。
昨日の紅音のはしゃぎようと比べたらぜんぜんマシではあるが・・・朝から大丈夫だろうか。
紫音「なんだよ翠音も甘えん坊だなあ・・・学校の友達に見られたらからかわれちゃうんじゃないか?」
翠音「大丈夫だよ~お兄さまだって言うもの~。みんなに紹介したいくらいだも~ん」
てへへ~と笑う翠音は本当にかわいい。
紅音もお姉ちゃんぶって命令したり姉の権利を主張したりするが、翠音に上目遣いで涙を溜めてウルウルで見られた日には、結局すべて譲ってしまうのだ。
俺はもうまったく勝てないので、兄妹の中では実は翠音が最強なのであった。
最も弱いのはもちろん俺だ。
翠音「お兄さま、昨日話したお友達ね、もうすぐ見られると思うよ~お兄さまが気に入ったなら、翠音はその子とすっごく仲良しになって、パーティで呼べるようにするね」
紫音「おお、そんな事言ってたな。正直忘れてたけど楽しみだな。確かロシア系クォーターの娘なんだったよね。その娘の他にも友達できたんだろ?」
翠音「うん、できた~。高坂さんだょ。その子もね、とってもかわいくてすっごく元気なの~」
紫音「うむむ、女の子の友達は良い。翠音は女の子とだけ仲良くしなさい。地元中学は男子もいるんだろ?お兄さまはそこが心配なのだよ。そのクォーターの娘と高坂さんに良く頼んでおこう」
翠音「今のところ心配ないよ~翠音はね、年上の優しい男の人が好き~」
紫音「む~日本は翠音みたいなかわいい中学生を狙うヘンタイさんが多そうだから、くれぐれもだな・・・」
翠音「お兄さまもちょっとヘンタイさんだよねぇ。翠音はね、お兄さまがちょっとくらい、他の女の子を見てもいいの。でも翠音と二人きりの時は、翠音に優しくして!」
紫音「み、翠音ちゃん??昨日の雑誌はヤンマガといってだね。いわゆるグラビア雑誌ではなくマンガ雑誌なのですよ。お兄さまはヘンタイではないのですぞ。でも二人の時は優しくするぞ。任せなさい」
俺はバシっと自分の胸を叩く。
翠音「ふふ~ひっかかったぁ!じゃあお兄さま、翠音にキスして~!」
紫音「む、むぐ!なんて事を言うんだ翠音!」
そう来たか・・・。
紅音に昨日の事を聞いたに違いない。
おそらく「お兄ちゃんが周りの女の子ばっかり見るからみんなの前でキスしてやったわ!!」というような所だろうか・・・。
翠音「えぇ!ウソなのぉ??」
紫音「・・・わ、分かったよ・・・」
俺は往来の人が少なくなるのを待って、翠音の前髪を上げおでこにキスした。
翠音「え~!もうずるいなぁお兄さま・・・今はこれで許すけどぉ続きは帰ったらだよ!」
紫音「続きってなんだよもう、まったく。やれやれだぜ、ってこういう時使うのか・・・」
ぼやきながら歩いていると、チラホラと翠音と同じ制服の娘達が周りに見えるようになってきた。
紫音「翠音、そろそろ手を放すぞ。お兄さまはお前に変なウワサが立ってしまう方が手を放すよりも苦しいんだからな」
翠音「・・・う~!ざんねん~」
手を放して並んで歩く。
並んで歩く分には俺は高校の制服を着ているし、兄妹に見えるだろう。
そう考えると昨日の紅音との登校はやっぱ目立ちすぎたと思う・・・反省しきりだ。
??「お~い、みおんちゃ~ん!おっはよ~!」
背後から俺達・・・というか翠音に呼びかける声が聞こえる。
翠音「あ~高坂さんおはよ~。綾瀬さんも~おはよ~」
俺は振り返り、そして驚愕した。
そこにはきらきら光るプラチアブロンドヘアを肩で切り揃えた、中学3年生にしては少し小さめの娘がいた。
驚愕したのはそのまぶしいばかりの笑顔である。
なんという美少女・・・天使か・・・天使なんだな、きっと。
高坂さん「みおんちゃん、この人・・・お兄さん?」
綾瀬さんのあまりの可憐さに言葉を奪われていると、隣のこれまたかわいい顔立ちの明るい声の娘が、俺を上目遣いで見ながら翠音に聞いてきた。
紫音「おはようございます、桜野紫音といいます。初めまして。いつも翠音がお世話になってます・・・っていつもじゃないか、昨日からだから、これからお世話になります!」
高坂さん「はわわ、ご丁寧にどうも。私は高坂雪穂っていいます!みおんちゃんのお友達になりました!」
翠音「高坂さんもかわいいでしょぅ?それからね、こっちの子はね、綾瀬亜里沙ちゃんっていうんだょ~」
亜里沙「は、はじめまして・・・綾瀬です。おはようございます・・・」
鈴の音が鳴るような細めの声からは儚げな和風少女の雰囲気が感じられる。
ブロンドとはミスマッチとも思えるが、逆に唯一無二の宝石のようにも感じられる少女である。
このレベルの娘に二日連続で会えるとはなんという幸運!と自分で考えて気付いた・・・二日連続??
紫音「あ、綾瀬さん、そういえば俺は昨日、もう一人の妹、つまり翠音の姉と一緒に音ノ木坂学院って所に行ったんだけど・・・そこで・・・」
亜里沙「はい、それは亜里沙のお姉ちゃんだと思います。お姉ちゃんは音ノ木坂学院の生徒会長なんです」
紫音「な、なんと!すると俺、昨日キミのお姉ちゃんにも会ったんだ・・・ものすごい美人だねえ」
亜里沙「あ、ありがとうございます!亜里沙のことはありさって呼んでいいですよ。みおんちゃん、お姉さんもいるの?」
翠音「うん、紅音お姉さまはね、昨日から音ノ木坂学院の1年生なんだょ」
高坂さん「え~~そうなの!!私のお姉ちゃんも音ノ木坂~!じゃあ3人ともお姉ちゃんが音ノ木坂なんだね!すっごい偶然~!!」
紫音「へ~高坂さんのお姉さんも音ノ木坂?それなら昨日見たのかなあ・・・妹さんがこんなにかわいいんだから、お姉さんもきっとかわいいよね!見てみたいね~」
高坂さん「い、いやだ・・・私はそんな・・・亜里沙に比べたら全然ですよ。みおんちゃんもお兄さんも、私の事はゆきほって呼んで下さい。あと私のお姉ちゃんは・・・あんまり見せたくないです。期待しないで下さい」
いや~雪穂ちゃん、それは比べる対象が間違っている・・・キミも充分かわいいぞ!!そしてお姉さんも絶対かわいいと思う。
翠音「お兄さま、さっそくお友達にかわいいとか言わないでょ。ヘンタイさんだと思われてしまぅ」
紫音「いやごめん、つい本音が出てしまった・・・」
雪穂「あは、お兄さん、上手ですね!うち『穂むら』っていうお饅頭屋さんやってるんです。今度、みおんちゃんと来て下さい。運が良ければお姉ちゃんがお店番してます」
紫音「へ~お饅頭屋さん・・・。翠音、和菓子屋を探してたじゃないか。今度一緒に行こう」
翠音「わ~い、お兄さまと一緒にいく~雪穂ちゃん、ありがとう!」
話も盛り上がってきたが、携帯の画面で時間を確認すると俺はそろそろ遅刻ギリギリだ。
残念だがここで切り上げる事にしよう。
紫音「翠音、俺もそろそろ高校へ行くわ。雪穂ちゃんと亜里沙ちゃん、翠音と仲良くなって下さい。お願いします」
俺は3人の中学生にばいば~いと手を振って、神田電機高校へ向けて走りはじめた。