ラブライブ・メモリアル ~海未編~   作:PikachuMT07

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第36.5話 幕間2:UNBALANCED LOVE

紫音にもらったティーカップを机に置き、ことりはベッドに倒れこんだ。

届いたメールをぼ~っと眺める。

「そりゃ欲しいよ!クラスでも少ないけど恋人がいるヤツいるし。すごくうらやましい」

もういっその事、紫音が彼女を作ってくれたほうが、あきらめが付いて楽になるのかも知れない。

今日は紫音からプレゼントを貰い気分が良くなって、楽しく帰ってきて・・・ライブも成功だったし、すごく良い日だったと思った。

しかしユアツーブにアップされた今日のA-RISEの動画を見た途端、紫音が優木あんじゅを彼女にしたいと言った事を思い出してしまったのだ。

慌ててまずティーカップのお礼メールを出して、その返信で彼女が欲しいかと聞いてみた。

ああ、やっぱり聞かなければ良かった。

「欲しくない」などと返ってくるはずはない。

欲しいと返ってきて、では「誰が彼女ならいいのか?」と聞く勇気が自分にあるのか、なぜ先に考えなかったのか。

それを聞いて恐いのは穂乃果や凛の名前が返って来た時・・・いやもっと恐いのは海未の名前が返って来た時だ。

 

穂乃果や凛はかわいい。

あの二人と付き合いたくなる男の子の気持ちは想像できる。

穂乃果と紫音が付き合ったら・・・すごく悔しいけど、とても残念だけど・・・たぶん自分は納得してしまうのだ。

小学校、中学校とそういうシーンを何度も見てきているから・・・。

もちろん好きな男性が被った、なんてことは初めてだが・・・ことりは思い出す。

いつもクラスの中心に居る穂乃果は、工作は手先が不器用でできず、劇ではセリフを覚えられず、出し物の手順は間違うが・・・なぜかキーポイントが回ってくる。

作業だけならことりのほうが上手に進められるし、進めているのだが・・・穂乃果は信用されているのだ。

クラスが盛り上がる為に必要なキーが穂乃果に回ってくる事がとても多く・・・仮にクラスが負けても、みんなが納得できる形になる。

紫音が幸せになる事を考えた時、穂乃果は色々と紫音を振り回すだろうが・・・最終的に紫音は絶対に楽しいし幸せだろう。

ことりのほうが料理も掃除も裁縫もできるし女子力は絶対にあるのだが・・・でも紫音を笑顔にできるだろうか?

そんな風に思ってしまう。

 

凛は・・・凛のあのひたむきな恋を潰して、自分が紫音を取るという事が辛い。

もちろん自分だって凛以上に紫音の事が好きだ、という自信はある。

でも凛のあの正直でまっすぐなもの言い、視線・・・。

いつも遠まわしにしか聞けずおどおどして気持ちを伝えられない自分に、凛以上に紫音に好かれる資格があるのだろうか?

そんな事を考えるなら聞いてしまえば良い、と思う。

「誰と付き合いたいの?」「彼女にしたい人は誰?」「ことりと恋人になっても良いよね?」

送信しよう、しようと思う。

だが実際に送った文面はこうだった。

「そうだよね。ことりも恋人、欲しい(*^。^*)じゃあね、お休み(-_-)zzz」

最悪だ。

紫音のほうから「俺と恋人になってくれ」と言ってくるのを暗に待っている。

それがありえない事は分かっているのに・・・。

紫音はどう思っただろう?

「ああ恋愛禁止だから恋人作れないのか」とか「好きな人いないんだ」とか思っただろうか。

少なくともこちらの気持ちはまるで伝わっていないだろう。

 

さらにことりは海未の事を考える。

紫音はずっと海未を見ている。

もちろん誰かが話しかければそちらを見るが・・・海未が何かしようとすると必ず目で確認している。

海未も絶対にそれは判っている。

あの二人にも何か隠し事・・・と言うか二人だけの思い出があるのだ。

ことりが疑っているだけなのか・・・いや、穂乃果の説得後に明神裏の喫茶店で紫音が穂乃果を抱きしめた事を怒った時、海未は何か言い淀んでいた。

紫音は優しいから・・・女の子が悲しそうだったりピンチになると、何かせずにいられないのだ。

たぶん海未にも何かしたに違いない。

それならそうと・・・海未にだけ優しくすれば良いのだ。

海未は・・・ずっと一緒に居るがことりとは違う常識や尺度で動いている。

紫音が明らかに海未に好意を寄せている事を表現しても、拒否して怒って・・・女の子から見ても全然かわいくない。

紫音は冷たくされて疑われてぶたれても、やっぱり海未の事を慕っている。

真似できない。

紫音が海未の事を好きなら・・・自分に何かを足したり引いたりするだけでは、追いつけないだろう。

机に置いたアルパカのティーカップが目に入った。

凛の誕生日プレゼントがすごくかわいくてうらやましくて・・・まさか半分とはいえ、ほぼ同じものがもらえるとは、思っていなかった。

どうしてそんなに優しいのか。

大事な、自分の人生でも一番大事な友達をこうやって妬んで疑って・・・そんな事になるなら紫音はことりに優しくしなくて良い。

優しくしないで欲しい。

・・・またバカな事を考えている。

紫音が他の女の子に優しくして自分を無視する状況が訪れたら・・・ことりの心は張り裂けてしまうに違いない。

また余計な事を思い出す。

「ことり達が恋愛禁止だから他の子に興味出ちゃったのかなって思って」

「俺は本当はあんじゅちゃんに彼女になってもらうのを目指すべき・・・なんだね」

ケアルカフェを完全に辞めて(生徒会書記になったせいで二学期はあまり出勤してないが)、ミニストッパでバイトしてやろうかと思う。

だがそんな事をしたって、自分だけが優しくしてもらえるのは最初だけだ。

本当は判っている。

紫音と二人で一緒にいても・・・彼はことりの事を恋人候補としては意識していないのだ。

まず間違いなく海未が紫音の想い人だろう・・・つまり両想いだ。

ことりの悪い予感は、良く当るのだ。

でも海未が紫音を好きな気持ちより、絶対にことりのほうが紫音を好きだ。

それは自信がある。

好きな気持ちが強い人が、優先的に結ばれるっていう法律ができたら良いのにな・・・。

想いの強さや量が計測できるなら、間違いなく紫音とことりがお互いを想う気持ちは、バランスが悪いだろう。

 

(スクフェス「UNBALANCED LOVE」プレイをおすすめ!)

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